【退職金vs企業年金】退職一時金があれば企業年金は不要?
この動画でわかること
- 目的が同じである退職金と企業年金の違いとは
- 企業年金は運用益があれば退職金よりも会社にとって負担が少ない
- 退職金と企業年金は組み合わせて運用することができる
退職金と企業年金の違いは?実は知らない仕組みやメリットを徹底解説
退職金制度の基礎知識―「退職一時金」と「企業年金」はどう違う?
企業で長く働くと「退職金がもらえる」というイメージは多くの方が持っているでしょう。しかし、実際には会社によって支給のタイミングや方法、背景となる仕組みは異なります。特に「退職一時金」と「企業年金」は“何がどう違うのか?”という基本的な疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、退職金制度の全体像と両者の違い・企業や社員にとってのメリット、そして今後の課題とトレンドについて詳しく解説します。
- 退職金は「一時金方式」と「企業年金方式」の2つが主流
- 受け取りタイミング・支給方法・資金準備に大きな違いあり
- 企業年金は計画的な積立・資産運用が特長
退職一時金と企業年金の共通点・違い―「似て非なる」その仕組み
共通点:どちらも退職社員への金銭的支援
「退職一時金」と「企業年金」は、どちらも会社で長く働いてきた社員への金銭的支援という点では共通です。まとめて“退職給付制度”と言われることもあります。
- 退職一時金:退職時にまとまったお金を一括で支給
- 企業年金 :退職後に年金形式で毎年受け取る
- どちらも「長年の勤務の報酬」として支給される
違い:受け取り時期・お金の準備・資産運用方法がポイント
最大の違いは「支給タイミング」と「お金の準備方法」です。
- 退職一時金は、退職した時に会社が一括で支給する(原則、事前の積立はなし)
- 企業年金は、在職中から外部の金融機関などで積立運用を続け、退職後に分割で受給
- 企業年金は資産運用の結果で、会社・社員双方にメリットやデメリットもある
なぜ「退職一時金」だけでなく企業年金もあるのか?日本の歴史と導入背景
日本の伝統「退職一時金」からグローバルスタンダード「企業年金」へ
もともと日本の退職金制度は「退職一時金」が主流でした。後に海外の年金制度事情が輸入され、計画的な資産運用と安定支給が期待できる「企業年金」も普及し始めたのが今から約60年前です。
- 退職一時金は会社の手持ち資金でまかなうため、事前準備が軽い反面、突発的な資金負担が大きい
- 企業年金は社員が在職中から積立・運用されるので、計画的で社員も安心
- 大手企業を中心に企業年金の導入が広がった
企業年金制度の外部積立や運用は、社員の生活安定だけでなく、会社の資金繰りも楽にする大きなメリットが認識されています。
企業年金の仕組みとメリット―企業・社員にとっての役割とは
金融機関で積立&運用!メリット豊富な企業年金の本質
企業年金の最大の特長は、在職中に給与から掛金を積み立て、そのお金を銀行や信託銀行など外部金融機関で運用・増やせることです。
- 運用益が発生すれば、企業の掛金負担を抑える効果がある
- 企業も計画的に毎月積立てできる(資金繰りが楽)
- 社員としても安定して年金を受け取ることができる安心感
たとえば運用がうまくいけば「800万円の掛金で1,000万円準備できた」など会社にも社員にもメリットが生まれます。
企業年金の課題~低金利時代の悩みとは
ただし、最近は「低金利」「運用難」の時代です。運用益がでない場合、会社の掛金負担が相対的に重くなるという課題も発生しています。
- 運用成果が思わしくない場合はメリットが薄れる
- 積み立てたお金は外部に移されるため、廃止時は会社に戻らない
- 安定的な制度運営には継続的な見直しや工夫が必要
こうした課題解決で「企業型確定拠出年金」も普及が進んでいます。
退職金制度の現在と今後―多様化・複合化する設計とは?
企業年金と退職一時金の併用型が主流に!変化する新トレンド
最近は「企業年金+退職一時金」の組み合わせや、企業年金の一部だけを残して差額分を一時金で補う方式も増えています。こうした複合型運用により、会社のリスクマネジメント・社員の選択肢も広がっています。
- 企業年金で“月々の年金”を受け取りつつ、退職時には“一時金で差額”を受け取る形も可能
- 転職や非正規雇用、ライフスタイルの多様化で退職給付制度も柔軟な設計が拡大
- 確定拠出年金や中小企業退職金共済など新たな制度も増加中
まとめ~多様化する退職金・企業年金制度を正しく理解し、安心の将来設計を!
退職一時金も企業年金も、社員の働きに報いる企業の重要な制度です。両者の特徴をしっかり理解し、会社・社員双方にとってベストな制度運用・見直しが求められる時代になっています。
- 退職一時金と企業年金は、受取方法と準備方法に大きな違いがある
- 計画的な資金運用、会社・社員双方への安心提供が企業年金の強み
- 制度の複合化・多様化が進む現代、今後も最新情報のチェックが大切
自社の退職金・企業年金設計を見直し、社員の安心した将来設計にしっかり役立てていきましょう。
千葉商科大学会計大学院会計ファイナンス研究科 教授(専攻:社会保険、企業年金、企業福祉) 可児俊信
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