中小企業の約7割が人手不足を実感、企業担当が今から取るべき対策とは
人があふれていた時代が終わり、少子化が進む現代では人材不足が問題となっています。
そして、今後は人口が減少するだけでなく、現役世代である生産年齢人口の割合が減っていくと推計されています。
※出典元:中小企業庁公式ホームページ|2018年度版「中小企業白書」年齢別人口推計の推移
特に中小企業においては、すでに人材不足を感じている企業が70%を超えているという調査結果もあります。
※出典元:中小企業アンケート|中小機構による平成29年アンケート 人手不足を感じているかの調査
「優秀な人材を確保できない」、「人材が育つ前に辞めてしまう」などの悩みを抱える人事担当者も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、中小企業の人事ご担当者に向けて、人材不足を解消するための施策をご紹介します。
福利厚生のアウトソーシングについて 福利厚生の充実は、従業員満足度を向上させ、採用や離職防止にも役立ちます。 総合福利厚生サービス「ベネフィット・ステーション」は ・140万件以上のサービスが利用できるため、年齢や性別関係なく、従業員の多様なニーズに応えることができる ぜひこの機会にご検討ください。
・福利厚生会員数は業界最大の1,613万人(※2024年4月現在)
・「福利厚生」「健康支援」「教育・研修」をサポート
目次
中小企業の人材不足の原因
中小企業の人材不足は、人口減少だけが問題とは言えません。好景気感がないままに求人倍率だけが高くなっているという現状や、大企業との採用競争に負けてしまっているという問題があります。
労働力人口は減少していない
前述のとおり、生産年齢人口は減りつつあります。しかしその一方で、労働力人口は減っていないという統計もあります。
労働力人口とは
労働力人口とは、通学・家事・高齢などの事情により全く働けない人を除いた15歳以上の人口のことです。
労働力人口には完全失業者や、休業者や非正規職員、兼業主婦、学生のアルバイトなども含みます。
そしてこの労働力人口は、現在でも緩やかにではありますが、増加しています。共働きの増加や定年延長などで高齢になってからも働く人が増えた影響と考えられます。
※出典元:総務省統計局2018年労働力調査 労働力人口(男女計)の推移
働く女性は増加
また、就業率の推移をみると、特に働く女性が増えていることがわかります。2018年には女性の就業率は69.6%と大幅に高まっています。
※出典元:総務省統計局|2018年労働力調査 15~64歳の歳の就業率の推移
働く高齢者は緩やかに増加
高齢者の就業率も緩やかに上がっています。
※出典元:総務省統計局|2018年労働力調査 65歳以上の就業率の推移
求人倍率が高い
2019年1月現在の有効求人倍率は1.63と高水準をキープしています。求人倍率は1を超えると、求人の数が求職者の数を超えているということですから、失業率は減ります。
一方で、求人倍率が高いと人材を確保したい企業側は競争が激しくなり、人材不足に陥るリスクが高まってしまいます。
バブル時代、求人倍率が高いことは好景気の証でしたが、現在はそこまで景気がよいとは言えない状況です。景気回復の感覚よりも、人材不足感を強く感じている企業も多いでしょう。
特に中小企業では、人材不足を原因とした廃業や倒産も起こっており、深刻な状況です。
※出典元:厚生労働省公式サイト|求人、求職及び求人倍率の推移 一般職業紹介状況(職業安定業務統計)
求人倍率が高いと優秀な人材は奪い合いになり、どうしても大企業へ偏ってしまいます。
より良い条件・環境を求めて離職してしまうケースもあるでしょう。
人材不足が中小企業に与えるダメージ
人材がいちど不足すると、1人当たりの作業量が増加してしまい、残業が増えるなど、職場環境が悪化していきます。
残業過多により作業効率が低下し、さらなる離職者を生むリスクもあります。
これらはすべて連鎖的に起こってしまい、悪循環に陥ってしまうのです。
マンパワーに頼りがちな中小企業では特に、人材不足への早めの対策が求められます。
中小企業の人材不足 解決策とは
それでは、中小企業における人材不足の解決策とは何でしょうか。人事制度の見直しと、中小企業ならではの補助金利用についてみていきます。
人事制度の見直し
必要な人材を獲得するためには、人事制度の見直しが急務です。
労働力人口は決して減っていないのですから、労働者に選ばれる企業になる努力が必要なのです。
勤怠管理で長時間労働を是正
中小企業で特に問題なのが、長時間労働に対するルーズさです。働く意欲はあっても残業が多い職場では働けない、という労働者は多く存在します。
過度な長時間労働を是正することで集中力が持続し、生産性の向上につながることが期待できます。
ツールの導入やアウトソーシングの活用で、一人一人の作業効率を上げていくこともできるでしょう。
休暇制度の充実でやる気をキープ
中小企業では、大企業に比べて休暇が少ない、というイメージもあり、敬遠されがちです。完全週休二日を導入していない中小企業も多く存在します。
リフレッシュ休暇など、さまざまな休暇制度を取り入れることで、従業員のやる気をキープでき、企業の魅力もアップします。
また、有給休暇については、労働基準法の改正により年10日以上有給休暇が付与される労働者に対し5日以上の有給取得が義務付けられました。(2019年4月より)
有給休暇の義務化については、「5分で分かる「有給休暇義務化」担当者が知っておきたいこと」の記事で詳しく紹介しています。
柔軟な働き方を提示
「短時間や在宅なら勤務できる」
「サテライト勤務なら就職したい」
「長期休暇をもらえるなら復職したい」
このような事情があり、働けるのに働いていない優秀な人材は多数存在します。
柔軟な働き方を提示することは、費用もあまりかからない上に、労働者も納得しやすい解決法です。
福利厚生の充実
福利厚生の充実も、人材不足対策として有効です。給与以外の面でメリットを受けられることは労働者にとってお得感があり、企業に対する満足度が上がりやすいものです。
企業側は、コスト以上の効果を得られる可能性が高いというメリットがあります。
中小企業におすすめの福利厚生は、「福利厚生で優秀な人材を確保!中小企業が導入すべき福利厚生3選」の記事でご紹介しております。
賃金の見直し
大企業並みとはいかなくとも、優秀な人材の確保にはそれなりの水準の賃金が必要です。どれだけ働きやすく、やりがいのある職場でも、あまりに低賃金では新規に人を雇うことも困難です。
賃金が職務に見合ったものか、一度検討し直してみてはいかがでしょうか。
補助金・助成金の活用
人材不足解消の施策にはコストがかかります。中小企業ではこの費用の捻出が困難という場合も多いでしょう。
ここでは、中小企業が利用できる補助金や助成金を紹介します。
IT導入補助金
中小企業や小規模事業者のITツール導入を支援するのが「IT導入補助金」です。
IT導入補助金では、経済産業省がITツール導入費用の一部または全部を負担します。
補助金ですので審査があり、申請しても必ずしも交付を受けられるとは限りません。しかし2019年度は最高で450万円の交付が受けられるなど、そのメリットは大きなものです。
作業の効率化を図り、残業を是正するためにツールの導入を検討されている企業は多いでしょう。ツールを導入する場合、問題となるのはそのコストです。IT導入補助金への申請を検討してみてはいかがでしょうか。
※出典元:中小企業庁ホームページ|平成31年度中小企業対策関連予算 IT導入補助金
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するための助成制度です。
助成金ですので、要件を満たすことでほとんどの場合受給できます。
認定されるための主な要件は、非正規雇用労働者の処遇改善や正社員化ですが、ほかにも多彩なコースが設定されています。
同一労働同一賃金の実現とともに、非正規雇用労働者の正社員化に取り組むことで人材不足の解消へつなげることが期待できます。
両立支援等助成金
両立支援等助成金は、女性が働きやすい制度導入を支援するための助成制度です。
両立支援等助成金には「出生時両立支援コース」「育児休業等支援コース」「再雇用者評価処遇コース」などのコースがあり、出産や介護をしても働き続けられる環境作りに取り組んだ事業者に対して交付されます。
女性が働き続けるという選択をしやすくすることで、優秀な人材を確保し、離職者を減らし、人材不足の解消につながります。
業種ごとの人材不足問題
次に、業種ごとの人材不足問題についてみていきます。
介護業界の人材不足
介護業界の人材不足も深刻です。業界へのネガティブなイメージも根強くあり、新規雇用も困難な状況です。
介護業界の人材不足については、「介護業界の人材不足|深刻化するその原因と対策について解説」の記事で詳しく解説しています。
タクシー業界の人材不足
タクシー運転者の人材不足や高齢化も問題となっています。長時間労働のイメージが強く、賃金水準が低いという問題もあります。
タクシー業界の人材不足については、「タクシー業界の人材不足|業界の現状について解説【事例付き】」で対策事例を交えて紹介しています。
非正規雇用労働者の待遇改善
次に、非正規雇用労働者の待遇の問題についてみていきます。
働き方改革関連法にも含まれている「同一労働同一賃金」ですが、その認知度は低いようです。
日本・東京商工会議所が実施した「働き方改革関連法への準備状況の調査」では、47.8%もの中小企業が、その内容を知らないと回答しています。
※出典元:日本・東京商工会議所「働き方改革関連法の準備状況等に関する調査」集計結果 、働き方改革関連法の認知度
同一労働同一賃金とは、同じ職務についているにも関わらず、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間に大きな待遇差がある現状を是正するため、非正規雇用労働者の待遇改善を図るものです。
非正規雇用労働者とは、有期雇用の労働者やパートタイムで働く労働者、派遣社員をさします。
非正規雇用労働者は人材不足の中小企業を支える重要な存在です。同一労働同一賃金についてしっかりと理解し、実践することで人材不足を解消したいものです。
しかし一方で、非正規雇用労働者の待遇を上げることで企業のコストが大幅に増加してしまうという懸念もあります。
非正規雇用労働者の待遇を上げるのが目的ですので、正規雇用労働者の待遇を下げてはいけないのですが、現実的には難しいケースも多いでしょう。
同一労働同一賃金については、「同一労働同一賃金」の本質とは何か?でも詳しく解説しています。
中小企業の人材不足対策事例
人材不足へ対応するため、各企業ではさまざまな対策がとられています。
今回はその中でも、中小企業・小規模事業者の人手不足対応研究会が事例集で発表している2社についてご紹介します。
同一労働同一賃金制度の導入で離職者がゼロに
※出典元:株式会社OZ Company
問題となっていたこと
福岡を中心に企業内保育施設・病院内保育施設・サービス店舗内保育施設の企画運営などを行う株式会社オズカンパニーでは、離職率の高さや、保育サービスの質の低下が問題となっていました。
2012年度の離職率は44%と、保育業界の平均である12%を大きく上回っていました。
対策の内容
- 同一賃金同一労働制度の導入
フルタイムとパート社員の待遇の格差を是正するだけでなく、「日替わり園長制度」などユニークな施策も実施。
- ITツールの導入
ITツールの導入により必要な情報を各スタッフが自分で確認でき、一部在宅勤務も実現。
- 働き方改革の実行
「残業ゼロ」「有給完全消化」をめざし「代替えスタッフ」を確保した。また、会社理念の達成のため、そのビジョンを明確化し全社員に伝えた。
対策による効果
- 2015年度離職率はゼロに
離職率がゼロになり、新たな人材確保も容易になった。
- 働き方改革によりサービスの質が向上
サービスの質が向上し、口コミにより園児数が増えた。
会社名:株式会社OZ Company
創業:2008年
従業員数:50人
所在地:福岡県福岡市
URL:http://www.oz-com.jp/
女性やシニアが働きやすい職場づくりの実現で人材が定着
※出典元:共和電機工業株式会社
問題となっていたこと
創業70余年、製造業を営む共和電機工業株式会社は、新卒者の採用が難航し即戦力である高卒男子の採用が困難な状況でした。さらに女性社員が出産、育児などで退職するため定着にも課題がありました。
対策の内容
- 女性の積極採用
高卒女性の採用、女性の職域の拡大。
- 女性が働きやすい環境を整備
育児休業を3年取得可能に。子供が小学3年を終了するまで短時間勤務を可能に。子供の夏休みに合わせた短時間勤務も認めた。さらに妊婦向けの健康相談室を設置。
- シニア・パパ向けの取り組み
孫の世話などのために利用できる短時間勤務制度、夫婦協力して子育てを行うことへの理解を深めるために「イクメン日記」を社内報に掲載。
対策による効果
- 結婚・出産・育児などのライフイベントによる離職者がゼロに
- 従業員満足度の向上
- 60歳前後の短時間勤務制度の満足度も高い
- 大卒女性の採用にもつながった
会社名:共和電機工業株式会社
創業:1946年
従業員数:245人
所在地:石川県金沢市
URL:http://www.kyowad.co.jp/
人材不足対策はできるものから一歩ずつ
中小企業が実践できる人材不足対策は多数あります。
「離職率が高いなら、離職率を下げる施策を」
「新卒者の採用が困難なら、女性やシニア採用の拡充を」
それぞれの企業に合った対策を、無理のないものから少しずつでも行っていきましょう。
バブル期などの好景気による人手不足問題と違い、現在の中小企業の人材不足は待っていても改善しません。
早めの対策で負の連鎖を防ぎましょう。
少額投資で人材不足を解消
福利厚生サービス ベネフィット・ステーション
今や全業種の企業において65%以上が深刻な人材不足と言われています。人材不足の悩みの多くは、以下のようなものです。
・福利厚生などの待遇による満足度が低く、既存の社員が転職するなど人材の流出が止まらない
・中小企業は企業独自としてのアピールポイントが少なく、新しい人材の確保に苦戦する
人材不足を解消するには、新規採用で社員を増員または既存社員の離職を減らすかのいずれかの方法しかありません。その解決策として、福利厚生の充実に注目が集まっています。
なぜなら賃金を上げるよりも安価に拡充できるからです。
総合福利厚生サービス ベネフィット・ステーションの特徴
・東証プライム上場企業の62.2%(2022年4月現在)が導入済み
・140万件を超える優待サービスから自分にあったものが選べ、幅広い年代層/多様なニーズに対応可能
・従業員1人あたり1,000円(税抜)~で、健康支援、教育支援も合わせて対応可能
中小企業であれば、最短2週間で大企業と同等レベルの福利厚生の導入が可能です。
導入の手続きも簡単で、導入後も従業員が企業担当者を介さずにサービスを利用できるため、事務作業はほとんど発生しません。
ぜひこの機会に福利厚生制度の拡充を検討していきましょう。