自己成長とは?自己成長を促す3つの方法と4つの注意点
この記事のまとめ
・自己成長は「成長する意思」が介在する成長である
・近年では副業や趣味の分野に自己成長の場を見出すケースも増えている
・年功序列制度の中で、自己成長のモチベーションは上がりにくい
・賞与の一部を成果報酬とすることや、副業を認めることも経営戦略の上では重要
・モチベーションが低い社員は上司と共に、現状の把握や目標、改善策の立案がおすすめ
・自己成長は目的でなく手段であり、不完全でも積極的にアウトプットすることで成長に貢献
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自己成長とは
自己成長の定義
自己成長とは、「自らの努力で成長すること」を指します。成長の必要性を認識し、成長する「意思」があることがポイントです。「主」を軸とする点は自律型人材と同様で、自己成長の促進と自律型人材の育成には多くの共通点があります。
自律型人材を構成する要件
1. 自発的に仕事に取り組む |
自己成長の類語と反語
自己成長の類語は、自己研鑽や自己練磨です。いずれも自らの意思で修練を積んで成長を目指すことを指します。成長の反語には「衰退」や「後退」が挙げられます。
自己成長と成長(発達)の違い
「自己成長」と「成長」を区別する明確なポイントは、自らの努力(意思)の有無によります。例えば、身長が伸びるなどの身体的な成長は、自らの努力(意思や意識)に関係ない「成長(発達)」ですが、英語が苦手な人が自分自身の行動で英語の発音練習を繰り返し、発音レベルが上達した場合は自己成長といえます。
人事評価制度と自己成長
成長は目的ではない
自己成長は手段であり、目的ではありません。「面接で英語による自己PRを課されたため、英語の発音を上達させたい」という就活生を例にすると、自己成長は目的(企業への入社)を叶えるための手段(英語の発音の上達)です。
また、近年は日本企業への就職を目指す留学生が増えていますが、日本語の習得度やそのプロセスを面接で確認し、その情報から入社後に自己成長の再現性を確認する企業もあります。
就職活動において、エントリーシート(ES)の志望動機に、「自己成長ができそうだから」と記載する就活生がいますが、前述のとおり自己成長は目的ではなく手段ですので、企業側では自己成長の目的を確認・評価することをおすすめします。
年功序列制度下の自己成長
仕事における自己成長の目的が、「成果を正当に評価してほしい」「出世して広い権限を持ちたい」「収入を上げたい」等の場合、年功序列制度下では一般的に成長意欲が低下します。
成果主義の下での自己成長
近年、年功序列制度の限界と、成果主義を採用する企業の増加を示すレポートやニュースをよく見かけるようになりました。成果主義であっても社員の能力やスキル、思考性を考慮した配置配属をおこなわなければ、将来へ向けた自己成長のベクトルと環境がマッチせず社員のモチベーションが低下してしまいます。
しかし、自己成長のベクトルと環境がうまく噛み合わなかった社員のフォローや振り返りを適切におこなうことで、成果主義のデメリットを補うことができます。特に、成果主義を取り入れて間もない時期は、過去のBAD事例を整理するフォーマットを用意し、ノウハウを蓄積することをおすすめします。
成長意欲の低下とその対策
社員の成長意欲の低下は、「業務効率の低下」や「離職率の増加」、ひいては「業績の低下」に繋がります。一般的な対策として、ボーナス査定を部分的に成果連動にすることや、副業や柔軟な働き方を認めるなどの方法が挙げられます。
副業や趣味の世界での自己成長
ワークライフバランスの充実と副業解禁
ワークライフバランスの注目度が日々向上するにつれて、セミナー等も多く開催されています。また、以下の調査レポートのとおり、副業解禁にともない若い世代を中心に副業意向が強くなっています。このような社会変化を背景に、趣味や副業に自己成長の場を求めるケースも生まれています。株式会社リクルートキャリアの調査レポート「【*新設計版】兼業・副業に関する動向調査(2020)」では、兼業・副業実施中+再開予定と兼業・副業を実施してみたい人は、20~60歳以上の平均で56.8%に対して、20~24歳のみに絞ると61.8%、25~29歳では64.9%、30~34歳では69.1%と平均を上回っています。
コト社会化にともない、個が『意味がある』と思うものに『価値がある』」時代において、多様性の尊重は企業経営の上で重要です。ニュース報道でも、 「アフターコロナでもリモートワークを認める」、「社員の副業を認める」という企業をよく耳にします。
また、個が自由に情報を受発信できることで、これまで仕事とは結びつきにくかったフリーターの趣味や特技に多くの共感が生まれ、ビジネスになる可能性も膨らみ、仕事とプライベートの区別が曖昧になることで、「フリーター」という考え方や概念そのものも揺らいでいます。
社員の自己成長のフィールドが企業の外であることはリスクか
趣味や副業に自己成長の場を求める社員を抱えることで、本業への成長意欲は低下しないのでしょうか。この質問に対して、国内大手通信業の営業副部長にお話を伺いました。
-本業以外の場に自己成長のフィールドを求める社会人が増えています
「会社に全てを捧げる」のは難しい時代です。私のチームにも副業をしたり、週3日勤務の社員がいます。私が若い頃は「遅くまで働いて、出世して、よりお金を稼ぐ」ことがモデルでした。そのために英会話やITリテラシー向上セミナーに通ったりMBAの取得を目指したりしましたが、今では会社に人生を捧げる人間はマイナーで人生の一部として「働くこと」や「会社」を位置付けています。 |
-会社で自己成長を目指さなくなることは、会社にとってリスクではないでしょうか
会社へのコミットが薄れるリスクはありますが、一方で時流に逆らって「ワークライフバランスも副業も認めない」とすれば、社員のモチベーションは下がり、求職者も集まらず、離職リスクが高まります。会社が時代の変化を「制度的」にも「マインド的」にも尊重すればメリットも生まれます。 |
-具体的にどのようなメリットがありますか
例えば、週3日勤務の社員は「お金はそれほど必要ないので、趣味に費やす時間が欲しい。」という希望のもとで残業せずに帰ることがモチベーションとなり、仕事はとても早くかつ丁寧です。当該社員は意思疎通を効率化(円滑に)する為に、関連部署の有志が主催する業務外の勉強会に参加するなど積極性もあります。また、趣味の強みが仕事に生かせる点もメリットです。 |
このように、趣味や副業は自社の業務以外にも自己成長の場を求める社員の意思を尊重することで、その成長意欲が自社にも好影響を及ぼす可能性があります。
自己成長の場を見出せない社員への3つのアプローチ
ここでは、モチベーションが低い部下に必要な上司のアプローチ例を紹介します。
部下の思考性と現状を理解する
成長の形は社員の数だけあります。よって、時間をかけても個別対応が必要です。例えば、知識を習得する場合、自己成長のベクトルは適切な情報源を選択する力や情報を体系的に整理する力に向きますが、経験を積む(場数を踏む)際は、積極性やコミュニケーション能力に自己成長のベクトルが向きます。
思考性や伸ばすべき能力をヒアリングする具体例としては、「得意または苦手な仕事は何か」「どういった時に気持ちがプラスへ働くのか」「キャリアプランをどう描いているのか」「会社への不満や要望は何か」等が挙げられます。面談の内容は個々でノート等にメモするのでなく、簡単な議事録として上司と部下で共有することで認識の齟齬を防ぐことができますのでおすすめです。
部下と共に目標とその解決策を模索する
自己成長・自律型人材の育成において、部下が主体性を持ち課題解決を経験することが重要です。よって、部下と共に「現状の把握・整理」、「目標の設定」、「目標達成に向けたプロセス」を設計し、上司がフォローしつつ、このフレームワークに沿って進捗を管理することで、部下が目標に向けて努力する環境を作り出します。部下が主体性を持つ上で最も重要なことは、「目標」に部下が納得していることです。目標の設定は十分な時間をかけて納得性の高いものとしてください。
また、近年では、福利厚生制度の中に自己成長支援を取り入れる企業もあります。福利厚生制度の例としては、各種セミナーやスクール費用の一部負担や、大学院進学サポートなど、お金がかかる自己成長への支援が中心です。これらをうまく併用することで、自己成長をより活性化することができます。
各フレームワーク内で改善余地を探りつつ、成功体験を得るまで伴走する
自己成長がすぐに実現することは稀で失敗はつきものです。「挫折をした」、「成果が出なかった」際は、各フレームワーク内で自己分析をします。失敗の原因を探り、改善点を模索しつつ、必要性に応じて軌道修正を図りましょう。
一方で、目標に対する成果が出ない場合でも、部分的に達成した項目があれば目標に対して挑戦した部下を必ず称賛してください。部下が見落とした小さな成長の認識や承認された実感が、モチベーションに還元されます。これらの作業は見える化することが重要で、振り返りのフォーマットを用意して経年管理をおすすめします。
自己成長における4つの注意点
自己成長において注意すべき点を4つ紹介します。
自己成長を目的化しない
自己成長が目的化すると、プランの細部に固執し、その変更に抵抗が生まれます。自己成長は「目的達成に向けて柔軟な変更が想定される」ことを確認しましょう。
(番外編)
就活や転職採用でのESや面接で「自己成長」を志望動機に挙げる志望者がいた場合は、注意が必要です。「この会社で自己成長したい」といったPR例文はよく見かけますが、反対にその志望者が会社に貢献できることを尋ねましょう。具体的な話が出てこなければ、会社を「成長の機会」としてとらえている、「お客様スタンス」の就活生・転職希望者の可能性を疑いましょう。
成長過程において自分の殻に閉じない
自己成長の勉強に没頭するあまりに他との接触を避けたり、自分に自信がないため「発信」を躊躇するケースがあります。しかし、自分以外の人間との接触により自己成長に関わる気づきを得ることや、新たな視点を手に入れることができます。意識的に発信することで反響が生まれ、その反響に成長のチャンスがあります。アウトプットはインプットと異なり、能動的かつ意識的な実施が重要です。
できなかったことだけに目を向けない
自己成長の結果がともなわない際に、つまずいた理由を振り返り、対策を打つことで成長に繋がります。しかし、できなかったことの洗い出しと対策のみでは気が滅入ってしまい、そのつらい状態がモチベーション低下の原因となります。そこで、些細なことでも成長したこと、ブラッシュアップできた強み等を上司が認め、評価の言葉をかけてあげるなどのフォローが大切です。
自己中心的にならない
自分の利益になることに固執して、他者の利益を疎かにすると人が離れていきます。また、うまくいかない、つらい状態が続くことが理由で他者にあたってしまうこともあるでしょう。自己成長においては、自分だけでなく他者からの気づきや助言も重要ですし、豊かな人生を送るためにも人間関係を疎かにしないように注意が必要です。
まとめ
今回は自己成長について、その概要や自己成長を促す方法、その際の注意点を紹介しました。自己成長のフィールドを自社に限定するのではなく、プライベートや副業にも求める社員もいますので、多様性の許容が企業には求められます。
ベネフィット・ワンが提供する「ベネワン・プラットフォーム」では、多様な人材のデータを一ヶ所に集約して可視化できるデータ活用プラットフォームです。例えば、ベネワン・プラットフォームの異動シミュレーションを活用して従業員の自己成長を可視化・分析し、従業員1人ひとりのキャリアデザインを適切に理解することでさらなる成長機会の提供が実現できるようになります。
2023年には人的資本の開示に対する法改正も予定されていますので、自社の人材が保有しているスキルや能力を自社の資本とし、新たな企業価値向上へとつなげていく人的資本経営でも人事データの集約および活用は不可欠です。
また、自己成長には、教育の機会を提供する必要も大切です。ベネフィット・ワンが提供する次世代型福利厚生サービス「ベネフィット・ステーション」には、従業員が自ら受講してスキルアップできるeラーニング講座が豊富にあり、役職やスキルに応じた学びが得られ、自己成長を感じられた従業員の満足度は向上し、離職率の防止にもつながります。前述の人的資本経営には人材育成や人材確保の観点もあり、法改正に向けた施策としてもおすすめのサービスです。
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この記事のまとめ
・自己成長は「成長する意思」が介在する成長である
・近年では副業や趣味の分野に自己成長の場を見出すケースも増えている
・年功序列制度の中で、自己成長のモチベーションは上がりにくい
・賞与の一部を成果報酬とすることや、副業を認めることも経営戦略の上では重要
・モチベーションが低い社員は上司と共に、現状の把握や目標、改善策の立案がおすすめ
・自己成長は目的でなく手段であり、不完全でも積極的にアウトプットすることで成長に貢献
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