働き方改革

週休3日制が人手不足を解消する?導入企業の狙いとは

2018年に安倍内閣で可決されて以来、メディアにより連日取り上げられ、一種のトレンドとなっている「働き方改革」。

新制度が順次適用されるなか、2020年4月には中小企業もその対象となり、他人事や遠い未来の話ではなく、「新しい働き方」をより身近なものとして認識し始めた方も多いのではないでしょうか。

働き方改革と一口に言っても、「長時間労働の是正」「テレワークの推進」「ダイバーシティ推進」「同一労働同一賃金」や「副業解禁」など、その範囲は非常に広範囲であるため、どこから手を付けるべきか翻弄している企業も少なくありません。

そんな中、これまでの常識を覆す働き方として注目を集めているのが「週休3日制」です。

長時間労働や休日出勤を余儀なくされる企業も多く、休日を増やすことなど考えられない、といった意見が一般的でしょう。人手不足と働き方改革の両立に悩む企業が増えている一方で、週休3日制を導入した企業はどのような狙いで導入に至ったのでしょうか。

今回は、その理由について解説します。

従業員満足度を高めて企業の労働生産性を向上し、持続的な事業成長へと導く働き方を

残業を減らして有給取得をしやすい環境整備も整えた。しかし、蓋をあけてみると業績が芳しくない…それは、時間や場所を問わない柔軟な働き方やデジタル化による業務効率化という本質的な働き方改革が実践されていないことが原因です。

人手不足の今、以下のような課題には早急に取り組む必要があります。

・従業員一人当たりの労働生産性の向上
・離職率の低下、採用強化
・従業員満足度の向上
・テレワークの拡大
・ITリテラシーの向上

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週休3日制を導入すべき2つの理由とは

週休3日制を導入する企業側の狙いは大きく2つです。

人手不足の解決

まず一つは、目下抱えている「人手不足」に対する解決策として「週休3日制」を導入しようという考え方です。

「働き手が不足している中、社員を休ませている場合ではないのでは?」といった意見も多いと思われますが、人手不足だからこそ真剣に取り組まなくなくはならないのが、中長期的な人材確保を視野に入れた「会社の魅力づくり」です。

たとえば週休3日制の導入で話題になった佐川急便を傘下に持つSGホールディングスをはじめ、一部報道にもあった通り、運輸業界の労働環境は非常に過酷です。業界の不人気から、新卒・中途を問わず採用活動が困難となる上、転職市場の活発化により「働き方を変えたい」という思いを持つ働き手の離職も考えられます。

事業計画を達成する上で、人員計画は非常に大きな影響を与えます。それゆえ、採用が進まなかったり、想定より多くの社員の離職があると、事業計画の達成は困難となります。

つまり、「人材確保」は経営戦略上、非常に重要であり、適正な人材確保を実現するためには採用と同時に、離職を防ぐ必要があります。

そこで他社よりも魅力的な「職場づくり」ができれば、採用力も高まり、人材流出のリスクも最小限に抑えることができます。

こうした魅力のある「競合優位性の高い職場」の実現には、働き方改革が必要不可欠です。とりわけ、激務で休日が少ないとされる運送業・サービス業においては、「働き方を変えたい」という意識を持っている働き手が非常に多いため、得られる効果は絶大です。

SGホールディングスが働き方改革に踏み込んだのも、今まさに直面している人材難を乗り越えるための起死回生の一手と言えるでしょう。

休み方改革でイノベーションを起こす

2つ目の狙いはイノベーションです。

休日が月に4日増え、トータルの残業時間が減ることで、個人が自由に使える「可処分時間」が増えます。生活時間が増えるため、忘れがちな「生活者視点」や「生活者発想」を取り戻し、これまでにはなかったアイデアが生まれることが期待されます。

一方で、増えた可処分時間をどう活用するか、という観点も非常に重要です。

かつて日本ではまだ全く普及していなかった「週休2日制」を、松下電器産業(現パナソニック)創業者の松下幸之助が先駆けて導入した際、週2日ある休日の過ごし方を「一日休養、一日教養」というキャッチコピーで、一日はしっかり休養にあてて健康を維持しつつも、もう一日はただダラダラと無目的に過ごすのではなく、学問に励んだり、本を読んだり、教養を学ぶことで自己研鑽をしなさい、と説いたのです。

もし松下幸之助が現代も生きていたらどんなスローガンで週休3日制を普及促進するでしょうか。自ら考え、自立心を高める可処分時間の活用は、イノベーションの原動力となることでしょう。

もし自社に週休3日制を導入したら?

週休3日制を導入しようとなると、下記のような具体的な取り組みをセットで行う必要があります。

  • 既存の労働リソースを5分の4に減らして組織体制を設計
  • アウトソーシング、テクノロジーやツールの導入で業務の自動化・簡略化
  • 業務ボリュームを20%削減

気が遠くなりそうですが、「働き方改革」に近道はありません。

自社の生産性を最大化するために、何が今ボトルネックになっているのか、そのボトルネックを解消するためにはどんな解決策があるのかを並べ、考え抜き、まずは一歩踏み出してみることが大切です。

週休3日制を実際に導入するかどうかはさておき、「もし自社で導入したら?」と思考実験をするところからはじめてみると、発想が広がっていきます。「うちの会社では週休3日なんて無理だ」と決めつけずに、「どうやったら週休3日で働けるか?」とポジティブに考えてみることをオススメします。

週休3日制を導入している企業3選

実際に週休3日制を取り入れている企業どのような企業なのでしょうか。

週休3日制を採用しているのは、外資系やベンチャー企業だけではなく、身近な企業も導入を進めています。ぜひ事例を参考に、自社への導入をご検討ください。

佐川急便株式会社

佐川急便株式会社公式サイトより

2017年より正社員の週休3日制を導入している佐川急便。同社では月単位の変形労働時間制を採用し、月ごとの法定労働時間のなかで週・日の労働時間を振り分けています。

経営層と従業員の意見交換の場を定期的に設け、働きやすい環境を整備していくこと。週休3日制度の導入や、月平均残業時間の削減、分業による女性が活躍できるフィールドの拡大などに取り組んでいます。事業だけでなく、働き方も変えていく。

※引用:佐川急便 採用ページ

株式会社ユニクロ

株式会社ユニクロ公式サイトより

ヒートテックやフリースでお馴染みのユニクロでは、国内約840店で働く「地域正社員」を対象に2015年から週休3日制を導入、地方での採用増加に期待がかかっています。

ユニクロから新しい働き方のご提案!
「オンもオフも充実させたい」「仕事と家庭を両立させたい」
そんな声にお応えして導入したのが、週休3日制度。
これまで日本では、あまり馴染みのなかった働き方ですから不安な方も多いはず。
そんな心配を解消するために、わかりやすくご説明いたします。

※引用:株式会社ユニクロ 地域正社員採用ページ

株式会社DHコミュニケーションズ

株式会社DHコミュニケーションズ公式サイトより

週休3日制を導入しているのは、大企業だけではありません。

RPAの導入支援やITコンサルティングを行うDHコミュニケーションズでは、2016年より内勤営業の総合職を対象に、週休3日制を導入しています。

■社内制度を取り入れた背景
(1)社員の視点
・副業の解禁による収入元の多数化
・ワーク・ライフ・バランスを整えプライベートの充実
・安定は欲しいので雇用区分は正社員
(2)会社の視点
・生産性向上を突き詰めた結果、週4日勤務で安定した売上が可能
・短い勤務で生産性の高い社員は労務コストが低いので理想的
・他社との差別化
・目に見えて働きやすい会社化

※引用:株式会社DHコミュニケーションズ お知らせ

さいごに

数ある働き方改革の中でもハードルが高く感じられる週休3日制ですが、ご紹介した企業でも職種や地域を限定するなど、週休3日制がフィットする働き手から導入をスタートしています。

導入後にブラッシュアップが必要なのは週休3日制だけではありません。

まずは「期間限定」や「トライアル」などといった方法で、取り入れてみてはいかがでしょうか。

「働き方改革」何から取り組めば良い?
とお悩みの企業担当者の方へ

やるべきことが分からず、まずは今話題の残業の抑制から取り組んでみたという企業が約86%を超える中、その半数にも及ぶ、約44%の従業員が残業抑制に関する満足度を実感出来なかったと回答をしています。(※参考:LINE株式会社 livedoor NEWS 残業削減で「収入が減った」が3割 「生産性で評価して」という声

このようにそもそもの目的を見失い、残業を減らしたり、休みを増やしたところで、従業員の満足度が下がればその施策は無意味なものとなります。

何から始めて良いのか分からない・従業員満足度を向上させたい、とお困りの企業担当者は、まずは福利厚生アウトソーシングサービスの導入を検討してみはいかがでしょうか。

福利厚生の充実は、従業員満足度の充実による労働生産性の向上、離職率の低下・採用力の強化(人材不足の補填)など、様々なメリットがあります。


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