【最新版】企業担当者が知っておくべき介護休暇と介護休業との違い

「親の介護の負担が大きくなってきて、会社を休ませてください」
このように、親の介護に直面している従業員が増えていませんか?
その背景には、団塊世代が70代に突入し、要介護者(介護を必要とする人)の増加に拍車がかかっていることが挙げられます。
また、少子化や非婚化が進んでいるため、介護を分担できる家族の数も減っています。
そのため、会社に勤めながら、介護の対応をしなくてはならない方の負担は大きく、総務省の調査によると、介護離職は年間約10万人にも上ります。
※参考:「平成24年就業構造基本調査」(総務省統計局)。
会社の中核となっている従業員の介護離職を増やさないためにも、企業側も介護に直面している従業員をフォローしていく必要があるのです。
そのような従業員のために国が準備した制度が、「介護休暇」と「介護休業」です。
介護休暇とは、家族の介護が必要になった際に取得できる休暇のことで、1年で5日まで(介護が必要な対象家族1人につき)取得することができます。
介護休業とは、介護休暇と同様に、家族の介護が必要になった際に取得できる休暇のことです。
2つの制度の大きな違いは取得可能な日数で、介護休業は通算93日までの長期間の休暇取得が可能な制度です。
そのため、従業員は介護の状況によって、介護休暇と介護休業のどちらを取得したほうがいいかを、考える必要があります。
また企業側は、従業員がスムーズにこれらの制度を活用できるように、準備をしておく必要があります。
そこで今回は、介護休暇の概要や介護休業との違いについて、説明します。
もしもこの記事をご覧いただいている方の中で、自社の福利厚生制度についてお悩みの方がいらっしゃいましたら、まずはじめに「企業担当者必見!「福利厚生サービス」のおすすめ5選を解説」の記事をお読みください。
1.年間5日以内の休暇なら介護休暇を取得すべき
介護休暇を取得することができる労働者は、以下すべてに当てはまる従業員です。
- 雇用期間が半年以上
- 要介護状態の対象家族を介護している正社員、アルバイトやパート、派遣社員や契約社員
また、以下の従業員は介護休暇の対象になりませんので、注意してください。
- 日雇いの従業員
- 雇用期間が6ヶ月未満
- 1週間の所定労働日数が2日以下
従業員から、自分は介護休暇を取得できるのかを確認されることもあると思いますので、取得の条件を把握しておきましょう。
2.介護休暇の期間や取得方法
介護休暇を取得する際の条件は、「要介護状態(身体上・精神上の障害や病気などによって、2週間以上の期間にわたって常時介護が必要な状態)」の家族がいることです。
ここでは、介護休暇で取得できる休暇期間や取得方法をご説明します。
取得可能な休暇日数
介護休暇を利用して取得できる休暇日数は、介護が必要な家族1人につき1年で5日です。
対象家族が2人以上の場合は、最大10日まで取得が可能です。(対象家族が3人以上の場合でも、上限日数は10日となります)
取得は、1日、半日単位での取得が可能です。
ただ、以下に当てはまる従業員は、半日単位の取得ができませんので注意しましょう。
- 1日の所定労働時間が4時間以下
- 半日単位で介護休暇を取得することが難しい業務を担当している
(上記の従業員は1日単位の取得は可能です)
また一部の企業では、介護休暇取得時に給与の数パーセントを支払っていることもあります。しかし、これは全ての企業で同一の条件が適応されるわけではありません。
介護休暇を取得したときの賃金は法的な定めはなく、各企業の判断にゆだねられます。
対象となる家族
- 配偶者(事実婚も可能)
- 実父母
- 配偶者の父母
- 子
- 祖父母
- 兄弟姉妹
- 孫
介護の内容
介護者が行う介護の内容としては、以下が対象となります。
- 食事や排泄などの日常生活における介護
- 病院への送迎や買い物
- 事務手続きの代行など
介護休暇の申請方法
介護休暇の申し出は、以下の内容を従業員から届け出てもらう形をとってください。
- 従業員の氏名
- 対象家族の氏名や続柄
- 介護休暇を取得する年月日
- 対象家族が要介護状態にある事実
申請書などをフォーマットとして準備しておくといいでしょう。
2や4の書類などは事後提出でもよいとするなど、従業員に負担がかからないように配慮した上で行ってください。
介護休暇については、ご理解いただけたでしょうか?
介護休暇では、休暇日数が年に5日と短期間に限られていますので、長期の休暇を必要とする場合は「介護休業」を利用する形となります。
介護休業についても、概要をお伝えしておきます。
3.介護期間が長期間にわたる人は介護休業を取得すべき
冒頭でお伝えした通り、介護休業の場合は通算93日間の取得が可能です。
さらに、条件に当てはまれば介護休業給付金を受け取ることができます。
また介護休暇のときと同様に、「要介護状態」の家族がいることが取得の条件となります。介護休暇と異なる点を中心に説明していきますね。
介護休業を取得できる人
介護休業を取得するにはは、以下すべてに当てはまる必要があります。
- 雇用期間が1年以上
- 介護休業の取得日から93日後~半年の間に、労働契約の期間が満了しない
- 各企業が労使協定で定めた労働者に該当すること
また、以下のような従業員は介護休業の対象になりませんので、注意してください。
- 日雇いの従業員
- 雇用期間が1年未満
介護休業は介護休暇よりも長期の休暇制度であるため、取得条件も厳しくなっていますので、把握しておいてくださいね。
取得可能な休暇日数
介護休業を利用して取得できる休暇日数は、対象家族一人あたり合計93日までです。
分割して取得することも可能で、最大3回に分けて取得できます。
対象となる家族
対象となる家族は、介護休暇の場合と同様です。
- 配偶者(事実婚も可能)
- 実父母
- 配偶者の父母
- 子
- 祖父母
- 兄弟姉妹
- 孫
介護休業の申請方法
介護休業を取得したい日の2週間前までに、勤務先に書面で取得申請をする必要があります。
介護休業取得時の給与
介護休業取得時は、企業の給料支払い義務はありません。
しかし、一定の条件を満たせば、雇用保険から「介護休業給付金」が支給されます。
4.介護休業給付金について
介護休業給付金とは、家族を介護するために休業した人が一定の条件を満たしている場合に、支給される給付金のことです。
くわしい条件や支給内容について、お話ししていきますね。
介護休業給付金の支給条件
以下に当てはまることが、介護休業給付金の支給条件となります。
- 介護休業の開始日からさかのぼって2年以内に12ヶ月以上、雇用保険に加入している方
- 介護休業期間中に、休業開始前の1ヶ月当たりの賃金の80%以上をもらっていないこと
- 介護育児期間中の就業日数が1ヶ月に10日以下であること
- 企業に1年以上雇用されている
- 休業開始予定日から93日後も、引き続き雇用されている見込みがある
※参考:介護休業給付について|ハローワークインターネットサービス
雇用形態は正社員だけではなく、上記条件を満たし雇用保険に加入していれば派遣社員やアルバイト・パートも対象となります。
介護休業給付金の支給金額
支給金額は以下の計算式で計算します。
休業開始時賃金日額×支給日数×67パーセント
介護休業給付金の申請方法
介護休業給付金の手続きは、基本的に勤務先の企業が公共職業安定書(ハローワーク)に必要書類を提出する形となります。
申請に必要な書類は以下の通りです。
- 介護休業給付金支給申請書(従業員が記入)
※上記書類は、以下ページから入手できます(参考:介護休業給付金支給申請書) - 従業員が企業に提出した介護休業申出書
- 休業開始時賃金月額証明書
- 護対象家族の方の氏名、従業員との続柄、性別、生年月日等が確認できる書類(住民票記載事項証明書等)
- 賃金台帳や出勤簿 ※企業で記録している書類を添付してください
- 支給希望口座のコピー
上記の手続きが無事に完了すると、以下の書類がハローワークより渡されますので、従業員に渡しましょう。
介護休業給付支給決定通知書
支給決定日から1週間程度で指定した口座に振り込まれます。
申請期限
介護休業終了日(介護休業が3か月を経過したときは介護休業開始日から3か月経過した日)の翌日から起算して2ヶ月を経過した日の該当月の末日まで
介護休業給付金の申請については、ハローワークのページでくわしく紹介されていますので確認してみてくださいね。
まとめ
今後、親世代の介護に関わる社員は増えていきます。
そうした流れもあり、介護休暇や介護休業については、柔軟に取得できるための条件緩和や取得方法などの改正が適宜行われています。
そのため、最新の情報をチェックしておくようにしましょう。
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また、従業員が企業担当者を介さずサービスの利用申し込みを行うため、導入後の事務作業はほとんどありません。
ぜひ人事制度の改定と併せて福利厚生制度の拡充を検討していきましょう。