人材育成のコストは削減すべき?費用対効果に見合う人材育成の考え方
従業員の成長につながる人材育成において、「どのぐらいの育成コストをかけるか」という適正な投資水準を決めることは、多くの人事担当者にとって難しいことでしょう。
求職者1人当たりにかかる採用コストの相場は、2022年に掲載された採用系サイト内の調査で新卒採用・中途採用ともに平均100万円前後かかるとされています。この100万円に対して、人材育成のコストを削減したいと考えている方も多いかと思います。
そこで本記事では、人材育成コストにおける評価の考え方や、適切な削減方法を詳しく解説します。
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目次
人材育成にかかるコストは削減すべきか?
人材育成にかかるコストについて考えるときには、「ヒューマンアセット(Human Asset)」という概念に基づいて従業員の位置付けを確認すると、具体的な判断をしやすくなります。
ヒューマンアセット(資産)としての人材
近年注目されている「ヒューマン・アセット・マネジメント」という概念では、雇用している従業員に以下の3つの意味を持たせることで、自社の成長に向けてどのように活用していくのかを考えていきます。
1. ヒューマンアセット(Human Asset / HA):人材を「資産」としてとらえる概念
2. ヒューマンキャピタル(Human Capital / HC):人間が持つ技能や知識を「資本」としてとらえる経済学の概念
3. ヒューマンリソース(Human Resource / HR):人材を単なる労働力ではなく、会社の資源ととらえる概念
人材育成コストは人財への投資
経済学において、資本は資産を生むために欠かせない元手です。そのため、このマネジメント法の中では、まず、企業の資本として採用した人材(ヒューマンキャピタル)に教育などをおこない、ヒューマンアセット、つまり資産化します。
育成によってアセット化に成功したら、次は個々の人材から組織力へと強化対象をシフトしていかなければなりません。このマネジメント法をうまくまわすためには、人を企業の財産と考える「人財」への投資となる人材育成コストは必要不可欠です。
投資には成果の評価も不可欠
企業が継続的かつ安定的な事業運営をおこなうためには、どんなに高い価値や魅力のある人材への投資であってもそのリターンへの評価は適切におこなわなければなりません。この作業は、今の育成プログラムがその人材に合っているかどうかの判断をする上でも、必ず定期的に実施する必要があります。
人材育成コストの費用対効果(ROI)
企業の成長には必要不可欠である人材育成ですが、そのコストはどう評価していけば良いのでしょうか。以下では、その考え方を詳しく説明します。
人材育成コストの適正化には効果の客観化が必要
企業の成長に不可欠な人材育成コストを適正化するには、教育などによってもたらされた生産性向上などの効果を客観的に分析していく必要があります。そんなときにぜひ活用していただきたいのが、企業のマーケティングなどでも使用されているROI(費用対効果)という考え方と計算式です。
ROIの意味と計算式
ROIとは、「Return on investment」の略語です。具体的には、人材育成などに投資したコストから、どれぐらいの効果が得られたのか、利益が増加したのかを表す指標となります。ROIを算出するときは、以下の計算式を用います。
ROI(%) = 「利益」÷「投資資本」(×100)
この式を使って計算した結果、100%以上の数字が出れば、投資成功ということになります。100%を下回った場合は投資の失敗となりますので、人材育成を含めたさまざまなコストの見直しが必要です。これがROIの基本的な考え方です。
客観的把握の難しい人材育成コストの費用対効果
人材育成コストの評価や分析をする上で注意したいのが、このカテゴリにおける費用対効果は客観的把握がとても難しいということです。例えば、将来のリーダー候補を対象とした勉強会や研修を実施しても、その人材が管理職にならない限り習得したマネジメントスキルが業務に活かされない可能性も発生するケースが考えられます。
したがって、基本的に人材育成にかかるコストの評価分析をするときには、教育内容や対象者によっても成果が出るまでに時間がかかることを頭に入れた上で、長期的な視点で見ていく姿勢も必要となるでしょう。
採用コストと育成コストを比較
人材教育などにかかるコストの見直しをするときには、採用コストや育成コストといった内訳で比較や評価をしていく方法もおすすめです。例えば、近年の採用活動で優秀な人材が多く入社もしくは内定した会社では、これまで強化していた採用から育成にコストをまわすことで、従業員を成長させる取り組みに予算の割り当てを増やすことができるといったメリットがあります。
また、採用ばかりに費用を使っていると教育制度など育成にかかる費用がおろそかになってしまい、離職率や定着率に問題が生じる可能性もあります。したがって、ROIを使った人材育成コスト全般だけでなく、その内訳レベルでの評価分析などをしながら採用した人材を育てる予算の立て方も必要となるでしょう。
コストを比較する際には、広告費やセミナー、人材紹介などにかかる外部コストばかりが取り上げられますが、面接対応や教育にかかる社内工数や人件費といった内部コストも合わせて十分に考慮しなければいけません。
人材レベルを損なうことのない育成コスト削減方法
人材レベルを下げずに育成コストを削減する上で大切なこととは、離職者をいかに発生させないかということです。特に、優秀な人材に多くの教育をした上で退職されてしまった場合のコストパフォーマンスは非常に悪いです。
現状、定着率が低いという問題に悩まされている場合は、過去に会社を辞めた人の退職理由やその従業員の人材育成コストにおける損失などを分析することも必要です。また、人材レベルの問題に悩まされている場合は、以下のような取り組みを実践することで解決が可能です。
エンゲージメントを可視化してコミュニケーションをとる
人事分野におけるエンゲージメントは、従業員の企業に対する愛着心や貢献しあう姿勢などを意味する言葉です。定期的なアンケートなどによって従業員の声に耳を傾けると、経営陣の知らない潜在的な離職理由なども把握できるようになります。
また、離職率の高さと関係しそうな意見を記入した従業員には、管理職などが積極的にコミュニケーションを図り、不満などへフォローと改善策を検討しましょう。そして、人事担当者や管理職は離職防止に対するノウハウを蓄積していきましょう。
インセンティブを渡す
なかなか成果が出にくく評価が難しい業種や部署の場合は、社員表彰制度やポイント制度などを利用して、従業員にインセンティブを付与する方法を導入するのもおすすめです。こうした仕組みによって日々の努力が評価されると、従業員のモチベーションが高まります。また、数字で人材評価がおこなわれる営業などの場合も、成約金額や件数以外の頑張りを評価することで不公平感や潜在的な離職理由などの問題解決にも役立つでしょう。
業務や勤怠に変化をつける(リモートワークや部署異動など)
国を挙げた働き方改革が推進される近年の日本では、リモートワークや短時間正社員などの制度を取り入れて勤務形態に変化をつける企業も多くなりました。こうした方法で働きやすい環境が整うと、育児や介護といった生活面の変化が生じても従業員は勤務形態などを変えながら長くその会社で働けるようになります。
また、エンゲージメントが低い従業員が今の部署や担当業務に不満を感じているときには、適材適所の環境で仕事をしてもらうために部署異動などの配慮をしても良いかもしれません。
人材コスト抑制の成功事例
最後に、人材育成にかかるコストに対して合理化できた好事例を3つ紹介します。
人材教育の方法を変更する
人材コストの抑制で最もおすすめなのが、今までおこなっていた人材教育を費用対効果の高いものに変えるということです。例えば、管理職向けのマネジメントスキル研修をプロの外部講師に依頼した場合、多少のコストがかかったとしても事業運営に効果的な教育ができるかもしれません。また、長期間の新人教育に多くの費用がかかっている場合は、座学の一部をオンライン学習に変えて講師の依頼にかかる料金を節約しても良いでしょう。
AI技術活用による人員配置の最適化
数理最適化技術の高いAIは、近年の企業における人員配置の分野でも活用されはじめています。このような客観性の高い技術を活用すれば、従業員の性格や経歴などから判断された適材適所のポジションに配属できます。そして、各従業員が自分に合った部署で仕事ができるようになると、離職によって生じる余計な人材コストの削減も可能となります。
人事業務のアウトソーシング化
予算やオフィススペースなどの問題で多くの従業員を採用できない場合は、毎回同様の作業をおこなう入力業務などをアウトソーシング化し、採用した人材を重要な仕事の中で成長させていく取り組みもおすすめです。
最初に外部委託する業務内容をマニュアル化しておけば、担当者が変わった場合の引き継ぎなども効率よくおこなえます。アウトソーシング化によって採用コストが減少すると、その分の予算を人材育成に注ぎやすくなるでしょう。
新しいツールやサービスも積極的に取り入れ人材育成コストを合理化
この記事のまとめになります。
・企業において人材育成コストかかるコストを削減すべきかどうかの判断は、さまざまな会社で用いられているヒューマン・アセット・マネジメントという考え方を取り入れると非常に理解しやすくなります。
・自社の人材育成コストの費用対効果を調べるときには、マーケティング分野でも多く用いられるROIの計算式を活用してみてください。
・人材レベルを損なわずに育成コストを削減するには、離職者を少なくする取り組みに力を入れる必要があります。具体的には、エンゲージメントの可視化によってコミュニケーションを図る、インセンティブを増やすといった方法がおすすめです。
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また、ベネフィット・ステーションでは、全国どこでも平等に手厚い福利厚生を提供できますのでワークライフバランスの充実を実現したり、従業員本人だけでなく家族もサービスを利用できる幅広いサービスメニューを提供していることが大きな特徴です。
これらに加えて、健康増進や健康支援など健康経営の推進に合うメニューもあり、従業員をトータルでサポートします。
さらに、ベネフィット・ステーションを導入いただくと、従業員1人ひとりのデータを可視化することにより、「個」「組織」のマネジメントをサポートするデータ活用プラットフォーム「ベネワン‧プラットフォーム」が無料でご利用できます。
人材コストの削減を実現するための効果的な方法としてアウトソーシング化を挙げましたが、株式会社ベネフィット・ワンでは福利厚生制度、健康支援、インセンティブについてもアウトソーシングが可能ですので、ぜひお問い合わせください。
少額投資で人材不足を解消
福利厚生サービス ベネフィット・ステーション
今や全業種の企業において65%以上が深刻な人材不足と言われています。人材不足の悩みの多くは、以下のようなものです。
・福利厚生などの待遇による満足度が低く、既存の社員が転職するなど人材の流出が止まらない
・中小企業は企業独自としてのアピールポイントが少なく、新しい人材の確保に苦戦する
人材不足を解消するには、新規採用で社員を増員または既存社員の離職を減らすかのいずれかの方法しかありません。その解決策として、福利厚生の充実に注目が集まっています。
なぜなら賃金を上げるよりも安価に拡充できるからです。
総合福利厚生サービス ベネフィット・ステーションの特徴
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・140万件を超える優待サービスから自分にあったものが選べ、幅広い年代層/多様なニーズに対応可能
・従業員1人あたり1,000円(税抜)~で、健康支援、教育支援も合わせて対応可能
中小企業であれば、最短2週間で大企業と同等レベルの福利厚生の導入が可能です。
導入の手続きも簡単で、導入後も従業員が企業担当者を介さずにサービスを利用できるため、事務作業はほとんど発生しません。
ぜひこの機会に福利厚生制度の拡充を検討していきましょう。