Chatwork株式会社
インターネット関連サービス 101-500名- 目指していること
- ・ITで解決できる課題は、ITに任せる。いかに自分たちが楽に業務を行えるかを、考え方のベースにしている。働き方改革に合わせて福利厚生制度を作っているわけではない。
・社員の健康が、会社のパフォーマンスを上げるために最も重要な要素。
- 行なっている施策
- ・「遣唐使制度」。自分が所属するオフィス以外の支社へ行き、他拠点の従業員と交流を行う。
・「ゴーホーム制度」。従業員の実家に帰る際に、会社から交通費の補助。
・「ランチトーク制度」。幹部やマネージャーに仕事の相談をする際に、ランチ代を支給。
・「メンター制度」。チャットワーク社の文化や、疑問点などを気軽に相談できる場を設定。
・「ヘルシー部活制度」。健康かつ円滑な人間関係を築くことを目的に、社内の部活動に補助金。
- 得られた結果
- ・「遣唐使制度」により、チャットのみでしか知り得なかった人となりが分かり、人間関係がより円滑になり、業務効率化を実感。
・「ヘルシー部活制度」は現在、100以上種類があり、仕事のチーム以外での従業員同士の繋がりが生まれた。
・柔軟な福利厚生制度をつくることで、経営層からだけでなく、現場社員から制度が生まれることも多くなった。
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・定着しなかった制度は、なぜ定着しなかったのか、その理由を徹底的に考え抜くこと。
・自社のミッションやカルチャーにフィットした制度なのかを適宜検証し続けること。
2019年4月より働き方改革が本格的に実施され始め、どの企業においても福利厚生制度の見直しがより活発に行われています。
その一方で「どのように福利厚生制度を決めていけば良いのかわからない」「どんな基準で作れば良いのか分からない」といった声もよく耳にします。
実際にその企業にとって適切な制度やルールが整っていなければ、せっかくの福利厚生もカタチだけのものとなってしまいます。
そこで今回は、ビジネスチャットサービスを提供するChatwork株式会社、執行役員兼コーポレート本部長の西尾知一(以下、西尾)氏と、人事総務部の内田良子(以下、内田)氏に、同社での福利厚生制度についてお話を伺いました。
「ゴーホーム制度」「遣唐使制度」で社員交流を活性化
―Chatworkは元々、働き方を見直すために作られたと伺っています。その経緯を教えてください。
内田:弊社は2000年創業で、2004年に会社を設立しました。当時はEC studioという社名で、中小企業に対しWebサイトの制作やSEO支援といった事業を行っていました。
元々は社内コミュニケーションにSkypeを利用していたのですが、よりビジネスに特化したチャットツールはないか、ということで当初は社内ツールとしてChatworkが作られました。それが2010年の話です。その後2011年3月に正式リリースし、一般の方も利用できるようにしました。
―2011年はまだ働き方改革などの考え方が世間に浸透していない時期だったと思います。当時からそのような意識を持たれていたのでしょうか。
西尾:働き方改革そのものというよりは、仕事を効率化するためにはどうしたらいいのか、ということについては今でもずっと考え続けていることです。
ITで出来ることはITに任せてしまって、人間にしか出来ない仕事をしようという考え方ですね。
語弊はあるかもしれませんが、いかに自分たちが楽に業務を行えるのかがベースにあり、それがたまたま世の中の働き方改革の流れに繋がっていったのかなと思います。
―Chatwork社で独自の福利厚生制度は何かありますか。
内田:実家に帰る際に会社から補助が出る「ゴーホーム制度」や「遣唐使制度」などがありますね。
―遣唐使とはあの遣唐使のことですか?
内田:はい、あの遣唐使です(笑)自分のオフィスじゃないところに行って、違うオフィスの人たちと仕事をしよう、という制度です。
入社して東京オフィスに配属された人が、3ヶ月以内に大阪オフィスに行き、3日間くらい仕事をします。特に目的がなくてもOKです。
西尾:そこで新しい仲間と出会って、一緒にランチに行ったり、仲良くなっている人もいますね。
チャットだけのコミュニケーションだとどうしても無機質なものになりがちなので、時折そうしたフィジカルなコミュニケーションを取っておくことで、誤解や認識の齟齬が生まれにくくなるのではと思います。
社員の健康が会社にとって最も重要
―その他に、ユニークな福利厚生制度はありますか。
内田:先ほどの遣唐使制度や、幹部やマネージャーに仕事の相談をする際にランチ代が補助されるランチトーク制度、新入社員がChatworkの文化や、疑問点などを気軽に質問できる場を作ることを目的としたメンター制度などは、コミュニケーション系の制度に含まれます。
その他には、社員の健康を守るための「ヘルシー部活制度」というものがあります。
健康かつ円滑な人間関係を築くことを目的に、社内の部活動に補助金を出すという制度になります。
フットサル部やバスケ部のほか、サウナ部などすでに多くのバラエティに富んだ部活が存在し、月に1回〜2回ほど活動しているようです。
―いくつくらい部活はありそうですか。
内田:正確には数えたことはないのですが、おそらく100個以上はあると思います。
チャットでの会話から部活が生まれることもあり、みんなが「いいね」と言ったら生まれるといった具合です。
ヘルシーではないですが、例えば中華料理屋さんに行って、三国志についてひたすら4時間語るみたいな部活もあります(笑)
―会社が社員の健康に気を配るのはなぜでしょうか。
西尾:社員の健康が会社にとってパフォーマンスを上げるために最も重要なことだと考えているからですね。
メンタル面での健康だけでなく、フィジカル面での健康にも十分気を配っていなくては、成果の出る仕事は出来ません。
例えば、100能力を持っている人が健康ならば100のパフォーマンスを出せますが、健康でなかったら80だったり50だったり、もしかしたら休養が必要になり0になってしまう可能性もありますよね。
会社経営にとって人は資産なので、事業を進めていくために最も重要な部分に投資をするということなのだと思います。
それぞれの社員が自分の能力をフルに活かせる環境を作っていくことが、福利厚生を考える人事や経営者の役割ではないでしょうか。
心理的安全性はマネージャーがつくる
―最近では心理的安全性という言葉が注目されています。フィジカルな健康面だけでなく、そういった側面でのケアなどはされていますか。
西尾:心理的安全性をどのように構築するのかというのは、弊社でも課題になっていますが、主にマネージャーが考えるべき仕事だと思っています。
マネージャーと部下が1on1をする際に、「怒られそう」や「この人には言いにくい」といった雰囲気になると、そこには心理的安全性が保たれていないということになります。なので、社員にとって直接関わりのあるマネージャーが気をつけていなければいけません。
弊社の場合、全社員96名の組織(2019年5月末日時点)で急速に人が増えてきているため、マネージャー層もマネージメント経験が豊富というよりプレイングマネージャーという場合が多いんです。
その部分を強化していかなければいけないので、福利厚生とはちょっと違った側面から、マネージャー層を含めた社員のサポートをしていかなければならないなと考えています。
―現場で働く人にとってマネージャーの存在は大きいですよね。
西尾:そうですね。マネージャー含めて自分の仕事で手一杯になってしまうことも時にはあります。
うちには中途採用のメンバーしかいないので、放っておいても誰かやってくれるだろう、と思ってしまいがちですが、実はそうではないという。
組織が30名程度だった時はまだ全体を見渡すことができましたが、100名近い規模になってくると、しっかりとルールを決めていかなければいけないと思っています。
ルールづくりにはミッションの軸からブレていないかが大切
―そのルールづくりには何が大切だと思われますか。
内田:ルール自体を作るのは簡単です。ルールを作って、それを社員に伝えれば良いので。でもそれでは本当の意味でルールを作ったことにはなりません。
ルールを作る上で大切なことは、会社のミッションやバリューとどのように紐づいているのかを確認することだと思います。
弊社のミッションである「働くをもっと楽しく、創造的に」というテーマがあるとして、そのルールがどのような形で制度に反映されているのか、を見るようにします。
もしそれが正しい方向性ではないならば、みんなの向いている方向性もバラバラになってしまうので、効果的な施策にはなりにくいと思います。
―福利厚生制度の企画はどなたから発信されることが多いですか。
西尾:代表やボードメンバーから提案が来る場合もありますが、誰かからの起案というより、現場の社員から声を上げてもらうパターンが多いですね。
特に何気ない雑談から「あ、それいいね」となれば、福利厚生の新しい制度が生まれることも珍しくないです。
―経営層と社員が話す機会は多いんですか。
西尾:普通の会社と比べたらかなり多いと思います。チャット上でほぼ毎日コメントし合ったりとか、やり取りをしていますね。
社員が増えてくるとなかなかコミュニケーションの場が限られてくるので、そういった意味でも、いい循環が出来ていると思います。
なぜ使われていないか?を徹底的に考える
―企業と従業員が良い関係でいるためには、どのようなことが大切だと思われますか。
内田:まずは企業側が社員のほうをしっかりと向いているということが一番ですね。
リソース不足や制度が整っていない状態であっても、しっかりとそちらの方を向いて理解する過程を伝えることが大事だと思います。
また福利厚生制度をどれだけ揃えていたとしても、社員に利用されていなければ意味がありません。
そのため、使われなかった制度がなぜ利用されなかったのか、なぜ不満が分かりやすいかたちで出てこないのか、ということを真剣に考えることが課題解決への一歩になるのではないでしょうか。
西尾:あとは先ほども言いましたが、その会社のミッションやビジョン、バリューにその制度がちゃんとフィットしているかを検証し、改善し続けていくことも大切だと思います。
―今後の展望を教えてください。
内田:組織的に自社人材を育てられるような組織になりたいですね。
いまはほとんどの社員が中途で入社してきているので、ある程度仕事の仕方などを分かった状態でバシバシやるという感じなのですが、若手を育てる力というのを会社として身に付けていきたいと思います。
よく転職する際に「ここの会社にいた人だから安心できるね」という話がよくあると思うのですが、人事としてはそういう会社に成長するのが直近の目標です。
取材・文:花岡 郁
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