コラム

第12回:選択制企業年金の事例について

コストを抑えて待遇改善する手段として、選択制企業年金の事例を紹介する。「メトロコマース事件」高裁判決のように、非正規従業員にも長期勤続に対応する退職金を支給すべきとの判決も現れている。

選択制企業年金は、企業年金掛金を拠出するかどうかを、事業主ではなく従業員が選択できる仕組みである。企業年金(確定給付企業年金、確定拠出年金)の加入資格の一つに「(加入を)希望する者」がある。希望しない従業員に対して法令は掛金拠出に代わる代替措置を求めており、代替措置は掛金と「概ね同額」の金銭とされている。企業年金に加入することを選択しない従業員に対して、事業主は同額を手当として給付する。結果として従業員は掛金または手当を選択できることになる。これが選択制企業年金である。

 選択制企業年金を導入する際は、基本給または賞与の一部を手当として切り出し、その手当部分を掛金として拠出するよう希望するか、または手当として支給を受けるかを選択させる方法が一般的である。これにより、事業主は掛金に充当する人件費原資を新たに用意するのではなく、既存の人件費の振替えでまかなうことができるのが大きなメリットである。

 企業年金を導入する際に必要な費用として、企業年金を受託する金融機関などに支払う運営委託料がある。こちらは新たな支出となるが、選択制企業年金では追加の経費にはならない。手当ではなく掛金を選択すると、給与の額面額が少なくなる。手当は報酬として社会保険料の算定の対象となる。一方、企業年金の掛金は報酬ともみなされないため、社会保険料などの算定対象にも含まれない。

 よって掛金を選択することで、報酬額が減少し、社会保険料の額が減少することとなる(社会保険料は等級方式であるため、掛金の選択額が少ない場合は変動しないこともある)。

社会保険料は法定福利費として事業主も半額を負担するが、掛金を選択したことにより法定福利費も軽減する。この軽減分を運営委託料に充当することで、事業主は追加費用なく選択制企業年金を導入できることになる。

導入に当たっては、企業年金を導入していない企業では、正規従業員だけでなく、厚生年金に加入している非正規従業員も対象とし、すでに正規従業員を対象に導入している企業では、非正規従業員も加入対象とすると良いだろう。

正規従業員には選択制ではない一律の企業年金に加入している場合は、非正規従業員には選択企業年金を適用する方法が考えられる。加入できる制度の違いは、「働き方」の差によるものである。

㈱ドトールコーヒー(東京都渋谷区、星野正則代表取締役社長)では、2017年に厚生年金に加入している非正規従業員を対象に選択制企業年金を導入した。7割以上が加入し、非正規従業員のニーズが高いことが示された。

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