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業務効率化の実現へ、ノー残業デー導入で得られるプラスの効果

働き方改革が世間の注目を浴びる中で、大手企業をはじめ多くの企業が残業時間の削減やノー残業デーを導入する動きも増えはじめてきました。

実施してもなかなか残業時間が減らず、制度自体を使っている社員が少ない、導入したものの上手く機能していないなど、導入後も多くの企業が制度について悩みを抱えているようです。

制度の導入には、ノー残業デーを取り入れるだけではなく、導入後の制度の運用を促すことと、そのしわ寄せが特定の社員に偏るなどの問題が起きていないかを定期的にチェックする機能を設けることが重要です。

今回の記事では、多くの従業員が日々どのくらいの時間を残業に充てているのか、またノー残業デーを導入するメリット、残業時間の短縮による効果について解説していきます。

【注目】自社にとって本当に必要な福利厚生制度は?

もしもこの記事をご覧いただいている方の中で、自社の福利厚生制度についてお悩みの方がいらっしゃいましたら、まずはじめに「企業担当者必見!「福利厚生サービス」のおすすめ5選を解説」の記事をお読みください。

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残業時間の平均は?

厚生労働省が毎月公表している勤労統計調査によると、一般労働者(パートタイム労働者を除く)の平成29年4月度の所定外労働時間は月に15.2時間でした(※1)。

つまり、5日間の出勤で、1日あたりの残業時間は約45分ということになります。

週に1回ノー残業デーがある企業では、社員が翌日に朝早く出勤したり、残業を多めにしたりしてカバーしようとした場合、その日には1時間半の残業が必要と考えられます。

しかし、厚生労働省の調査では会社の雇用主が提出した資料をもとにしたレポートであるのに対し、社員の口コミを調査したサイトVORKERSのレポートによると、月の平均残業時間は47時間という調査結果が出ています(※2)。

この場合、1日の残業時間は約2時間20分にもおよぶため、ノー残業デーで定時に帰宅した場合には翌日以降へのしわ寄せがさらに大きくなることが予想されます。

残業時間は企業の業種や繁忙期、社員の役職や責任範囲などによって大きく変動しますが、上記のような調査結果に大きな差が出ることは、一部の企業においてサービス残業が横行している可能性を示唆しているとも読み取れるでしょう。

規則を守るためにタイムカードを切ってから残業をする社員や、家に仕事を持ち帰る社員がいるとも危惧されます。また、管理職は裁量労働制であるがゆえに、部下を帰宅させてから残業をしてチームの仕事をカバーするだけでなく、企業の制度によってはノー残業デーの対象にならないこともあり得ます。

このように、ノー残業デーを取り入れることで、他の勤務日にその分の仕事をするため結果的に残業時間削減にならないばかりか、一部の社員に大きな負担がかかるというリスクもあります。

ノー残業デー導入のメリット

ノー残業デーを導入する企業のメリットには、以下のようなものが考えられます。

残業代などの経費削減

労働者の健康の確保のために月に60時間を超える所定外労働時間に対して、割増賃金が25パーセントから50パーセントに引き上げられるなど、政府も長時間労働抑制に力を入れています(※3)。

社員の残業時間を減らすことで、企業は残業代やオフィスの光熱費などの経費を削減することができます。

組織の労働生産性アップ

仕事をする時間が限られていると、集中して効率的に業務をするようになるという効果も期待できます。

各社員がタイムマネジメントを行い、管理職は部下の業務配分に気を配るようになるなど、組織的に協力し合う風土や、だらだら残業することを良しとしない雰囲気ができるとも考えられるでしょう。

社員のスキルアップ

ノー残業デーに習い事や自分のスキルアップのための勉強を行う社員が増えれば、そのスキルを業務に活かすことで、会社全体の競争力のアップにつながります。

語学習得や資格取得など、意欲ある社員のスキルアップを促すことができます。

社員のリテンション効果

ワークライフバランスの充実によって、社員が健康を損なうことなく、活き活きと仕事に取り組むことができます。働きやすい職場環境を形成することは、優秀な社員のリテンションにつながるだけでなく、新規の人材採用の場合にもアピールできるポイントとなります。

このように、ノー残業デーは会社と社員双方にメリットがある制度と言えます。ただし、他の日に業務のしわ寄せがあり、社員の負担やストレスが増えるようでは意味がありません。社員がメリットを享受できるような制度になっているかをチェックしながら運用する必要があるでしょう。

残業時間の短縮効果は?

厚生労働省が調査した時間外労働削減のための取り組みに関するアンケート結果によると、60.3パーセントの企業が実際にノー残業デーを導入したと回答しています(※3)。

労働時間グラフ
※引用:厚生労働省受託事業|時間外労働削減の好事例集

1週間に1度ノー残業デーを設けるのと、毎日残業時間を少しずつ減らすとのとではどちらがより効果的でしょうか。

無理にノー残業デーを押し付けられるよりも、日々の残業時間を減らすほうがやりやすいという人もいるかもしれません。組織にとっても、そのほうが理想的と考えられます。

会社に言われなくても、社員一人ひとりが自立して時間管理をし、無駄な残業をせずに効率的に業務をこなすことができれば、ノー残業デーを導入する必要はないからです。

とはいえ、企業の業務方針や組織文化を変えることは容易ではありません。上司がまだ会社に残っているからという理由で部下が「帰りづらい」と感じる職場環境においては、簡単に社員の残業時間を減らすことはできないでしょう。

そのため、ノー残業デーの導入は、社員が時間管理の意識を高めるきっかけになるという意味で大変有効な手段のひとつと言えます。

長時間労働が習慣化されている企業では、長く働いていることが頑張っていることと評価される傾向もあります。そのため、経営トップや管理職が率先して無駄な残業を減らすようにリードすることが重要です。

厚生労働省の調査によると、割増賃金の引き上げによって労働時間短縮の取り組みを行った企業が、以下の項目にとってプラスの効果が出たと答えました(※4)。

・管理職の時間管理の意識
・職場における労働時間の適正化
・従業員の健康状態
・従業員の会社に対する満足度
・従業員の残業代目的の残業時間の削減
・従業員の仕事への意欲
・人材の維持、確保

このように、適正な労働時間を維持することで、社員のモチベーションや業務効率が向上し、意欲的な人材を集め、強いては企業の成長につながると期待できるでしょう。

まとめ

ノー残業デーの導入にはメリットがある一方で、制度が形骸化し、逆に社員の負担が増えるなどの危険性もあります。

社員がモチベーション高く業務に取り組めるように、適正な労働時間の管理とワークライフバランスの充実を図る必要があります。

そのためには、ノー残業デーの制度を取り入れるだけではなく、導入後の制度の運用を促すことと、そのしわ寄せが特定の社員に偏るなどの問題が起きていないかを定期的にチェックする機能を設けることが重要です。

将来的には、ノー残業デーがなくても社員がタイムマネジメントを行い、長時間労働が防げるような業務体制と組織風土を構築できるように、経営陣と人事部門が協力して組織づくりをすることが望ましいでしょう。

番外編:ノー残業デーには何をする?

ノー残業デーの導入が進む中、早めに仕事が終わってからの時間の過ごし方は、以下のようなものがあるようです。

スポーツをする

あるスポーツジムでは、ノー残業デーが多いと言われる水曜日の18時以降の利用者が前年比の3割以上になったというケースがあるなど、早く帰宅できる日にジムに通う人が増えているようです(※5)。特に普段デスクワークの仕事の人にとって、体を動かすことはストレス発散になり、体力作りや健康維持のためにも効果的です。

語学習得などスキルアップ

社会人に人気の英会話や、資格取得のための勉強など、キャリアに直結するスキルを身につける人もいます。就業時間後に英会話スクールに通うとか、Skypeなどによるオンラインコースを受講するなど、有意義な時間に充てることもできるでしょう。

飲み会やサークル活動

仕事に追われているとなかなか時間が作れないのが、ネットワーク作りです。異業種交流会やセミナーに参加するほか、久しぶりに会う友人や会社の同僚と飲みに行って情報交換をすることで仕事への活力が生まれ、また、業務に役立つヒントがもらえる可能性もあります。会社によっては、サークル活動や部署横断的な交流会を推奨して、社員同士のコミュニケーションを促し、組織の活性化を目指すケースもあります。

家族との時間、趣味など

普段残業続きで早く帰宅できない人にとっては、週に1回でも子供や家族とゆっくり食事をする時間を持てることは貴重です。また、ショッピングや映画など定時に仕事が終わってからできることは多くあります。趣味に時間を使い、リフレッシュして翌日から仕事に集中するのもいいでしょう。

参考サイト:
※1厚生労働省|毎月勤労統計調査平成29年4月分結果確報
※2VORKERS約6万8000件の社員クチコミから分析した”残業時間”に関するレポート
※3厚生労働省|時間外労働削減の好事例集
※4厚生労働省|時間外労働削減の事例集
※5NHKビジネス特集|ノー残業デーは“水曜日”

長時間労働の是正と共に検討すべき
福利厚生制度の拡充

多くの企業で課題となっている長時間労働の是正は、生産性向上や人材定着にも効果的です。

すでに多くの企業が取り組みを行っている中でセットとして注目されているのが、給与・福利厚生制度などの待遇面の向上です。

残業削減は従業員のプライベートを確保して仕事に対するモチベーションの向上に繋がっている一方で、残業代が減り、従業員の賃金低下が目立ってきています。

しかし、基本給を上げることは難しいので、残業代の代替策が求められます。

従業員満足度、生産性の向上、採用強化・離職防止に繋がる福利厚生制度の拡充を検討していくことが得策です。

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企業は人なりという言葉があるように、従業員の会社に対する満足度を高めることは、企業の業績を向上させることに繋がります。

ぜひこの機会に、福利厚生制度の拡充を検討していきましょう。


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