ワークライフバランス

Society5.0の実現に向けた企業の事例とSDGsとの関係を紹介

デジタル化でさらに効率よく働けるようになり笑顔の従業員

Society5.020161月に内閣府の第5期科学技術基本計画で提唱され、一方でSDGs2015年に国連サミットで採択されました。この2つは、どちらも世界が直面している様々な難問を解決し、よりよい社会へ変化するための道筋を提示している点で共通しています。今回は、Society5.0SDGsそれぞれの考え方を再確認し、自治体や企業が実施している取り組み事例を紹介します。

従業員満足度を高めて企業の労働生産性を向上し、持続的な事業成長へと導く働き方を

残業を減らして有給取得をしやすい環境整備も整えた。しかし、蓋をあけてみると業績が芳しくない…それは、時間や場所を問わない柔軟な働き方やデジタル化による業務効率化という本質的な働き方改革が実践されていないことが原因です。

人手不足の今、以下のような課題には早急に取り組む必要があります。

・従業員一人当たりの労働生産性の向上
・離職率の低下、採用強化
・従業員満足度の向上
・テレワークの拡大
・ITリテラシーの向上

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Society5.0とは?

デジタル化する働き方を実践する従業員

Society5.0の定義

内閣府によると、「Society5.0(読み方:ソサエティ5.0)」とは「サイバー空間(仮想)とフィジカル空間(現実)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会」のことを意味します。

また、デジタル技術を活用して社会や地域が抱える課題解決と新たな価値創造を目指すこの取り組みは、1人ひとりのライフスタイルに合わせた快適で活力に満ちた質の高い生活を送る人間中心の社会である「超スマート社会」ともいわれています。

 

現代社会において解決されるべき課題

経済発展 社会的課題
エネルギーの需要増加 温室効果ガス排出削減
食料の需要増加 食料の増産やロスの削減
寿命延伸、高齢化 高齢化に伴う社会コストの抑制
国際的な競争の激化 持続可能な産業化の推進
富の集中や地域間の不平等 富の再分配や地域間の格差是正

出典:内閣府 Society5.0とは

Society5.0までの変遷

Society5.0は内閣府が提唱する未来における社会の在り方ですが、そこに至るまでどのような歴史や時代の変遷をたどってきたのでしょうか。内閣府の資料によると、Society1.0から4.0は以下のように定義づけられています。

Society1.0=狩猟社会
Society2.0=農耕社会
Society3.0=工業社会
Society4.0=情報社会(現在) 

20世紀後半に生まれたインターネットは、パソコンやスマートフォンに代表される情報機器をネットワークで接続することでサイバー空間を作り出してデータや情報を収集・管理し、サーバーやクラウドへ蓄積できるようになりました。しかし、現在のSociety4.0では、情報を分析するなど、サイバー空間の管理に必ずフィジカル空間での人間の手が介在するのが特徴です。それゆえ、少子高齢化や過疎化など人手不足という課題には対応できていない上に、ITリテラシーを向上するための必要な知識や情報も十分に共有されず、新たな価値の創出が容易ではないといった問題点があります。

Society5.0を実現するためには?

一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)は、前述の社会課題を克服し、Society5.0を実現するために欠かせない先端技術にIoTInternet of Things)、分散台帳技術(ブロックチェーン)、人工知能(AI)、ロボットをあげています。それらを活用することで、現代社会における課題を解決して新たなイノベーションを生み出し、人手不足が原因で起きている経済活動の限界から解放されるとしています。

また、Society4.0では人の手でデータの集計などの作業をおこなっていましたが、Society5.0ではSociety4.0で課題となっていた人手不足を解消するための技術力の向上と、それに伴う影響や変化を受け入れることで実現されるとしています。

 

Society4.0からSociety5.0への変化

デジタル化する働き方で変わる世界と従業員の行動

Society4.0 Society5.0
効率重視から解放 価値を生み出す社会
個性の抑圧からの解放 多様な人々が多様な才能を発揮できる社会
富や情報が集中した格差からの解放 いつでもどこでも機会が得られる社会
自然災害、サイバー攻撃など不安からの解放 新たな社会基盤で強靭性が高まり、安心して暮らせる社会
地球環境への負荷が大きな資源多消費型からの解放 持続可能な社会で人と自然が共生できる社会

出典:一般社団法人 日本経済団体連合会 Society5.0 –ともに創造する未来

SDGsとは?Society5.0との共通点は?

風力や太陽光で発電してサステナビリティに貢献しているイメージ

SDGsの特徴

SDGsSustainable Development Goals)とは、20159月の国連サミットで採択された「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会実現のための、17の開発目標と169のターゲット、232の指標のことです。この前身に2001年に採択されたMDGsMillennium Development Goals)があり、MDGsは8つの開発目標と21のターゲット、60の指標と対象が発展途上国の社会実現に対し、SDGsはそれを地球上すべての国における社会実現が対象という違いがあります。SDGsの社会実現はいつまでにするのかというと、2030年を達成の期限としています。

SDGsの特徴は、以下の5つです。

普遍性 先進国を含め、すべての国が行動
包摂性 誰一人取り残さない
参画型 すべてのステークホルダーが役割を持つ
統合性 社会・経済・環境に統合的に取り組む
透明性 定期的にフォローアップ

SDGsとSociety5.0との共通点

Society5.0の策定は、SDGsが基盤になっています。国連におけるSDGs採択後の2016年に日本政府はSDGs推進本部を設置し、「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針」を策定しましたが、その戦略の柱となっているのがSociety5.0です。また、SDGs推進本部は、201912月にSDGs実施方針を改定して「アクションプラン2020」を公表しましたが、政策の柱の一つが「SDGsと連動する『Society5.0』の推進」です。

Society5.0は、ビジネスと科学技術イノベーションにおける取り組みと連動しています。ビジネスでは、企業経営におけるSDGsの目標達成を目指した取り組みそのものやESGといわれる環境、社会、企業統治への取り組みに着目した投資方法は17のゴールをすべて包含するもので、他にもイノベーションではスマート農林水産業はSDGsのゴール2「飢餓をゼロに」、Society5.0を支えるICT分野の研究開発やAI、ビッグデータの活用推進はSDGsのゴール9「産業と技術革新の基盤をつくろう」のゴールを目指しているものといえます。このように、Society5.0を実現することはSDGsを達成するための手段ともいえることから、経団連ではこの取り組みを「Society5.0 for SDGs」と掲げています。

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Society5.0実現へ向けた取り組み事例

デジタルと人間がうまく連携しようとしているイメージ

長崎県の物流と医療現場での取り組み

長崎県では、20209月に「ながさきSociety5.0推進プラットフォーム」を立ち上げ、IT企業、大学、金融機関、市町と有識者の連携体制を構築しました。

また、ICTの利活用による実証実験も実施しており、その中には無人ヘリコプターを活用した離島地域への医療物資や日用品の物流体制を確立しました。医療においては、離島を多く含む長崎県では、県民の住所にかかわらず平等に専門外来を受診することは容易ではないですが、メガネのレンズにあるディスプレイにデジタル情報を表示させるスマートグラスや、高画質の4Kカメラ映像を介して、画像の細かい部分の確認が多い医療現場での遠隔サポートの実現に向けた取り組みもなされています。
こうした取り組みは、前述したSociety5.0の「格差からの解放」やSDGsが提唱する「誰一人取り残さない」社会の実現を目指すものです。

DX銘柄に選定された電機メーカーA社:DX銘柄のグランプリ

DXとはデジタルトランスフォーメーションの略で、経済産業省の定義では「データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」をいいます。
DXも高度なデジタル技術の融合を掲げるSociety5.0の基盤になりますが、その推進を加速するために東京証券取引所と経済産業省が共同で「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」を選定し、20226月に2社のDXグランプリ、33社の選定企業、15社のDX注目企業が発表されました。

この事例での大手電気メーカーA社は、2021年のDX銘柄に選定されました。「Lumada」と呼ばれる顧客データから価値を創出し、デジタルイノベーションを加速するためのソリューション、サービス、テクノロジーにより、社内外で新規ビジネスを創出するなどの取り組みが評価され、DX銘柄2021では「DXグランプリ2021」に選ばれました。DX銘柄には、ESGの視点からもSociety5.0を実現してSDGsを達成するための活躍を期待が込められています。

ESGを意識して取り組む精密機器メーカーB社:ESG

Society5.0実現のためには、経済の発展と社会が抱える課題解決に加えて環境への配慮という視点が欠かせません。この3つをあわせるとESGになり、日本政府の「SDGsと連動する『Society5.0』の推進」にESG投資の促進が盛り込まれています。

例えば、電子部品や半導体を取り扱うB社では、主力事業であるオフィス向け複合機の商品設計からリサイクルに至るまで、環境への負荷を抑えるための工夫をしてCO2排出の削減を目指しています。また、社会課題を意識した取り組みとしては、女性やベテランの活躍推進や男性の育児参画支援など、多様な価値観や働き方を受け入れる勤務制度の確立へ向けて積極的に取り組んでいます。

ロボットを活用してダイバーシティの推進に成功した情報通信企業C社:SDGsゴール8

大手情報通信企業のC社では、遠隔操作型の分身ロボットを活用して20207月より障がい者による受付業務を本格的に導入しました。ICTを活用することで、外出困難な障がい者のオンライン就労が可能になり、障がい者の社会進出のサポートとコロナ禍での非接触対応による経済活動活性化の両立が実現しました。

先進技術を導入して従業員の安全を守る総合化学メーカーD社:SDGsゴール8

大手化学メーカーのD社は「安全はすべてに優先する」という経営方針の実現を目的として従業員が安心して働ける職場づくりを目指しています。例えば、プラントの状態を監視するためにAIを活用した設備異常の検知システムやドローンによる設備点検、高機能カメラによるガス漏洩検知システムの導入を各工場で実施するとともに、IoTAI、ビッグデータや画像の解析技術を活用して生産性の向上と工場勤務での従業員の保安に取り組んでいます。また、これらの機器や技術を使用した研修を実施し、安全に工場を稼働させることができる人材を育成しています。

ルーティンワークのソリューションを開発したITサービス企業E社:SDGsゴール8

ビジネスソリューションを提供するITサービス企業E社では、小売業界で顕在化している人手不足を解決するために、店舗で働く人がこれまで実施していた品切れ確認や売価リストの作成、棚卸の実態確認などをAIによる画像認識とロボティクスによって自動化するサービスを開発し、店舗の営業時間外や深夜に実施しました。これにより、商品に対する新たな価値提供の企画やデジタル化が進んでいない業務についてはこれまでどおり従業員がおこないますが、デジタル化されたルーティンワークはロボットがおこなうことで従業員の業務負荷を軽減し、人手不足も解消されました。

まとめ

Society5.0は現在より高度なデジタル技術を活用した次世代の社会を目指して推進されていますが、経済活動の発展と社会が抱える課題の解決にSDGsの視点抜きには成り立ちません。前述しましたが、SDGsを達成するためにはSociety5.0の実現が必要ですので、それぞれの考え方の本質を理解し、経営方針や業務プロセスに反映させる工夫や社内教育がますます必要になっていくでしょう。
しかし、社内教育は、すべての従業員へ一律に教育することはおすすめしません。事前に従業員のデジタル技術等に関する知識レベルを確認して、そのレベルに合った教育が効果的です。

ベネフィット・ワンが提供する「ベネフィット・ステーション」は、約140万件以上のさまざまなサービスを擁し、地域・世代間格差なく平等に利用可能な次世代型福利厚生サービスです。従業員の役職に応じたeラーニングもありますので人材育成にも効果を発揮します。そして、福利厚生の充実は、エンゲージメントの向上と離職率の低下に繋がります。

ベネフィット・ステーションを導入すると無料で利用できるデータ活用プラットフォーム「ベネワン・プラットフォーム」は、点在する人事情報を一元管理し可視化することで、従業員の情報を容易に整理・把握することが可能です。また、従業員に対してサーベイも実施できますので、例えばデジタル技術に関する知識のチェックを実施することも可能です。

どのような環境下にあっても、事業を継続するためには企業と従業員双方の意識や行動を変革し、ともに成長し続けることが必要です。Society5.0を実現するためにも企業として変化を受け入れ、SDGsが目指している「誰一人取り残さない」教育を従業員へ実施して変化することで得られるメリットや価値を実感できる職場環境と働き方を目指しましょう。

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