健康経営

【2025年最新】健康経営とは?を10分で解説【事例アリ】

5分でわかる健康経営!取り組みのステップと企業事例を完全解説

「健康経営とは」の教科書

図解で解説!健康経営・不健康経営とは

健康経営とは?

健康経営とは、「従業員等の健康保持・増進の取組が、将来的に収益性等を高める投資であるとの考えの下、経営的視点から考え、戦略的に実践すること」を指します。特定非営利活動法人健康経営研究会(以下、NPO法人健康経営研究会)が2006年に提唱し、経済産業省が「健康経営優良法人認定制度」などを通じて普及を推進している考え方です。

※参照:経済産業省「これからの健康経営について」(2025年4月)

※「健康経営」はNPO法人健康経営研究会の登録商標です

従業員の健康づくりを単なる福利厚生ではなく「将来の企業成長につながる投資」として位置づけ、経営層が主体となって計画的に取り組む経営手法です。健康で活力ある従業員が高いパフォーマンスを発揮し、その成果が企業の業績向上として還元される好循環の創出を目指します。

企業が長期的なビジョンで従業員の健康保持・増進に取り組むことで業務効率や生産性が向上し、ひいては業績や企業価値の向上につながるという考え方で、政府の「ヘルスケア政策」のひとつとして注目されています。

企業が従業員の健康保持・増進に投資すると、従業員の健康が促進され、仕事に集中し高いパフォーマンスを発揮するようになります。その結果、離職率の低下や企業イメージの向上、医療費・保険料負担の軽減により、最終的に企業収益の向上へと結び付きます。この収益がさらなる健康保持・増進への投資を可能にし、好循環が生まれるのです。

図解でわかる!健康経営とは

健康経営では、従業員の健康管理にかかる負担は、費用でなく「将来に向けた投資」と捉えます。この考え方の始まりはアメリカの経営心理学者ローゼンの著書「The Healthy Company」だといわれており、「健康経営の考え方のバイブル」として経営者で愛読する方も多いベストセラーです。

対して、「不健康経営」ともいえる状態においては従業員の健康悪化が生産性の低下・離職率の増加につながり、結果的に企業収益性が低下・健康増進に投資もできない状態という負のスパイラルを生みます

「不健康経営」とも言える状態

「健康経営2.0」「健康経営3.0」とは?

健康経営2.0

健康経営2.0は、2006年にNPO法人健康経営研究会が提唱した「健康経営」を社会情勢の大きな変化に合わせて深化させ、2021年に再提言した経営戦略です。

健康経営2.0の最大の変革は、従業員を単なる「コスト」ではなく価値を生み出す「資本」として捉え直すことです。これまでは医療費を抑えたり病気による欠勤や生産性低下を防いだりする「マイナスを小さくする」発想が中心でしたが、健康経営2.0では従業員の健康に積極的に投資することで企業価値を高め、社会の発展にも貢献する好循環を目指しています。

<主な変革ポイント>

1.管理から協働へ
従来の「健診を受けさせる」「残業を管理する」といった一方的な健康管理から、従業員と一緒に「どうすれば健康で働きがいを持って働けるか」を考え、個人に合わせた健康支援を選択できる協力関係へ

2.損失測定から価値創造へ
「何日休んだか」「体調不良でどれだけ生産性が下がったか」を測る発想から、「仕事にやりがいを感じているか」「職場で能力を十分発揮できているか」といった働きがいや満足度を重視する発想へ

3.経営の使命として位置づけ

従業員の健康を「コストのかかる義務」から「会社として当然果たすべき責任」へと経営者が明確に位置づけ、短期的な効果だけでなく長期的な企業価値向上のための投資として取り組む企業が増加

これらの変革の背景には、人口減少による人手不足・世界的な人的資本経営の流れ・ESG・SDGsなどの社会の変化があります。

「健康の質が上がる→仕事の質が向上する→商品・サービスの質が高まる」という好循環を生み出し、企業の持続的成長と社会貢献を同時に実現する枠組みとして、現在多くの企業で取り組まれています。

健康経営3.0

健康経営3.0は、NPO法人健康経営研究会等3団体が2025年3月に経済産業省の「健康経営推進検討会」で提言した、2040年を見据えた新たな経営戦略です。健康経営2.0で確立した人的資本経営をさらに発展させ、企業単独の取り組みから社会全体との「共創」による価値創造を目指しています。

健康経営3.0の最大の変革は、「人的資本の変革(HCX)」という新しい考え方の導入です。HCXとは、従業員が一つの企業だけでなく複数の場所で能力を発揮できるようにし、企業同士が連携して社会全体で人の力を最大限に活かす仕組みのことです。デジタル化によって「集中から分散」へと変化する社会に対応した、新時代の経営戦略といえるでしょう。

※HCX(Human Capital Transformation):人的資本の変革。従来の企業内完結型から、企業間連携による社会全体での人材活用を目指す考え方

<主な変革ポイント>

1.目的を明確にした経営の推進
「なぜその事業を行うのか」という社会的な目的をはっきりさせ、社会課題の解決に貢献することで従業員のやる気向上と企業成長を同時に実現する経営スタイルへ

2.高齢化をチャンスに変える生涯現役社会
年齢による偏見をなくし、高齢者を「支えられる側」から「社会を支える側」へ転換。経験豊富なシニア層が長期間活躍できる環境づくりと健康管理の自立を推進

3.みんなで協力する社会の実現
企業・地域・行政・教育・医療機関が連携し、それぞれの強みを活かした新たな価値創造と社会課題解決に取り組む仕組みの構築

これらの変革の背景には、少子高齢化の加速・デジタル化による働き方の分散化・Web3.0の進展・SDGsやESGなどの環境や社会に配慮した企業経営を求める世界的な流れがあります。

健康経営と似ている用語の違い

健康管理との違い

健康経営と健康管理は混同されがちですが、人事・総務担当者の視点で見ると明確な違いがあります。

健康管理は、健康診断やストレスチェック、生活習慣改善支援など従業員一人ひとりの心身の健康を保つための「現場の取り組み」です。日々の制度運用や実務対応であり、業務パフォーマンス維持の基盤となります。

一方で健康経営は、従業員の健康を経営資源として捉えて離職率改善や生産性向上を目指して戦略的に投資・効果検証を行う「経営戦略」であり、予算配分やKPI設定を通じて企業価値向上を図る包括的なアプローチといえます。

両者は補完関係にあり、健康管理は健康経営を実現するための具体的な「手段」です。現場での着実な制度運用で得られたデータや実績があってこそ、経営戦略としての投資判断やROI測定が可能になります。つまり、健康管理という基盤の上に健康経営が成り立っているのです。

ウェルビーイングとの違い

健康経営が従業員の心身の健康維持・向上を通じて生産性向上や離職率改善といった具体的な経営指標の改善を目指す経営戦略であるのに対し、ウェルビーイング経営は「身体的・精神的・社会的に満たされた状態」の実現を目指す、より包括的な経営アプローチです。

(ウェルビーイング経営については、「※【2025年最新】ウェルビーイングとは?企業のための簡単ガイド」をご覧ください。)

健康経営は健康診断・ストレスチェック・運動推奨・禁煙対策など主に健康面にフォーカスした具体的施策を展開し、労働生産性向上や医療費削減といった定量的な成果を重視します。一方、ウェルビーイング経営は健康だけでなく仕事への「やりがい」「自己実現」「生きがい」「良好な人間関係」までを対象とし、従業員一人ひとりの価値観に応じた定性的な施策が特徴です。

また、健康経営が従業員の健康を通じた企業価値向上を主目的とするのに対し、ウェルビーイング経営は企業の社会的存在意義(パーパス)達成や従業員・顧客・社会全体との良好な関係構築まで視野に入れた価値創造を目指します。

両者は対立するものではなく、健康経営がウェルビーイング実現の重要な基盤となる補完関係にあります。特にZ世代・ミレニアル世代の採用競争力強化や離職率改善に課題を持つ企業にとって、ウェルビーイング経営は有効な選択肢となります。

詳しくは、「ウェルビーイングと健康経営の違いとは?注目の理由、取り組み事例を解説」をご参照ください。

健康経営が注目される背景

日本において健康経営が注目されるようになった背景には、深刻化する社会構造の変化とそれに対応する政府の戦略的な取り組みがあります。

急速に進行する超高齢社会への対応

我が国は世界に先駆けて超高齢社会を迎えており、その影響は労働市場に深刻な変化をもたらしています。

2020年から2050年にかけて総人口は20%減少し、特に生産年齢人口は30%以上減少すると予測されています。同時に高齢化率は28.7%から37.7%へと上昇が予想され、総人口の約10%が要介護者となる見込みです。このような人口構造の変化により、社会保障給付費は2025年度の140兆円から2040年度には190兆円へと約35%増加することが予想されています。

こうした状況下で、働く世代が健康な状態で長期間経済活動を行うことができる「健康寿命の延伸」と「生涯現役社会」の実現が国家的な重要課題となっているのです。

※参照:経済産業省「これからの健康経営について」(2025年4月)

政府戦略における健康経営の位置づけの変遷

企業が従業員の健康に着目する大きなきっかけとなったのが、2013年に策定された「日本再興戦略」です。

この戦略は、少子高齢化が進む中で日本経済の持続的成長を目指し、企業の競争力強化を図ることを目的として策定されました。その中では労働生産性の向上が重要な課題とされ、従業員の健康を維持・向上させることが生産性向上の鍵と位置づけられたのです。

さらに、2017年の『未来投資戦略』では『Society5.0の実現に向けた改革』として健康寿命の延伸が重要な柱とされ、経営者を主体とする健康維持・増進の取り組みが求められるようになりました。この戦略には健康経営という用語も記載されるようになり、経営者が従業員の健康経営に取り組むことが、企業価値を高める重要な要素と認識されるようになったと言えます。

加えて、2019年の『成長戦略実行計画』では健康スコアリングレポートを通じた企業健保組合と企業の協力促進が明記され、企業の健康投資額の見える化により資本市場からの評価向上を図る施策が示されました。この計画では主に国民健康保険の保険者努力支援制度の抜本的強化や企業健保組合の後期高齢者支援金加減算制度の拡大など、保険者に対するインセンティブ強化が中心となっています。

一方、健康経営を推進する企業への直接的な支援制度については各省庁の個別制度において段階的に拡充が進められ、健康経営の普及はますます加速しています。

制度の拡充と企業参加の急拡大

健康経営優良法人認定制度(健康経営を推進する企業を認定する制度)への関心は年々高まっており、2026年度認定分の申請・回答法人数(2025年11月4日速報値)では大規模法人部門が4,175法人(前年度比+7.9%)、中小規模法人部門が23,485法人(前年度比+15.9%)に達し、合計で約2万7,000法人を超える規模となっています。特に中小規模法人部門での高い伸び率は、企業規模を問わず健康経営への取り組みが急速に拡大していることを示しています。

2024年申請分(2025年認定)からは中小規模法人部門において新たな顕彰枠として「ネクストブライト1000」(上位501位~1,500位の1,000社)が設けられ、従来の上位認定枠が500社から1,500社へと3倍に拡大されました。これにより、段階的に健康経営のレベルを向上させていける仕組みが整備されています。また、健康経営度調査には日経平均株価を構成する225銘柄の8割を超える企業が回答するなど、大企業を中心とした関心の高まりが顕著となっています。

※参照:経済産業省・東京証券取引所「2025健康経営銘柄選定企業紹介レポート」

資本市場・採用市場からの評価の高まり

健康経営への注目は、政策面だけでなく市場からの評価にも現れています。2021年6月のコーポレートガバナンス・コード改訂によって『従業員の健康や労働環境への配慮』が補充原則として明記され、2023年3月期からの人的資本情報開示義務化も相まって、健康経営は投資家が企業価値を判断する重要な指標となっているのです。

採用面でも大きな変化が見られます。ハローワーク求人票で健康経営優良法人のロゴマークが使用できるようになったほか、就活生・転職者を対象とした調査では60.4%が「健康経営への取り組みや認定取得が就職先選びの決め手になる」と回答しているなど、人材獲得における競争力向上の観点からも重要性が高まっています。

※参照:健康経営優良法人認定事務局『就活生・転職者に関する調査』(2023年9月)

充実するインセンティブ制度

現在、健康経営を推進する企業への支援制度は国から地域レベルまで多層的に整備されています。

国レベルでは、ものづくり補助金やIT導入補助金などの各種補助金において健康経営優良法人認定が加点要素となるほか、外国人材の在留資格手続きの簡素化や日本政策金融公庫や商工中金などの政府系金融機関による融資優遇制度を利用することができます。

地域レベルでの支援はさらに充実しており、令和4年度の実績では自治体による公共調達での加点評価が49取組(前年度27取組から約1.8倍に増加)、融資優遇を含むその他のインセンティブが45取組(前年度24取組から約1.9倍に増加)、金融機関による融資・保証料優遇が96取組(前年度84取組から約14%増加)と、すべての分野で取組自治体数が増加しています。

※参照:経済産業省「これからの健康経営について」(令和7年4月参照)

このように、健康経営は単なる企業の福利厚生施策ではなく国家戦略として位置づけられた重要な取り組みとなっています。従業員の健康管理を「将来に向けた投資」として捉え、戦略的に推進していく絶好の機会が到来しているといえるでしょう。

国から地域レベルまで広がる充実した支援体制については、この記事の「メリット5:認定制度獲得による各種優遇制度」で具体的に解説していますので、ご参照ください。

健康経営のメリット

メリット1:生産性向上

従業員が心身ともに健康な状態で仕事に取り組めば集中力が上がり、良いパフォーマンスを発揮できます。しかし、何らかの不調を抱えている場合、「ミスしやすくなる」「作業スピードが低下する」「判断力が低下する」といったケースが増え、生産性が低下する傾向があります。

特に、イライラや不眠などのメンタル不調や体の痛みを抱えている状態など「出勤で仕事はしているものの、不調がある」状態では、健康な状態と比較してパフォーマンスが低下してしまいます。この状態は「プレゼンティーイズム」と言われ、生産性低下の要因のひとつです。

経済産業省の資料(※1 ※2)においても、従業員1人当たりのパフォーマンス低下による損失額(3ヶ月間あたり、症状別)について、メンタルで約15,000円、睡眠で約14,000円などといった試算が示されています。

(※1)「企業の「健康経営」ガイドブック ~連携・協働による健康づくりのススメ~」

(※2)健康経営ガイドブック 健康経営優良法人認定事務局編 2025年3月版

厄介なことに、メンタル面の不調や慢性的な肉体の不調は、本人には辛い一方、周囲は気付きにくいという側面があります。また、従業員が出勤して通常どおり勤務していることから、パフォーマンス低下も見逃されがちです。

こうしたパフォーマンス低下に気づき、従業員の健康状態を改善することができれば、企業の生産性向上につながります。

メリット2:リスクマネジメント

従業員が健康に問題のある状態で勤務を続けていると、最悪の場合、心筋梗塞やくも膜下出血など、重篤な症状につながるケースもあります。

万が一、従業員が突然入院したり、死亡したりするようなケースがあれば、周りの従業員に不安を抱かせることはもちろん、さまざまなトラブルや経済的損失のリスクが懸念されます。

その点、従業員の健康状態を定期的に把握し、早期に健康上の問題を発見・対応することで、そうしたリスクを最小限にすることができます。

メリット3:企業のイメージアップ

従業員の健康問題や労働環境の悪化は、生産性低下を招くだけでなく、悪評や企業イメージの低下につながる可能性があります。

一方で、健康経営に積極的な企業は、従業員の健康を大切にし、働きやすい環境を提供していると社会から評価されます。このような企業は、優秀な人材の採用や定着に有利になるだけでなく、取引先や顧客からの信頼も得やすくなります。

最近では、健康経営を行う企業を政府主導で「認定」する制度もスタートしており、こうした制度を活用することで、効果的にイメージアップを図ることができるでしょう(認定制度については後述)。

メリット4:離職率の低下

健康経営に取り組んでいない企業では、従業員の健康問題が放置されることが多く、ストレスや過労などの問題によって、離職率が高まりがちです。

一方、健康経営に取り組むことで働きやすい環境づくりが進むと、従業員が長く働きたいと感じるようになり、離職率の低下につながります。

実際に、経済産業省の資料(※3)健康経営銘柄や健康経営優良法人など、健康経営に積極的な企業においては、全国平均と比較して、離職率が低い傾向にあるという調査結果も示されています。

(※3)「健康経営の推進について」

メリット5:認定制度獲得による各種優遇制度

補助金制度における加点・優遇措置

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金では革新的な新製品・新サービス開発等のための設備投資を支援しており、補助率は原則2分の1ですが、最低賃金引き上げに係る要件を満たす場合には3分の2まで引き上げられます。補助上限額は従業員数や申請枠によって750万円から4,000万円の範囲で設定されており、健康経営優良法人の認定により採択可能性が高まります。

IT導入補助金においては、生産性向上に資するITツールの導入に対して補助率は原則2分の1、補助上限額は150万円から450万円(業務プロセス数が4以上の場合)の支援が受けられます。勤怠管理システムやヘルスケア関連のソフトウェア導入など、従業員の健康管理と業務効率化を同時に進める投資に活用することができるでしょう。

Go-Techは、中小企業等が大学や公設試験研究機関(公設試)と連携して行う研究開発を最大3年間支援する制度です。公設試とは都道府県や政令指定都市などの地方公共団体が設置・運営する公的な技術支援機関で、地域の中小企業に対して試験・分析、共同研究、技術相談などのサービスを提供しています。この制度では中小企業等の補助率が3分の2以内となっており、健康関連技術の研究開発に活用できます。

これらの補助金制度の活用によって労使交渉における「公的支援を活用した財源確保」という説得力のある提案が可能となり、福利厚生拡充への合意形成がスムーズになることが期待されます。

融資制度における金利優遇

日本政策金融公庫の「働き方改革推進支援資金(企業活力強化貸付)」では、健康経営優良法人認定企業に対して特別金利が適用される仕組みが設けられています。

最新情報(令和7年11月4日実施)によれば、健康経営優良法人の認定を受けることで通常の基準金利2.00%から特別金利1.60%への優遇を受けることができ、さらにホワイト500またはブライト500の認定企業は特別金利1.35%というより有利な条件が提供されます。

例えば1億円を5年間借り入れた場合、金利の差額によって総額40万円~65万円の利息負担を軽減できると見込まれます。

  • 総軽減額(健康経営優良法人)=1億円×(2.00%-1.60%)=1億円×0.40%=40万円
  • 総軽減額(ホワイト500・ブライト500)=1億円×(2.00%-1.35%)=1億円×0.65%=65万円
人材採用・管理面での優遇措置

法務省出入国在留管理庁では健康経営優良法人を「カテゴリー1(一定の条件を満たす企業等)」と認定し、在留資格審査手続きの簡素化を実施しています。グローバル人材の獲得競争が激化する中で、この優遇措置により採用プロセスの効率化を実現できます。

ハローワークでは求人票に「健康経営優良法人」のロゴマークを掲載することが可能となっており、求職者に対して企業の健康経営への取り組みをアピールして優秀な人材の応募を増加させる効果が期待できます。

地方自治体・金融機関による独自インセンティブ制度

健康経営優良法人認定による優遇制度は、国の制度に加えて各地方自治体や金融機関が独自に実施している制度も多数存在します。

これらの制度は地域特性や機関の方針により内容が大きく異なるため、実際に利用される際には所在する自治体や取引金融機関で実施している優遇内容について個別に確認されることをお勧めします。

<健康経営優良法人認定による主な優遇制度一覧表>

・補助金制度

制度名 補助対象 補助率 上限額
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 革新的な新製品・新サービス開発等のための設備投資 通常:1/2
特例適用時:2/3
(最低賃金引き上げ要件)
750万~4,000万円
(従業員数・申請枠により変動)
IT導入補助金 生産性向上に資するITツール(ソフトウェア・サービス等)の導入 原則:1/2
(枠・類型により変動)
150万~450万円
(業務プロセス数が4以上の場合)
事業承継・M&A補助金 事業承継時の設備投資、M&A・PMI専門家活用費用等 小規模企業者:2/3
その他:1/2
800万~1,000万円
(賃上げ要件等により変動)
Go-Tech 大学・公設試験研究機関と連携したものづくり基盤技術・サービス高度化研究開発(最大3年間) 中小企業等:2/3以内 通常枠:最大9,750万円
出資獲得枠:3年間合計3億円以下
中小企業新事業進出補助金 成長・拡大に向けた新規事業への挑戦支援 1/2 2,500万~9,000万円
(従業員数により変動、賃上げ特例適用時)

※健康経営優良法人認定による加点措置の具体的内容は制度ごとに異なります。申請前に必ず最新の公募要領で加点措置の有無・条件をご確認ください。

・融資制度

制度名 対象資金 融資限度額 認定レベル別金利(年利・5年貸付時)※ 返済期間
働き方改革推進支援資金
(企業活力強化貸付)
働き方改革に必要な設備資金・長期運転資金 7億2千万円 健康経営優良法人:2億7千万円まで 1.60%
ホワイト500・ブライト500:2億7千万円まで 1.35%
基準利率:2.00%
2億7千万円超:基準利率適用
設備資金:20年以内
(うち据置2年以内)
運転資金:7年以内
(うち据置2年以内)

※令和7年11月4日現在/貸付期間(最大20年)により利率変動。上記利率は標準的な貸付利率であり、信用リスク(担保の有無を含む)等に応じて所定の利率が適用されます。特別利率の適用は2億7千万円までです。

・人材採用・管理支援制度

制度名 実施機関 優遇内容 期待効果
在留資格審査手続きの簡素化 法務省出入国在留管理庁 「カテゴリー1(一定の条件を満たす企業等)」認定により申請書類を簡素化 外国人材採用の効率化、グローバル人材確保の競争力向上
ハローワーク求人票でのロゴマーク利用 厚生労働省公共職業安定所 「健康経営優良法人」ロゴマークの求人票掲載が可能 採用ブランディング強化、優秀な人材の応募増加

※参照:全国中小企業団体中央会「ものづくり補助金総合サイト」

※参照:全国中小企業団体中央会 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金事務局「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領」(第22次公募)

※参照:独立行政法人中小企業基盤整備機構「IT導入補助金2025」

※参照:中小企業庁「サービス等生産性向上IT導入支援事業『IT導入補助金2025』の概要」(令和7年10月)

※参照:独立行政法人 中小企業基盤整備機構 事業承継・M&A補助金事務局「中小企業生産性革命推進事業 事業承継・M&A 補助金事業承継促進枠【公募要領】13次公募」(2025年10月)

※参照:経済産業省「令和7年度 成長型中小企業等研究開発支援事業(Go-Tech 事業)(旧サポイン事業、旧サビサポ事業)公募要領」(令和7年2月)

※参照:独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業新事業進出促進補助金 公募要領(第2回)」(令和7年11月)

※参照:日本政策金融公庫「働き方改革推進支援資金」

※参照:出入国在留管理庁「在留資格「技能」調理師以外の活動(産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動)を行おうとする場合」(2025年11月時点) 

※参照:厚生労働省 ハローワークインターネットサービス「PRロゴのご案内」(2025年11月時点) 

健康経営のデメリット

人事担当者の負担が増える

主に健康経営の取り組みを担う人事担当者には、従業員の健康管理やメンタルヘルスのサポート、健康促進プログラムの企画・運営など、従来にはなかった新たな業務が発生します。

特に中小企業など人事部門のリソースが限られている場合には、これらの新しい取り組みをスムーズに進めるのが難しく、人事担当者の負担が増えてしまうケースが多いです。

エビデンス(データ)に乏しく、社内理解が進まない

前述した通り、健康経営は開始してすぐに具体的が出るとは限りません。そして、効果を具体的に示すエビデンス(データ)が出しづらいことから、社内での理解や協力を得るのが難しいケースがあります。

こうした場合、健康経営をリードする部門だけでなく、従業員が取り組みに対して消極的になる可能性もあるため、注意が必要です。

全国展開しており、網羅的に取り組みを進めるのが難しい

全国に拠点を展開するような企業の場合、拠点ごとに健康経営への意識に差が出てしまうことがあります。経営層に近い拠点では健康経営の取り組みが進むものの、離れた地方の拠点では旧態依然とした状況が続くといったケースです。

各拠点での健康データの収集や管理、施策の効果測定などを統一的に行うためには、システムの整備や連携が求められます。ただ、そうした体制を構築するためには時間やコストがかかるのが難点です。

健康経営の評価・判断基準

健康経営銘柄とは

前述の「日本再興戦略」における「国民の健康寿命の延伸」に関する取り組みのひとつで、東京証券取引所の上場会社の中から「健康経営」に優れた企業を選定し・紹介をする制度です。

従業員の健康管理を重視し、働きやすい職場環境づくりを推進する企業が対象となり、年に一度「健康経営銘柄」として公表されます。

選定基準には、健康経営の取り組み状況や具体的な成果が評価されることはもちろん、経営陣の健康経営への関与度合い、法令遵守状況なども重要なポイントとされます。

健康経営銘柄は、後述する「健康経営優良法人ホワイト500」の中から選定されることから、その上位概念と見ることができます。

健康経営銘柄に選ばれる企業は、業種や規模を問わず、それぞれ独自の工夫で従業員の健康増進に取り組んでいます。ここでは、2025年に選定された企業の中から、特徴的な取り組みを行っている10社をご紹介します。

株式会社アドバンテッジリスクマネジメント(4度目)

健康経営でエンゲージメント向上と生産性向上を実現し、社員のヘルスリテラシーが高まることで健康意識の改善を達成しています。

「企業の元気を創り出す」というビジョンのもと、ワークエンゲージメント・プレゼンティーイズム調査を継続的に実施し、データに基づく健康経営の推進と効果測定を一体的に進めている点が特徴的です。

株式会社パソナグループ(2度目)

運動会で部署間の交流を促進し、家族との絆を深める取り組みを通じてエンゲージメント向上と活気ある職場づくりを進めています。

「人を活かす」ことを理念に掲げる同社は、多様な働き方の実現を目指して健康経営を経営戦略の重要な柱と位置づけました。継続的な取り組みは、従業員満足度の向上につながっています。

株式会社三機サービス(初選定)

健康経営の推進により社員の健康意識が醸成され、各種休暇制度を利用しやすい職場環境を実現しました。

働きやすさの向上が企業評価を高め、結果として新卒採用数が約3倍に増加しています。従業員一人ひとりの健康を重視した環境整備が、社員満足度と外部評価の両面で成果をもたらしている事例といえるでしょう。

H.U.グループホールディングス株式会社(2度目)

「Healthcare for You」を企業理念に掲げる同社は、ヘルスケア事業で培った専門知識を自社の健康経営にも活用しています。従業員のウェルビーイング推進を重視し、プレゼンティーイズムの改善を通じて社員のエンゲージメント活性化と生活習慣改善を実現しました。

「一人ひとりと向き合い、すべての人に最適なヘルスケアを届ける」という理念を、社内実践においても体現している点が特徴的です。

株式会社バリューHR(4度目)

自社開発の健康管理サービスを活用した先進的健康経営により、働き方の多様性とワークエンゲージメント向上を実現しています。

「健康経営のデジタル化」を推進し、従業員の健康データに基づく個別化された健康施策を展開することで、健康経営の実践と知見蓄積を両立させています。

株式会社大和証券グループ本社(10度目)

10度目の選定を誇る同社では継続的に健康経営を実践し、プレゼンティーイズム損失額を大幅に削減しました。企業理念に「人材の活用」を掲げ、アプリを活用した健康増進イベントなど時代に応じた施策を展開しています。

長年にわたる取り組みが、社員の生産性向上と企業価値向上の好循環を生み出している実証例といえるでしょう。

株式会社オリエントコーポレーション(初選定)

健康経営を推進した結果、健康を重視する風土へと変化。社員の健康意識をよりポジティブに変化させています。

創業70年を迎える老舗企業として「その時の、一歩先へ」をコーポレートスローガンに掲げ、持続的な成長を目指す中で健康経営をコーポレートブランド向上の重要な要素として位置づけています。

第一生命ホールディングス株式会社(3度目)

社員一人ひとりの健康を後押しし、組織内のコミュニケーション活性化にも貢献しています。人材戦略として「多様な人材が能力を最大限に発揮し、共に発展する健康で魅力ある職場づくり」を掲げ、従業員のエンゲージメントスコア向上と生産性向上を実現しています。

グループ会社が開発した健康増進アプリ「QOLism」を活用し、全社チーム対抗戦等のウォーキングイベント・食事記録・腹囲計測・運動といったさまざまなコンテンツによって社員の健康増進を後押しています。

野村不動産ホールディングス株式会社(2度目)

運動習慣改善や女性特有の健康課題への取り組みを推進し、従業員の意識向上と組織的な交流を年々継続しています。

全社員アンケートでは運動習慣の改善効果が確認されており、スポーツクラブ会員向けキャンペーンや健康経営アプリを活用した対話イベントなど、多面的なアプローチで成果を上げています。

マルハニチロ株式会社(2度目)

社員の健康を基盤に次の100年も社会に貢献できる企業を目指し、DHA製品を活用した取り組みなど自社の強みを生かした健康施策を展開しています。

「マルハニチロサステナビリティビジョン2030」の人材戦略では社員のウェルビーイング実現を重要な柱として位置づけ、「おさかな人材の未来」という独自の考え方で健康経営を推進しています。

健康経営優良法人認定制度とは

従業員の健康管理に積極的に取り組む企業を、日本健康会議が認定する顕彰制度です。

日本健康会議とは、健康経営の取り組みを全国に広げるための民間主導の活動体で、経済団体、医療団体、保険者などの民間組織や自治体が連携し、職場、地域で具体的な対応策を実現していくことを目的としています。

健康経営優良法人に認定されると、同ロゴマークの使用が可能となるほか、自治体や金融機関における助成金・金利優遇などさまざまなインセンティブが受けられます。

認定は年に一度のペースで実施されており、大規模法人部門と中小規模法人部門がそれぞれ用意されています。

健康経営優良法人

健康経営優良法人ホワイト500

健康経営優良法人の中でも、従業員数や資本金などの情報をもとに大規模法人に区分された企業が対象となる部門において、上位500法人に認定された企業が「ホワイト500」です。

中小規模法人部門とは評価基準が異なり、大規模法人部門では、従業員の健康管理体制の整備や健康データの分析など、健康経営について、より多面的な取り組みが求められます。

健康経営優良法人ブライト500

大規模法人以外の中小規模法人のうち、上位500法人に認定された企業が「ブライト500」です。

「健康経営を全国に浸透させるには、特に地域の中小企業における取り組みを広げることが不可欠」との考え方から、中小規模法人部門に認定された企業には、自社の取組事例を発信していく役割が求められます。

【2025年最新】健康経営度調査の今年度の変更点と重要ポイント

2025年6月13日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2025」では、「人中心の国づくり」を掲げてWell-being(幸福度)の高い社会を実現することが目標に据えられました。この中で、健康経営は以下のような政策分野で特に重視されています。

  • データヘルス計画やコラボヘルス(保険者と事業主の連携)の推進
  • 女性の健康支援・フェムテック活用の強化
  • 高年齢者の活躍推進とエイジフレンドリーな職場づくり
  • 多様で柔軟な働き方や両立支援
  • 心の健康(メンタルヘルス)の保持・増進

これらの政策に対応する形で、健康経営度調査の設問や認定要件も刷新されています。

1. 保険者連携の強化とデータヘルスの推進

企業による予防・健康づくりの基盤として、データヘルス計画と保険者と事業主の連携(コラボヘルス)が政策的に強調されています。

健保組合等保険者との連携に関する必須要件が見直され、「40歳未満の従業員の健康診断のデータの提供」(Q28)が求められるようになりました。若年層も含めたデータに基づく健康経営の推進が期待されます。

2. 高年齢者の活躍推進・エイジフレンドリーへの対応

高年齢労働者の就労が進む中、エイジフレンドリーな職場環境整備が政策的に重視されています。エイジフレンドリーとは「高年齢者の特性に配慮した」という意味です。

「高年齢従業員の健康や体力の状況に応じた取り組み」が新たに認定要件として追加されました(大規模法人部門:Q50、中小規模法人部門:Q22)。厚生労働省のエイジフレンドリーガイドラインに基づく取り組みが参考となります。

※参照:厚生労働省「エイジフレンドリーガイドライン」(令和2年3月16日付け基安発0316第1号「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドラインの策定について」より)

3. 女性の健康支援の明確化

大規模法人部門において、「女性特有の健康関連課題に関する知識」(Q48)と「女性特有の健康関連課題に関する取り組み」(Q49)が設定されました。

女性特有の健康課題への対応やフェムテック活用が政策方針として明記され、多様な人材の活躍推進が図られています。

4. メンタルヘルスの「保持・増進」重視

メンタルヘルスに関する認定要件の項目名が「心の健康保持・増進に関する取り組み」へと変更されました(大規模法人部門:Q58、中小規模法人部門:Q28)。

心の健康について、不調への対応だけでなく、全従業員の心の健康を保持・増進する積極的なアプローチが政策でも重視されています。

5. 両立支援の評価強化(中小企業)

中小規模法人部門では、「仕事と育児の両立支援(法令の範囲以上のこと)」(Q17)と「仕事と介護の両立支援」(Q18)が認定要件として追加されました。法令の範囲を超えた支援制度の整備が評価対象となります。

働き方の多様化や少子高齢化に対応し、法令遵守を超えた柔軟な両立支援が社会的に要請されています。2025年4月から改正育児・介護休業法も段階的に施行されています。

※参照:厚生労働省「育児・介護休業法改正ポイントのご案内」(令和6年11月作成(令和6年12月改訂)

2025年度の健康経営度調査では、政策方針の転換を背景に保険者連携・年齢や性別への配慮・心の健康保持・両立支援などの多面的な健康経営の推進が評価されます。

社会から評価される健康経営を実現するための具体的な道筋については「健康経営の高みを目指す! 『ホワイト500』『ブライト500』取得のために求められる取り組みとは!?」の記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。

健康経営優良法人2025「ホワイト500」でチェック! 健康経営の好事例5選

株式会社正興電機製作所

国内外で電力を中心にエネルギー関連事業を展開する株式会社正興電機製作所は、ユニークな取り組みで2024年に健康経営銘柄に初選定され、ホワイト500としては2018年から8年連続で認定されています(2025年時点)。

同社では、健康に関する行動変容を起こしやすいよう、従業員にウェアラブル活動量計を配布した上で、ウォーキングイベントを実施。そのデータは自社開発の健康アプリと連携され、従業員同士がリアルタイムに順位を確認できるようになっています。

ポイントインセンティブによる景品交換ができるなどの工夫も功を奏し、同イベントへは常時約8割という高い参加率を維持しています。このほか同社では、卓球大会やボルダリング教室といったイベントも随時開催され、こうした取り組みは健診データの改善はもちろん、社内コミュニケーションの活性化という成果にもつながっています。

ソフトバンク株式会社

世界的な投資企業であるソフトバンクグループを親会社に持つ通信・IT企業のソフトバンク株式会社は、2023年に健康経営銘柄に初選定後、2024・2025年にも連続で選定されているほか、ホワイト500としては7年連続で認定されています(2025年時点)。

健康経営宣言においては、同社の強みである、最先端のAIやICTを積極的に活用することを示しており、実際にヘルスケアアプリやエンゲージメント調査、勤務状況レポートなどを運用しつつ健康経営に取り組んでいます。

柱となる3つの施策として「健康管理」「安心安全な職場環境」「健康維持・増進」を挙げて、さまざまな指標をモニタリングしています。定期健康診断有初見率や時間外労働時間はもちろん、睡眠に関する休養感もモニタリングしており、その結果をもとに一部従業員を対象として睡眠改善対策の検証を実施するなど、先進的な取り組みにも積極化です。

SCSK株式会社

住友商事グループの大手システムインテグレーターであるSCSK株式会社は、11年連続で健康経営銘柄の認定を受けている企業であり、ホワイト500としても9年連続で認定されています(2025年時点)。

2013年に働き方改革、\2015年に健康経営の理念を制定するなど、健康に関する取り組みに先進性を見せており、すでにその取り組みは企業文化として根付きつつあります。

中でも健康増進施策の土台となっているのが「健康わくわくマイレージ」で、年1回受診の健康診断結果をポイント化し、一定の基準を達成した社員にポイント数に応じたインセンティブを支給する仕組みとなっています。

また、従業員が気軽に相談できる健康相談室のほか、診療所やリラクゼーションルーム、カウンセリングルームを社内に設置するなど、従業員の健康を直接的にサポートできる体制構築にも積極的です。

PwC Japan有限責任監査法人

PwC Japan有限責任監査法人は、士業法人(大規模)で唯一、2024年・2025年と「ホワイト500」に認定されています。

同法人は「人こそは財産である」との考えのもと、サステナブルな経営の実践を目指しており、健康経営をその要としています。

健康に関する意識調査として「スマートライフアンケート」を、毎年実施しており、その結果として在宅勤務による従業員の運動不足の傾向が見られたことから、歩数によってインセンティブを受けられるウォーキングプログラムや、オンラインでも実践可能な運動プログラムなどを取り入れるなど健康増進に積極的に取り組んでいます。

株式会社ベネフィット・ワン

福利厚生サービスのほか、健康診断に関わる業務の代行、特定保健指導など健康関連サービスの提供を行う株式会社ベネフィット・ワンは、2018年に初めて健康経営銘柄に選定されたのち、2019年から7年連続でホワイト500に認定されています(2025年時点)。

自社の健康関連サービスを利用し、健康ポイントプログラムや生活習慣の改善が必要な従業員に向けたオーダーメイド特定保健指導サービス「ハピルスチェンジ」などを活用しつつ、従業員の心身の健康を促進していることが特徴です。

毎月第三木曜日には健康経営研究会理事長を招いて健康経営の勉強会を開催するほか、運動習慣対策としてサッカーやランニング等の社員が有志で集まるクラブ活動への補助やスポーツテストの実施など、従業員が自然に健康に目を向けられるような取り組みを実施しています。

また、朝食を無料で提供するほか、やむを得ず残業を行う場合には、夕食も無償提供するなど、食生活の面でも従業員の健康面に配慮をしています。

一口に健康経営といっても、それぞれが工夫して独自のプログラムを実施しています。

その他の健康経営に取り組む企業の事例については、「「健康経営」企業事例7選!国内外の効果的な取り組みを紹介」をご覧ください。

健康経営の導入 4つのSTEP

ここからは今後、健康経営への取り組みを検討している企業に向けて、そのステップを4つに分類して解説していきます。

STEP1 健康経営を行うことを告知する

人事・総務など特定の部署・部門だけの取り組みによって健康経営を社内に浸透させることは難しいです。

そのため、健康経営を実施する旨は、企業トップによるメッセージとして、社内広報やプレスリリースで社内外に告知・宣言しましょう。

その際には、健康経営について経営理念の中に明文化した上で、具体的にどのような取り組みを行うのか、指針を示すことが重要です。

また、加入している全国健康保険協会や健康保険組合が「健康宣言事業所の募集」を行っているケースもあります。協会・組合と連携することで、健康経営に関するさまざまなサポートが受けられますので、このタイミングで連絡をしておきましょう。

STEP2 健康経営を行うための組織体制を作る

STEP1で示した指針に基づき、それを実行するために必要な組織体制を構築していきましょう。具体的には、担当部署を新設するほか、健康経営アドバイザーなど外部の人材をコンサルタントとして雇い入れるといった取り組みが考えられます。また、新設した担当部署内の従業員に健康経営についての知識がない場合、健康管理について研修を行う必要があるでしょう。

担当部署は人事部内に設置する方法もありますが、健康経営では全社的な取り組みが求められることから、経営層直下の組織として部門横断的に設置されるケースも少なくありません。

この組織体制づくりにおいて特に意識したいのは、従業員のヘルスリテラシー向上を見据えた仕組みづくりです。ヘルスリテラシーとは健康や医療に関する情報を正しく理解し、効果的に活用する能力のことで、健康経営の土台となる概念として注目されています。従業員が自分自身の健康状態を適切に把握し、必要な行動を取れるようになることで、健康経営の効果をより高めることが可能になるでしょう。

ヘルスリテラシーの段階的な向上方法や具体的な教育アプローチについては「ヘルスリテラシーとは?健康経営における位置づけとリテラシー教育の方法」で詳しく解説していますので、組織体制を検討する際にぜひ参考にしてください。

STEP3 課題の可視化

健康経営を目指すためには、まず現状の確認が欠かせません。健康診断やストレスチェックテストなどの受診率や結果をデータ化し、分析していきましょう。

この段階では、次のような課題が発見されるケースが多いです。

  • 管理職の残業が多すぎる
  • 特定の部署で、高いストレスを感じている従業員が多い
  • 特定の部署の健康診断・ストレスチェックテスト受診率が低い

STEP4 健康経営に向けた計画作成と実行

STEP3で明らかになった課題について、どのように解決するのか、具体的な取り組みを検討します。

主な取り組み例としては、次のようなものがあります。

  • ノー残業デーを作る
  • 保険師による個別診断で、食事や運動の指導を行う
  • 運動やストレッチなど、身体を動かす時間を作る
  • 健康に関するセミナーを開き、健康への意識を高める

これらの取り組みを実施する際には、必要な改善内容に合わせ、どのような成果を目指すのか目標を決め、その目標を達成できるような計画を立てて従業員に告知し、最終的に検証を行うことが重要です。

健康経営は、取り組んですぐに効果が出るというケースは稀です。先行企業の取り組みなども参考にしつつ、取り組みと検証を繰り返しながら、できることから進めていきましょう。

【+α】健康診断を健康経営に活かすには?

毎年実施される定期健康診断は、健康経営を推進するうえで貴重なデータの宝庫といえるでしょう。しかし、多くの企業では健診結果を法定義務の履行として捉えがちで、健康経営に十分活用できていないのが現状です。

健診結果を効果的に活用するためには、全体的な傾向分析や部署別・年代別の健康課題把握が重要になります。最近では、従来の義務的な健診を前向きな健康改善のきっかけに変える取り組みも注目が集まっています。

株式会社博報堂が提供する「健診戦」は、去年の自分と比較した健康改善度をスコア化し、特に改善した社員を表彰する健康経営支援プログラム。従業員の健康への関心を高め、自主的な行動変容を促しやすくなるサービスです。

※「健診戦」は博報堂DYホールディングスの登録商標です。

健診結果の具体的な活用方法や従業員への効果的なフィードバック手法については、「【健康経営の基本】健康診断の結果から企業と従業員がすべきこととは?」で詳しく解説しています。健康経営の質を高めたい方はぜひご覧ください。

政府が健康経営を後押しするような政策を進めていることもあり、健康経営は大企業だけでなく中小企業においても重要な経営課題となっています。規模や業種に関わらず、すべての企業が取り組むべき経営戦略として位置づけられつつあるのです。

中小企業特有の課題や限られたリソースでも実践できる具体的な導入方法については、「中小企業のための健康経営|メリット、実践方法、最新導入事例4選」で詳しく解説しています。

健康経営の支援会社を選ぶ際のキーワードは「ワンストップ」

健康経営をワンストップで叶える「ベネフィット・ステーション」とは

健康経営を進めたいものの、福利厚生・人事担当者の負担増や成果を数字で示すことの難しさや、拠点が複数ある場合に公平なサービスを提供しにくいことに頭を悩ませていませんか。

こうした課題をまとめて解決できるのが、健康経営に必要な施策を1つとして福利厚生の拡充が挙げられます。例えば、総合福利厚生サービス「ベネフィット・ステーション」です。

全国どの拠点でも統一されたサービスを提供できるため、地域間の取り組み格差に悩む必要もありません。健康経営のために発生していた煩雑な運用業務の負荷が軽減すれば、より戦略的な健康経営の企画に集中できるようになるでしょう。

「ベネフィット・ステーション」は、豊富な導入実績に基づく効果測定機能で社内理解を促進し、継続的な改善提案により「続けられる健康経営」を無理なく実現する包括的なサービスなのです。

導入企業の健康経営・成功事例

ネグロス電工

2025年6月に創業78周年を迎えたネグロス電工株式会社は、100年企業を目指すには従業員が本来持っているパフォーマンスを十分に発揮できる環境づくりが必要だと考え、2020年より本格的な健康経営に着手。ラジオ体操や体力測定会、女性の健康課題を学ぶ機会を設けるなど、すべての従業員が健康経営を自分ごととして受け止められるような取り組みを行っています。

ベネフィット・ステーション導入の決め手となったのは、日常的に利用できるサービスが多いこと。全国に販売拠点を持つ同社にとっては、どの拠点でも均等に利用できるサービスがあることも魅力的でした。

登録率は9割を超えており、導入前に比べて従業員の福利厚生に対する評価も年々向上。健康施策により運動習慣も大幅に改善され、エンゲージメント向上と活力ある組織構築に成功しています。

ネグロス電工株式会社の取り組みはこちらから>>

ユーソナー

ユーソナー株式会社は「みんなが親孝行できる会社」をビジョンに掲げ、従業員の【健康・お金・時間】の3つの余裕を軸とした健康経営を推進しています。体の健康面では平日無料ランチで栄養面をサポートし、心の健康面では外部専門家との面談を業務時間内に実施できる制度を構築しました。

二親等まで利用できるベネフィット・ステーションは、「親孝行できる」という企業ビジョンに合致。会社規模が拡大し、従業員が増える中で生じた多様なニーズに応えていける豊富なコンテンツも魅力的でした。

2024年度の実績では育休取得率・復職率は男女とも100%と高く、従業員の心身ともに満たされた状態と企業へのエンゲージメントが両立した健康経営の成功事例となっています。

ユーソナー株式会社の取り組みはこちらから>>

アコム

アコム株式会社は健康経営戦略マップに沿って、ストレスチェックやメンタルヘルス研修で心の健康をサポート、生活習慣病やがん対策で体の健康づくりに取り組んでいます。健康診断の二次検査を就業時間扱いにする・人間ドックやがん検診の費用を補助し病気になるリスクを減らす取り組みも特徴的です。

こうした健康経営の基盤として、すでに利用していたベネフィット・ステーションにカフェテリアプランを導入。全従業員に年間3万ポイントを提供することで健康関連サービスが利用しやすくなりました。

ポイントの消化率は80%超。「カフェポイント使った?」といった会話が生まれ、従業員間のコミュニケーションの活性化につながった事例といえるでしょう。

アコム株式会社の取り組みはこちらから>>

日鉄興和不動産

日鉄興和不動産株式会社は「社員の心身の健康保持・増進」「健康意識の向上」「柔軟で働きやすい職場環境」を課題として、全社を挙げて健康経営を推進しています。2016年の人事制度改訂時に、福利厚生の充実のためにベネフィット・ステーションを導入しました。

カフェテリアプランの基本ポイントとは別に任意健診専用の医療ポイントを設定し、健康増進を促進。メンタルヘルス研修や専門家による運動を取り入れたセミナー、ウォーキングイベントなど、健康を切り口に世代を超えて参加できるイベントも行ってきました。

これらの取り組みによって従業員の健康意識が向上し、任意健診の受診者が増加するといった効果が出ています。結果として2023年から3年連続でホワイト500に認定されており、福利厚生制度を健康行動促進に結び付けた成功事例といえるでしょう。

日鉄興和不動産株式会社の取り組みはこちらから>>

NTT(旧:日本電信電話)

NTTグループは、従業員とその家族の健康保持・増進を「健康へのアプローチ」として体系的に推進しています。一人ひとりの働く意欲や活力向上を通じて、グループの成長と発展を目指す経営戦略として位置づけました。

定期健康診断・特定健診受診率100%、ストレスチェック受検率98.5%、喫煙率12.0%以下、特定保健指導完了率60.0%以上など具体的なKPIを設定。各指標結果のフィードバックを受けてアプローチ方法をブラッシュアップする継続的改善サイクルを構築しており、明確な目標設定と体系的なプロセス管理による健康経営の実践例として参考になるでしょう。

ベネフィット・ステーションを導入した2018年時点で、NTTグループの従業員数は約18万人(2025年3月31日時点で約34万人)。雇用形態に関わらず、従業員全員が福利厚生の恩恵を受けられるという思いで同サービスを導入しました。従業員数が多い同社だからこそ、子育て世代や介護世代など多様なライフステージに対応できるコンテンツ豊富な総合福利厚生サービスが活かされている事例です。

NTTグループ(旧:日本電信電話株式会社)の取り組みはこちらから>>

従業員の健康を支援するヘルスケアサービスについて

人生100年時代と言われるようになった昨今、従業員の健康管理や健康促進など健康課題を抱えている企業が増えています。

ベネフィット・ワンでは、そのような健康課題を解決するサービスを多数ご用意しています。

【サービスの一例】
・健康診断の運営代行
・特定保健指導の支援
・ストレスチェックのWeb実施
・ワクチン接種の運営代行(インフルエンザ)
・健康促進に有効なインセンティブポイントサービス

中小企業の方へは、産業保健をすべてひとまとめにしたパッケージサービスもございます。

ぜひ、下のリンクから課題を確認し、自社に合ったサービスを検討してみてください。


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