健康経営

「健康経営」企業事例8選!国内外の効果的な取り組みを紹介

国内において、2009年頃から大企業を中心に取り組みが開始され、ここ数年で注目が高まっている健康経営。

「健康経営に実際に取り組みたいけど、具体的な取り組み方が分からない」と頭を抱えている企業も少なくないのではないでしょうか。

また、実際の効果がどの程度あるのかと、疑問を感じている方もきっといるはずです。

こういった課題や疑問を解決するために、ここでは実際の事例をいくつかご紹介します。

大企業・中小企業関わらず、今からでも取り組めることはたくさんあります。健康経営への取り組みを検討している方の、少しでも参考となれば幸いです。

健康経営とは

健康経営の始まりは、1980年代にアメリカの経営心理学者である、ロバート・H・ローゼン氏が、「健康な従業員こそが収益性の高い会社を作る」と提唱したこと。

当初はアメリカやヨーロッパで注目されましたが、超高齢社会である日本でも急速に浸透しています。数年後の「65歳定年時代」に向け、体調不良やメンタルヘルスの悪化による在職死亡者の増加、長期欠勤者の増加、怪我や事故の増加などが予想されます。

実際に、国内でも健康経営を後押しする動きが、近年着々と進んでおり、健康経営銘柄ホワイト500(健康経営優良法人制度)といった制度も登場しています。

また、企業で健康経営に取り組み、従業員の健康増進を図ることにより次のようなメリットが期待できます。

・生産性の向上

・医療費負担を軽減し、収益性が向上

・モチベーションの向上

・第三者機関からの認証を得ることによるイメージアップ

・離職率低下、求人応募者の増加

個々のパフォーマンス向上や企業のイメージアップなど、多くのメリットをもたらす健康経営は、今や欠かせない企業戦略の一つだといっても過言ではありません。

そもそも健康経営とは?という方は、関連記事「5分でわかる健康経営!取り組みのステップと企業事例を完全解説」を合わせてご覧ください。

健康経営に取り組むべき企業

中でもいち早く健康経営に取り組むべき企業には、こういった特徴が挙げられます。

・従業員の平均年齢が高く、中高齢の従業員が多い企業

・ストレスチェックの結果が悪い企業

・ヒューマンエラーが多発している企業

・遅刻や早退、欠勤者が多い企業

・残業や休日出勤が多い企業

・有給休暇取得率が低い企業

・離職率が高い会社

・人材が慢性的に不足している企業

・従業員満足度や従業員エンゲージメントが低い企業

生産性の低下は、身体的な不調だけが原因ではありません。

身体的な対策だけではなく、メンタルヘルス含めて健康経営に取り組むことが必要です。

健康経営の導入で成功した企業の取り組み事例8選

それでは実際に企業が健康経営において、一体どのような取り組みをし、効果があったのでしょうか。国内外の事例を元にご紹介します。

1. SCSK株式会社:制度で従業員の完全禁煙を後押し

情報・通信業のSCSKは、「働きやすい職場・健康経営」に取り組むだけではなく、最高のサービスを提供するため、健康保持増進に努めることを、社員の責務としています。

また、経営トップ自らが、従業員と従業員の家族に手紙を送り、健康経営の理解を求めるなど、積極的に取り組みを推進しています。

主な取り組み
・スマートワーク・チャレンジ
・健康わくわくマイレージ
・禁煙推進

スマートワーク・チャレンジは、2013年度から実施している、残業時間軽減と有給休暇取得増加を目指す取り組みです。

健康わくわくマイレージは、2015年度から継続導入している、健康増進に資する行動習慣と定期健診結果をポイント化し、1ポイント=1円の特別ボーナスとして支給する制度です。

禁煙推進においては、就業時間中の喫煙禁止、全事業所での喫煙ルーム閉鎖などの施策に加え、

・組織的な取り組み
・同僚・家族からの支援
・本人への動機付け

といった3つのアプローチで禁煙を後押しする、「卒煙3ヶ年計画」を実施しています。

結果
・喫煙率が減少:約36%(2010年度) →17.8% に減少
・月間平均残業時間の大幅減少:27.8時間(2011年度)→17.8時間(2016年度)
・平均有給休暇取得日数の大幅増加:13.0日(2011年度)→18.7日(2016年度)
・6期連続で増収増益を達成

※参考:健康経営銘柄2018 選定企業紹介レポート

2. 住友林業株式会社:心と身体のケアで退職者・残業時間を減少

※参照:住友林業株式会社

「家族の尊重:自らと家族を大切にし、豊かな未来を築く」を掲げ、従業員一人一人の健康の保持増進に努め、活き活きと働くことができる職場環境づくりを推進している住友林業。

主な取り組み
・メンタルヘルス研修(経営総合職全員124名に対するスリープタフネスセミナー
・技術職の若手社員を育成するトレーナー49名に対する、ラインケアセミナー
・1年目技術職社員52名に対する、セルフケアセミナーなど)
・生産性評価や勤務インターバル制などの長時間労働対策

健康診断の受診徹底に取り組む他、社内に保健師や臨床診療しを配置。社員が相談しやすい体制を整えています。

また、社内カウンセラーによる管理職向け研修や、社内イントラネットを活用した「こころの健康診断(セルフチェック)」を定期的に実施しています。

また、長時間労働対策人事制度を改定し、みなし労働時間制(業務に従事した時間を、実際に働いた時間と関係なく、◯◯時間とみなす制度)から実カウント制(業務に従事した時間をきちんと算出する制度)に移行しました。時間あたりの生産性評価を導入し、インセンティブを付与することにより、従業員の自発的な改善を促進。また、勤務間インターバル制も導入し、過重労働の防止や心身の負担軽減を図っています。

結果
・2013年度より4年連続で健診受診率100%を達成
・2016年度におけるフィジカル疾患を利用とした退職者0%
・人事制度改定の結果、所定外残業時間が前年度比より8ポイント減少

3.フジ住宅株式会社:検診制度を見直し、社員の健康意識が改善

※参照:フジ住宅株式会社

不動産業のフジ住宅は、「企業は人なり。社員の健康、幸福なくして、企業の発展は成し得ない」といった創業者の想いを礎に、社員の健康と安全を重んじる経営方針を打ち出しています。

取り組み
・健診の受診勧奨
・高リスク者に対しての保健指導
・公私ともにストレス0の環境づくり

定期健診の項目を、自社の健康課題に合わせて追加。さらに、業務の状況に配慮した、柔軟な受診環境を整備しています。また、再検査対象者に対しては、任意健診及び検診の再検査費用を、会社が全額負担しています。

また、健診結果により高リスクと判断された従業員に対し、保健指導や健康保持及び増進の啓蒙を実施しています。

さらに、定期的に、経営トップらが従業員一人一人に個別に対応する質問会を開催。会社や家庭での悩みに、解決に向けて時間をかけて向き合い、従業員のメンタルケアに繋げています。

結果
・2016年度の再検査受診率が、2013年度の20%から70%まで上昇
・2013年度から疾病やメンタル不調による、長期欠勤者・休職者・退職者殆ど無し

※参考:健康経営銘柄2018 選定企業紹介レポート

4. 株式会社JTBベネフィット:チーム単位での100日間プログラムを実施

※参照:株式会社JTBベネフィット

福利厚生サービスを提供しているJTBベネフィットでは、「健康経営宣言」を行い、代表取締役社長が委員会の統括責任者を務め、全従業員を率いて健康経営に取り組んでいます。

取り組み
・「健康100日プロジェクト」

「健康100日プロジェクト」は、株式会社Be&Doと共同で提供する、健康活動の習慣化やコミュニケーションの活性化を目的とした、100日間のプログラムです。

参加者はあらかじめ、100日後に達成したい健康に関する目標や、その目標を実現するための、行動目標を設定します。参加者は、スマートフォンやPCから、自身のチームの専用ページにアクセスすることができます。

そして、掲示板やメッセージなどの機能を活用し、お互いに励ましあいながら目標の達成に向けて取り組むプログラムです。

JTBベネフィットでは、全従業員をランダムに28つのチームに分け、本プロジェクトを遂行しました。

結果
・「運動の習慣化ができている」従業員が76.0%から81.5%に増加
・「自身の健康に気をつけている」従業員が75.5%から91.9%に増加
・「自身の生活習慣についてマネジメントできている」従業員が61.7%から75.0%に増加
・「職場でのコミュニケーションが円滑に取れている」従業員が67.3%から84.7%に増加

また、JTBグループ全体でも、従業員の健康習慣を改善する目的で、個人の習慣目標達成と、グループ会社間の活動量を競うプログラム「職場DEグッドシェイプ」を毎年実施するなど、健康経営に日頃から励んでいます。

5. バンドー化学株式会社:社員のメタボ対策が利益増に貢献

※参照:バンドー化学株式会社

会社、従業員、健康保険組合が一丸となり、事業所単位で「健康いきいき職場づくりチーム」を設置。その上で、各従業員が自ら健康ビジョンを策定し、健康増進強化を行っています。

取り組み
・メタボリックシンドローム対策
・ノー残業デー(毎週)
・ストレス対処力研修

メタボリックシンドローム対策としては、食事・睡眠改善・メディカルフィットネスの参加などを促進しています。

また、長時間労働対策として、ノー残業デーを毎週設定し、実施日には朝のアナウンスや、経営トップや管理職の社内巡回などを徹底。また、在宅勤務の導入なども試行しています。

結果
・メタボリックシンドローム有所見者率が2015年度14.7%から2016年度10.2%に減少
・2015年度から2016年度にかけ、血圧(40歳以上)が4.1ポイント現象
・心身に不調を感じる従業員が2.2ポイント減少
・7日以上の延べ療養日数が0.07ポイント減少
・一人あたりの医療費が4万1,316円、年間傷病手当金が203万6,574円減額
・営業利益が1,600万円増額

6. 株式会社ベネフィット・ワン:社長が「CHO」になり、全社一丸で健康経営を推進

※参照:株式会社ベネフィット・ワン

株式会社ベネフィット・ワンは福利厚生事業のほか、人間ドックの予約手配やメンタルヘルスケア事業など、健康に関わる事業も幅広く手がけています。

主な取り組み
・代表取締役社長が(CHO)を兼務し、健康経営を行っている
・従業員や管理職に対し、定期的な健康教育を行なっている
・健康課題を掲げ、随時実施している

ベネフィット・ワンでは、取締役副社長執行役員を担当役員とし、人事部に属する健康推進担当を中心に、効果的な施策を実行しています。

また、各事業部にホワイト推進責任者を配置し、定例会議を実施するなど、それぞれが一丸となって健康経営に取り組んでいます。

従業員に対しても、入社時及び年に6回健康教育をしています。受講時間は20分ほどで、従業員への負担も少なく、また、生活習慣病やメンタル障害の予防など、その都度旬なテーマを扱っています。

管理職にもチーム長昇格時及び年に1回、部下の健康管理支援についてなど、教育の機会が設けられています。

結果
・売上、利益ともに前年に比べて大幅に増加(売上高が2016年度4,979百万円に対し、2017年度7,138百万円)
・離職者数が減少し、定着率が向上
・労働生産性についても、2017年度は前年比134%と大幅に増加
・一人当たり平均残業時間は、2017年度下期で前年比-16.9%、2018年度上期で同-37.9%と減少傾向

残業時間が減少しているにも関わらず、売上高が急増しているなど、健康経営の推進によるパフォーマンスの向上が見られます。

7. 味の素株式会社:自社製品も活用しながら、睡眠の質とメンタルヘルスを改善

※参照:味の素株式会社

全てのステークホルダーの「健康」に貢献することを、グル ープの企業理念として掲げている、味の素。

「全社にとって、従業員の健康はその能力を十分に発揮し、事業活動や社会活動に貢献する上での重要な資源である」との基本方針を定めています。

主な取り組み
・全従業員との個別面談
・メンタルヘルス対策
・「睡眠改善プログラム with グリナ®︎」の実施
※睡眠の質の向上をサポートする味の素の健康基盤食品商品

毎年1回以上、健診後に産業保健スタッフが全従業員と個別面談を行うことをルール化。また、面談で実際に課題として現れた高血糖や高血圧をターゲットに定め、専門家との連携や、社員食堂での食物繊維摂取強化など、健康増進に取り組んでいます。

メンタルヘルス対策としては、独自のメンタルヘルス回復プログラムを開発。休業から職場復帰した従業員に対しても、再就業後プログラムを提供するなど、再発防止に尽力しています。

結果
・2014年度からの3年間において、うつ病を理由としたメンタル不調者の再休業率が、7% から4%へ減少
・「睡眠改善プログラム with グリナ ®」を本社で実施した結果、78%の人が「睡眠改善」につながったと回答

8. 塩野義製薬株式会社(シオノギ製薬):外部事業者の有効活用で社員の健康意識が改善

シオノギ製薬は、「全ての人々の健康への願いを、我が思いとして日々の業務に取り組む」ことを基本方針として掲げ、会社・健康保険組合・従業員が一丸となって健康経営に取り組んでいます。

主な取り組み
・会社・産業医・健康保険組合が一丸となって、施策査定から効果検証まで行なっている
・月に1回の健康推進会議、年に2回の健康管理事業推進委員会を実施
・生活習慣病の重症化予防
・メンタルヘルス対策
・禁煙推進

経営トップが健康づくりの最高責任者となり、コラボヘルスを推進しているシオノギ製薬。生活習慣予防において、アウトソーシングの協力で支援策を作成し、退職までの長期に渡り、定期的モニタリングによる継続支援を行っています。

また、メンタルヘルス対策としては、事業所でのセミナーやeラーニングなどの教育に加え、2012年からは外部事業者による相談事業を行っています。

結果

・健康ウォークイべントに参加したハイリスク者の62%に生活習慣病リスク値(血糖・脂質・血圧・喫煙)の改善が見られた
・メンタル不調者が2011年度44人から2016年度20人まで減少
・全事業所で就業時間内禁煙を実現した結果、喫煙者が2008年度27.5%から2016年度16.4%まで低下

健康経営の取り組み方

それでは実際に健康経営に取り組むにあたって、何から始めれば良いのか、健康経営の進め方をお教えします。

1. 健康経営宣言

まずは、社内外に健康経営を行うことを宣言します。告知の仕方は、社内広報やプレスリリースなどです。

2. 組織の体制を整える

次に、健康経営に取り組むための組織を構築します。方針に応じ、担当部署や担当者を決めましょう。

また、産業医や保健師、健康経営アドバイザーなど、必要であれば外部の人材の活用を検討しましょう。担当者が健康管理について知識がない場合は、健康管理研修なども不可欠です。

3. 健康課題の把握

自社の健康課題を把握するために、定期健康診断やストレスチェックの受診率を確認します。

その結果から、従業員の心身の健康状態を確認すると共に、残業時間や有給休暇の取得などを把握し、課題や改善すべき点を見つけます。

必要であれば、自社の「健康度の見える化」を図りましょう。

4. 計画策定・健康づくりの推進

明らかになった健康課題に対し、社内で優先的に取り組む課題を決めましょう。その優先順位に従って課題解決の方法を検討し、計画を立案します。

また、加入している健康保険組合・全国健康保険協会などが健康宣言事業を実施しているかを確認しましょう。実施している場合は、制度を活用してみるのが良いでしょう。

5. 取り組みの評価・見直し

取り組みの実施状況や従業員の参加状況を把握しましょう。参加者の反応や満足度、得られた効果などを確認し、必要であれば改善策を考えます。

▼関連記事

詳しい取り組みの進め方は、こちらの記事をご覧ください。

BOWGL | 5分でわかる健康経営!取り組みのステップと企業事例を完全解説

まとめ

今回の記事では、国内外の健康経営に関する成功事例や実際の効果、取り組みの進め方についてご紹介しました。

一見難しく聞こえる「健康経営」ですが、取り組み自体はそんなに難しいことではありません。小さなことからでも、一歩一歩進めることが大切です。

この記事を参考に、今日から健康的な企業づくりを、ぜひ実践してみてください。

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