「インフレ手当」とは? メリットと注意点について解説します
目次
インフレ手当とは
インフレ手当とは、従業員の生活を支援することを目的として、企業が従業員に支給する特別手当です。
企業がインフレ手当の支給に踏み切った背景には、文字通り、国内において急激な物価上昇が進んだことで、従業員の生活に影響が出ている状況があります。
こうした状況に対応し、日常生活における従業員の負担を少しでも軽減するために、すでに多くの企業がインフレ手当の支給を始めており、今後もインフレ傾向が続くとの見方が強まる中、その取り組みに改めて注目が集まっています。
本記事ではインフレ手当の概要、メリットと注意点について解説します。
インフレ手当の支給パターン
すでにインフレ手当を支給している企業を見ると、そのパターンは大きく2つに分類することができます。ここでは、それぞれのパターンの特徴について解説していきます。
一時金による支給
毎月支給される給与以外に、給与への一時的な上乗せまたは賞与に上乗せすることで、手当を支給する方法です。既存の給与や賞与の支給手続きと合わせて行うことで、事務処理の手間が増えないメリットがある一方、一時的な支出が大きくなることで企業のキャッシュフローが悪化してしまうおそれもあるため、注意が必要です。
月額手当による支給
毎月の給与に一定額を上乗せして支給する方法です。一時金による支給と比べて、一度にまとまった金額を支払う必要がないため、手当を支払う企業にとってはキャッシュフロー面で負担になりにくいといえます。しかし、実質的な給与改定と見なされるため、就業規則のうち「賃金の決定、計算に関する事項」を改定する必要があるなど、手続き面での負担が多いというデメリットもあります。
インフレ手当の平均支給額
インフレ手当の支給額については、(株)帝国データバンクが「インフレ手当に関する企業の実態アンケート」の調査結果を2022年11月に公表しています。
この調査結果によると、インフレ手当を一時金として支給している企業における平均支給額は、5万3,700円。内訳をみると、「1万円~3万円未満」が27.9%で最も多い結果となっています。
これに対し、月額手当として支給している企業では、平均支給額は6,500円でした。内訳をみると、「3千円~5千円未満」と「5千円~1万円未満」が同率で最も多い結果となっています。
なお、同調査ではインフレ手当の支給状況についてのアンケート結果も含まれており、従業員に対してインフレ手当を「支給した」「支給を予定している」「支給を検討している」と回答した企業は全体の26.4%で、全体の4社に1社がインフレ手当に前向きという実態が見えます。
インフレ手当を支給する3つのメリット
企業にとって従業員にインフレ手当を支給するメリットは少なくありません。ここでは、そのうち主な3つのメリットを解説していきます。
メリット1 従業員満足度の向上
企業の労働生産性を上げ、業績向上につながる指標として、従業員満足度の重要性は近年ますます高まっています。そんな従業員満足度を向上するためには、従業員の不満・不安に寄り添うことが欠かせません。
その点、インフレという世情に対して、企業が従業員のサポートを行うという意思を見せることのできるインフレ手当は、従業員満足度向上につながりやすいと言えるでしょう。
メリット2 採用強化・離職率の軽減
少子高齢化により生産年齢人口の減少の続く中、多くの企業は人材確保という課題に直面しています。インフレ手当は、こうした課題を解消する取り組みとしても効果を発揮します。
前述したように、インフレ手当の支給により従業員満足度が向上すれば、離職率の軽減につながることが期待されます。また、そのような取り組みを実施していることを求人の際にPRすることで応募数増につなげるなど、採用力の強化も期待できます。
メリット3 企業のイメージアップ
このところ、消費者が購買行動をする際の判断基準として、商品やサービスの機能や性能はもちろん、企業の信頼性を重視する傾向が加速しており、企業にとってイメージ戦略の重要性が高まっています。
従業員の不安に寄り添う取り組みとしてインフレ手当を実施しているということが消費者の目に触れれば、採用面だけでなく、企業全体のイメージとしてもプラスになるでしょう。最近では、SNSを通じて企業が行う取り組み情報を広めやすくなっているため、そうしたツールを活用することで、さらなるイメージアップを図ることも可能です。
インフレ手当の注意点とは
ここまで、インフレ手当の概要やメリットについて紹介してきました。一方で、インフレ手当の支給時には注意しておきたいポイントもあります。ここでは、主な3つの注意点を解説していきます。
税金や社会保険の負担が増える
一時金または月額で支給する場合のいずれも、現金でのインフレ手当の支給は、従業員の給与所得および社会保険の報酬として見なされます。そのため、支給する金額によっては、税金や社会保険料の負担が従来よりも高まってしまう可能性があります。
そのため、企業の中には、現金支給以外の方法によるインフレ手当を導入しているケースもあります。具体的には、福利厚生で受けられるサービスを拡充するといった手法が挙げられます。
支給方法によって、就業規則を変更する必要がある
インフレ手当を月額手当として支給する場合、また、一時金であっても既存の賞与とは別の名目で支給する場合には、就業規則のうち「賃金の決定、計算に関する事項」を改定する必要があります。
そして、就業規則を変更する際には、所轄の労働基準監督署への届出、労働組合または労働者の過半数を代表する者の意見書の作成などが必要です。そのため、よりスピード感を持ってインフレ手当の支給を検討している場合には、一時金として賞与に上乗せするか、前述したように福利厚生の拡充といった取り組みを採用することがおすすめです。
継続的な支給が必要となる可能性も踏まえておく
今後、インフレ傾向が長期化した場合には、一時的なインフレ手当の支援では従業員への経済的サポートの効果が十分でなく、継続的な支給が必要となる可能性があります。インフレ手当の支給額を決める際には、そうした可能性も踏まえておくことが大切です。
また、世情によっては、一度支給したインフレ手当を継続しないことが、従業員の企業への不信感につながってしまう可能性もあります。そうしたケースを避けるためにも、インフレ率などを参考に、自社のインフレ手当支給基準を明確にしておくと良いでしょう。
迅速なインフレ対応の取り組みとして、福利厚生代行サービスがおすすめ
前述したように、インフレ手当は支給方法によって就業規則を変更する対応が必要になるため、スピーディな対応が難しいケースがあります。また、特にパートやアルバイト雇用を含め、従業員数が多い企業においては、インフレ手当支給によるコストが経営を圧迫する可能性があるため、十分な注意が必要です。
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幅広い種類の福利厚生を拡充できる
福利厚生サービス ベネフィット・ステーション
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ぜひこの機会に福利厚生制度の拡充を検討していきましょう。