【採用?給料?待遇?福利厚生?】会社はどこにお金をかけるべきか
この動画でわかること
- 人件費全体に対する福利厚生費の割合は?
- 福利厚生費の割合は大企業と中小企業の差が大きい
- 給与よりも福利厚生の充実の方が、社員が定着し投資対効果が高い
福利厚生費はどれくらいが適正?人件費から見る「費用対効果」と戦略的投資の新常識
福利厚生費の適正額とは?経営者・人事担当者が抱える悩みの本質に迫る
近年、人材確保や定着率向上を重視する企業が増え、「福利厚生費はどれくらいが適正なのか?」という疑問が人事・経営層で頻繁に話題になります。
しかし、業界平均や他社比較だけでは本質的な答えが見つけにくいのも事実です。本記事では、福利厚生費の内訳や相場、日本企業の最新動向をデータと事例で分かりやすく解説し、戦略的に福利厚生費を拡充すべき理由を明らかにします。
- 福利厚生費=人件費の約3~4%が目安(大手企業平均)
- 給与・賞与との比較で“費用対効果”を再考することが重要
- 定着率向上・社員満足度アップへの直接投資が可能
人件費の内訳から見る福利厚生費~主要4区分の徹底解剖
人件費分類と福利厚生費の相場感
日本経団連の調査によれば、企業の人件費は以下の4区分に分けられます。
そのうち福利厚生費の割合は会社規模によって異なるものの、大企業ほど高い傾向があります。
- 給与・賞与・手当:人件費全体の約8割弱
- 法定福利費(社会保険料会社負担分):次点で大きな割合
- 退職金(退職一時金+企業年金):長期的報酬
- 福利厚生費:人件費の約3.4%(大手企業平均)
福利厚生費は「少額だが費用対効果が高い」ことが注目されています。
福利厚生費が「採用・定着」のカギ!企業規模で異なる投資実態
以下の傾向が見られます。
- 大企業は中小企業と比べて福利厚生費の割合が高い
- 給与格差よりも福利厚生格差の方が大きい(特に大手と中小)
- 中小企業ほど「福利厚生は後回し」だが、人材確保にはむしろ重要
給与アップだけでは企業間格差を埋めるのが難しく、福利厚生の充実こそ差別化・競争優位のポイントになります。
福利厚生費は「投資対効果」の高い人件費!社員満足度と定着率を最大化
社員に響く唯一の人件費~福利厚生が“攻めの投資”になる理由
人件費のうち、社員が直接「満足」を感じるのは福利厚生。法定福利費や退職金は見えにくく、給与・賞与も不満が出やすいですが、福利厚生は「社員の働きやすさ・満足度向上」に直結します。
- 福利厚生費は現金支給型人件費(給与・賞与)の1/25程度と少額
- 同額の予算増でも、満足度向上効果は給与アップ以上という結果も
- 定着率UPや退職抑制にも直接的なインパクトがある
福利厚生費拡充は“採用コスト削減”にも直結
福利厚生に投資して定着率が上がれば、離職補充の採用活動が減る=採用コストの節約にもつながります。
今いる社員の満足度を高めるほうが、将来入社する社員のニーズ予測よりも戦略的です。
- 定着率が高まると、離職抑制→採用コスト減→企業競争力UP
- 福利厚生費投資は既存社員の維持に直結
- 新卒・中途採用での人材獲得力向上にも効果あり
中小企業・スタートアップの福利厚生費最適化戦略
「給与より福利厚生」投資で差別化できる!制度設計の発想転換
中小企業は予算面で大企業に劣ると考えがちですが、実は福利厚生費の拡充は給与以上に定着・満足度への即効性あり。
独自性のある制度を導入すれば、採用力や社員の口コミで企業ブランドアップも目指せます。
- 給与引き上げはコスト増が直撃するが、福利厚生は同額でも満足度・定着率向上が望める
- 福利厚生費投資は人件費の「隙間」部分を最大活用できる
- 独自性・柔軟性のある制度で“企業らしさ”にも直結
人件費全体から戦略的配分~福利厚生費を「見える化」しよう
福利厚生費は経費の中でも“社員のため”の投資として最も注目されるべき項目です。
自社の売上規模、人件費全体とのバランスを見直し、「見える化・伝える化」を徹底することで経営層・現場双方の納得度が高まります。
- 平均値や他社比較だけでなく、自社の経営戦略・人材戦略にフィットさせる
- 福利厚生費の内訳や効果を説明資料にまとめて役員・社員へ情報発信
- 見える化で納得を得て、継続的な改善サイクルをまわす運用を目指す
まとめ~福利厚生費は「人への投資」!費用配分を見直し、満足度・定着率向上へ
福利厚生費は日本企業における人件費構造の中で“割安で高効果”な投資です。
給与や賞与と比べて少額に留まりがちですが、採用・定着・満足度向上など直接効果を期待できる項目であり、経営戦略や人材重視の企業では重要性が高まっています。
- 福利厚生費は人件費の約3~4%が目安、大企業ほど投資効果あり
- 採用・定着率向上に直結するため、費用対効果は給与以上のことも
- 自社の人材戦略・満足度データをもとに、継続的な制度改善が大切
これからの人材戦略には「福利厚生費への積極投資」と「効果の見える化」が不可欠です。制度設計・配分の見直しこそが、企業の未来を変える鍵となるでしょう。
千葉商科大学会計大学院会計ファイナンス研究科 教授(専攻:社会保険、企業年金、企業福祉) 可児俊信
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