パートやアルバイトでも福利厚生は適用される?企業のメリットや種類も紹介
パートやアルバイトの福利厚生について、その適用条件や種類を詳しく解説します。法定福利厚生と法定外福利厚生の違い、企業にとってのメリット、従業員に人気の福利厚生制度などを幅広くまとめました。
働き方の多様化に伴いパート・アルバイトに求められる福利厚生の種類を紹介いたします。
目次
福利厚生とは?
「福利厚生」とは、従業員の生活支援や待遇改善を目的とした企業の取り組みです。法定福利厚生と法定外福利厚生の2種類があり、パートやアルバイトにも適用される場合があります。
以下で詳しく見ていきましょう。
法定福利厚生
「法定福利厚生」は、労働社会保険諸法令に基づき企業が従業員に提供すべき最低限の福利厚生制度です。
パートやアルバイトにも適用される場合があり、主に社会保険と有給休暇が含まれます。法定福利厚生は、健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険と子ども・子育て拠出金です。
従業員の医療費補償や老後の年金、失業時の収入保障などを目的としています。これらは企業規模や労働時間などの条件に応じて適用され、働く人々の生活を支える重要な役割を果たしています。
法定外福利厚生
「法定外福利厚生」は、企業が独自に設ける福利厚生です。
パートやアルバイトにも適用される場合があり、従業員の満足度向上や定着率アップに寄与します。例えば、健康診断費用負担、退職金制度、食事補助、従業員割引などがあります。
これらの制度は、従業員のモチベーション向上だけでなく、人材確保にも効果的です。企業の特性や従業員のニーズに合わせて多様な福利厚生を提供することで、働きやすい環境づくりを実現できます。
パート・アルバイトにも福利厚生が適用される?
近年、パートやアルバイトにも福利厚生を適用する企業が増加しています。法定福利厚生は条件を満たせば適用され、法定外福利厚生も徐々に拡大傾向です。
雇用形態による不合理な待遇差の解消が進む中、福利厚生の適用範囲が広がっている現状を以下で見ていきましょう。
基本的にはすべての従業員が利用できる
パートやアルバイトを含む全ての従業員が、福利厚生を利用できる傾向が強まっています。同一労働同一賃金の原則に基づき、雇用形態による不合理な待遇差は解消されつつある状況です。
人材の流動化が進む中、企業は適材適所の人材配置と公平な評価・処遇をより重視しなくてはなりません。法定福利厚生は条件を満たせば適用され、法定外福利厚生も徐々に拡大している傾向があります。
これにより、パート・アルバイトの待遇改善や人材確保、従業員満足度の向上が期待できます。企業には、従来の制度の見直しや、全ての従業員が働きやすい環境づくりを目指すことが求められています。
パート・アルバイトに福利厚生を提供している企業の割合
厚生労働省が実施した「令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査の概況」では、パート・アルバイトの就業形態を「無期雇用パートタイム」「有期雇用パートタイム」「無期雇用フルタイム」の3つに分けています。
上記のいずれの就業形態でも、通勤手当を提供している企業の割合が、順に60.7%、73.3%、78.1%と最も高い傾向にありました。その他にほぼ半数前後利用の福利厚生の種類には、慶弔休暇(44.8~71.7%)や法定外の休暇(38.1~60.2%)が見られます。
また、社内福利厚生施設の利用では、休憩室の利用(53.4~63.6%)と更衣室の利用(48.8~60.3%)がほぼ半数を超えています。
参考:厚生労働省「令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査の概況」(8ページ)
パート・アルバイトに福利厚生が適用される条件
パートやアルバイトの福利厚生適用には、労働時間や雇用期間などの条件があります。法定福利厚生は法律で定められた基準を満たせば適用され、法定外福利厚生は企業が独自に設定できます。
福利厚生の適用条件は種類によって異なるため、以下で詳細を見ていきましょう。
法定福利厚生が適用される条件
2024年10月から、従業員51人以上の企業では、一定の労働時間を満たすパート・アルバイト社員にも社会保険の適用が義務付けられています。
ただし、労働時間や日数によって条件が異なり、年次有給休暇や社会保険の種類ごとに適用基準が設けられます。企業は、各制度の詳細な適用条件の把握が必要です。
参考:厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト パート・アルバイトのみなさま」
健康保険・厚生年金保険
短時間労働者の社会保険加入条件が変更され、より多くのパート・アルバイトが対象となりました。適用には、週20時間以上の労働時間、月額8万8,000円以上の賃金、2カ月超の雇用見込みが必要です。
学生は原則除外されますが、休学中や夜間学生は適用対象です。加入後は給与から保険料が天引きされ、労使で折半します。企業は従業員数や労働条件を確認し、適切に対応してください。
介護保険
介護保険は、40歳から64歳のパート・アルバイト従業員に適用されます。健康保険・厚生年金保険と同じ条件で、週20時間以上の労働時間や月額8万8,000万円以上の賃金などが基準です。
40歳に到達した時点で自動的に加入となり、健康保険料と一緒に介護保険料が徴収されます。保険料は労使折半で負担します。
ただし、扶養家族として他の健康保険に加入している場合は、その保険者が介護保険料を徴収するため注意が必要です。企業は従業員の年齢や労働条件を確認し、適切な対応が求められます。
雇用保険
雇用保険は、パート・アルバイトなどの雇用形態や本人の希望にかかわらず、一定の条件を満たす従業員に適用されます。
主な条件は、週20時間以上の労働時間、31日以上の雇用見込みであることです(昼間学生は除外)。これにより、短時間労働者も対象となる可能性があります。保険料の負担割合は事業種別により異なるため、注意が必要です。
2017年1月からは、65歳以上の労働者も適用対象となりました。企業は従業員の労働条件を確認し、適切に対応してください。雇用保険加入によって、失業給付などのさまざまな保障が受けられます。
参考:厚生労働省「雇用保険の被保険者について」
労災保険
労災保険は、雇用形態や勤務時間にかかわらず、全ての従業員を対象としています。パートタイマーやアルバイト、短期雇用者も含め、企業から賃金を受け取る労働者は全て加入対象です。雇用期間や給与額は適用条件に影響しません。
この保険は、業務中や通勤時の事故によるけがや病気を補償し、労働者の安全を守ります。保険料は全額企業負担となるため、従業員の自己負担はありません。
企業は、全ての労働者を労災保険に加入させる法的義務があります。
法定外福利厚生の条件
法定外福利厚生は企業独自の制度であり、適用基準も各社で異なります。パートやアルバイトへの適用条件は、就業規則や賃金規程で明確に定めなくてはなりません。
同一労働同一賃金の観点から、週労働時間などを基準にすることで、待遇差の合理的な説明が可能です。例えば、通勤手当は通勤距離や交通手段に応じて決定できます。また、健康診断や社員旅行などの福利厚生は、勤続年数や労働時間数を基準にすることも考えられます。
企業は、パート・アルバイトの労働条件や貢献度を考慮しつつ、公平性を保ちながら適切な条件設定が必要です。これにより、従業員のモチベーション向上や人材確保にもつながります。法定外福利厚生の条件設定は、企業の経営戦略の一環として慎重に検討する必要があります。
パート・アルバイトに福利厚生を適用する企業のメリット
パート・アルバイトに福利厚生を適用する企業の主なメリットには、以下の3つが挙げられます。
- 従業員の満足度と生産性が向上する
- 福利厚生費として計上することで節税対策になる
- 採用に有利になりやすい
詳しく見ていきましょう。
従業員の満足度と生産性が向上する
福利厚生をパート・アルバイトにも適用することで、従業員満足度と生産性の向上が期待できます。
雇用形態にかかわらず福利厚生を提供することで、従業員の処遇への満足感が高まり、モチベーションが向上します。これにより、質の高い顧客サービスの提供や業績アップにつながる可能性があります。
さらに、充実した福利厚生は離職率の低下にも寄与し、研修費用など新入社員の教育コスト削減にもつながります。結果として、企業全体の生産性向上が見込めます。
パート・アルバイトを含む全ての従業員が意欲的に働ける環境を整えることで、企業の競争力強化にも貢献します。
福利厚生費として計上することで節税効果が期待できる
法定外福利厚生は、一定の条件を満たせば非課税の福利厚生費として計上でき、節税効果が期待できます。
主な条件は、全従業員が利用できること、金額が妥当であること、現物支給とみなされないことです。
例えば、パート・アルバイトを含む全従業員に対して住居手当を給与から差し引いて支給すれば、その分が非課税となり、企業の保険料負担が軽減されます。また、社員食堂の運営費や健康診断費用なども、適切に運用すれば福利厚生費として計上できるのです。
ただし、過度な金額や特定の従業員のみを対象とする場合は課税対象となるため、注意が必要です。
適切な福利厚生費の計上は、企業の節税対策になる点はメリットです。
採用に有利になりやすい
パート・アルバイトを含む求職者は、福利厚生を重要視していることが多いです。就職・転職サイトでは福利厚生の有無で企業を絞り込める機能もあり、採用に直結します。
パート・アルバイトへの福利厚生が充実していれば、面接時には長期的な勤務の魅力をアピールでき、応募者の志望度を高められる点はメリットです。
充実した福利厚生は実質的な給与の上乗せと捉えられ、他社との差別化にもつながります。さらに、福利厚生の充実は従業員の定着率向上にも寄与するため、「ホワイト企業」としてのブランディングも可能です。
パート・アルバイトを含む幅広い人材層に訴求し、優秀な人材の獲得を目指せます。
パート・アルバイトにも喜ばれやすいおすすめの福利厚生例
正社員登用制度、有給休暇、食事補助など、パート・アルバイトにも適用できる福利厚生が増えています。レジャー施設の割引や健康診断、書籍・セミナー代の補助、従業員割引なども、非正規雇用者の満足度を高める効果的な制度として注目されています。
以下で詳しく見ていきましょう。
正社員登用制度
正社員登用制度は、パート・アルバイト従業員のキャリアアップを支援する重要な福利厚生です。この制度により、非正規雇用者は将来のキャリアパスを明確に描けるようになり、長期的な就業意欲が高まります。
評価基準を明確にし、頑張りに応じて登用機会を設けることで、仕事への責任感と意欲を引き出すことが可能です。結果として、従業員の定着率向上と人材育成の両立ができるようになり、企業の競争力強化につながります。
有給休暇
労働基準法に基づき、パート・アルバイトにも有給休暇が適用されます。主な条件は、6カ月以上の継続勤務と所定労働日の8割以上の出勤です。
週1日勤務でも、条件を満たせば1日の有休付与が必要です。フルタイム相当の勤務者には、年10日以上の有休を与えなければなりません。
この制度は法定福利厚生のため、全ての企業が順守する必要があります。さらに、企業の判断で法定以上の日数を付与することも可能です。
充実した有給休暇制度は、パート・アルバイトの満足度向上と人材確保に効果的です。
参考:厚生労働省「年次有給休暇とはどのような制度ですか」
食事補助
食事補助は、パート・アルバイトにとって人気の高い福利厚生の1つです。
飲食店では、余剰食材を活用した「賄い」の提供が多く、食費削減に貢献します。この制度は求人時のアピールポイントとなり、応募者増加にもつながりやすいです。一方、他業種でも社員食堂の利用許可やデリバリー費用の一部負担など、さまざまな形で食事補助を導入できます。
こうした取り組みは、従業員の満足度向上やモチベーションアップに効果的です。企業にとっても、福利厚生費として計上できるメリットがあります。
レジャー施設やサービスの割引
レジャー施設やサービスの割引は、パート・アルバイトを含む全従業員のワークライフバランスの向上に貢献する人気の福利厚生です。自社運営の施設や商品を特別価格で提供することで、従業員満足度を高めつつ、業務への理解も深まります。
自社サービスがない場合は、外部の福利厚生サービスと契約し、多様な施設やサービスの割引を提供できます。
これにより、従業員のリフレッシュを促し、仕事へのモチベーション向上にもつながりやすいです。パート・アルバイトにも適用することで、企業の魅力向上と人材確保に効果的です。
健康診断
法律上、パート・アルバイトへの健康診断実施義務は一部の条件下でのみ発生します。ただし、全従業員への健康診断提供は、企業にとって多くの利点があります。
従業員の健康管理により、長期休業のリスクを軽減し、安定したサービスの提供が可能です。また、健康診断費用の会社負担は、従業員の金銭的負担を軽減し、会社への帰属意識を高めます。
結果として、定着率向上や求人応募数増加につながり、人材確保・育成の面で大きなメリットをもたらす有益な福利厚生といえます。
書籍やセミナー代の補助
仕事関連の書籍購入やセミナー参加費用を企業が負担する福利厚生が注目されています。この制度は、パート・アルバイトの学習意欲を高め、スキルアップを促進します。
金銭的な理由で学習できない従業員の負担を軽減し、学習機会を増やすことで、生産性向上につなげる点が企業のメリットです。さらに、従業員の成長を支援する企業として好印象を与え、採用時の応募者増加も期待できます。
書籍購入やセミナー参加費用の補助は、パート・アルバイトのモチベーション向上と、企業の競争力強化を同時に実現できる効果的な福利厚生です。
従業員割引
従業員割引は、パート・アルバイトを含む全従業員に人気の福利厚生です。自社製品やサービスを特別価格で提供することで、従業員満足度が向上し、商品理解も深まります。
自社商品がない場合は、提携先のレジャー施設や宿泊施設の割引クーポンを支給する方法もあり、従業員は気軽に休暇を楽しめ、リフレッシュ効果も高いです。
プライベートの充実は、仕事へのモチベーションアップや生産性向上にもつながります。従業員割引は、企業と従業員双方にメリットをもたらす効果的な福利厚生制度といえます。
パート・アルバイトに関する法律
「パートタイム・有期雇用労働法」は、短時間労働者の待遇改善を目的とした法律です。この法律により、雇用主は労働条件を文書で明示し、説明する義務があります。
賃金、教育訓練、福利厚生施設の利用など、あらゆる面で正社員との不合理な待遇差が禁止されています。また、給食施設・休憩室や更衣室などの福利厚生施設の利用に際しては、パートタイム労働者の利用機会の配慮が義務付けられました。
この法律は、非正規雇用者の権利を保護し、公平な労働環境の実現を目指しています。
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まとめ
パート・アルバイトへの福利厚生適用は、法律の整備により進んでいます。
法定福利厚生は条件を満たせば適用され、法定外福利厚生も企業独自の判断で提供が可能です。企業は、パート・アルバイトを含む全従業員に対し、公平で魅力的な福利厚生制度の検討が求められています。
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