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理想的なワークライフバランスとは?成功している企業事例から学ぶ取り組みを解説

近年、「ワークライフバランス」に関する企業の取り組みに注目が集まっています。

人口減少による人手不足やフレキシブルな働き方が一般化していく中で、2019年4月より働き方改革関連法案が順次実施されることも、追い風となっています。

様々なメディアでこの「ワークライフバランス」という言葉を取り上げられていますが、実際のところ、その実現にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

そしてなぜ、今企業は従業員のワークライフバランスを見直すべきなのでしょうか。

今回の記事では、企業がワークライフバランスに取り組むべき理由と、企業によるワークライフバランス推進の成功事例についてご紹介します。

【注目】自社にとって本当に必要な福利厚生制度は?

もしもこの記事をご覧いただいている方の中で、自社の福利厚生制度についてお悩みの方がいらっしゃいましたら、まずはじめに「企業担当者必見!「福利厚生サービス」のおすすめ5選を解説」の記事をお読みください。

福利厚生のアウトソーシングについて

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ぜひこの機会にご検討ください。

なぜ企業はワークライフバランスに取り組むべきなのか

個人の問題だったことが経営課題として捉えられてきている

なぜ今、企業はワークライフバランスに取り組むべきなのでしょうか。

そもそもワークライフバランスとは「私生活と仕事の調和」を意味し、日常生活の充実によって仕事が捗り、その結果仕事が上手くいくことで私生活も潤う、という好循環を目指すものです。

このワーク(仕事)とライフ(生活)の理想的なバランスは、年代や配偶者・子どもの有無など各ライフステージによって、大きく異なります。

従業員の生活の質を向上させるためには、仕事を生み出している企業の努力が不可欠です。そのため従業員の労働環境を整備し、健康・業務管理を行うことは、従業員の生活を左右する重大な役割を担っているとも言えるでしょう。

実際に近年では、これまで個人の問題として考えられていた年次有給未取得や残業に対し、企業は経営課題としてこれらを捉え、対策を行うことが主流となってきました。

健康経営についてご興味のある方は、別記事「5分でわかる健康経営!取り組みのステップと企業事例を完全解説」でも詳しく紹介しています。併せてご覧ください。

従業員の健康管理が企業経営のカギとなる

先ほども述べたように、企業経営と従業員の健康には密接な関係があります。下の図をご覧ください。この図は、健康経営とワークライフバランスの関係(サイクル)を示したものです。

企業が求める「離職率の低下」や「企業イメージアップ」、「企業収益アップ」といった項目は全て、従業員の健康や生産性向上を行うことによって実現されるものです。

企業と従業員がそれぞれ課題に対して対処するのではなく、お互いに両輪となってワークライフバランスを調整していかなければなりません。

一見関連が無さそうな項目であっても、各項目は密接に繋がっているため、どれか1つが改善されれば全体のサイクルが底上げされる可能性もあります。

つまり、従業員の生活を向上させるための施策は、企業のメリットとなり、逆もまた同様の効果を生み出すということです。

こうしたことから、企業は経営を持続させていくためにも、ワークライフバランスへの取り組みが重要となってくるというわけです。

関連記事:BOWGL|従業員の健康を守る!中小企業こそ健康経営に取り組むべきその理由

企業がワークライフバランスに取り組むメリット

ワークライフバランスの充実における、企業と従業員それぞれのメリットについて、より具体的に見ていきましょう。

企業側のメリット

①:病気になるリスクの低減

長時間労働が当たり前になっている職場では、従業員の病気のリスクだけでなく、過労死やうつ病による自殺にまで発展してしまうケースがあります。そのことによる訴訟リスクもはらんでいます。

ワークライフバランスを意識して長時間労働を無くすことで、上記のような企業リスクを回避することが出来るようになるでしょう。

②:離職率の低下や人材流出の防止

ワークライフバランスが充実している職場では、従業員の離職率を下げ、人材流出を防ぐことが出来ます。また同時に、優秀な人材の獲得にも繋がります。

日本最大級の派遣サイト「エン派遣」がサイト利用者1,112名が行なった「ワークライフバランス満足度調査」では、「次のお仕事を検討する際、ワークライフバランスを考慮しますか?」という問いに対し、約9割が「考慮する」と回答しました。

※引用元:エン派遣|「ワークライフバランス」満足度調査 

労働環境の整備が遅れていれば、その時点で就職候補から外されてしまいます。人材獲得競争が激しい時代だからこそ、そうした配慮も必要となってくるでしょう。

③:コスト削減

ワークライフバランスを整えることは、企業活動における様々なコスト削減へと繋がります。

離職率低下による採用コストだけでなく、従業員が健康を維持することで医療費などのコストも抑えることが可能です。

経済産業省の「企業の『健康経営』ガイドブック」によると、身体的指標(血圧・肥満など)、生活習慣指標(糖尿病など)、心理的指標(健康満足度・ストレスなど)において、リスク者一人当たりの年間医療費が、非リスク者に比べて多いということが明らかになっています。

※引用元:経済産業省|企業の『健康経営』ガイドブック

従業員の健康はもはや個人の問題ではなく、企業にとっての問題でもあるのです。

④:経営への投資拡大

これまで掛かっていたコストを削減することで、経営投資に回せるお金が増えていきます。

例えば、従業員のスキルアップ研修や健康診断のオプションを増やすなど、更なる事業投資を行うことも可能となるでしょう。

従業員側にとってのメリット

それでは次に、従業員側のメリットを見ていきましょう。

①:プライベートの充実

従業員にとってプライベートの充実は、働く上で大切な要素です。

株式会社リクルートキャリアが就職活動中の学生(合計6,374)を対象にした調査「働きたい組織の特徴(2019年卒)」では、大学生・大学院生いずれにおいても「仕事と私生活のバランスを自分でコントロールできる(大学生83.9%、大学院生88.7%)」という結果が分かりました。

ワークライフバランスが進めば、残業時間が減り帰宅時間も早くなるため、自分でプライベートをコントロールできるようになります。

これから結婚や育児・介護といったライフイベントを控えている人にとっても、安心して長く働くことが出来ます。

②:生産性の向上

ワークライフバランスの改善は、従業員の生産性向上にも影響を与えます。

仕事とプライベートのメリハリが付くことで、効率的に業務を時間内に進めるためにはどのようにすれば良いかを自然と考えるようになります。

ただ一方で、単に就労時間を減らすだけでは逆に業務を圧迫してしまう可能性もあるので、無理のない効率化をマネージャー層は検討する必要があるでしょう。

③:キャリアアップの機会

個人のスキルアップには、一人の時間を持つことも大切です。就業後の時間が増えると、従業員の自己啓発や自己研鑽に多くの時間を割けるようになります。

社外での知見を社内の課題解決に活かすことで、個人のキャリアアップにも繋がる可能性があります。

またそのことによって、従業員の働くモチベーション向上にも繋がっていくでしょう。

ワークライフバランスを充実させた企業の成功事例

ここまで企業がワークライフバランスを推進することで、労働生産性向上や企業収益向上などが期待できることを述べました。

ここからは、従業員のワークライフバランスを充実させた企業の取り組み事例をいくつかご紹介いたします。

株式会社ディノス・セシール

※参照:株式会社ディノス・セシール

株式会社ディノス・セシールは、2012年に通販事業のディノスとセシールが企業統合することで誕生しました。

残業時間や働き方についてのすり合わせを行う中で、「育児社員に対する上司および周囲の社員の協力体制」と「キャリア形成の支援」の改善が必要になったといいます。

対策

「短い時間で肉厚な」働きをすることを企業目標に、新たに「働き方改革プロジェクトチーム」を設置。

「働き方情報掲示板」を解説して社内への周知を活性化するほか、働き方に関する取り組みの社内公募や表彰、本部長らによる「イクボス宣言」など、社内全体の意識改革に取り組みました。

中でも、出勤時間や休暇制度の充実による、働きやすい制度づくりに力を入れています。

出産・介護を目的とした休暇・時短制度だけでも、以下のように豊富なパターンを用意し、従業員のニーズに応えられるようにしています。

※参照:株式会社ディノス・セシール|出産・育児/介護に関する制度

結果

2015年に19.23時間出会った残業時間も、2017年には17.09時間に減少。また、育児休業からの復職率は100%を達成しました。取り組み詳細は、こちらからご覧ください。

サイボウズ株式会社

※参照:サイボウズ株式会社

クラウドサービスの開発、販売などを行うサイボウズ株式会社では、2005年に離職率が28%と過去最高を記録したことから、組織や評価制度の見直しを強化しています。

「100人いたら100通りの働き方」という方針を掲げ、ワークライフバランスに配慮した制度や、社内コミュニケーションの活性化を実施しています。

対策

サイボウズでは、働き方を従業員各自の選択に委ねるという対策を取りました。

働く「時間」を自由にする

2010年から在宅勤務制度が導入されていましたが、2012年より、新たに「ウルトラワーク制度」を開始。

在宅しながらテレビ通話で会議に参加する、早朝出勤する代わりに夕方4時には退社するなど、普段の働き方と異なる働き方を”単発で”行うことを「ウルトラワーク」と定義しています。

働く「内容」を自由にする

社員が自分らしく働き、経済的にも精神的にも自立した未来となるよう、2012年から副業を可能としました。業務や会社資産と関係ないものは、上司の承認も報告する義務もなく自由に行うことができます。

働く「環境」を整える

2012年から、「育自分休暇制度」も新設されました。転職や留学等、一時的に環境を変えてスキルアップを目標とする人を支援するための制度です。この制度を使えば、最長6年間は職場復帰が可能になります。

働く「体制」を支援する

2014年からは、「学童保育に行きたがらない」「子どもの預け先が無い」といった問題解決のために「子連れ出勤制度」が導入されました。

チームの生産性を下げないなどのルールのもと、緊急時の受け皿として浸透しています。

結果

2005年に28%と過去最高だった離職率を、2012年以降は4〜5%まで落とし込むことに成功し、従業員のモチベーションや生産性の向上に繋がっています。取り組み詳細は、こちらからご覧ください。

株式会社レオパレス21

※参照:株式会社レオパレス21

賃貸事業・開発事業を行う株式会社レオパレス21では、リーマンショックを契機とし、2010〜2011年にかけて不動産・物品賃貸業界の水準(15%)を超える最悪の離職率を記録。

そのため、優秀な社員に定着してもらうための工夫が必要となりました。

対策

企業の成長のために必要なのは『人』である」という考えを持つ同社は、従業員にとって働きやすい労働環境を整えるために、あらゆる側面での改革を途切れることなく行なっています。

男女それぞれにとっての働きやすさを追求

2013年12月から導入されたのが、女性社員のロールモデル紹介です。各地で育児短時間勤務中の女性社員や管理職の女性社員を取材し、社内メディアにて発信しています。

2016年8月からは、女性活躍推進に関する研修も開始されました。女性社員育成のための研修などを実施しています。

また2016年11月からは、男性社員の育児休業取得の促進にも踏み出し、2017年11月には男性の育児休業取得率が21.43%と、前年度の2.88%から大幅に改善しています。

ワークライフバランスの社内浸透促進

ワークライフバランスの概念を社内に浸透・定着させるためにも、2014・2015年以降、様々な対策が取られています。

まずは長時間労働を削減するために、労働時間のモニタリング制度を導入しました。

毎月の時間外労働の状況について従業員の上位者リストを作成し、長時間労働者への注意喚起及び上司(勤務管理者)への業務分担等の指示を行い、法令違反・健康被害の防止を実施しています。

さらに全社員を対象としたワークライフバランス・労務管理研修(2014年12月~)や、無記名のワークライフバランス意識調査(2015年5月~)を定期的に実施し、集計・分析の上、改善施策に役立てています。

結果

他にもリフレッシュ休暇や時間単位年次有給休暇制度、テレワーク制度の導入などを行い、2009年度には25.2%だった離職率が、8年後の2017年度には1/3の8%台まで回復しました。取り組み詳細はこちらからご覧ください。

株式会社東邦銀行

※参照:株式会社東邦銀行

福岡県に本社を構える株式会社東邦銀行では、従業員の健康面からワークライフバランスの改革を行なっています。

対策

6時30分からの「朝型勤務」

2014年4月より、勤務開始時刻を7時30分にできる「朝型勤務」が導入されていたものの、その一年後の2015年からは、本開始時刻をさらに繰り上げ6時30分とし、夕方の早めの業務切り上げを推進しています。

従来のフレックスタイム制度 + α で残業を削減

2016年には、勤務時間に柔軟性を持たせるため、フレックスタイム制を導入しています。しかし、勤務時間に融通を効かせられるだけでは、必ずしも労働時間の削減にはなりません。

こうした洞察の元、同じタイミングでスタートしたのが「インターバル制度」です。

これは「終業時刻から翌日の始業時刻までは11時間以上を目安として休息時間をすることが望ましい」とする制度で、勤務時間の短縮だけでなく、健康管理に対する従業員の意識高揚も狙っています。

結果

「朝型勤務」や「インターバル制度」を有効活用することで業務の効率性が向上するとともに、従業員一人ひとりの時間・健康管理の意識が向上。

2014〜2016年にかけて、朝型勤務者数が約3倍以上に増加した他、19時超の勤務者数も約60%減少しました。

※参照:株式会社東邦銀行「働き方改革」への取組みについて

 また従業員からも、「家族と過ごす時間が増えた」「仕事と生活にメリハリがついた」「業務のスケジュール管理が徹底された」「スキルアップや業務見直しのきっかけになった」といったフィードバックが得られているようです。

取り組み詳細は、こちらからご覧ください。

取り組む際の注意点:ワークライフバランス対策は“特効薬ではない”

企業がワークライフバランスの促進に取り組む方法は、このように実に様々な方法があります。しかし、ただ新しい制度やツールを入れるだけでは、働き方を変えることはできません。

上記にご紹介した制度以外にも、各企業それぞれが、継続的に取り組みを行なっています。

ワークライフバランス政策は残念ながら、たった一回の対策で改善が望めるような「特効薬」ではないのです。

多くの成功企業から学べる通り、会社としての現状問題点の洗い出しや経営者・管理者の意識改革、制度の見直し・新設などを含め、何年もの歳月を費やし、段階的な取り組みを行なうことが欠かせません。

そのため、ワークライフバランスは経営戦略と同等に難しく、やみくもに着手するのではなく、しっかりとした理解をすることが先決です。

何から始めれば良い?企業が実践したいワークライフバランスの取り入れ方

自社でもワークライフバランスの充実をさせたいとお考えの経営者・管理職の方も多いでしょう。

ですが、実際に何から始めたら良いのか分からないという方も多いかと思います。

最後にワークライフバランスの向上に必要な5つの基本ステップを以下にご紹介します。

ワークライフバランスに取り組む5つのステップ

STEP1.“経営トップ”が経営計画に取り入れる
STEP2.体制を整える=風土作り
STEP3.生産性を高める
STEP4.取り組みの進捗を「見える化」する
STEP5.社外のリソースを活用する

STEP1.“経営トップ”が経営計画に取り入れる

ワークライフバランスは、ただ企業担当者が先導して取り組むだけで成功することはありません。

まずは、社内の業務やマネジメントのあり方を見直し、課題や改善の方向性を理解する必要があります。

そのためには、経営トップが「経営戦略」としてワークライフバランスに取り組む必要性があります。

STEP2.体制を整える=現場任せにしない風土作り

ワークライフバランスの取り組みを推進するためには、実働部隊となる担当者や担当部署との連携が重要です。

意識改革を従業員に示すため、経営トップが社内の緩衝材となりコミュニケーションを取り持つ影の立役者となれば、取り組みをよりスムーズに社内に浸透させることができます。

STEP3.生産性を高める=業務改善を行っていく

生産性の高い職場環境を構築するためには、これまでの業務のやり方を見直して無駄を減らし、業務改善計画に取り込む必要があります。

そのためには、日々の業務の棚卸しを行い、無駄はないか、改善点はないかを検討することが求められます。

STEP4.取り組みの進捗を「見える化」する=モチベーション維持に繋がる

ワークライフバランスの取り組みは、すぐに成果がでるものではありません。時には、従業員から不満や非協力的な反応が生まれることもあります。

そのため、従業員がモチベーションを維持して真剣に取り組むために、社内共有システムを構築するなど、取り組みを可視化させておく方策が必要となります。

STEP5.社外のリソースを活用する

ワークライフバランスの取り組みを進める中で、「取り組みに手間がかかり、業務過多になってしまう」「取り組みに意味があるのか」など不満や懸念の声がでてくることも考えられます。

そのため、時には生産性の向上を目的に新しいをツールを活用したり、福利厚生においてはアウトソーシングサービスなどを利用してみるのもいいでしょう。

まとめ|結果が出るまで時間が掛かることを理解しておく

企業におけるワークライフバランスの改善には、ある程度の時間が掛かることを理解しておきましょう。

それまでその企業が当たり前に行なっていた習慣を変えることは容易なことではありません。様々な業務上、人事上の課題FIXなどが出てくるでしょう。

しかし、そこで諦めてしまうのではなく、中長期的なメリットを見据えてじっくりと取り組んでいくことが大切です。

【保存版】ワークライフバランスをあなたの会社で実現する完全導入5ステップ」では、社内の現状把握のためのチェックシート(PDF版)をダウンロードいただけますので、ぜひご覧ください。

本記事が貴社のワークライフバランス向上に少しでもお役に立てれば幸いです。

ワークライフバランスの充実を支援する
福利厚生サービス ベネフィット・ステーション

待機児童問題/介護離職者の増加など、ワークライフバランスを取り巻く環境には問題が山積しています。

フレキシブルな勤務形態、休業・休暇制度を整えることは大前提として必要ですが、それだけでは育児・介護にかかわる金銭の問題や情報の提供不足といった課題が残ります。

福利厚生サービス ベネフィット・ステーションの導入により上記の課題を解決することができます。

①【育児】保育園探しのお手伝いや認可外保育施設利用時の割引等があり、保育と仕事の両立を支援できる。
②【介護】介護情報の無料提供・無料相談、介護用品購入費用の一部還付を受けられ、介護離職を防止する。


また、従業員が企業担当者を介さずサービスの利用申し込みを行うため、導入後の事務作業はほとんどありません。

ぜひ人事制度の改定と併せて福利厚生制度の拡充を検討していきましょう。


まずは具体的な内容を見てみる