働き方改革

第2回「同一労働同一賃金ガイドライン案」公表後の動きについて

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 20204月(中小企業においては20214月)からの短時間・有期雇用労働法の施行を前提に、201812月に厚生労働省から「同一労働同一賃金ガイドライン」が公表された。また20186月の最高裁「長澤運輸事件」「ハマキョウレックス事件」を始め、下級審で相次いで同一労働同一賃金に関する判決が出されている。事業主が法改正に対応する際は、こうした判決にも考慮する必要がある。

 一方で、法令などの動き以外で非正規従業員の待遇改善に影響するのが足下の好況や2020年のオリンピック・パラリンピックによる雇用需給のひっ迫である。非正規従業員は1997年からの景況の深刻化に伴うリストラや新卒採用抑制の代替として低賃金・低待遇が可能な労働力として急速に増えていった。

その後、2013年からのアベノミクスによる景気回復の過程で、改正法令施行を待たず非正規従業員の正社員化や待遇改善が次第に進んできた。

 逆に事業主にとっての懸念点が、オリンピック閉幕後である。インバウンド需要は引続き期待されるが、どこまで景気を支えられるかは見通しが立たない。AI化が進むことで単純労働の需要が減少することも想像される。産業構造の変化により、自社の従業員の雇用がどれだけ必要かも不透明である。こうしたことから、非正規従業員の待遇改善に踏み出せない経営者心理もある。

 このように非正規従業員の待遇改善に対しては、法令改正という待ったなしの状況に加えて、雇用需給のひっ迫という足下の要因と中期的な不透明要因が交錯している。この複雑な環境下で企業は待遇の見直しを検討しなければならない。

 ここで同一労働同一賃金の考え方を改めて整理すると、短時間・有期雇用労働法第8条と第9条では、「働き方」と待遇の関係が2つ示されている。第9条では、正規従業員と「働き方」が同じである非正規従業員は「通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者」とされ、正規従業員と待遇を差別してはならない。つまり「同一労働同一賃金」である。この場合は待遇が等しいことから「均等待遇」と呼ばれる。

「働き方」とは

ある非正規従業員の「働き方」を、比較の対象となる正規従業員と以下の3点で比較する。

①  職務内容(業務の内容やその業務に伴う責任の程度)

②  職務内容や配置転換の範囲(見込みを含む)

③  その他の事情

※定年後の再雇用者であることはその他の事情である。

① ~③が同一であれば同一労働とみなされる。

 しかし、一般に契約社員やパートタイマー・アルバイトは転勤がない。配置転換の範囲も狭いことが多い。また、雇用延長の嘱託従業員は役職を外れることも多く、責任の程度も異なるのが現状である(逆にいえば、雇用期間や勤務時間は正規従業員より短いが、その他の働き方は同じで待遇に差がない雇用区分を用意することが働き方改革の精神である)。

 法第8条では、同じ「働き方」でなければ均等待遇は求められないが、一つ一つの待遇について待遇の性質や目的に照らして不合理な待遇差を設けてはならないとされている。不合理でない待遇差は許容されることから、「均等待遇」に対して「均衡待遇」と呼ばれる。

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