従業員エンゲージメント

インセンティブ制度とは?メリット・デメリット、好事例もご紹介

社員のモチベーションを上げるための対策として、インセンティブ制度があります。

企業の業績アップには優秀な人材の確保が不可欠であり、その人材のモチベーションが持続・向上することで、より大きな効果が期待できるのです。

しかし、インセンティブ制度の導入は大きな成果を期待できる一方で、「格差への不安」「社内の人間関係の悪化」などのデメリットも目立ちます。

「インセンティブ制度を導入したが、思ったような成果が出ない」という企業も多いのではないでしょうか。

効果が出ない原因の1つとして、多くの企業が「成果を出せば出すほど報酬が増える」といった欧米に倣った成果主義的なインセンティブ制度を採用していることがあげられます。つまり金銭的報酬に偏っていることも原因の1つと考えられるでしょう。

ここでは、インセンティブ制度の導入で失敗しないために概要と導入のメリット・デメリット、好事例についてみていきます。

また、インセンティブのポイントプログラム制度についての資料はコチラから無料でダウンロードできます。

インセンティブ制度とは、社員のモチベーションを向上させるもの

インセンティブとは

インセンティブ(incentive)という言葉には、「報奨金」という意味のほかにも、「意欲を起こさせるもの」「(やる気を起こさせるための)刺激となるもの」というような意味があり、「励ます」という意味のラテン語を語源としています。 金銭報酬だけではなく、「表彰」「承認」「達成感」「成長実感」「出世機会」などもインセンティブと考えられます。

インセンティブ制度とは

インセンティブ制度とは金銭やそれ以外の報酬により、社員のモチベーションやロイヤリティを継続的に向上させ、企業の生産性や価値の向上に繋げるための取り組みのことです。

インセンティブ制度とよく混同されるもの

インセンティブ制度と歩合給の違い

インセンティブ制度と似ているものに歩合制度があります。成果に対する歩合のみが支払われる場合は完全歩合制といいます。

雇用関係にある場合には基本給を支給していますから、通常は完全歩合制になりません。雇用関係ではなく業務委託契約なら、完全歩合制を選択することも可能です。

制度 支給されるもの 特徴
完全歩合制 成果に対する歩合のみ リスクは大きいが成果に対する報酬も多額になる
インセンティブ制度 基本給+インセンティブ リスクは少ないが成果に対する報酬は少なめ

成果に対するリターンが大きいのは完全歩合制ですが、個人にはリスクもあります。一方、インセンティブ制度では基本的な給与を保証しつつ、一定の目標を達成した個人に対してさらなる報酬を用意することで社員のモチベーションを向上させることができます。

「成果がどれくらい出たら、いくらの報酬をプラスするか」という基準は企業側で設定しますので、企業の実情に合った設計が可能です。

インセンティブ制度とボーナスの違い

ボーナスもインセンティブと同じく、基本給以外の一時金として支給されます。

ボーナスは企業全体の業績に対して支給されるのが一般的で、個人が出した成果に対して支給されるのがインセンティブです。

支給の判断 対象
ボーナス 企業の業績に応じて 社員全員
インセンティブ 個人の成績に応じて 社員個人

ボーナスは夏冬合計で給与3カ月分などと、おおよその目安が定められていることが多いため、一時金ではあるものの、成果が反映されているという実感を個人が持つことはまれでしょう。

インセンティブ制度と給与アップの違い

給与を上げることでも、社員のモチベーションアップは見込めます。しかし、一度上げた給与を下げることは難しく、その効果はすぐに薄れてしまいます。 

インセンティブ制度を上手に活用することで、社員個人のモチベーションの持続・向上が可能となり、企業の業績の安定・向上が期待できるのです。

なぜインセンティブ制度が必要なのか

 

社員の持続的なモチベーション向上

インセンティブ制度は、個人の成績・成果が評価されるため、社員のモチベーションを短期間で向上させられます。

また、目標が明確になることで、社員自身が自然と目標達成へ向かって工夫や努力をするようになります。

人材の確保

インセンティブ制度の導入は新たな人材の確保にも有効です。

優秀な人材こそ、基本給以外のインセンティブに魅力を感じることでしょう。努力次第で追加報酬を受け取れるのであれば、入社したいという求職者も増えます。 

インセンティブ制度により、やる気が持続することで、離職を防ぐ効果もあるでしょう。

インセンティブ制度に向いている職種とは

 

インセンティブ制度は営業職だけのもの?

インセンティブ制度に向いている職種といえば、不動産業界や保険業界などの営業職を思い浮かべる方が多いでしょう。目標を達成したときに発生する報奨金、契約件数や売上金額に応じて支払われるインセンティブが代表的です。 

しかし実際には、インセンティブ制度はあらゆる業種・職種への導入が可能です。

企業の業績を向上させるのは営業職だけではありません。顧客と接する業種はもちろんのこと、人事や経理などのバックオフィスも企業の経営において重要な役割を担っているのです。

インセンティブ制度設計で注意すべきこと

 

評価の難しさ

インセンティブ制度導入では、社員個人の評価が不可欠です。しかし、数字で成果を表すことが難しい業務もあります。

一定の目標を達成すればインセンティブが支給されることはわかっていても、なかなか実現できないことで、かえってモチベーションが落ちてしまうリスクもあります。

収入格差

金銭的インセンティブでは、成果を出しやすい一部の社員に報酬が偏ってしまうことで、同業務内であっても収入格差が生まれてしまう可能性があります。

収入が不安定

金銭的インセンティブの支給が当たり前になると、目標を達成できずインセンティブが支給されなかった際の給与が下がったように感じることもあるでしょう。

ノウハウが共有されない

成果を出した一部の社員のみにインセンティブを支給されるようなケースでは、仕事のノウハウを他の社員と積極的に共有しなくなってしまいます。社内の人間関係の悪化も心配な要素です。

チームワークの欠如

インセンティブ制度で必要以上に社員同士が競い合う事態になれば、チームで達成しなくてはならないミッションがあってもチームワークが欠如してしまいかねません。

インセンティブ制度設計方法・3つのポイント

 

次に、メリットを最大限に生かしつつ、失敗しないインセンティブ制度設計に大切な3つのポイントをみていきます。

1.制度の対象

優秀な社員を評価したいというのは、もっともなことでしょう。しかし、インセンティブ支給の対象を一部の上位社員のみに絞ってしまうと、その他の社員のモチベーションが低下するリスクがあります。

社員全体を対象に

組織は「262の法則」であるといわれています。この法則は「働きアリの法則」としても有名ですからご存じの方も多いでしょう。

組織を構成すると、2割のハイパフォーマー、6割のミドルパフォーマー、2割のローパフォーマーに自然と落ち着く、という法則です。

上位2割はインセンティブがなくてもよく働くことから、残りの8割のやる気を引き出すことで組織全体のパフォーマンスがアップすると考えられます。

達成できる目標を

社員全体を対象にしたインセンティブ制度設計では、一般の社員が到達できそうにない高い目標を設定してはいけません。目標達成時のインセンティブがどれほど高額であったとしても、達成する見込みがないのであればやる気は起こらないのです。 

社員それぞれが努力することで達成可能な目標を設定することが重要です。

事業内容によっては、個人ではなくチームを対象としたインセンティブも有効でしょう。

2.評価方法

社員ひとりひとりが成果をだせば、企業の業績アップにつながります。しかし成果だけを評価することには、社員間で不公平感を生んでしまうリスクもあります。 

最終的な個人成績だけが評価される場合、社内の人間同士がライバル関係となってしまい、必要な情報の共有がなされない可能性もあります。後輩への指導を行わない社員や、チームで動いた結果である成果を独り占めしてしまう社員がでてくるリスクもあるでしょう。

成果達成までのプロセスやチーム・育成への貢献度も評価する

インセンティブ制度を成功させるためには、最終的な成果だけでなく、成果に至ったプロセスやチームへの貢献、指導・育成などの課題への取り組みについても評価することが求められます。

3.持続性を重視:金銭的インセンティブ以外の選択

金銭的インセンティブには、収入格差や収入が不安定になるなどのデメリットが目立ちます。目の前に報酬をちらつかせることで、短期間で成果を上げられる可能性は高まりますが、持続して成果を上げ続けられるとは限りません。

 また、今の時代、個人の働き方はさまざまですから、金銭的報酬がモチベーションアップにつながるとも限らないのです。

インセンティブ制度設計では、金銭的報酬以外の方法でも、社員のモチベーションを上げる工夫が必要です。

承認欲求を満たすインセンティブ

「人に認められた時」にやる気がでる、という人は多いでしょう。

アメリカの心理学者アブラハム・マズローによると、人間は他人から認められたいという欲求を本質的に持っているそうです。つまり承認欲求は誰にでもあるのです。

そして、承認欲求が満たされないと劣等感や無力感を感じてしまいます。

企業に合ったインセンティブを

個々の承認欲求を満たす仕組みとして、表彰制度などがあります。個々のがんばりを認め合えるように社員同士のコミュニケーションを促進する仕組みを整えるのもよいでしょう。 

企業の抱える課題に合ったインセンティブ制度設計を行うことがポイントです。

インセンティブ制度の好事例

インセンティブ制度導入の5つの好事例をご紹介します。

オリジナル社内ポイント制度で承認を仕組み化

※参考:株式会社ベネフィット・ワン

独自の社内ポイント制度で業績アップ

    株式会社ベネフィット・ワンは、インセンティブ制度として社内ポイント制度「Benefit-one Incentive Point(通称:BIPo)」を実施し、プロセス評価や社員同士の360°評価を仕組み化することで、持続的に成長できる組織をつくっています。 

    プロセス評価の積み重ねにより営業のモチベーションが向上し、前年比360%の業績アップという効果がでました。

    少額でも貯められるポイント

    ベネフィット・ワンの社内ポイントは少額でも貯められるので、細かな評価にも使える特徴があります。日々の小さな評価が形になることで、社員の承認欲求が満たされます。 

    貯めたポイントは20,000以上のアイテムやサービスと交換できます。

    プロセス評価

    個人のレベルに合ったプロセス評価により、若手でも小さな成功を積み重ねることができ、自信やモチベーション向上につながります。

    コミュニケーションの仕組み化

    社員同士でポイントを贈りあうことができるため、コミュニケーションが仕組み化されています。「ありがとう」という感謝の気持ちに少額のポイントを添えられます。

    名誉×報酬でモチベーションアップ!

    ※参考:プルデンシャル生命保険

    名誉と報酬で一体感と組織力を強化

    プルデンシャル生命保険では、貢献に応じた「報酬」があることを前提に、より持続的なモチベーションを高めるために「名誉」という精神的充足感を満たすことに重きを置いています。

    結果として、中途採用が多い組織でも一体感を醸成、組織力の強化につながりました。また、プロセスの追及の先に結果がついてくることに気づくきっかけとなったそうです。

    「名誉」をインセンティブに

    社員同士360°評価を行い「承認される」機会を増やすことで、社員のモチベーションアップにつながっています。

    成果に至るまでのプロセス、努力をインセンティブに紐付け

    重要な営業プロセスを達成した社員に対してインセンティブを設定していることで、小さな成功体験を促すことが可能となっています。

    太田肇「表彰制度: 会社を変える最強のモチベーション戦略」東洋経済新聞社2013

     

    「ありがとう」の見える化で企業理念を体現

    ※参考:株式会社ベアーズ

    「ありがとう」の見える化で小さなことでも感動・感謝する心を大切に

    家事代行サービス業の株式会社ベアーズでは、顧客に満足以上の感動を届けることを企業理念としており、社員同士でも感謝と思いやりを持ってそれを伝え合うことを大切にしています。

    結果として、4,500人ものスタッフに対して「小さなことでも感動・感謝する心」を大切にする企業理念が現場レベルで体現されているそうです。

    リボン賞で数値化できない貢献を見える化

    社員同士で感謝する気持ちを伝えあう制度としてリボン賞を設定しています。リボンの数は感謝の数の証となり、数値化できない貢献を表しています。

    社員同士で成果給を贈りあう

     ※参考:株式会社メルカリ

    メルチップ導入で社員満足度約87%

    メルカリは社員同士で成果給を贈りあえる独自のピアボーナス制度「mertip (メルチップ)」を導入することで、賞賛・承認し合う企業文化をつくっています。

    結果として、社内満足度約87%、「仕事をみてくれている」という感覚が醸成されたそうです。

    インセンティブ制度おすすめサービス

     

    インセンティブ・ポイント:ベネフィット・ワン

    株式会社ベネフィット・ワンが、自社の人材育成のために開発した社内ポイントBIPoから生まれたサービスです。

    特徴

    • 手間なく簡単に社内ポイントプログラムを実現
    • 多様なニーズに合わせて、約20,000点から好きなアイテムと交換可能
    • コミュニケーション活性、社内環境の改善につながるサンクスポイント機能搭載
    • 導入により150%の売り上げUPに成功した例など、確実な導入効果を実感

    関連記事

    インセンティブ・ポイントによって社員のモチベーションを向上させている事例は、「現金報酬だけじゃない!企業のインセンティブ制度事例10」でも紹介しています。

    主な導入企業

    • 損保ジャパン日本興亜保険サービス株式会社
    • 大塚製薬株式会社
    • ボッシュ株式会社
    • 株式会社アルビオン

     

    インセンティブ・プラス:イーウェル

    東急不動産を親会社に持つイーウェル株式会社が提供するサービスです。

    特徴

    • ポイントはコンビニエンスストアで利用可能
    • ポイント交換商品は6万点以上

    主な導入企業 

    • 株式会社東急ハンズ

    インセンティブ・プラス公式サイトはこちらから

    Unipos:Unipos株式会社

    Unipos(ユニポス)は、社員同士で成果給を贈り合えるピアボーナスの仕組みです。

    特徴

    • SlackChatWorkなどのチャットツールから気軽に投稿
    • タイムラインで全社共有可能
    • 貯まったポイントは給与にプラスして支給可能

    主な導入企業

    • フュージョン株式会社
    • 株式会社TABI LABO
    • クラウドエース株式会社

    Unipos公式サイトはこちらから

    まとめ

    インセンティブ制度は、運用方法次第では結果が出ないばかりか、逆に社員のモチベーションを下げてしまうこともあります。

     持続的なモチベーション向上を可能にし、企業の業績アップにつなげるインセンティブ制度設計のポイントは、次の3つです。 

    • 社員全体を対象に、達成できる目標を設定
    • 成果達成までのプロセスや、チーム・育成等への貢献も評価
    • 承認欲求を満たすインセンティブ

    まずは気軽に導入できるインセンティブサービスを検討してみてはいかがでしょうか。

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    インセンティブ制度については次の記事でも詳しく解説しています。
    社内通貨がもたらす効果と成功事例|おすすめサービスを紹介
    現金報酬だけじゃない!企業のインセンティブ制度事例10選

    150%以上の売り上げUPに成功
    社員のやる気を引き出すインセンティブ・ポイント

    労働力人口が減少している今、一部の調査では日本で働く人の70%は“やる気がない”とも言われています。

    優秀な人材が辞めてしまう…
    営業のモチベーションが上がらない…
    職場に活気がなく生産性が上がらない…

    上記のような問題は、社員のモチベーションを向上させることで解決ができます。
    モチベーションの向上は社員のエンゲージメントを高め、労働生産性の向上にもつながります。

    社員のやる気を引き出すオリジナルのポイント制度”インセンティブ・ポイント”は、
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    ・導入により150%の売り上げUPに成功した例も。確実な導入効果を実感できる

    すでに業界トップシェアを誇る576社が導入、404万人の社員が利用しています。
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