コラム

第1回 同一労働同一賃金の基礎知識について

 

 2020年4月(中小企業においては2021年4月)から、「同一労働同一賃金」の趣旨を踏まえた「短時間・有期雇用労働法」が施行される。これは、非正規従業員(法令では「短時間・有期雇用労働者」。週の所定労働時間が通常の従業員よりも短いか、労働契約が有期である従業員)の待遇改善を目的とする。

まず非正規従業員の待遇を取巻く環境を概観する。

 図に示すように、同一労働同一賃金をめざす動きは「働き方改革」から始まった。わが国は少子化・長寿化が同時進行して社会が高齢化し、さらに人口減少に向かっている。このため、労働力人口が減少しつつあり、放置すれば経済の成長力・競争力が失われ、社会や国民生活の維持も困難になる恐れもある。

 就業者数が減らないよう、女性や高年齢者、短時間者・有期雇用労働者、外国籍、病気療養者なども働ける職場環境を作る必要がある。ただし、これらの人々は、長時間労働を強いられる職場では、仕事を継続することができない。たとえば女性は家庭と仕事の両立を求められることが多い。長時間労働慣行を是正し、残業の少ない職場とすることで、女性だけでなく、高年齢者や病気療養者も職場で働きやすくなる。いわゆる「サラリーマンの働き方」からの、発想の転換が求められている。

 これまで非正規従業員は、給与、福利厚生、退職金などを含めた待遇が正規従業員に比べて低かった。非正規従業員は十分なモチベーションをもって働くことができず、高い労働生産性を発揮することが難しい。または低い待遇であることで非正規従業員として勤務することに魅力を感じず、働かない選択がなされることも考えられる。

 よって、就業者数を増やし、かつより高い労働生産性で働けるために、非正規従業員と正規従業員との間の不合理な待遇差を無くすこととした。その根拠となるのが同一労働同一賃金である。

次回は転換点となった「同一労働同一賃金ガイドライン案」公表後の動きについて確認する。

「働き方改革」何から取り組めば良い?
とお悩みの企業担当者の方へ

やるべきことが分からず、まずは今話題の残業の抑制から取り組んでみたという企業が約86%を超える中、その半数にも及ぶ、約44%の従業員が残業抑制に関する満足度を実感出来なかったと回答をしています。(※参考:LINE株式会社 livedoor NEWS 残業削減で「収入が減った」が3割 「生産性で評価して」という声

このようにそもそもの目的を見失い、残業を減らしたり、休みを増やしたところで、従業員の満足度が下がればその施策は無意味なものとなります。

何から始めて良いのか分からない・従業員満足度を向上させたい、とお困りの企業担当者は、まずは福利厚生アウトソーシングサービスの導入を検討してみはいかがでしょうか。

福利厚生の充実は、従業員満足度の充実による労働生産性の向上、離職率の低下・採用力の強化(人材不足の補填)など、様々なメリットがあります。


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