福利厚生

社員持ち株制度は導入すべき?上場企業の9割以上が導入している理由

社員持ち株制度とは、従業員に会社やその親会社などの自社株を保有してもらう制度です。一般的には、従業員が「持株会」という機関を設立してその運営を行います。会員になった従業員が給与天引きで自社株を購入し、拠出額に応じた配当金を得ることができます。

低金利の時代において、従業員にとって資産形成の有効な手段のひとつとなるほか、企業にとっても安定株主を増やすという役割があり、企業と従業員どちらにとっても非常に大きなメリットがあります。

企業は導入時においてメリットとリスクを十分に説明して、社員に加入の有無を選択してもらう必要があります。
ここでは、社員の持ち株制度のデメリットとリスクについて説明します。

福利厚生のアウトソーシングについて

福利厚生の充実は、従業員満足度を向上させ、採用や離職防止にも役立ちます。

総合福利厚生サービス「ベネフィット・ステーション」は

・140万件以上のサービスが利用できるため、年齢や性別関係なく、従業員の多様なニーズに応えることができる
・福利厚生会員数は業界最大級の1,100万人(※2024年4月現在)
・「福利厚生」「健康支援」「教育・研修」をサポート

ぜひこの機会にご検討ください。

企業にとってのデメリットとリスク

朝活のメリットは何か

社員持ち株制度を導入後には、企業は継続的に配当を出し続けることが求められます。未上場企業では、持株会が第三者に株を売却することができないため、企業からの配当のみが投資に対するリターンとなります。

経営が不安定である企業や、規模が小さい企業においては配当を出すために経営が圧迫されるという事態も考えられます。

また、社員の退職時などに株式を換金する作業が行われますが、この際のルールをしっかり定めておかないと、社員が不満を持ってトラブルになる可能性や、逆に会社が高い価格で買い取るなど負担を強いられてしまう可能性もあります。

さらには、1株以上保有している場合に株主代表訴訟提起権の行使が可能になるなど、少数株主の権利が発生します。議決権がない配当優先無議決株主を保有させるなどの工夫をすることも検討するといいでしょう。

社員にとってのデメリットとリスク

男性 悩む

勤務先の業績に依存してしまう

社員側のデメリットの一つ目は、資産が勤務先の業績に依存してしまうリスクがあることです。

つまり、会社の業績が悪くなった場合、給与や賞与カットという収入面でのマイナスリスクがあるうえに、株価が下がり投資した分の利益を回収できないことが起こりうるため、最悪の場合には、仕事も資産も失う可能性があるのです。一方で、自社株以外での資産形成をしていれば、このようなリスクを分散させることが可能です。

フレキシブルな運用ができない

次に運用面でのデメリットが挙げられます。保有株式を売却する際には持ち株会の手続きが必要になるため簡単に売ることができない、一度退会すると再度入会ができない、一部のみの売却ができないなど持株会ごとにルールがあるため、フレキシブルな運用ができないという点です。

また、持株会の名義で株の購入を行っているため、会員個人が株主優待を受けることはできません。単元株数まで購入して自口座に移管すれば株主優待を受けることができますが、そもそも単元数に至るまでどれくらいの年数が必要かも計算しておいたほうがいいでしょう。

持株会を途中退会する際には、その時点での株価で保有株式を売却することができますが、会社が定める取り決めによっては、積み立ててきた平均購入価格より株価が低い場合に損をするというリスクもあります。

制度設計と継続的な運用が難しい場合には導入をオススメできない

マネジメント研修の注意点

このように、社員持ち株制度の導入にあたってはデメリットやリスクも発生します。そのため、しっかりとした制度設計と継続的な運用が難しいという企業においては、導入をおすすめできません。制度設計時には配当金の支払い基準を明確に示し、どの程度の配当金が見込めるかを社員に示すことが重要です。

従業員の納得感を得るためにも毎期の経営状態を開示するなどオープンな経営体制を心がけ、社員との信頼関係を築き、制度のメリットを十分に理解してもらう必要があります。

スタートアップで利益が十分に出ていない場合や、配当金の支給に際し財政面の不安がある、知識を有する担当者がいないなど運用体制に懸念がある場合は、早急に導入せずに体制を整えることから始めてはいかがでしょうか。

導入している企業の事例

当日だけのことを考える講師は危険

それでは、実際に社員持ち株制度を導入した企業の事例を見ていきましょう。

まずは、不正会計によるスキャンダルで株価が暴落した株式会社東芝の例です。上場以来の株価の最高値は1989年の1株約1500円でしたが、業績悪化と不正会計のニュースにより信用が失墜し、決算開示の延期を余儀なくされた2017年2月以降は183円台を記録するなど、大幅な株価下落に見舞われました。自社株を保有する社員にとっては当然人生設計に関わる大きな打撃です。

インタビュー記事によると、自社株を売却してマンションの頭金や住宅ローンの返済に充てようと考えていた東芝社員が、保有する株の価値が大幅に下落したために計画を諦めざるをえなくなったと答えています。

東芝では新入社員が持株会に加入することを奨励していて、先輩や上司からの誘いもありほぼ全社員が加入しているといいます。そのため、持株会は加入者も多いことから、事実上の筆頭株主となっています。

しかし、このように大企業や安定した企業であってもいつ経営状況が悪化するか分かりません。「うちの企業なら大丈夫だろう」と安心して持株会に加入していると、株価が暴落したときに大きな損失を被ることになります。

ある社員は、自社株の保有数を「忠誠心の証」といいます。会社への忠誠心や周囲からのプレッシャーがある状況では途中退会しにくいという心理が働くかもしれませんが、自分や家庭の資産を守るためにもリスク回避ができるような運用をするべきでしょう。

自社株購入時の奨励金を100%に設定した企業

一方で、自社株購入時の奨励金を100%に設定した企業もあります。

ワンダープラネット、サイボウズといったソフトウエア開発関連の企業です。一般的には、奨励金の目安は5%から20%といわれている中で、100%の奨励金は大きな額に相当します。

例えば、毎月1万円の積み立てをする社員には会社が1万円分補助し、合計2万円の積立金にするという計算です。この場合だと企業にとっては一人当たり年間12万円のコストがかかるため、人件費にかかるインパクトも大きくなりますが、この施策によって多くの従業員が持株会に加入しました。

サイボウズでは、以前まで全従業員の3割しか持株会に加入していませんでしたが、導入後9割にまで伸びました。

ワンダープラネットでは、若い社員が多い組織における初めての持ち株制度導入にも関わらず、7割の社員が加入しました。

なお同社では「5~20%の奨励金では動機付けに特別感がない」ことと「まだまだ小さな会社なので、メンバーの頑張り次第でこれからさらに企業価値が上がる」ことから、100%の奨励金付社員持ち株制度導入に踏み切りました。

社員への説明会にも工夫を凝らし、独身の社員の場合、家族持ちの社員の場合などタイプ別の積立金設定の事例を紹介しました。また、「投資する金銭的余裕がない人は当分の間入会を見送るように」と注意喚起するなど、社員側のリスクも踏まえた説明をしました。社員から信頼を得なければ会社の株式を買って資産運用しようという気持ちを起こさせることはできません。

そのため、信頼関係を築くことと、納得を得られるような説明をすることにこだわりました。この施策を通して、社員が一致団結して会社の成長に向かって取り組めるような組織づくりを目指しています。

持ち株会制度導入の価値は大きい

このように、社員持ち株制度にはデメリットやリスクがあるものの、従業員への福利厚生の一環として、また組織のモチベーションアップに役立つ制度として、導入を検討する価値が十分にある制度といえます。

上場企業の9割以上が導入している社員持ち株制度ですが、安定株主の確保、節税対策、社員の組織に対するロイヤリティの向上と積極的な業務改善への取り組みなど、中小企業や未上場企業にとってもメリットが大きい制度と考えられます。

導入にあたっては、制度設計を綿密に行い、退会時のルールや資金繰りについて懸念点がないように十分検討する必要があるでしょう。

また、社員に制度のメリットとデメリットをしっかりと説明し、会社の業績や今後の見通しを明確に示すことで信頼関係を築くことが重要です。

制度だけ作って運用ができないという状況にならないように、経営陣や人事、経営管理などの部門と話し合って納得感のある制度作りを行うようにしましょう。

福利厚生サービス「ベネフィット・ステーション」をおすすめする3つの理由

福利厚生の充実は、従業員満足度を向上させ、採用や離職防止にも役立ちます。

もしこれから福利厚生の導入を検討するのであれば、自社で新たな制度を一から作るよりも、低価格で手間をかけずに簡単に導入ができるアウトソーシングサービスを利用すると良いでしょう。

数あるサービスの中でも、業界でトップシェアを誇る「ベネフィット・ステーション」の導入をおすすめします。

ベネフィット・ステーションが支持されている理由は、以下の通りです。

・約140万件以上のサービスが利用できるため、年齢や性別関係なく、従業員の多様なニーズに応えることができる
・福利厚生会員数は業界最大の1,100万人(※2024年4月現在)
導入企業法人16,000社(※2024年4月現在)

従業員が企業担当者を介さずサービスの利用申し込みを行うため、導入後の事務作業はほとんどありません。

ぜひこの機会にご検討ください。


詳細を見る