最新版|企業担当者が社員のために必ず知っておきたい育児休業給付金
「出産して育児休暇をとったら、収入はどのくらい減るのかな・・・」
「育児休業給付金って、いくらもらえるのかな?」
このように、育児休業中の収入に関して、わからない従業員は多いと思います。
そのため、企業の担当者も育児休業の公的な支援などについて、きちんとした知識をもっておく必要があります。
まず、従業員が赤ちゃんを出産した場合、両親共に生後8週間から1歳の間、育児休業を使って会社を休める権利があります。
これが育児休暇制度です。
そして、この育児休業を取得した際は、条件に当てはまる従業員には「育児休業給付金」が支給されます。
また、育児休業中は育児休業給付金の支給だけでなく、社会保険などの免除もあります。
このように、従業員のために、企業担当者が知っておかなければならないことがたくさんあるのです。
今回は、「育児休業給付金」について、以下4つのSTEPでお伝えします。
STEP1:育児休業給付金をもらうための条件
STPE2:育児休業給付金の算出方法や期間
STPE3:育児休業給付金の申請方法
STPE4:社会保険料の免除
この記事を読むことで、育児休業給付金に関する知識をしっかりと身につけましょう。
もしもこの記事をご覧いただいている方の中で、自社の福利厚生制度についてお悩みの方がいらっしゃいましたら、まずはじめに「企業担当者必見!「福利厚生サービス」のおすすめ5選を解説」の記事をお読みください。
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目次
育児休業給付金をもらうための条件
育児休業給付金は、雇用保険が財源となっています。そのため、大前提として雇用保険に加入している必要があります。
さらに、以下条件を満たしている人が育児休業給付金の支給対象となります。
- 育児休業の開始日からさかのぼって2年以内に12ヶ月以上、雇用保険に加入している方(育児休業期間だったり、病気などの理由がある場合、条件が緩和されることもあります)
- 育児休業期間中に、休業開始前の1ヶ月当たりの賃金の80%以上をもらっていないこと
- 育児期間中の就業日数が1ヶ月に10日以下であること(10日を超える場合は80時間)
参考:育児休業給付について|ハローワークインターネットサービス
雇用形態は正社員だけではなく、上記条件を満たし雇用保険に加入していれば派遣社員やアルバイト・パートも対象となります。
また、念のため育児休業給付金の対象外となる例をお話ししておきます。
・雇用保険に加入していない
・妊娠中に育児休業を取らないで退職する
・育児休業に入るときに1年以内に退職することが決まっている
・1週間に2日以下しか働いていない
・育児休業給付金の申請期限をすぎてしまった
・育児休業を取得しないで職場復帰した
また、育児休業は子供を育てる間、一時的に会社を休む制度であり、育児休業給付金はその間の生活を支えるためのお金です。
復帰予定であることが前提なので、退職した方や退職予定の方は対象外となります。
社員から自分が育児休業給付金の対象なのかを確認されることもあると思いますので、企業側は、産休や育児休業を取得予定の従業員が給付対象となるかを把握しておきましょう。
育児休業給付金の算出方法や期間
では、次に育児休業給付金の算出方法や期間についてお話しします。
支給日数
育児休業給付金は、育児休業日数に応じて支給されます。
厳密には、算出する際は1ヶ月を30日として計算します。(端数が出る最終月は、育児休業が終了する日までの日数を加算します)
育児休業給付金の支給タイミングは、このあとにお話ししますが、2ヶ月に1回です。
支給金額とタイミング
支給金額とタイミングについて、説明しますね。
育児休業給付金は、育児休業を開始してからの期間によって、以下のように金額が変化します
- 育児休業開始してから180日まで
休業開始時賃金日額×支給日数×67%
- 育児休業開始から181日以降
休業開始時賃金日額×支給日数×50%
また、支給額には、以下のように上限・下限が定められています。
- 上限額:424,500円
休業開始時賃金日額×30日が424,500円を超える場合、一律424,500円が支給されます。 - 下限額:68,700円
休業開始時賃金日額×30日が68,700円を下回る場合、一律68,700円で計算されます。
では、具体的に説明してみましょう。
例)標準報酬月収25万円 赤ちゃんが1歳になるまで育児休業を取得した場合
- 育児休業開始日~180日まで(6ヶ月間)
25万円×67%=16万7,500円(月額)
6万7,500円×2ヶ月分=33万5,000円
上記の金額が、2ヶ月に1度、3回振り込まれることになります。
- 育児休業開始より180日後~120日まで(4か月間)
25万円×50%=12万5000円(月額)
12万5000円×2ヶ月分=25万円
上記の金額が、2ヶ月に1度、2回振り込まれます。
実際の支給金額を知りたい人は、以下のWebサイトでチェックすることができますので、チェックしてくださいね。
参考:産休・育児休業の期間と金額を自動計算|社会保険労務士事務所オフィスアールワン
初回は、育児休業が始まって2~3ヶ月たったころに振り込まれます。
支給されるタイミングは、勤務先がハローワークに書類を提出するタイミングによって、異なります。
企業担当者は滞りなく申請を進めるようにしましょう。
育児休業給付金の手続き
育児休業給付金の手続きは、基本的に勤務先の企業が行います。
企業側は、社員が妊娠中、産休に入る前に育児休業給付金の手続きに必要な用紙を渡しておきましょう。
初回申請に必要な書類
・育児休業給付金支給申請書(従業員が記入)
・育児休業給付受給資格確認証(従業員が記入)
※上記ふたつの書類は、以下ページから入手できます。
参考:育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書
・賃金台帳や出勤簿※企業で記録している書類を添付してください
・支給申請書の内容を確認できる書類(母子手帳や住民票)
・受取口座のコピー
提出先
ハローワーク
企業がハローワークで手続きを終えると、以下2点の書類を渡されますので、受給する従業員に渡しましょう。
育児休業給付支給決定通知書
育児休業給付の支払いが決定したことを通知する書類です。
次回申請書
2か月に1度、育児休業給付金を支申請する必要がありますので、その申請書です。
参考:育児休業給付の内容及び支給申請手続きについて
次回申請書については、従業員に内容を確認した後に捺印、署名をしてもらい、必ず受け取ってください。
次回申請書を提出しないと、2回目以降、育児休業給付金を受け取れないので忘れずに提出しましょう。
保育園に入れないなどの事情で、支給期間を延長したい場合
先ほど説明した通り、育児休業給付金の受給期間は基本的に子供が1歳になるまでですが、保育園の抽選に落ちてしまったら、会社へ復帰することは難しくなります。
そんなときは、育児休業の延長手続きを行えば、育児休業を子供が1歳半になるまで延長できます。
このとき、注意が必要なのは、対象になる保育園は国が定めた「認可保育園」のみであることです。「無認可保育園」の抽選に落ちても、育児休業を延長できませんので注意してくださいね。
延長申請は、育児休業の期限である1年が来る前までに申請してもらうようにしましょう。たとえば、保育園の抽選に落ちた場合は、以下の書類が必要です。
・育児休業延長申込書
・入所不承諾通知もしくは保留通知
・入所申込書のコピー
また、以下のケースの場合も育児休業の延長が認められています。
・子供の養育を行う予定であった方が、以下のいずれかに該当するとき
・死亡したとき
・負傷、疫病、身体上・精神上の障害により育児休業の申出にかかわる子を、養育することが困難な状態になったとき
・婚姻の解消や、その他の事情により、配偶者が育児休業の申出にかかわる子と同居しないこととなったとき
・育児休業中の、次の子供の産前休業期間および産後休業期間にあたるとき
つまり、6週間(多胎妊娠の場合14週間)以内に出産する予定か、または産後8週間を経過していないとき
社会保険料の免除について
育児期間中は、従業員が働いていないため企業は給料を支給しません。
すると、従業員の給料から差し引かれていた、健康保険や厚生年金、雇用保険など社会保険などの支払いはどうなるのでしょうか。
実は、これらの社会保険料は、育児休業中の支払いは免除されます。
免除期間であっても病院で健康保険は使えますし、免除期間も年金を納めた期間としてカウントされます。
これらの支払い免除の手続きは、産休中に行う必要がありますので、企業側は、「育児休業等取得者申出書」を従業員に記入し、提出してもらいましょう。
以下ページから申請書類がダウンロードできます。
このように、社会保険には免除制度がありますが、給料から天引きされている住民税は、育児休業中にも納めなければいけませんので注意しましょう。
住民税を支払う方法としては、以下の3つがあります。
- 産休前の給料から天引き
- 育児休業明けの給料から天引き
- 従業員が自宅に届いた住民税の納付書で支払う
このように、育児休業に入る社員がいる場合、企業もさまざまな手続きをする必要があります。こうした公的な手続きについて、しっかりと把握しておきましょう。
まとめ
いかがでしたか?
会社が代行する手続きはもちろんのこと、育児休業に関わる仕組みを理解しておくと、社員も安心して育児休業を取得できますよね。
今求められるのは、ライフステージが変わっても働き続けられる制度や福利厚生が整った職場環境
長時間労働の是正など働き方改革が進む中、その施策の1つとして注目されているのが「女性の活躍推進」です。
近年では、政府の働きかけもあり、働く女性の割合は右肩上がりの傾向にあります。
活躍する女性が増える一方、さらなる雇用を生むために解決しなければならない問題があります。
それが、結婚、出産、子育てなど人生のライフイベントによる、女性の離職です。
国立社会保障・人口問題研究所の調査結果によると、約4割近くの女性が第一子の妊娠を機に退職したことがわかっています。
そこで今求められているのが、様々なライフイベントを迎えても働き続けられる制度や福利厚生が整った職場環境です。
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また従業員が企業担当者を介さずサービスの利用申し込みを行うため、導入後の事務作業はほとんどありません。
ぜひ人事制度の改定と併せて福利厚生制度の拡充を検討していきましょう。