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第7回:正規従業員との待遇差と働き方の違いについて

第7回

 非正規従業員の待遇改善が促される動機付けは、「同一労働同一賃金」の法改正だけではない。足元の非正規従業員の採用難も動機付けとなっている。

 待遇改善の検討を行ううえでの実務上の課題は、①待遇の改善対象・度合、②待遇改善の原資ねん出方法の2点である。まずは①から考えたい。

非正規従業員には、雇用延長嘱託社員、契約社員(有期・無期)、パートタイマー、アルバイトなど多くの雇用形態があり、一つの雇用形態の中でも労働時間や勤務日数などでさらに細分化されている。このように多様な非正規従業員の雇用形態のうち、どこを待遇改善の対象にするのか。さらに数多くある手当、福利厚生といった待遇のうち、どれをどこまで改善するのかというのが一つ目の課題である。

②については、非正規従業員は人件費が抑えられる点が経営上のメリットだったため、原資ねん出は容易ではない。

①については、いくつかの判断基準が存在する。まずは改正法の趣旨を考慮する必要がある。これはすでに述べたように、個々の待遇の性質・目的に照らして判断する。手当は皆勤手当のようなインセンティブ性のあるものと、住宅手当のような福利厚生的なものに分けられるが、ここでは主に福利厚生的な手当について考えていく。

福利厚生の目的は総じて、従業員満足度の向上を通じた定着の促進や制度を利用した労働生産性の向上、働きやすさの改善といえる。この目的でいうと非正規を含む全従業員に福利厚生を付与するのが合理的となる。付与したうえで、働き方に応じて、手厚さで差を設ける。

2つ目の判断基準は厚生労働省の「同一労働同一賃金」に関するガイドラインである。ガイドラインのうち、福利厚生的側面を持つ手当や福利厚生制度に絞って掲載したものが表である。

各種手当のうち福利厚生的な手当といえる通勤手当、食事手当、単身赴任手当(同一の支給要件を満たす場合)、地域手当などについては正規・非正規にかかわらず同一の支給をすべきとしている。

また福利厚生施設(食堂、休憩室、更衣室に限定)の利用や、転勤社宅(転勤の有無の要件が同一の場合)、慶弔給付、健康診断に伴う勤務免除、有給保障、病気休職、同一勤続期間である場合の有給休暇付与日数は同一としなければならない。

このようにガイドラインでは、福利厚生的手当、福利厚生制度については同一労働でなくとも同一の利用・付与を求めているものが多い。この背景には、「働くうえで必要な手当・福利厚生は与えるべき」という考え方を読み取ることができる。福利厚生は労働の対価というより、働きやすさを高め労働生産性を向上させる手段である。

ガイドラインは手当や福利厚生を限定列挙してあるが、列挙されている以外の手当・福利厚生にまで拡大すると、かなりの範囲で同一の支給・付与が必要となる。

 

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