【2026年版】社会保険の加入条件|50人以下の事業所適用からパートの年収対応まで解説
法改正による対象者の拡大など、複雑化している社会保険の加入条件。当記事では、その加入条件について詳しく解説していきます。社会保険について知っておきたい基礎知識やよくある疑問と回答についてもまとめました。
目次
社会保険の加入条件【事業所・雇用形態ごとに解説】
社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入条件は、「事業所の適用条件」と「従業員個人の加入条件」の二段階で判断します。
短時間労働者への適用範囲が段階的に拡大されており、2024年9月までは従業員100人超の企業が対象でしたが、2024年10月からは従業員50人超の企業まで対象が広がりました。この改正により、これまで対象外だった企業で働く短時間労働者も新たに加入対象となるケースが増えています。
強制適用事業所の加入条件
強制適用事業所とは、法律によって社会保険への加入が義務付けられている事業所を指指します。事業主や従業員の意思に関わらず、以下の条件に該当する場合は必ず加入手続きを行わなければなりません。
| 事業所の種類 | 加入条件 | 備考 |
|---|---|---|
| 法人事業所 | 従業員数に関わらず強制適用 | 株式会社、合同会社、医療法人など全ての法人が対象。 代表者1人のみでも加入義務あり。 |
| 個人事業所 | 常時5人以上の従業員を雇用 | 製造業・建設業・運送業などが対象。 農林漁業・飲食業・理美容業などは除く。 |
法人の場合は、たとえ社長1人だけの会社であっても強制適用事業所となります。個人事業所については常時雇用する従業員数が5人以上かどうかで判断され、ここでいう「従業員」には性別・国籍・雇用形態を問わず全ての労働者が含まれます。
任意適用事業所の加入条件
任意適用事業所とは、強制適用の要件を満たさない事業所のうち一定の手続きを経て社会保険に加入できる事業所を指します。
任意適用の対象となる事業所
・常時従業員5人未満の個人事業所
・農林漁業、飲食サービス業、宿泊業、理美容業、法務業、宗教業などの非適用業種
任意適用事業所となるには、従業員の半数以上の同意を得て事業主が申請し、厚生労働大臣の認可を受ける必要があります。
申請書類の提出先は、管轄の年金事務所または日本年金機構の事務センターです。認可後は、強制適用事業所と同様に加入要件を満たす従業員全員を社会保険に加入させる必要があります。
正社員の加入条件
正社員として雇用された従業員は、適用事業所に勤務する場合、原則として全員が社会保険の加入対象となります。
加入条件
・適用事業所で常時雇用されている75歳未満(健康保険)・70歳未満(厚生年金保険)の従業員
・フルタイムで勤務する従業員
試用期間中であっても、月単位で給与が支給される場合は試用期間開始日から被保険者資格を取得します。日本年金機構は以下のように明確に示しています。
“試用期間は、健康保険法、厚生年金保険法で規定している「臨時の雇用期間」には該当しないため、たとえこの期間が1か月でも被保険者の要件を満たしている場合は、加入手続きを行わなければなりません。”
※参照:日本年金機構「年金制度説明会」資料(2025年版)8ページ
https://www.nenkin.go.jp/service/learn/seidosetsumei.files/kounen2025_01.pdf
契約社員の加入条件
契約社員(有期雇用労働者)の場合も、基本的には正社員と同様の基準で判断します。
加入条件
・週の所定労働時間および月の所定労働日数が勤務する事業所のフルタイム従業員の4分の3以上
・契約期間が2カ月を超える見込みがある場合
契約期間が2カ月以内であっても、雇用契約書で「更新の可能性」が明示されている場合や同様の契約で更新された実績がある場合は当初から加入対象となります。
派遣社員の加入条件
派遣労働者は、労働者派遣法により「派遣元の雇用する労働者」と定義されているため、社会保険の加入手続きは派遣元(派遣会社)が行います。このため、社会保険の判定基準となる「所定労働時間」や「企業規模」は、すべて派遣元との雇用契約および派遣元の事業所規模に基づきます。
加入条件
- 派遣元が適用事業所であること
- 契約期間が2カ月を超える見込みがあること
- 派遣元との雇用契約における労働条件が以下のいずれかを満たすこと
・週の所定労働時間および月の所定労働日数が派遣元のフルタイム従業員の4分の3以上
・派遣元が特定適用事業所(50人超)の場合は週20時間以上、月額賃金8.8万円以上(いわゆる「年収106万円の壁」)、学生でない等の短時間労働者要件(後述)
派遣先(受け入れ)企業として確認すべきポイント
厚生労働省の指針では、派遣先に対して「労働・社会保険に加入している派遣労働者を受け入れるべき」とし、未加入の場合は「派遣元に加入手続きを求める」こととされています。未加入が疑われる場合は、派遣元に是正を求めるようにしましょう。
※参照:
労働省告示第138号「派遣先が講ずべき措置に関する指針」(1999年11月17日)
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00005670
労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)第2条
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=360AC0000000088
パート・アルバイトの加入条件
パート・アルバイトの社会保険加入条件は、2024年10月の法改正により大きく変更されました。現在は「4分の3基準」と「短時間労働者への適用拡大」の2つの判定基準があります。
基本的な加入条件(4分の3基準)
企業規模に関わらず、週の所定労働時間および月の所定労働日数が勤務する事業所のフルタイム従業員の4分の3以上のパート・アルバイトは加入対象です。
例:
フルタイム従業員が週40時間・月20日勤務の場合
→週30時間以上・月15日以上のパート・アルバイトは加入義務あり
短時間労働者の加入条件(特定適用事業所)
特定適用事業所(厚生年金の被保険者数50人超の企業)では、上記の4分の3基準を満たさない短時間労働者でも、以下の4つの条件すべてに該当する場合は加入対象となります。
| 条件 | 詳細 |
|---|---|
| 週の所定労働時間が20時間以上 | 契約上の所定労働時間で判定。 残業時間は含まない。 |
| 月額賃金が8.8万円以上 | 基本給+諸手当の合計。 残業代・賞与・通勤手当・家族手当等は除く。 (いわゆる「年収106万円の壁」8.8×12カ月) |
| 2カ月を超える雇用の見込み | 契約期間または更新により 2カ月超の雇用が見込まれること。 |
| 学生でない | 夜間学部・通信制・休学中の学生は対象となる場合あり。 |
従業員数のカウント方法
「50人超」の判定は、厚生年金の被保険者数で行います。法人の場合は同一法人番号の全事業所を合算し、直近12カ月のうち6カ月以上で51人以上となる場合に特定適用事業所として扱われます。
50人以下の企業の場合
従業員数50人以下の企業では、引き続き4分の3基準のみが適用されます。ただし、労使合意により「任意特定適用事業所」として申し出ることで、短時間労働者も加入対象とすることができます。
パート・アルバイトの社会保険加入は、制度改正の影響を最も受ける領域です。従業員数、各従業員の労働時間・賃金・雇用見込みを一覧で管理し、「誰をいつから加入させる必要があるか」を早期に把握しておく必要があります。
※参照:
厚生労働省「社会保険加入のメリット」
https://www.mhlw.go.jp/tekiyoukakudai/koujirei/pdf/guidebook_merit.pdf
日本年金機構「適用事業所と被保険者」
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/20150518.html
日本年金機構「年金制度説明会」
https://www.nenkin.go.jp/service/learn/seidosetsumei.files/kounen2025_01.pdf
知っておきたい社会保険の加入条件に関する法改正

2025年以前の加入条件の変更
短時間労働者への社会保険適用拡大は、2016年10月から段階的に実施されてきました。2012年成立の「年金機能強化法」により従業員500人超の大企業を対象とした適用拡大が開始され、その後2020年の改正により段階的な拡大が継続されています。
| 適用開始時期 | 対象企業規模 | 法的根拠 | 主な変更点 |
|---|---|---|---|
| 2016年10月 | 従業員 500人超 |
2012年 改正年金法 |
短時間労働者への適用拡大開始 (勤務期間1年以上要件) |
| 2022年10月 | 従業員 100人超 |
2020年 改正年金法 |
中堅企業への拡大 勤務期間要件を2カ月超に緩和 |
| 2024年10月 | 従業員 50人超 |
2020年 改正年金法 |
中小企業への適用拡大 (現行制度) |
2020年の改正により、短時間労働者の要件が「雇用期間1年以上見込み」から「2カ月超見込み」に緩和され、フルタイム従業員と同様の基準となりました。また、弁護士・税理士等の士業事務所も適用業種に追加されています。
これらの一連の改正により、100万人規模の短時間労働者が新たに社会保険の対象となったと推計されています。
※参照:
厚生労働省「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要(平成24年法律第62号)」
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/nenkin/nenkin/dl/kouhu120824-2.pdf
厚生労働省「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要(令和2年法律第40号)」
https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/001491385.pdf
2026年以降の加入条件の変更
2025年6月に成立した「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律」により、企業規模要件の段階的撤廃と賃金要件の撤廃が法定化され、50人以下の企業にも大きな影響が及ぶ内容となっています。
企業規模要件の段階的撤廃
最も重要な変更点は、企業規模要件の完全撤廃に向けた段階的なスケジュールが確定したことです。
| 適用時期 | 対象企業規模 | 対象人数(見込み) |
|---|---|---|
| 2027年10月 | 35人超の企業 | 約10万人 |
| 2029年10月 | 20人超の企業 | 約15万人 |
| 2032年10月 | 10人超の企業 | 約20万人 |
| 2035年10月 | 全事業所(10人以下含む) | 約25万人 |
企業規模の判定方法
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従業員数50人以下の企業は、自社の厚生年金被保険者数を正確に把握し、適用時期を確認する必要があります。被保険者数は、フルタイムの従業員(正社員やフルタイム契約社員など)と週の所定労働時間および月の所定労働日数が勤務する事業所のフルタイム従業員の4分の3以上の従業員の合計で算定されます。
企業規模の判定においては、法人の場合は同一法人番号の全事業所を合算し、直近12カ月のうち6カ月以上で基準を超える場合に特定適用事業所として扱われます。
※参照:
厚生労働省「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律の概要」
https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/001496971.pdf
日本年金機構「適用事業所と被保険者」
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/20150518.html
賃金要件(106万円の壁)の撤廃
先の改正により、現行の「月額賃金8.8万円以上(年収106万円相当)」要件についても撤廃されることが決定しており、2026年10月に撤廃される予定です。
この撤廃時期の決定は、2025年度の地域別最低賃金改定により全ての都道府県で時給1,016円を超えたことが背景にあります。週20時間勤務すれば自動的に月額8.8万円以上となるため、賃金要件の実効性がなくなったことが理由です。
2026年10月以降は、週20時間以上働く短時間労働者は、賃金額に関わらず社会保険の加入対象となります(学生を除く)。
※参照:厚生労働省「短時間労働者の社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入拡大のポイント」(令和8年1月作成)
https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/001633788.pdf
106万円の壁と130万円の壁の違い
| 項目 | 106万円の壁 | 130万円の壁 |
|---|---|---|
| 制度の性質 | 社会保険への「加入義務」 | 「被扶養者認定」基準 |
| 今回の改正 | 2026年10月撤廃予定 | 運用改善(2026年4月) |
| 2026年4月の変更 | ― | 19歳以上23歳未満は150万円 労働契約ベース判定 |
今回撤廃されるのは「106万円の壁(賃金要件)」のみです。「130万円の壁」は継続しますが、2026年4月から大学生等(19歳以上23歳未満)の基準が150万円に引き上げられ、労働契約に基づく判定や一時的な収入超過の容認が明確化されます。
※参照:厚生労働省「労働契約内容による年間収入が基準額未満である場合の被扶養者の認定における年間収入の取扱いについて」(令和7年10月1日)
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T251006S0060.pdf
個人事業所の適用業種拡大
2029年10月から、農林漁業・飲食サービス業・宿泊業・理美容業なども常時5人以上の従業員を雇用する場合は適用事業所となります。ただし、既存事業所には当分の間の経過措置が設けられています。
これらの法改正では、短時間労働者を含めた被用者全体を社会保険でカバーする国の方針が明確に示されています。自社が該当する適用時期と対象従業員を正確に把握し、従業員への説明準備と社内体制の整備を段階的に進めることが重要です。
社会保険に関する基礎知識

社会保険とは
社会保険とは、国民の生活を保障するために設けられた公的な保険制度の総称です。制度上の定義では、「健康保険・厚生年金保険・介護保険」と「労働保険(労災保険・雇用保険)」の5つすべてが社会保険制度に含まれます。
ただし、企業の実務現場では、管轄や手続き先が異なるため、前者3つを「社会保険」、後者2つを「労働保険」と呼び分けて扱うのが一般的です。
実務上の分類と管轄
| 区分 | 対象保険 | 管轄 |
|---|---|---|
| 社会保険 (実務上の呼称) |
健康保険 厚生年金保険 介護保険(40歳以上) |
日本年金機構 協会けんぽ等 |
| 労働保険 | 労災保険 雇用保険 |
労働基準監督署 ハローワーク |
| 社会保険制度 (制度上の定義) |
上記5つすべて | ― |
社会保険のメリット
社会保険への加入は従業員にとって将来の安心につながるだけでなく、企業にとっても「法定福利厚生を適切に整えている会社」としての信頼性を高める基盤となります。
社会保険は「法定福利厚生」と呼ばれ、法律で定められた福利厚生です。特にパート・アルバイトとして働く従業員にとっては、本来自己負担となる国民年金・国民健康保険の保険料を会社が半分負担してくれるため、同じ給与でも実質的により手厚い保障を受けられる大きなメリットとなります。加入条件を確認しておけば、安心して働ける企業を選ぶことができるでしょう。
企業にとっても、法定福利厚生をしっかりと整えれば採用競争力が高まり、人材の定着にもつながります。
従業員と企業のメリット比較
| 対象 | 主なメリット |
|---|---|
| 従業員 | ・将来受け取る年金額が増える(基礎年金+厚生年金) ・障害状態になった場合、障害厚生年金が上乗せされる ・傷病手当金(病気休業中の保障)や出産手当金が受給できる ・産休・育休中は保険料が免除され、将来の年金額計算には算入される ・保険料の半分を会社が負担してくれる |
| 企業 | ・求人応募数の増加や優秀な人材の確保につながる ・従業員の定着率が向上し、離職防止になる ・法令遵守企業として社会的信用が高まる ・従業員の健康や生活の安定により、生産性が向上する |
社会保険のデメリット
メリットが大きい反面、従業員、企業ともコストや手間の負担が発生する側面もあります。
従業員側からすると毎月の給与から保険料が天引きされるため手取り額は減少しますが、将来の年金増額や保障が充実することを考慮すれば長期的にはメリットを感じるケースが多いでしょう。
企業側も法定福利費(保険料の半額を負担)が増加し、加入手続きや改定作業(月額変更届)などの事務作業が増加します。近年では社会労務関係の業務をアウトソーシングしたり、業務システムを導入したりして効率化を図る企業が増えています。
短時間労働者の処遇改善に取り組む企業に対しては、国による支援策も用意されています。キャリアアップ助成金など企業のコスト負担を軽減する制度がありますので、厚生労働省の最新情報をご確認ください。
社会保険の加入手続き
従業員を採用し、加入条件を満たした場合は、事実発生から5日以内に手続きを行う必要があります。
主な提出書類と手続き
| 書類名 | 提出期限 | 提出先 |
|---|---|---|
| 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届 |
事実発生から5日以内 | 管轄の年金事務所 または事務センター |
| 健康保険 被扶養者 (異動)届 |
事実発生から5日以内 | 同上 (扶養家族がいる場合) |
| 厚生年金保険 70歳以上 被用者該当届 |
事実発生から5日以内 | 同上 (扶養家族がいる場合) |
手続きには、従業員の基礎年金番号やマイナンバーが必要です。添付書類は原則不要ですが、60歳以上の方を再雇用した場合など一部のケースでは退職辞令や雇用契約書の写しなどの書類が必要となります。
電子申請(e-Gov)を利用すれば、窓口に出向くことなく24時間申請が可能です。
※参照:日本年金機構「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届/厚生年金保険 70歳以上被用者該当届」1ページ
https://www.nenkin.go.jp/shinsei/kounen/tekiyo/hihokensha/20140718.files/0000026535KvQUFPhM49.pdf
未加入だった場合のリスクと罰則
加入義務があるにもかかわらず手続きを怠った場合、企業は大きなリスクを負います。
年金事務所の調査により未加入が発覚すると、最大で過去2年間に遡って保険料を徴収されます。本来従業員から徴収すべき分も含めて企業が一時的に全額を立て替えなければならないケースもあり、予想外の支出を迫られることになります。
悪質な場合は刑事罰が科されるほか、延滞金が課される可能性もあります。法令違反によってニュースなどに取り上げられれば信用問題となり、金銭以上の損失となり得ることもあるため、適正な管理が不可欠です。
社会保険料の計算方法
社会保険料は、従業員の給与などの報酬を区切りのよい幅で区分した「標準報酬月額」に、各保険料率を掛けて算出します。
報酬の範囲と在宅勤務手当の取扱い
計算の基礎となる「報酬」は、健康保険法・厚生年金保険法において「労働者が、労働の対償として受けるすべてのもの」と規定されており、基本給だけでなく各種手当も含まれます。
近年導入が進む「在宅勤務手当(テレワーク手当)」については、実費弁償(業務に必要な費用のみを精算)の場合は報酬に含まれませんが、渡し切りの手当として支給される場合は報酬に含まれるため、計算時には注意が必要です。
定時決定(算定基礎届)の仕組み
標準報酬月額は、毎年1回見直されます。事業主は7月1日現在の全被保険者について4月・5月・6月の3カ月間に支払った報酬の月平均額を「算定基礎届」で日本年金機構へ報告し、その平均額をもとに9月から翌年8月までの標準報酬月額が決定されますが、これを定時決定といいます。
算定基礎届の提出期限は毎年7月10日で、支払基礎日数17日以上(特定適用事業所の短時間労働者は11日以上)の月が対象となります。
主要保険料率(令和7年度)
| 項目 | 料率(全体) | 負担割合 |
|---|---|---|
| 健康保険料 | 都道府県により異なる (9.44%〜10.78%) |
労使折半 |
| 厚生年金保険料 | 18.30% | 労使折半 |
| 介護保険料(40歳以上) | 1.59% | 労使折半 |
| 雇用保険料(一般の事業) | 1.45% | 労働者:0.55% 事業主:0.90% |
※雇用保険料率は業種により異なります。農林水産・清酒製造の事業(1.65%)、建設の事業(1.75%)については、厚生労働省「令和7年度雇用保険料率のご案内」をご確認ください。
保険料計算例
健康保険・厚生年金・介護保険は、実際の給与額ではなく「標準報酬月額等級表」に当てはめた「標準報酬月額」を使用して計算します。
従業員負担分を給与から控除する際、50銭以下は切り捨て、50銭を超える場合は切り上げて端数処理を行います。
- 標準報酬月額30万円・東京都・40歳未満の場合(令和7年度)
• 健康保険料
300,000円 × 9.91% = 29,730円
(会社負担:14,865円 / 従業員負担:14,865円)
• 厚生年金保険料
300,000円 × 18.30% = 54,900円
(会社負担:27,450円 / 従業員負担:27,450円)
月額合計(40歳未満)
会社負担:42,315円 / 従業員負担:42,315円
※40歳以上の場合は、上記に加えて介護保険料(300,000円 × 1.59% = 4,770円、労使折半で各2,385円)が発生します。
※端数処理の関係で、会社負担額と従業員負担額が1円程度異なる場合があります。
※雇用保険料は毎月の賃金総額(実際の支給額)に料率を掛けて計算するため、残業代等により毎月変動します(一般の事業:労働者負担0.55%、事業主負担0.90%)。
料率は年度ごとに改定されることがあるため、毎年3月頃の日本年金機構や厚生労働省のアナウンスを必ず確認しましょう。
※参照:日本年金機構「保険料の計算方法について」
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/nofu/20121026.html
社会保険に関するFAQ
Q. パートタイマーも社会保険の対象になりますか?
A. はい、条件を満たせば加入義務があります。
週の所定労働時間および月の所定労働日数がフルタイム従業員の4分の3以上であれば、企業規模に関わらず加入対象です。また、従業員数50人超の企業(特定適用事業所)の場合は、4分の3未満であっても「週20時間以上」「月額賃金8.8万円以上(2026年10月以降は撤廃予定)」「2カ月超の雇用見込み」「学生でない」という要件を満たすと加入対象になります。
パートタイマーの社会保険加入は企業にとって法定福利費の増加要因となりますが、安心して働ける企業と感じてもらえれば採用競争力の向上や人材定着にもつながる重要な福利厚生です。
Q. 会社役員も社会保険の対象になりますか?
A. はい、報酬を受け取る役員は原則として被保険者に含まれます。法人の代表者・取締役なども、会社から役員報酬を受けていれば、健康保険・厚生年金保険の加入対象です。小規模法人では「役員だから対象外」と誤解されがちですが、報酬を受ける場合は加入義務があります。
ただし、70歳以上の場合は厚生年金保険料の徴収はなく、「厚生年金保険 70歳以上被用者該当届」の提出が必要となるケースがあります。
Q. 試用期間中でも社会保険の加入手続きは必要ですか?
A. 必要です。試用期間であっても、雇用契約が結ばれ給与が支払われる以上、初日から被保険者となります。日本年金機構は「試用期間は、健康保険法、厚生年金保険法で規定している『臨時の雇用期間』には該当しないため、たとえこの期間が1カ月でも被保険者の要件を満たしている場合は、加入手続きを行わなければなりません」と明確に示しています。
試用期間中だからといって手続きを先延ばしにすると後から遡及適用となり、保険料の一括徴収が必要になるため注意が必要です。
※参照:日本年金機構「年金制度説明会」資料(2025年版)8ページ(令和7年3月)
https://www.nenkin.go.jp/service/learn/seidosetsumei.files/kounen2025_01.pdf
Q. 従業員が副業をしており、2社で加入要件を満たしています。どうすればよいですか?
A.自社で加入要件を満たしている従業員については、他社での加入状況に関わらず、通常通り「被保険者資格取得届」を事実発生から5日以内に提出してください。
その後、従業員本人が10日以内に「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を年金事務所に提出、年金事務所にて他社の報酬を合算した標準報酬月額の決定と各事業所への保険料按分が行われます。
※参照:日本年金機構「複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き」
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/hihokensha1/20131022.html
Q. 従業員が退職する際、健康保険の切り替えについてどう案内すればよいですか?
A.退職後は健康保険の資格を喪失するため、①任意継続健康保険(最長2年間、全額自己負担)、②国民健康保険(市区町村で手続き)、③家族の被扶養者(年収130万円未満などの要件あり)のいずれかに加入する必要があります。
任意継続は退職日翌日から20日以内の申請が必要なため、早めの案内を心掛けましょう。
※参照:全国健康保険協会「退職後の健康保険について」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g6/cat650/r313/
※当記事の情報は、2026年1月時点のものです。最新の情報については各省庁の公式サイトをご確認ください。

