T型人材とは?T型人材を採用・育成するための本質を解説
未来の予測が困難なVUCAの時代や急速にグローバル化へと進む現代のビジネスシーンでは、あらゆる変化に対して柔軟に対応し、社会のニーズに合った新しいイノベーションを創造するためにスペシャリストやゼネラリストの限界を超えたT型人材が求められるようになりました。
今回は、T型人材の概要とそのバリエーション、採用や育成をする際のポイントなどをわかりやすく解説します。ぜひ、自分が何型人材かあてはめながら読み、次に目指す人材の型を視野に入れておきましょう。
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T型人材とは?
T型人材とは、コアスキルと言われる特定の分野に精通しながらその他領域についても幅広い知見を持つハイブリッド人材のことです。この特徴をわかりやすく例えると、ゼネラリスト兼スペシャリストと定義づけられます。一つのしっかりとした軸を持つT型人材は、人事領域ではシングルメジャー(single major)とも呼ばれることもあります。
T型人材の必要性
企業にT型人材の採用や育成が求められる背景には、以下の要因が関係しています。
従来型スペシャリスト・ゼネラリストの限界
顧客のニーズが多様化している現代では、研究者など専門分野に精通したスペシャリストや幅広い分野をこなせるゼネラリストといった従来の日本企業で重宝されてきた人材型に、対応範囲の限界が生じています。
例えば、近年注目されているAI(人工知能)は、既存の各専門分野にビッグデータ解析を導入した融合領域です。企業がAI技術を使って生産性やサービス向上を目指す場合、土台となるAI技術の他に経済や金融、医療、ロボット工学などに関する幅広い知見が求められます。
したがって、AIやビッグデータなどの最新技術を使って新たな挑戦をする場合、今まで日本企業で活躍してきた「スペシャリスト」もしくは「ゼネラリスト」ではなく、「スペシャリスト兼ゼネラリスト」のハイブリッド人材であるT型人材が必要となるのです。
イノベーションが期待される
グローバル化が進み世界を見据えた企業間競争が高まる現代、T型人材が創造するイノベーションにも大きな期待が寄せられています。例えば、AI技術を使った新たなサービスを考える際には、AIだけでなく多様な分野に精通したT型人材が2人いるとスペシャリストとゼネラリストが1人ずついる場合に比べて発案や意見交換がしやすくなります。
また、新技術の企画に多くの人件費をかけられない企業においても、1人2役以上の仕事をこなせるT型人材の発想力は魅力的にうつることでしょう。
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T型人材のバリエーション~I型、-型、Π型、△型など
人事分野でT型人材とともに取り上げられるようになった「○型人材」の特徴を見ていくと、採用や育成で企業に求められる人物像がイメージしやすくなるかと思います。
I型人材と-型人材
I型人材とは、かつての日本企業が重用していた一つの専門ジャンルを極めたスペシャリストです。これに対して-型人材(マイナス型人材/イチ型人材)とは、幅広いキャリアや知識はあるものの特定の専門性のないゼネラリストになります。つまり、I型人材と-型人材を組み合わせた人材がT型人材ということになります。
Π型人材
Π型人材(パイ型人材)とは、異なる2つの専門性を極める人材を意味します。T型人材の発展形となるこのタイプは、ダブルメジャー(double major)と呼ばれることもあります。1人で独創的なアイデアや発想ができるところが、Π型人材の大きな魅力です。
△型人材
△型人材(トライアングル型人材)は3つ以上の専門性を持つ人材で、トリプルメジャー(triple major)と呼ばれることもあります。△型人材のレベルまで専門知識が豊富になった場合、ゼネラリストの特徴は求められないのが一般的です。
H型人材
H型人材になると、I型人材のように特定の専門分野に対して深い知見を持ちながら他の人の専門領域にも理解を示し、連携や活用ができるようになります。こうして複数のスペシャリスト同士をつなげる力を持つH型人材は、イノベーションに欠かせない分野横断的な発想を生み出す上で欠かせない存在です。
J型人材
J型人材とは、コアスキルのレベルが高い上に異業種・他分野の第一人者や専門家と人脈を持ち交流ができるT型人材のことです。J型レベルになると、プロフェッショナルの考え方や視点に触れる機会が増えることによって、専門外の知識も充実しやすくなります。
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T型人材を育てるには
T型人材、さらにはΠ型人材やH型人材の育成における基本的な流れを解説します。
まずはI型を作る
T型人材になる場合、まず高い専門性を確立していることがすべての礎です。そのため、将来的にT型人材になることを期待する従業員には、専門技術の外部研修や資格試験への挑戦などのサポートをする必要があります。
なるべく早い段階から育成
新しい技術や知識の吸収には、柔軟に物事を習得できる若さも必要です。将来的にT型やH型などにする目的で採用活動をおこなう際には、長いスパンの育成スケジュールを立てた上で、どのぐらいの年代の人材が理想になるかを考えた方が良いでしょう。
多くの分野を経験させる
T型人材にするためには、幅広い分野の知見を持たせることも必要です。そのため、T型人材向けの教育プログラムでは、ジョブローテーションや部署や担当領域を超えた横断プロジェクトなどを通して多くの経験をさせるのが理想となります。その中でさらに知識を深められる分野が見つかった場合、Π型人材や△型人材に成長できる可能性もあるでしょう。
人材全体を多様化する
新サービスの創出やイノベーションに携わるT型人材には、チームの仲間と力を合わせるスキルも必要です。こうした人間関係のスキルは、年齢や社歴、雇用形態、国籍を問わず多彩な人材と一緒に働くことで少しずつ育っていきます。
働き方を柔軟化する
企業に革新をもたらす高い専門性を得るためには、副業先の他社や大学院といった会社以外の場所での学びが必要な場合もあります。将来的に自社に役立つT型やΠ型人材などを育成する場合、職業という枠を超えて学べる環境を許可する必要もあるでしょう。そのためには、時短勤務やテレワークといった柔軟な働き方を設定する他に、スキルアップに役立つ副業や社会人向けのインターンシップなどを認める就業規則の整備も必要です。
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T型人材を集めるには
T型人材になり得る従業員の採用では、以下のポイントを心がける必要があります。
【新卒採用の場合】学生に学びの十分な時間を与える
学生時代にたくさんの単位取得や就活に追い回されていた人材の場合、T型になる上で欠かせない幅広い領域への関心もまだ生まれていない可能性があります。
内定者にこうした傾向がある場合、まずは学生に十分な学びの時間を与えてあげてください。自社のT型人材を目指す上で知っておいて欲しい知識や教養があれば、入社までに読んで欲しい書籍や教材を渡しても良いでしょう。
【中途採用の場合】直接の専門性にこだわらない
採用時に直接マッチした専門性ばかりに目を向けると、I型人材からT型人材への成長は期待できません。したがって、特定分野の専門性を持つ人材を中途採用したら、長い目で見て深めていけそうな能力を伸ばしながら実力を発揮するゼネラリストとしての部分をひろげるサポートが必要となります。
【新卒・中途共通】T型人材を育成する研修の充実をアピールする
T型に適した人材は、向上心や好奇心が旺盛であることが多いです。こうした従業員の成長を促すためには、技術のトレーニングや研修を充実させる必要があります。
企業側の熱心な研修などによって将来のキャリアビジョンが描けるようになると従業員の向上心が刺激され、離職率低下などの効果も期待できるでしょう。
【新卒・中途共通】リベラルアーツの重要性を社内に浸透させる
自社のT型人材を増やすためには、ITや外国語、法律や会計、さらには歴史や芸術などに関する幅広い教養を身につけるリベラルアーツの考え方を社内に浸透させる必要もあります。リベラルアーツに基づいたスキルアップに励む従業員が増えると、専門性や分野に縛られることなく横断的な交流のできる組織が構築されるため、組織活性化にも効果を発揮することでしょう。
T型人材の育成を支援するマネジメントツール
T型人材とは、高い専門性と幅広い分野への知見を持つ「スペシャリスト兼ゼネラリスト」です。近年の日本はニーズの多様化やグローバル化によって、T型人材の採用や育成に力を入れる企業が多くなりました。
T型人材などの育成に関わる人物像のバリエーションには、以下のような種類があります。
・I型人材
・-型人材(マイナス型人材/イチ型人材)
・Π型人材(パイ型人材)
・△型人材(トライアングル型人材)
・H型人材
・J型人材
将来的なT型人材を育てる際には、まずI型人材を作った上で、多彩な分野の経験などをさせていくのが一般的です。そして、柔軟に知識などを吸収する若さや早い段階に着目することは、T型人材の育成と採用に共通するポイントとなります。
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