2020年有休取得が企業の義務に?有給休暇の義務化とその対策

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あなたの会社では、社員が有給休暇をきちんと取得していますか?

  • 仕事が忙しく、有給休暇をほとんど取れていない
  • 取得状況はかなり個人差がある

そんな状態の企業が多いのではないでしょうか。

世界各国と比較をしても、日本の企業は有給休暇の取得率が低い傾向にあります。
2016年に行われた28ヶ国を対象とした有給休暇の取得率に関する調査で、日本は最下位でした…

そして、2016年現在、有給休暇の平均消化率は48.7%です。

ここ10年ほどは50%を切る水準で推移しているので、低空飛行を続けているといえるでしょう。

一方で、政府は「第4次男女共同参画基本計画」のなかで、「2020年までに、有給休暇の取得率を70%にする」という目標を掲げています。その背景には、ワーク・ライフ・バランスを実現するという目的があるのです。

さらに、労働者が有給休暇を取得することを企業の義務とする法案が出されています。

具体的には、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者が、年に5日以上の有給休暇を取得することを企業側の義務とするものです。
企業によっては、有給休暇の期限が切れる際に買い取りをしているケースがありますが、そういった企業であっても、必ず年に5日以上は有給休暇を取得させなければいけません。

この有給休暇の義務化は、労働者を保護するための法律である「労働基準法」の改正という形で検討されています。
2015年の臨時国会で発案され、国会での成立は先送りとなっていますが(2017年7月現在)、企業側は成立を見越して準備を進めておくとよいでしょう。

では、実際にこの改正案が可決された場合、企業側はどのような対応をとるべきなのでしょうか。この記事では以下のステップで説明していきます。

  • 有給休暇の仕組みを理解する
  • 有給休暇の取得率アップが企業に与える影響
  • 有給休暇義務化のくわしい内容
  • 企業側はどんな準備をしておくべきか

有給休暇の義務化に備えて、準備をしておきましょう!

参考:有給休暇国際比較調査2016
参考:平成28年就労条件総合調査 労働時間制度|厚生労働省
参考:年次有給休暇取得率の推移|中区府男女共同参画局
参考:年次有給休暇の取得促進|厚生労働省

有給休暇の仕組みを理解する

まず、有給休暇の仕組みについて説明します。有給休暇を取得することは、「労働基準法」によって定められた、労働者が平等に持つ権利です。

有給休暇を取得するには、以下2つの条件を満たしている必要があります。

  • 仕事を開始してから6ヶ月間継続して働いている
  • 労働日のうち8割以上出勤している

上記を満たすと、10日の有給休暇が付与されます。そして、有給休暇の日数は、以下のように勤続年数が長くなるほど増えていくのです。

有給休暇1

また、有給休暇の有効期限は2年間です。そのため、ひとつの会社に長く勤めている人であっても、一度に保有できる最大の有給休暇は40日となります。この有給休暇は、正社員や契約社員はもちろん、派遣やパートやアルバイトで働く人にも付与されています。

派遣やパート・アルバイトの場合は、労働日数に応じて有給休暇の付与日数が変わります。有給休暇1日あたりに受け取る金額は労働時間分となるため、たとえば1日4時間働いている人の場合は4時間分の賃金です。

派遣やパート・アルバイトで働く人の有給休暇の付与条件は、以下の通りです。

有給休暇2

先ほどお伝えした通り、有給休暇は労働者の権利なので、「有給休暇を取りたい」と申し出があった場合、基本的に企業は断ることができません。

ただ、企業側には「時季変更権」という権利があり、業務の正常な運用を妨げる理由がある場合に限り、有給休暇を別日に取得するように指示をすることができます。業務の正常な運用を妨げる場合というのは、社員が繁忙期や重要な仕事のときに休暇を取得することを指します。その場合は日程の変更を要請できるのです。

参考:労働基準法第35条第5項但書

では、有給休暇の仕組みがわかったところで、有給休暇の義務化が検討されている背景や、具体的な内容について説明します。

有給休暇の取得率アップが企業に与える影響

「社員の有給休暇の取得率が上がると、その分業務量が減り、売上が落ちてしまうのではないか」、そんな風に心配する方がいるかもしれません。

しかし、社員の有給休暇取得率が90%になるように業務改善をした結果、離職率が下がって、業績が40%もアップした企業があります。

それは、仏壇や墓石の販売をしている「株式会社お仏壇のやまき」という企業です。同社は元々、残業はして当たり前、有給は取得しないほうが評価されるという社風でした。しかし、営業成績が良い社員は実は残業時間が短く、仕事以外の時間を大事にしていることがわかったことから、同社の業務改革が始まったのです。

2007年に就業規則を変更し、その3年後には過半数の従業員が有給休暇を90%以上取得するようになりました。
さらに2011年からは、有給休暇取得率100%の従業員には、さらに20%分(4日分)の有給休暇を付与し、金一封を支給することにしました。

なんとも太っ腹な制度ですが、こうした制度の影響があり、同社の売上は40%も伸びました。この事例が示すように、「働くときは働き、休みはしっかりとる」というメリハリがついたワークスタイルは、労働者にも企業にも活力を与えてくれます。

参考:しずおか いきいきワークスタイル通信

有給休暇の義務化の背景や内容

冒頭で、有給休暇で義務づけられる日数は5日だとお話ししました。これは年に5日の有給休暇さえ取得することが難しい労働者が多い、だから義務化する、ということなのです。

厚生労働省の調べによると、平成27年に労働者に付与された年次有給休暇の平均は18.4日で、そのうち労働者が取得した有給休暇日数は 年間8.8日。
この調査結果をみると、有給休暇を5日間強制的にとらせる必要はないように感じる人がいるかもしれません。

しかし、独立行政法人労働政策研究・研修機構の調べによると、有給休暇の取得が年5日以下の正社員は、45.7%にものぼることがわかっています。

つまり、有給休暇の平均取得日数は8.8日ですが、有給の取得日数の多い人が平均日数を引き上げているだけで、有給休暇を取れていない労働者は多いといえます。

次に、有給休暇の義務化についてくわしく説明していきましょう。

有給休暇の義務化が盛り込まれた労働基準法の改正案には、以下のような記載があります。

10日以上の有給休暇が付与される労働者に対して、有給休暇のうち5日は、有給休暇が発生した日から1年以内に、雇用主が時季を指定して取得させる義務が発生する
参考:年次有給休暇の取得に関する調査

くわしく解説しますと、すでに10日以上の年次休暇がある社員が1年に5日以上の有給休暇を取得している場合、企業側は有給休暇の取得日を指定する必要はありません。

そのため、すでに1年に5日以上の有給休暇を取得できる風土がある企業は、有給休暇の義務化がはじまっても、そこまで心配はいらないでしょう。ただ、全従業員が年間で5日間必ず有給休暇を取得しなくてはいけないため、従業員の有休取得状況を常に把握しておく必要があります。

そして、有給休暇が取得しにくい企業の場合は、有給休暇の取得率を上げるための改革をしなければなりません。そこで次に、有給休暇の義務化にむけて、企業がしておくべき準備について、説明していきます。

有給休暇の義務化にむけての企業の準備

有給休暇の義務化に対する備えとしては、労働基準法で定められている「年次有給休暇の計画的付与制度」を活用することをオススメします。

年次有給休暇の計画的付与制度とは、労働者が有給休暇を取得しやすくするために企業側があらかじめ有給休暇の取得日を割り振る制度のことです。

具体的には、以下の方法があります。

①企業もしくは事業所全体での一斉付与

企業もしくは事業所全体での一斉付与とは、全員が一律で有給休暇を取得することです。たとえば、飛び石連休の平日をお休みとするなどの方法です。

全員で一斉に休みを取るので、社員間の引継ぎコストがかからないメリットがあります。

②班・グループ別の交代制付与

①のように、企業や事業所全体で一斉に有給休暇を取得することが難しい場合は、チーム・グループごとに有給休暇を付与する日を決める方法がよいでしょう。たとえば、該当部署の仕事が落ち着いている時期に、有給休暇を設定します。

流通・サービス業で定休日を増やすことが難しい場合にオススメです。

③年次有給休暇付与計画表による個人別付与

①や②が難しい場合は、個人ごとに年次有給休暇付与計画表を作成する方法があります。たとえば、ゴールデンウィークや夏季休暇、年末年始などの大型連休に有給休暇を追加して大型連休とするのもよいでしょう。

また、誕生日や結婚記念日などの個人的なイベントの日をアニバーサリー休暇として、有給休暇の取得を推進するケースもあります。

年次有給休暇の計画的付与制度を導入できれば、会社全体で有給休暇取得日数を向上させることができます。ただ、この制度を実際に導入するためには、以下の手続きが必要となりますので注意しましょう。

就業規則による規定

就業規則に、以下のような規定を追加する必要があります。「5日を超えて付与した年次有給休暇については、従業員の過半数を代表する者との間に協定を締結した場合、その労使協定に定める時期に計画的に取得させることとする」

労使協定の締結

実際に計画的付与を行う場合には、従業員の過半数で組織する労働組合、もしくは労働者の過半数を代表する者と、書面による協定を締結する必要があります。

労使協定では、以下のような項目を定めます。

  • 計画的付与の対象者(あるいは対象から除くもの)
  • 対象となる年次有給休暇の日数
  • 計画的付与の具体的な方法
  • 対象となる年次有給休暇を持たない者の扱い
  • 計画的付与日の変更

また、年次有給休暇の計画的付与は、労働者が付与された有給休暇のうち、5日を除いた日数のみとなります。たとえば、有給休暇の付与日数が20日の労働者なら15日、10日なら5日を計画的付与の対象にすることができます。

年次有給休暇の計画的付与制度についてくわしく知りたい方は、厚生労働省が発表している「有給休暇ハンドブック」という資料をチェックしてみてくださいね。

今回の労働基準法の改正案が示すように、労働者の権利を守るための議論は活発に進んでいます。企業側はこうした時流をキャッチしながら、労働者がより働きやすい環境を整えていく必要があります。

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まとめ

いかがでしたか?法律の改正への対応というだけでなく、労働者が働きやすい環境をつくるためには、有給休暇の取得率を上げていくことは重要な課題です。

あなたの会社で取り組めることから、始めてみてください。

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