概要から対策まで!企業担当者が5分で理解する有給休暇の義務化

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あなたの会社の社員は、有給休暇をしっかりと取得出来ていますか?

「仕事が忙しく、有給休暇をほとんど取れていない」「取得状況はかなり個人差がある」

そんな状態の企業が多いのではないでしょうか。

世界各国と比較をしても、日本の企業は有給休暇の取得率が低い傾向にあります。

オンライン旅行会社エクスペディアが2017年に行った、世界30ヶ国を対象とした有給休暇の取得率に関する調査では、日本の有給消化率は50%と最下位でした…。

出典:有給休暇国際比較調査2017(エクスペディア)

厚生労働省が発表した「平成 29 年就労条件総合調査」でも、2017年度の国内産業全体の有休消化率は49.4%と示されています。

ここ10年ほどは50%を切る水準で推移しているので、低空飛行を続けているといえるでしょう。

出典:有給休暇国際比較調査2017(エクスペディア)

一方で、政府は「第4次男女共同参画基本計画」のなかで、「2020年までに、有給休暇の取得率を70%にする」という目標を掲げています。背景には、ワーク・ライフ・バランスを実現するという目的があります。

それを実現させる手段として、働き方改革に関する法案が改正され、2019(平成31)年より「年次有給休暇の年5日取得」が義務化されることとなりました。

具体的には、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者が、年に5日以上の有給休暇を取得することを企業側の義務とするものです。

企業によっては、有給休暇の期限が切れる際に買い取りをしているケースがありますが、そういった企業であっても、必ず年に5日以上は有給休暇を取得させなければいけません。

もしその法律に違反した場合は、懲役6ヶ月以下30万円以下の罰金というペナルティもあります。

この有給休暇の義務化は、労働者を保護するための法律である「労働基準法」の改正という形で行われます。
実施は来年ですが、企業側は成立を見越して事前に準備を進めておくとよいでしょう。

では、実際にこの法律が実施された場合、これまでと何が変わるのでしょうか?そして企業側はどのような対応を具体的に取っていくべきなのでしょうか。

本記事では、企業担当者が正しく理解しておきたい、有給休暇義務化の概要と企業が取るべき対策、また有給休暇を推奨して企業の業績を上げた好事例について、ご紹介します。

【注目】自社にとって本当に必要な福利厚生制度は?

もしもこの記事をご覧いただいている方の中で、自社の福利厚生制度についてお悩みの方がいらっしゃいましたら、まずはじめに「企業担当者必見!「福利厚生サービス」のおすすめ5選を解説」の記事をお読みください。

正しく理解できている人は意外と少ない?1分で理解できる「有給休暇」とはなにか

有給休暇は労働者に与えられた休むための権利

そもそも有給休暇(年次有給休暇)とは、法律で定められた労働者に与えられた休むための権利です。

労働基準法において、労働者は、

  • 仕事を開始してから6ヶ月間継続して雇われている
  • 全労働日の8割以上を出勤している

この2点を満たすことで10日間の年次有給休暇を取得することができます。

有給休暇の日数は、勤続年数が長くなるほど増えて以下のように増えていきます。

有給休暇1

最初の半年で10日、1年半経過後は21日間の有給休暇が付与されるということです。

ただし、休みを使うことが出来る有効期限は2年間と決められています。

そのため、ひとつの会社に長く勤めている人であっても、一度に保有できる最大の有給休暇は40日間が限度となります。

派遣やパート・アルバイトなどにも付与される

この有給休暇は、正社員や契約社員はもちろん、派遣やパートやアルバイトで働く人にも付与されます。

派遣やパート・アルバイトの場合は、労働日数に応じて有給休暇の付与日数が変わります。

有給休暇1日あたりに受け取る金額は労働時間分となるため、たとえば1日4時間働いている人の場合は4時間分の賃金です。

派遣やパート・アルバイトで働く人の有給休暇の付与条件は、以下の通りです。

有給休暇2

業務に支障がある場合は、有給の日程変更を交渉することができる

先ほどお伝えした通り、有給休暇は労働者の権利なので、「有給休暇を取りたい」と申し出があった場合、企業は基本的に断ることができません。

ただ、企業側には「時季変更権」という権利があり、業務の正常な運用を妨げる理由がある場合に限り、有給休暇を別日に取得するように指示をすることができます。

業務の正常な運用を妨げる場合というのは、社員が繁忙期や重要な仕事のときに休暇を取得することを指します。その場合は日程の変更を要請できるのです。(参考:労働基準法第35条第5項但書

では、有給休暇の仕組みがわかったところで、有給休暇の義務化が検討されている背景や、具体的な内容について説明します。

 

有給休暇の義務化で何が変わるのか?担当者であれば知っておきたい概要とその対策

なぜ「義務化」となったのか?

今回の年次有給休暇の義務化の背景には、日本人の有給取得率の低さが大きな問題としてあります。

この記事の冒頭でもご紹介したように、日本は世界各国と比較してもダントツで有給取得率が低い国です。

出典:有給休暇国際比較調査2017(エクスペディア)

一方で、厚生労働省の調べによると、平成27年に労働者に付与された年次有給休暇の平均は18.4日で、そのうち労働者が取得した有給休暇日数は年間8.8日でした。

この調査結果をみると、有給休暇を5日間強制的にとらせる必要はないように感じる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、独立行政法人労働政策研究・研修機構の調べによると、有給休暇の取得が年5日以下の正社員は、45.7%にものぼることがわかっています。

加えて、日本人が有給を取得出来ない理由として最も多く挙げられるのが、「緊急時のための取っておく」という理由です。これは逆に言えば、緊急時以外には休みにくい職場の雰囲気がある、ということではないでしょうか。

出典:有給休暇国際比較調査2017(エクスペディア)

有給休暇の平均取得日数は8.8日ですが、有給の取得日数の多い人が平均日数を引き上げているだけで、十分な有給休暇を取得出来ていない労働者は多いと言えるでしょう。

「有給休暇の義務化」の概要

次に、有給休暇の義務化の内容についてくわしく説明していきましょう。

有給休暇の義務化に関する定義は以下です。

2019(平成31)年4月から、全ての企業において、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年次有給休暇の日数のうち年5日については、使用者が時季を指定して取得させることが必要となる。
引用URL:年次有給休暇の時季指定義務(厚生労働省)

つまり、来年度(2019年)からは全ての企業が条件が合う労働者に対しては、年5日の年次有給休暇が与えなければならない、ということになります。

出典:年次有給休暇の時季指定義務(厚生労働省)

義務化のポイントとしては以下の3点が挙げられます。

  • 対象者は、年次有給休暇が10日以上付与される労働者(管理監督者を含む)に限る。
  • 労働者ごとに、初めて年次有給休暇を付与した日を基準日とし、その日から1年以内に5日間の有給を取得することが義務となる。その時季は使用者が労働者と話し合いの上で決めることが出来る。
  • 年次有給休暇を5日以上取得済みの労働者に対しては、使用者による時季指定は必要ない。

ここで注目したいのは3番目の項目です。

すでに10日以上の年次休暇がある社員が1年に5日以上の有給休暇を取得している場合、企業側は有給休暇の取得日を指定する必要はありません。

そのため、すでに1年に5日以上の有給休暇を取得できる風土がある企業は、有給休暇の義務化がはじまっても、そこまで心配はいらないでしょう。

ただ、全従業員が年間で5日間必ず有給休暇を取得しなくてはいけないため、従業員の有休取得状況を常に把握しておく必要があります。

義務化されると何が変わるのか?

年次有給休暇の基本的なルールは、労働者が使用者(雇い主)に対して「○月×日に休みます」と申し出ることによってその権利を使うことが出来るというのがこれまででした。

これまでのルール(出典:次有給休暇の時季指定義務(厚生労働省))

新しく設置される年次有給休暇の時季指定義務とは、使用者が忙しくて休めない労働者に対して、いつ休みたいか?という意見をヒアリングします。

労働者の要望を聞いた使用者はそれを考慮して、「○月×日に休んでください」と有給の取得時季を指定する、というものです。

新設されるルール(出典:次有給休暇の時季指定義務(厚生労働省))

新制度でも派遣やパート・アルバイトはもらえる?

1章でも述べた通り、年次有給休暇は、全ての労働者に与えられた法律上の権利です。

そのため、正社員だけでなく、派遣やパートタイマー・アルバイトの社員に対しても有給休暇は付与されます。

ただし条件面では異なります。

正社員もしくはフルタイムの契約社員は、入社6ヶ月経てば有給休暇が発生します。

一方、パートタイマーやアルバイトは、勤続年数や出勤日数に応じて付与されます。

付与される条件は以下の2つです。

  • 週4日出勤(年間169日〜216日)で3年間以上であること。
  • 週3日出勤で5年半以上経過し、直近1年間の出勤率が8割以上であること。

新制度で気をつけるべきポイント

新制度が設置されるにあたり、労働者を監督する立場にある人は、以下の2点について気を付けておく必要があります。

  • 使用者は、時季指定に当たっては、労働者の意見を聴取し、その意見を尊重するように努める。
  • 使用者は、労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存しなければならない。

あくまでも有給時季を指定できるのは、社員の意思を尊重した上で決めるものと考えましょう。

年次有給休暇管理簿とは、年次有給休暇を取得した時季、日数、基準日を労働者ごとに明らかにした書類のことです。ExcelやWordなどの基本的なソフトで作成しても構いません。

 

有給休暇の取得率アップが企業に与える影響

有給休暇取得のメリット

有給を取得することは、従業員だけでなく、企業にもメリットがあります。

例えば、計画的に年次有給休暇を取得することで以下のような効果があります。

  • 仕事の生産性向上
  • 企業イメージの向上
  • 優秀な人材の確保
  • モチベーション向上

昨今の人手不足の状況において、社員の有給取得率は企業イメージアップのための重要な要素であると共に、離職率低下にも繋がります。

有給休暇を取得しないデメリット

一方、有給を取得しない場合のデメリットは、以下のようなことが考えられます。

  • 従業員のストレス増加
  • 職場の雰囲気悪化
  • 残業などのコスト増加
  • 仕事の能率低下

もし自社に課題がありそうだと感じる方は、社内の有給休暇の取得状況を確認するとともに、取得率向上のための具体的な方針を話し合うことが必要でしょう。

有給休暇取得率向上で業績が上がった企業の一例

とは言えこの記事をご覧の方の中には、「社員の有給休暇の取得率が上がると、その分業務量が減り、売上が落ちてしまうのではないか」、そんな風に心配する方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、社員の有給休暇取得率が90%になるように業務改善をした結果、離職率が下がって、業績が40%もアップした企業があります。

それは、仏壇や墓石の販売をしている「株式会社お仏壇のやまき」という企業です。

引用:株式会社お仏壇のやまきHP

同社は元々、残業はして当たり前、有給は取得しないほうが評価されるという社風でした。しかし、営業成績が良い社員は実は残業時間が短く、仕事以外の時間を大事にしていることがわかったことから、同社の業務改革が始まったのです。

2007年に就業規則を変更し、その3年後には過半数の従業員が有給休暇を90%以上取得するようになりました。
さらに2011年からは、有給休暇取得率100%の従業員には、さらに20%分(4日分)の有給休暇を付与し、金一封を支給することにしました。

なんとも太っ腹な制度ですが、こうした制度の影響があり、同社の売上は40%も伸びました。

この事例が示すように、「働くときは働き、休みはしっかりとる」というメリハリがついたワークスタイルは、労働者にも企業にも活力を与えてくれます。

「有給休暇の義務化」に向けて企業は何を準備すれば良いのか?

「有給義務化の方針やメリットは理解したが、すぐに現場に休む習慣が根付くのか不安…」とお思いの方もいるでしょう。

この章では、来年の法律改正に備えて、最低限知っておきたい制度をご紹介します。

有給休暇の義務化に対する備えとしては、労働基準法で定められている「年次有給休暇の計画的付与制度」を活用することをオススメします。

この制度は厚生労働省も推奨している方法ですので、ぜひあなたの会社への導入も検討してみてください。

年次有給休暇の計画的付与制度とは?

年次有給休暇の計画的付与制度とは、年次有給休暇の付与日数のうち、5日を除いた残りの日数については、労使協定を結べば、計画的に年次有給休暇取得日を割り振ることができるという制度です。

この制度を導入している企業は、導入していない企業よりも年次有給休暇の平均取得率が8.1%高くなっています。

また、この制度を導入することによって、有給が取りやすくなる環境が作られるとも考えられています。

導入するメリットとしては、

  • 労務管理がしやすく計画的な業務運営が出来る。(事業主側)
  • ためらいを感じずに有給休暇を取得出来る。(労働者側)

といった点が挙げられます。

計画的な有給消化が可能(出典:厚生労働省

導入するためには、以下のような活用方法があります。

①企業もしくは事業所全体での一斉付与

企業もしくは事業所全体での一斉付与とは、全員が一律で有給休暇を取得することです。

全員で一斉に休みを取るので、社員間の引継ぎコストなどがかからないというメリットがあります。

②班・グループ別の交代制付与

①のように、企業や事業所全体で一斉に有給休暇を取得することが難しい場合は、チーム・グループごとに有給休暇を付与する日を決める方法がよいでしょう。

例えば、日本ではお盆(8月)、暮れ・正月(年末年始)に所定の休日を設けるケースが多く、これらの休日に計画的付与の年次有給休暇を組み合わせることで、大型連休とすることができます。

また、ゴールデンウィークなどについても、祝日と土曜日、日曜日の合間に年次有給休暇を計画的に付与することで、10日前後の連続休暇を作ることが出来ます。

流通・サービス業で定休日を増やすことが難しい場合にオススメです。

③年次有給休暇付与計画表による個人別付与

①や②が難しい場合は、個人ごとに年次有給休暇付与計画表を作成する方法があります。

この方法では、暦の関係で休日が飛び石となっている場合に、休日の橋渡しとして計画的付与制度を活用し、連休とします。

例えば、土曜日と日曜日を休日とする事業場で祝日が木曜日にある場合、金曜日に年次有給休暇を計画的に付与すると、合わせて4連休とすることが出来ます。

また、誕生日や結婚記念日などの個人的なイベントの日をアニバーサリー休暇として、有給休暇の取得を推進するケースもあります。

年次有給休暇の計画的付与制度を導入できれば、会社全体で有給休暇取得日数を向上させることができます。ただ、この制度を実際に導入するためには、以下の手続きが必要となりますので注意しましょう。

就業規則による規定

就業規則に、以下のような規定を追加する必要があります。

「5日を超えて付与した年次有給休暇については、従業員の過半数を代表する者との間に協定を締結した場合、その労使協定に定める時期に計画的に取得させることとする」

労使協定の締結

実際に計画的付与を行う場合には、従業員の過半数で組織する労働組合、もしくは労働者の過半数を代表する者と、書面による協定を締結する必要があります。

労使協定では、以下のような項目を定めます。

  • 計画的付与の対象者(あるいは対象から除くもの)
  • 対象となる年次有給休暇の日数
  • 計画的付与の具体的な方法
  • 対象となる年次有給休暇を持たない者の扱い
  • 計画的付与日の変更

また、年次有給休暇の計画的付与は、労働者が付与された有給休暇のうち、5日を除いた日数のみとなります。

例えば、有給休暇の付与日数が20日の労働者なら15日、10日なら5日を計画的付与の対象にすることができます。

年次有給休暇の計画的付与制度についてくわしく知りたい方は、厚生労働省が発表している「有給休暇ハンドブック」という資料をチェックしてみてくださいね。

今回の労働基準法の改正案が示すように、労働者の権利を守るための議論は活発に進んでいます。

企業側はこうした時流をキャッチしながら、労働者がより働きやすい環境を整えていく必要があります。

有給休暇を取得した社員が、休みを満喫できるように福利厚生サービスを導入するという方法もいいでしょう。

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まとめ

最後に各章のトピックをまとめておきましょう。

  • 平成31年(2019年)4月より「年次有給休暇の年5日取得」が義務化される
  • 新設される労働基準法では、使用者は労働者の意見を聴き入れた上で、年次有給休暇の時季を指定することが出来る。
  • 有給休暇の義務化に対する備えとしては、「年次有給休暇の計画的付与制度」の活用がオススメ。

法律改正への対応というだけでなく、労働者が働きやすい環境をつくるためには、有給休暇の取得率を上げていくことは重要です。

ぜひあなたの会社で取り組めることから、始めてみてください。

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社員へ休日の過ごし方を聞けば「1日家にいてぼーっとしていた」「とにかく寝ていた」など、ただ有給休暇を消化しているだけ

有給休暇の過ごし方は、個人の自由です。しかし、休日の充実度合が仕事にも影響を及ぼすため、企業としては、心身共にしっかりとリフレッシュができる有意義な休日を過ごしてもらうことが重要です。

充実した休日の提案には、福利厚生サービスの充実を検討しましょう。

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