働き方改革

すべての企業がいま取り組むべきこととは?「働き方改革」の全体像を分かりやすく解説

2020年、新型コロナウイルスの蔓延により、多くの企業の働き方に大きな変化が起きました。外出自粛要請や通勤混雑の回避などを契機に、オフィスに通勤しなくても仕事ができるテレワークが一気に広まり、自社の「働き方改革」について企業は企業規模を問わず真剣に向き合わなければならない事態となりました。

サイボウズチームワーク総研が2020年4月に発表した調査結果によると、職場でチームとして働いているビジネスパーソン1,030名のうち、「新型コロナウイルスの流行がチームの働き方に影響及ぼしたか」という問いに対し、約4割が「働き方に変化あり」と答えています。

出典:「新型コロナウイルスによる働き方への影響」に関する調査

未だ世界的に事態が収束しない中で、こうした動きは今後もさらに加速していくと考えられます。

一方で、急な働き方環境の変化に対して十分準備が出来なかった企業や、対応に追われて本質を見失ってしまう企業も多く見受けられます。

また、この記事をご覧の方の中には、「働き方改革とは具体的にどのようなものなのか」「どのような対策を企業は取っていけば良いのか」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるかと存じます。

まさにいま、大企業だけでなく、中小企業にとっても喫緊の課題となった働き方改革を、腰を据えてじっくりと見つめ直す良い機会なのではないでしょうか。

本記事では、withコロナ、ポストコロナ時代を見据え、さまざまな角度から「働き方改革」について関連記事を交えて網羅的にわかりやすく解説いたします。

1.働き方改革とは「一億総活躍社会」の実現に向けた取り組みのこと

働き方改革とは、すべての人が多様な働き方ができる一億総活躍社会を目指して定められた、政府の重要政策の一つです。これまで当たり前とされていた、長時間労働や非正規労働者との格差など、日本労働環境や経済課題を大幅に見直すための取り組みという側面もあります。

法的には、働き方改革関連法が2018年6月に可決および成立し、2019年4月から施行されました。また、2020年4月からは、大企業のみならず全ての中小企業に対しても多くの法律が適用されることになりました。

そして、働き方改革関連法が本格的に施行されることによって、企業は大きな変革を迫られることになりました。対応が不十分な場合は、罰則の規定もあります。

しかし、働き方改革を推進することは、従業員満足度の向上や中長期的な業績向上へと繋がります。企業経営者や人事ご担当者は、働き方改革を単なるタスクと捉えるのではなく、経営課題の一つとしてしっかりと認識、実行していくことが重要です。

以下の2つの記事では、働き方改革における背景を解説すると共に、具体的な取り組み方法、企業事例などについて紹介しています。

2.なぜ企業は、働き方改革に取り組まなければならないのか?

先ほども述べたように、働き方改革は、日本の労働環境・経済問題を解決するための施策です。

それらの問題の中でも早急に解決するべき社会課題として、以下の3点が挙げられます。

・少子高齢化による労働力不足
・長時間労働と過労死の問題
・日本の労働生産性の低さ

それぞれ簡単に説明します。

少子高齢化による労働力不足

パーソル総合研究所と中央大学が2019年に発表した「労働市場の未来推計 2030」によると、推計の結果、2030年には、7,073万人の労働需要に対し、6,429万人の労働供給しか見込めず、「644万人の人手不足」となることが分かりました。

出典:パーソル総合研究所「労働市場の未来推計 2030」

産業別において、特に大きな不足が予測されるのは、サービス業、医療・福祉業など、現在も人手不足に苦しむ業種であることが分かりました。

その根拠として、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(2017)」を見てみると、2017年に1億2,671万人だった日本の人口は、2030年には1億1,638万人、2060年には8,877万人になると見込まれています。

出典:パーソル総合研究所「労働市場の未来推計 2030」

来たる、労働力不足時代に対して、政府は早急に手を打つ必要があります。

長時間労働と過労死の問題

長時間労働と過労死の問題も、近年話題となりました。

これまでの日本の労働価値観においては、一時は「モーレツ社員」と呼ばれるような、健康を顧みない働き方が良しとされてきました。ですが、長時間労働を原因とする痛ましい事件が起きたことによって、働き方を見直さなければならないという動きも出てきています。

長時間労働を規制することで、労働者の健康的なリスクを軽減し、生産性の向上にも寄与することができます。

また、この問題は過労死という最悪のケースにも繋がってくるため、働き方改革による仕組みの大きな変化が求められています。

日本の労働生産性の低さ

3つ目に、国際的に見た日本の労働生産性の低さも、大きな問題とされています。

公益財団法人日本生産性本部の調査「労働生産性の国際比較 2019」によると、OECD データに基づく 2018 年の日本の時間当たり労働生産性(就業 1 時間当たり付加価値)
は46.8 ドルで、OECD 加盟 36 カ国中 21 位でした。

また、2018 年の日本の 1 人当たり労働生産性(就業者 1 人当たり付加価値)は、81,258 ドルで、OECD加盟36 カ国中21 位という結果となっています。

先進諸国の中でも経済大国として知られる日本の労働生産性が低くなっている原因の一つとして、先ほども述べた長時間労働や、働き方への柔軟性の無さが原因の一つとされています。

これらの問題はそれぞれ因果関係が相互に絡み合っているため、働き方改革によって抜本的な改革が必要とされているというわけです。

3.働き方改革における3つの柱

働き方改革の必要性については上記の通りですが、深刻な労働力不足を背景としたこれらの課題を解消するために、政府は3つの柱を策定しました。

①長時間労働の解消
②非正規と正社員の格差是正
③高齢者の就労促進

この3つの柱を実現することで、労働力不足の解消を目論んでいます。

こちらを図にすると、以下のようになります。

①長時間労働の解消

先ほど述べたように、長時間労働は、従業員の労働生産性を下げるだけでなく、過労死や精神的なハラスメントを発生させる恐れがあります。

また、働き盛りの女性が仕事と育児を両立出来るのかという不安から出産に踏み切れないことにより、この問題は出生率にも影響していると考えられています。

労働時間が短縮されれば、仕事と家庭生活の両立や、女性や高齢者も仕事に就きやすくなるなどの社会的なメリットが生まれます。

②非正規と正社員の格差是正

非正規と正社員の格差を是正することで、働く人が正当な処遇を受けられるようにすることが目的です。

日本における非正規社員は正社員に比べて6割の賃金しか受け取っておらず、これは欧州と比較し2割以上の低い数字で、収入格差が激しいと言えます。

また、育児や介護に従事しなければならない人は、様々な制約から結果的に非正規としての働き方を選ぶことになり、キャリアを活かす機会を失ってしまっています。

③高齢者の就労促進

そして、高齢者の就労促進については、今の日本では高齢者の約6割が「65歳を超えても働きたい」と考えているという調査もあり、高齢者を雇用することによる労働力強化が狙えます。しかし、実際に働いている高齢者は2割ほどに留まります。

長年日本に根付いていた労働問題は、一朝一夕に解決されるものではありません。上記3つの柱を進める上で大切なのは、一社一社が自分ごととして、自社の問題に向き合い、中長期的な視点で働き方改革を推進することです。
従業員の労働生産性を上げるために、できることから始めましょう。労働生産性については、以下の記事もご参照ください。

4.まずはここから!今日から動き出せる、働き方改革の取り扱い説明書

ここまで、働き方改革の概要と背景についてお話してきました。

しかし、上記の内容を十分ご理解いただいたとしても、「情報が多すぎるために具体的に何から始めていいのかわからない」、というお声もあるかと思います。

そこで、私たちBOWGL編集部が、数ある働き方改革の記事の中から、これさえ読めば動き出せるという記事を厳選し、3つのカテゴリに分類しました。ぜひご参考にしてください。

・労働時間の長さ(残業を含む)を解消したい、また一人ひとりの生産性の向上を測りたい企業が取り組むべき施策
・非正規社員の雇用が多い企業が取り組むべき施策
・全ての企業が積極的に取り組むべき施策

労働時間の長さ(残業を含む)を解消したい、また一人ひとりの生産性の向上を測りたい企業が取り組むべき施策

長時間労働によって引き起こされた、大手広告代理店の事件を皮切りに、改めて日本企業の労働環境の改善が重要視されるようになりました。

その中でも特に、残業を含む長時間労働の削減は国全体としても喫緊の課題です。
企業の業績を維持・向上させるためには、労働時間を減らしても現在と同等以上の成果を出す必要があります。

以下の記事では、企業として現在の課題を真摯に受け止めた上で、どのような取り組みをすれば良いのかそのヒントを紹介しています。

非正規社員の雇用が多い企業が取り組むべき施策

非正規社員を多く雇用している企業では、待遇格差改善に向けて同一賃金同一労働が叫ばれています。

以下の記事では、実際に非正規社員の待遇を向上させた事例について紹介しています。

全ての企業が積極的に取り組むべき施策

従業員の離職率低下・人材の確保などを目的とした働き方の多様化が求められる中、ダイバーシティ推進はどの企業においても重要度の高い取り組みの一つでしょう。

近年では、働き方改革の1つの柱となっている新たな働き手を増やす(女性や高齢者の労働市場の参入)ために、テレワークのような柔軟な働き方も求められるようになりました。

以下の記事では管理職の視点から、企業として今後どのように多様な働き方を取り入れていくべきなのか、について紹介しています。

5.今日からはじめよう。働き方改革

働き方改革は、これまで日本が長年続けてきた、日本型雇用の慣習を一新する考え方です。

この記事をご覧の方はご承知のとおり、単に仕事を「定時に強制的に終わらせる」だけでは、仕事の絶対量は変わらず、どこかにしわ寄せがくるだけの結果になり人が辞めていきます。

そうならないためにも、働き方の仕組みから、変えていく必要があります。

経営者だけでなく一般従業員も含めて、皆が創意工夫をして、新時代の環境に適応できるような強い会社をつくることが今後は求められていきます。

今、新型コロナウイルスによる労働環境の変化は突然で、苦しみが伴うこともあるでしょう。ですが、周囲の環境が変わるタイミングはチャンスと捉えることもできます。

自分のいる会社が10年後、20年後にも変わらず世の中に必要とされるように、製品、サービスを向上させるのはもちろん、多様な人材が働きやすく、労働生産性の高い企業を目指していきましょう。

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