組織分析とは何か?その理論と組織の確実な改善につなげる考え方
企業を持続的な成長へつなげるためには組織全体を客観的に把握する必要があります。その際に用いられる組織分析は、組織開発を進める上でとても重要な前提となります。また、企業にストレスチェックが義務付けられた近年では、こうした方法を併用することでさらに精度の高い組織分析ができるようになりました。
今回は、企業の客観的把握に欠かせない組織分析の特徴や、同時に用いられることの多いストレスチェックについてわかりやすく解説します。
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組織分析とは
組織分析とは、企業における問題などを洗い出すために米国の経営コンサルティング会社マッキンゼーの提唱する7つのフレームワークなどを通して組織の全体像を把握することです。この7つのフレームワークは、ハード面の要素3つとソフト面の要素4つから構成されています。つまり、組織分析を通して強い企業を構築するためには、ハードとソフトの両面から弱点を補いあうイメージで改善などを進める必要があります。
組織分析のフレームワーク「7つのS(7s)」
組織分析に用いられる7つのフレームワークには、それぞれに意味や特徴があります。ここでは、7つのSについて1つ1つ概要を説明していきます。
戦略(Strategy)
市場や業界内における競争優位性を確保し、事業実績を上げる方向性や目標を策定することです。そのためには、会社の強みと弱みの状況を把握した上で、成長性の高い事業ドメインに資源を集中させていく必要があります。
組織(Structure)
会社の組織を構成する従業員の能力や実績、経験などを把握した上で、各自の潜在的な能力を最大限に発揮できるように適材適所の人材配置や役割分担を明確にすることです。この作業には職場の環境調整も含まれます。
システム(Systems)
自社の経営戦略を円滑に推進するために、マネジメントシステムの分析や構築をすることです。お客様や市場のニーズに迅速な対応をするためには、会社側の意思決定を効率的に行えるシステム運営を考える必要があります。マーケティングの仕組みづくりもこのステップで行われます。
スキル(Skills)
自社における得意分野の特許や技術力、ジャンルなどを把握することです。グローバル化しつつある市場でライバルとの競争に打ち勝つには、会社の長所であるスキルを多面的に活用して自社の成長につなげる必要があります。
人材(Staff)
人材育成や人材教育が効果的に行われているかと言うことです。このポイントにおいて分析と改善がうまくいっていると、企業成長を妨げる優秀な人材の離職や従業員がなかなか成長しないことによる世代交代の問題なども解消しやすくなります。
スタイル・文化(Style)
経営陣や管理職における業務に対する価値観や姿勢のことです。これらは、企業における風土などとも大きく関連する重要ポイントです。例えば、経営者のリーダーシップがトップダウン型とボトムアップ型のどちらであるか把握するだけでも、目指すべき経営スタイルは変わってきます。
企業がスムーズに成長を遂げるためには、社内で仕事における価値観やビジョンが共有されているかも大変重要です。このポイントが高い会社は、各従業員が企業理念やスローガンを理解することで目的意識を持って協力や連帯ができる傾向があります。
SWOT分析との違い
7sと比較されることの多いSWOT分析は、組織などの内部環境と組織を取り巻く外部環境の両方から分析を行う手法で、どちらかと言えば現状から将来までの分析をする際に適した考え方です。
これに対して、社内に限定したフレームワークとなる7sは、自社の現状分析だけでなく独自の改革案の構築にも使える手法です。多角的な企業分析をする際は、7sとSWOT分析を組み合わせて使うことがおすすめです。
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組織分析とともに行われるストレスチェックとは?
労働安全衛生法の改正にともない2015年よりスタートしたストレスチェックは、組織分析に役立てやすい制度です。
ストレスチェックの目的
ストレスチェックにおける本来の目的は、鬱などのメンタルヘルス不調を未然に防止するために従業員自身が自分のストレスの状態を把握し、以下のような早期の対処や改善をするよう促すことです。
・ストレスをためすぎないように対処する
・ストレス状態が高い場合、医師の面接で助言をもらう
・会社側で仕事量の軽減などの措置を講じる
・会社側で職場環境を改善する
ストレスチェックの導入義務
この制度では、50人以上の労働者がいる事業場に対して、年1回すべての人にストレスチェックを行うことを義務付けています。ただし、以下の条件に該当する従業員は、チェック義務の対象外です。
・契約期間が1年未満の労働者
・通常の所定労働時間の4分の3未満しか働いていない短時間労働者
ストレスチェックの集団分析は努力義務
ストレスチェック制度では、実施者に部課やグループ単位での集計・分析をしてもらう集団分析を企業における努力義務にしています。例えば、質問票の項目ごとに平均値などを算出や比較をすれば、その部署で働く従業員にどんな傾向のストレスがかかっているか把握もしやすくなります。
ただし、集団規模が10人に満たない場合は容易に個人特定ができてしまいますので、全員の同意が得られない限り結果の提供は受けられません。ですから、基本的には10人以上の部や課などを集計対象とするのが理想とされています。
集団分析で組織の問題点を洗い出す
国が推奨するストレスチェックの質問票には、働きやすい環境かどうかの判断につながる以下のような内容が並んでいます。
・仕事量
・仕事のペース
・意見の反映
・作業環境
・適性
・技能や知識の活用
・働きがい など
こうした項目の集団分析を行えば、従業員における仕事への満足度も把握しやすくなります。ストレスの原因には、組織がうまくいっていないことも大きく関係しています。ネガティブな項目にチェックをする人が多い場合は、それが潜在的な不満や離職要因になっている可能性もあります。
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組織分析を活かすためには
ここまで紹介した7sやストレスチェックを企業の組織分析に活用する場合、以下のポイントに注意をして作業を進める必要があります。
分析結果を具体的な施策につなげる
まず、組織分析をする上で最も大切なのは、7sなどの視点で調査分析した結果を経営陣や管理職の誰もがわかるように可視化や共有化することです。そうすると、そのデータを確認した部下から具体的な解決案などを引き出しやすくなります。
また、どんなに効果的なフレームワークを使っていても、ただ分析をしただけでは企業の成長は見込めません。この理由から7sやストレスチェックなどを用いた調査分析などを行った後は、必ず何らかの形で明確な行動指針を打ち出すようにしてください。
職場や企業全体の環境を改善
企業における本質的な問題を解消するには、場当たり的なものではなく包括的な改善策を実行する必要があります。例えば、ストレスチェックの集合分析で「時間内に仕事が処理しきれない」の回答が多かった場合、チームの作業人数や工期を見直すだけでは場当たり的な対応となってしまいます。
こうしたときには、従業員に多くの負担がかかる根本的な原因に着目した上で、今ある資源に依存するのではなく優秀な技術者の新規採用などを検討してみても良いかもしれません。
個々の従業員のウェルビーイングと成長がすべての基本
組織分析を会社の成長に結びつけるためには、「組織」ばかりに目を向けるのではなく「個々の従業員」の力を引き出す施策も必要です。各従業員がストレスなく幸福感に満ちて働ける環境が整うと、人材育成や人材教育などの効果も高まりやすくなります。また、こうした施策によって高まった個々の能力は、強い組織構造をつくる上でも非常に役立ちます。
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組織分析は従業員の長期的な成長を見据えて
この記事では、組織分析で一般的な7つのフレームワーク(7s)の一覧と組織分析でよく活用されるストレスチェックについて紹介しました。
【この記事のまとめ】
・組織分析とは、組織の全体像を分析することで問題などの改善につなげる取り組みの総称
・7つのフレームワーク(7s)はマッキンゼーが提唱する視点で、一般的な企業の客観的な組織分析に用いられる
・組織分析には、ストレスチェックの結果と合わせて活用することがおすすめ
従業員の長期的な成長を見据えた組織分析を成功させるには、7sで洗い出した傾向や問題に対して働く環境づくりに携わるすべての担当者が確認できるように「見える化」することが必要です。そこで、ベネフィット・ワンが提供するデータ活用プラットフォーム「ベネワン・プラットフォーム」の活用がおすすめです。
ストレスチェックはベネワン・プラットフォームのWeb上でも実施可能で、ストレスチェックの結果をはじめ健康診断の結果や人事評価、目標設定など社内で点在している人事データを一元管理や可視化できますので、人事部門のDX化の実現をもたらします。
ベネワン・プラットフォームでは、従業員1人ひとりのコンディションの変化を見える化し、個々の従業員のスキルやマインドを可視化したい場合の多様な情報分析機能があります。組織分析には大変有効ですのでぜひご検討ください。
ベネワン・プラットフォームは、総合福利厚生サービスの「ベネフィット・ステーション」を導入すると無料でご利用いただけます。
また、ベネフィット・ワンでは、従業員の健康課題を解決・支援する各種サービスがあります。ストレスチェック以外にも健診代行や特定保健指導、糖尿病重症化予防等の単体サービスに加え、中小企業向けにはこのような産業保健をまとめたパッケージサービスもありますので、ぜひご利用ください。
従業員の健康を支援するヘルスケアサービスについて
人生100年時代と言われるようになった昨今、新型コロナの影響で在宅勤務が進み、従業員の健康管理や健康促進など健康課題を抱えている企業が増えています。
ベネフィット・ワンでは、そのような健康課題を解決するサービスを多数ご用意しています。
【サービスの一例】
・健康診断の運営代行
・特定保健指導の支援
・ストレスチェックのWeb実施
・各種ワクチン接種の運営代行(新型コロナ・インフルエンザ)
・健康促進に有効なインセンティブポイントサービス
中小企業の方へは、産業保健をすべてひとまとめにしたパッケージサービスもございます。
ぜひ、下のリンクから課題を確認し、自社に合ったサービスを検討してみてください。