コラム

第19回:正規と非正規における待遇差対応の優先度について(前回続き)

(前回記事はこちら)
見直しの着手に順位を付けるもう一つの理由は、正規と非正規の待遇の見直しを「同一労働同一賃金」の観点ではなく、待遇自体の必要性や別の待遇への切替えを含めた、大きな人事制度・給与体系の観点で行うことが望ましいからである。もし、人事制度の見直しで待遇自体が不要となれば、均等・均衡待遇の問題も消滅することになる。今回はネット通販を行う企業の事例を紹介する。同社の非正規従業員はパートタイマーがほとんどである。

同社は図に掲げた待遇を見直しの対象とした。なお、今回に限り福利厚生以外の待遇についても解説する。

まず、それぞれの待遇を前回紹介した基準で、順位付けする。

「ガイドライン」に明記され、「同一労働」でなくとも同一とすべき待遇として、通勤手当と夏季・冬季休暇そして慶弔休暇を挙げ、最も高い見直し順位とした。

通勤手当は非正規従業員にも支給されているが、従前の規程では月額での支給上限額に差(正規従業員は月額5万円、非正規は1万円)が設けられていた。非正規従業員は事業所の近隣から採用することを前提にしており上限額を低く抑えていたためである。

しかし、近隣だけの採用では十分な採用数が確保できなくなりつつあるのが現状であった。

そこで上限額の見直しを行うこととした。正規については所得税法上の非課税限度額は月額15万円であるが、現時点で5万円を超える者がいないことから据え置いた。非正規については、月額3万円近い通勤交通費がかかる者がいたが、1万円を超える差額は本人が負担していた。こうした実態に鑑み、上限を3万円に引き上げる案が出た。これでも正規とは差があるものの、現状ではそれを超える非正規従業員はいない。しかし今後さらに遠隔地から採用し3万円を超える可能性があることも考慮して、正規従業員と同額の5万円に引き上げた。

 次に、夏季・冬季休暇である。付与理由は、日本の一般的な夏季休暇や正月休暇の慣習に基づいたものである。従前は夏季・冬季それぞれ3日間が正規従業員にだけあった。

非正規従業員はほとんどがパートタイマーであるが、その勤務日数は週5日から週1日まで多様である。週の勤務日数が少ないパートタイマーは勤務しない日を使って夏季・冬季の休みに充てることができるが、週5日のフルタイムパートは、休暇がないと休めない。そこでフルタイムパートには、正規従業員と同様に夏季・冬季休暇を付与することとした。そこで問題となったのは週4日のパートタイマーである。3日間の休暇は不出勤日によって何とか確保できるが仕事の繁閑によってはそれが厳しい。

3日のパートタイマーも比較的厳しいことから、勤務日数による線引きが難しかった。同社では週3日、4日のパートタイマーには週5日勤務とすれば夏季・冬季休暇が付与されることを説明し、フルタイムへの変更を勧奨することとした。

その他の見直し事例は次回紹介したい。

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