福利厚生

福利厚生がない企業が損をする2つの理由とデメリットを解説

福利厚生 ない

従業員にとって福利厚生は、決して軽視できない大切な要素です。
「法定福利厚生」と呼ばれる健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険といった、企業負担が義務であるサポートはもちろん、「法定外福利厚生」と呼ばれ、企業がそれぞれにもうける家賃補助・育休制度・人間ドックなどの支援も、当たり前になってきました。

今や福利厚生の整っていない企業は、他社との比較で「会社が従業員を大切に思っていない」といった印象を抱かれてしまうと言っても過言ではありません。

しかし、福利厚生制度を整えたくても、はじめはどのような手順で導入すれば良いのか悩みますよね。そこで今回は、企業に福利厚生がない場合のデメリットや、福利厚生を整えることのメリットを整理し、その具体的な導入手順についてお話ししたいと思います。

福利厚生とは何かについて詳しく知りたい方は、「福利厚生とは?分類と選び方を分かりやすく解説!」をチェックしてください。

福利厚生が「ない」ことによる深刻なデメリットとは

福利厚生ない1

福利厚生のない企業で起こりうるデメリットは、大きく分けて2つあります。

就職・転職の対象になりにくい

転職サービス大手の株式会社マイナビが、2023年卒業予定の大学生からの35,543名を対象に「マイナビ 2023年卒大学生就職意識調査」を行いました。同調査内の「企業選びで最も注目するポイントは?」という質問では、43.9%が「安定している会社」、32.8%が「自分のやりたい仕事(職種)ができる会社」、19.1%が「給料の良い会社」でした。1位の安定している会社の内訳について、マイナビ 2023年卒大学生活動実態調査(3月)では「福利厚生が充実している」、「安心して働ける環境である」、「売上高」の3つが上位を占めていたことから、学生がイメージする「安定」というのは「福利厚生」「労働環境」「業績」であると考えられます。この結果から、福利厚生の充実や職場の人間関係、経営基盤の安定を含む志向が強まっていると読み取れます。

現代は人手不足が深刻化し、採用活動も売り手市場にあることから、「企業が人材を選ぶ時代」から「企業が人材から選ばれる時代」へと移り変わりました。そのため企業の人事担当者として、求職者や従業員から何が求められているのかを正確に把握しなければなりません。改めてこの調査結果を見てみると、福利厚生が整っていない時点で、多くの人材にとっての「就職・転職対象」として魅力が低くなってしまうことがわかります。

ワークライフバランスが実現しづらい

もう一つ調査結果を見てみましょう。
日本経団連の最新調査にあたる「第64回 福利厚生費調査結果報告」によると、従業員1人にかかる1ヶ月当たりの法定外福利費は、全産業平均で24,125円でした。これは、住宅手当や部活動の支援といった会社独自の福利厚生がない企業では、そうした制度が整っている企業に比べて金額に換算すると従業員1人あたり年間29万円ほどのサービスを受け損なっていると見ることもできます。実際には給与・賞与ではないので、こうした状況はなかなか企業への直接的なデメリットとは捉えづらいかもしれません。しかし、家賃・交通費補助や医療支援があるのとないのでは、従業員の家計に影響があるのは明白です。

また、育児休暇や誕生日、結婚記念日などで休暇制度がない場合は、その分、家族と過ごす時間を犠牲にしがちになり、長い目線で従業員の幸福度に影響を与えます。その他にも、書籍の購入補助や社員同士の飲食補助などがないと、自己研鑽や社内コミュニケーションに注ぐ機会を気づかぬうちに失っている可能性もあります。つまり福利厚生がないことは、従業員のプライベートや、仕事に対するモチベーションに大きな影響をおよぼすのです

近年、多くの求職者が企業選びのポイントとして「福利厚生の充実」を挙げる理由は、まさにここにあると考えられます。彼らが重要視しているのは、制度そのものではなく、それが機能した先に保証される、健康的な「ワークライフバランス(仕事と生活の調和)」なのです。こうしたニーズがあるにも関わらず、従業員や求職者の希望に沿った福利厚生制度を整えていないければ、若くて優秀な人材が確保しづらいことはおろか、せっかく入社してくれた従業員も他社の待遇に目移りし、離職してしまう可能性も高まります。そうした意味では、福利厚生がないことは、あまつさえ経営全体に悪影響をもたらす恐れがあることを知っておきましょう。働き方改革についてより詳しく知りたいという方は、関連記事「5分で分かる「働き方改革」とは?取り組みの背景と目的を解説」も合わせてご覧ください。

 

企業が福利厚生を整えるべき理由とメリットとは

福利厚生を整えるメリット

とはいえ、福利厚生の導入は、導入前より多くのコストを要します。その点がボトルネックになり、「余計な施策には乗り出したくない」と考える企業も多いのではないでしょうか。

そこで考えていただきたいのが、福利厚生制度を導入する理由です。
従来、企業の経営課題は「利益の追求」にありました。しかし近年では、「従業員の健康管理」をも経営課題として捉えるスタンスが一般化しています。なぜなら従業員が健康的な生活を送れていれば、企業のパフォーマンスは向上しやすく、またその逆も然りだからです。

さらに悪いケースでは、従業員の過労による訴訟や行政指導からの指導、それに伴う世間からのバッシングなど、さまざまなリスクが付きまといます。従業員の健康レベルと経営状況を比例関係と見なし、企業課題に内包するこの考えは、「健康経営」とも呼ばれます。この「健康経営」の考えにおいて、企業のパフォーマンスを上げるには、従業員の「ワークライフバランス(仕事と生活の調和)」を整えることが欠かせません。

それを実現する手段が、他でもない「福利厚生の導入」なのです。そこで、福利厚生の導入が、具体的にどのような効果をもたらすのか見ていきましょう。健康経営については、別記事「健康経営とは?取り組みのステップと企業事例を完全解説」にて詳しく紹介しています。合わせてご覧ください。

企業として信頼獲得と採用力アップ

求職者が「企業選びで最も注目するポイント」において、「福利厚生」は最もニーズの多い最重要キーワードでした。福利厚生制度を整えれば、他企業とのワークライフバランスの差別化を図ることができ、まずはその点で求職者からふるい落とされることがなくなります。また、理想的な健康経営体制が社会的に評価されれば、企業としての信頼獲得にも繋がるでしょう。

企業認知度が上がり、応募者が自然と集まってくるようになれば、より多くの優秀な人材を獲得することができます。また選考・内定辞退による内部コストの無駄が省けます。求人掲載料や紹介手数料といった外部サービスにかかっている採用コストを削減できる好循環にも恵まれます。

従業員のモチベーション・エンゲージメント・定着率の向上

福利厚生を充実させることで、従業員の心身の健康がより保たれるようになるでしょう。「うちの会社は従業員のことをよく考えてくれている」と安心して働くことができるような職場環境は、従業員から更なるモチベーションを引き出します。従業員満足度の考え方については、「従業員満足度とは?明日から実践できる5つの考え方と企業事例」も合わせてご覧ください。

同時に、優秀な人材が高いモチベーションを保ったまま定着する(=離職率の防止)好サイクルが実現します。出産・育児・介護などで一旦休職した従業員にも「またあの職場環境で働きたい」と思ってもらうことで、復職率の向上も期待できるでしょう。特に人手不足の企業では、退職者を意味する「アルムナイ」を採用することで即戦力人材の確保に大変効果があります。また、キャリア形成の途中での離職が減れば、中途採用にかけるコストや労力を削減することができ、ひいては経営者・管理者など、企業の中核的人材となる従業員の育成も効率的になります。

学び直しを意味する「リスキリング」が盛んに行われている現在、企業にとってその時々で必要な知識やスキルは変わりますが、福利厚生制度の中に人材育成のメニューがあればその都度従業員に知識やスキルを習得する機会を設けて従業員と企業双方の持続的な成長に備えましょう。これは、人的資本経営の中核にあたる部分で、在籍中の従業員は会社のルールや社風を理解していますので、企業にとって自社に必要なスキルを身につけることで企業の事業戦略にも大いに役立てられます。会社に必要とされていると感じた従業員はエンゲージメントが向上し、さらに業務パフォーマンスが向上するというプラスのサイクルが生まれます。福利厚生を充実することは人的資本経営にも効果があるといえます。

福利厚生のなかった企業の導入成功事例については「ずっと働きたいと思える!福利厚生TOP企業25と厳選取り組み事例を紹介」でもご紹介しています。

従業員の健康管理ができる

福利厚生の一環としてカウンセリングの導入や休暇取得促進を行うことで、企業が常に従業員の健康を把握しておくことができます。その結果、精神疾患や過労死などのリスクを回避することができるでしょう。これは、企業認知度や人気アップへのさらなる貢献にも繋がります。

このように、福利厚生の導入はいろいろな側面で企業経営にメリットをもたらすことがわかります。経営の安定や、企業パフォーマンスの向上を目指す企業にとっては、もはや避ける理由のない施策と言えるでしょう。

失敗しないために知っておきたい福利厚生制度の整え方

福利厚生を整える

最後に、実際に福利厚生を導入をするためのステップをご紹介します。
まず覚えていかなければいけないことは、福利厚生のベネフィットは従業員とその家族に還元されるべきということです。一方的に奇をてらった制度や、闇雲な政策は、企業・従業員双方にとって意味を成しません。従業員のニーズにいかに応えるかを指標に、慎重に導入を進める必要があります。

そこから福利厚生の適切な導入には以下の手順で、自社に必要なサービスを考えるところから始めることをおすすめします。

1. 社内ニーズの分析と課題の洗い出し
2. 問題の解決のために福利厚生を活用

また、福利厚生の選び方に関しては5つの課題別にこちらの資料にまとめております。

社内ニーズの分析と課題の洗い出し

まずは、下記のように自社状況をさまざまな角度から整理していき、それぞれに対する課題について考えましょう。

分析の視点 課題例
年齢分布 30代女性の職場復帰率が低い
男女比率 女性が30%を占める(業界の中では多い)
勤続年数 社員定着率が低い
残業時間 男性の残業率が女性に比べて極端に高い
役職者の平均年齢 30代以下の役職者の割合が少ない

それに対しては、例えば以下のように、自社に適した福利厚生制度を考えることができます。

例1)ここ1年で社員数が急増したので、社歴が浅い社員が多い
→社員同士がお互いのことを知らず、仕事上のコミュニケーションが取りにくくなっているかもしれない。コミュニケーションを活性化するような部活動や、社員同士で食事をする際の補助を検討しよう。

例2)女性比率が高く、産休や育休をとる従業員が増えてきている
→産休や育休に関わる手当や休暇制度を見直してみよう。

問題の解決のために福利厚生を活用

自社の課題が見えてきたら、その課題の解決につながる福利厚生を考えていきましょう。
一例として、マンパワーグループが就労経験のある男女972人(18~60歳)を対象に行ったアンケート「会社の福利厚生として良いと思うもの」では、「住宅補助」「人間ドックなど法定外の健康診断」「育児休業・介護休業」が上位を占めていました。こうした人気の要素を整えることで、より多くの従業員のニーズに応えられるかもしれません。

例えば以下のような対応策が考えられます。

例1)医療・健康支援の拡充
「予防接種費用補助」や「人間ドック受診」など、企業が健康把握の機会を提供してくれることで、従業員個人はそれぞれの健康を見直し、働きすぎやメンタルのアップダウンに対して、事前に対策を打てるようになるでしょう。健康に働くことができれば、モチベーションも上がり、結果的に、生産性の向上にも繋がります。

例2)育児補助の強化
仕事と家庭の両立支援を促すことは、従業員のワークライフバランスを支えることそのものを意味します。結婚や出産などのライフイベントが発生しても、柔軟に働くことができる体制が整っていれば、職場復帰もより候補に入れやすくなるでしょう。「男性への有給(育休)休暇を定着させる」、「時間休・半休と制度化」するなどの方法があります。

健康・育児に関する福利厚生については、「福利厚生の種類|福利厚生管理士が解説する覚えておきたい7つの種類」でも詳しくご紹介しています。

福利厚生制度を導入にあたっての注意点

従業員はそれぞれ違った要望をもっているものです。企業としては年齢や性別、職種や雇用形態、そして地域に格差なく平等な福利厚生制度を整えたつもりでも、最初から全員が同じように満足できるような福利厚生制度を導入することは容易ではないかもしれません。

そんな企業には、悩ましい福利厚生の導入から運用までを一挙にアウトソーシングできるカフェテリアプランの活用をおすすめします。カフェテリアプランとは、従業員が多くの福利厚生サービスのメニューから自分が好むサービスを選んで利用するという選択型の福利厚生サービスです。カフェテリアプランだと平等に付与したポイントに対して自分で好きなメニューを選ぶため不公平が起こりにくく、全体的な満足度を高められるメリットがあります。カフェテリアプランについては、「カフェテリアプランとは?導入から運用まで覚えておきたい10のこと」で詳しく説明していますのでチェックしてください。

従業員に真に喜ばれる福利厚生を作るために必要な知識と考え方」でも、適切な福利厚生導入・拡充のためのヒントを沢山ご紹介していますので、ぜひ合わせてご覧ください。

まとめ|福利厚生の導入を検討するなら

福利厚生の導入は、企業認知度・人気度を上げるだけでなく、企業の生産力の維持・成長に大きな影響をおよぼします。また求職者や従業員にとっては、企業が従業員の働き方をどのようにサポートしてくれるかを判断する、指標の一つとも言えます。
自社にどんな福利厚生が必要かお悩みの場合まずはこちらの資料「福利厚生選び方ガイド」をご確認ください。

 

福利厚生サービス「ベネフィット・ステーション」をおすすめする3つの理由

福利厚生の充実は、従業員満足度を向上させ、採用や離職防止にも役立ちます。

もしこれから福利厚生の導入を検討するのであれば、自社で新たな制度を一から作るよりも、低価格で手間をかけずに簡単に導入ができるアウトソーシングサービスを利用すると良いでしょう。

数あるサービスの中でも、業界でトップシェアを誇る「ベネフィット・ステーション」の導入をおすすめします。

ベネフィット・ステーションが支持されている理由は、以下の通りです。

・約140万件以上のサービスが利用できるため、年齢や性別関係なく、従業員の多様なニーズに応えることができる
・福利厚生会員数は業界最大の1,548万人(※2022年4月現在)
・サービス利用率は、一人当たり一年に約6回使用!業界トップクラスの600%

従業員が企業担当者を介さずサービスの利用申し込みを行うため、導入後の事務作業はほとんどありません。

ぜひこの機会にご検討ください。


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