【給料アップvs福利厚生】最も費用対効果の高い人事施策とは
この動画でわかること
- 給与と福利厚生、どちらを充実するのが社員のために良いか
- ストレスなく働き続けるために福利厚生が欠かせない理由
- 会社は福利厚生にどのくらいお金をかけるべきか
給与VS福利厚生──社員満足と企業価値を左右する本当の選択とは?

企業経営の現場や人事担当者、時には社員同士でも「給与を上げるべきか、福利厚生を充実させるべきか」で意見が分かれることは多いもの。しかし、どちらか一方が重要なのではなく、“バランス”と“役割の違い理解”が成否を分けます。現代の人的資本経営では「福利厚生は最も投資対効果が高い人件費」として注目されています。本記事では、双方の特長と投資効果、制度設計のポイントを事例とともに詳しく解説します。
給与と福利厚生、それぞれの役割と社員を支える仕組みとは?
給与で“満たせない”ものを支えるのが福利厚生

現金給与は社員への直接の報酬であり、その格差は実績や役割に応じて生まれます。これに対し、福利厚生は社員全員に“平等”に提供される共通の報酬と言えます。加えて、福利厚生は働くうえで欠かせない重要なサポートの役割も担っています。
- 子育て世代向けの託児・保育補助や育児支援制度
- 自己啓発や資格取得費用の補助などキャリア形成支援
- 住宅手当・健康診断・ワークライフバランス促進制度など、暮らしの負担減・健康増進支援
これらは単なる「おまけ」ではありません。例えば育児補助がなければ働き続けられない社員は多く、資格取得補助がなければスキルアップやモチベーション維持も遠のきます。
福利厚生は社員の働きやすさ、定着率、生産性に直結する絶対に欠かせない経営投資なのです。
実は“意外に少ない”福利厚生費、だからこそ最大化がカギ
一般的な企業人件費の構成を見ると、多くは給与・賞与・社会保険・退職金で大半を占め、法定外福利厚生費いわゆる「会社独自の福利厚生」は年収比4%程度(例:年収500万円なら約20万円程度)に過ぎません。
にもかかわらず、社員の充足感や安心感はこの少額の福利厚生に大きく依存しているのが実態です。
- 健康保険や雇用保険などの社会保険料は法定義務(会社と社員で折半)
- 退職金や企業年金も会社がコストをかけ継続雇用を支援
- 福利厚生は社員数や業種に関わらず、そのインパクトに比べ極めて費用対効果が高い投資
さまざまな調査で、「福利厚生があるから働き続けられる」「給与を上げるだけでは人が定着しない」と答える社員・企業は年々増加傾向にあります。
“エンゲージメント”を高める具体例~平等性と支援の強化が決め手
福利厚生は“みんなに平等”である強み
給与や賞与が個人の業績や評価に連動するのに対し、福利厚生は新入社員もベテランも、誰もが等しく受けられる“公平”な制度。会社が社員一人ひとりの負担や生活背景を「見てくれている」「応援してくれている」と実感できることで、従業員エンゲージメント(愛着・やる気)は格段に向上します。
- ダイバーシティ推進:障がい者用設備や両立支援、外国人就労ビザ手数料補助などもカバー
- 社員の声を反映した制度設計(アンケートや直接会話から拾う)、利用者の口コミを活かした説明
- 社内外への積極的な周知活動で利用率・人材定着率アップに直結
社員の“働きやすさ”が向上すれば自然と企業の定着率や業績も安定して伸びていきます。
給与と福利厚生は「対立」ではなく「掛け算」
給与は生活の基盤であり、モチベーションの源です。一方で福利厚生はその基盤をより厚く、生活もキャリアも幅広く支えるもの。
特に家族や健康、キャリア形成などライフステージが多様化する時代には、両者のバランスが持続的な成長・企業競争力の最大化の鍵となっています。
まとめ~“福利厚生充実”が人も企業も成長させる最良の選択

給与と福利厚生はどちらか一方ではなく、「両方があってこそ」社員エンゲージメント=企業成長が最大化します。
- 給与は個人差がつきやすいが、福利厚生は“誰もが公平に受けられる”企業の財産
- 福利厚生は少額投資で大きな効果=定着率や働きやすさ向上策、企業ブランディングの要
- 社員のニーズや実態に合わせた制度の設計・周知・利用促進が、最重要の人事戦略
これからの企業は“給与だけを上げる”より、“福利厚生の充実”で選ばれる時代。投資対効果の高い福利厚生予算こそが優秀な人材確保・定着の鍵となります。
千葉商科大学会計大学院会計ファイナンス研究科 教授(専攻:社会保険、企業年金、企業福祉) 可児俊信
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