【労災は減っているって知っていましたか?】 精神疾患による過労死について徹底解説
この動画でわかること
- 物理的に危険の少ないオフィスなどでも労災は起きる
- 過労死とメンタル疾患は約20年前から労災認定され始めた
- 過労死は減ってきているがメンタル疾患は増え続けている
労災保険は減少傾向…しかし増えるオフィスのメンタル疾患・過労死!最新の労働災害トレンドと企業・個人の備え方
旧来型労災は減少!今オフィスで注目される“新しい労災”とは
近年、日本の労働災害(労災)は年々減少しています。
工場や建設現場など物理的に危険な業種の安全対策強化が進み、「労災は危険な現場で起こるもの」という常識は過去のものになりつつあります。
しかし、労災の舞台は今やオフィスやホワイトカラー分野に広がり、「メンタル疾患」「過労死」が社会問題化しているのが実態です。
- 建設・工場・運輸業などでの事故型労災は、大幅に減少中
- オフィスでも発生、社会的な注目を集める“見えない労災”が増加
- もっとも増えているのはメンタル疾患型労災などの新しいリスク
労災保険の役割も「物理的事故」から「こころと健康の守り」へと進化しています。
“労災は実は減っている?”統計的に見る死亡災害と新たなリスク
現場の事故は大幅減少!安全対策とテクノロジー発展の成果
日本では、炭鉱事故や製造現場での致命的労災が20世紀末に比べて激減しています。
- 厚生労働省統計では、この20年間に労災死亡者は半減
- 建設現場での機械化・自動化や安全管理徹底が効果を発揮
- 自動車運転業も、交通事故低減でドライバー労災率は大きく低下
一方で、「労災=危険な現場」というイメージに油断は禁物。
オフィスワークでも新たな労災リスクが立ち現れています。
オフィスの見えない労災「メンタル疾患」「過労死」が急増
物理的な危険の少ないオフィスでも、メンタル不調や過労死が深刻な労災として認定されるケースが増加中です。
- 精神障害に起因する労災認定数は2000年以降右肩上がり
- 職場でのパワハラ・カスタマーハラスメント・高ノルマ設定が大きな要因
- 月80時間超の長時間残業や休日出勤の常態化が、過労死リスクを激化
過労死は一時期より減少傾向に転じましたが、メンタル疾患による労災は増加し続けています。
なぜ誰でも“労災”になる?―オフィスワーカーにも迫る背景
意外と“自分ごと”なメンタル疾患型の労災リスク
オフィスでは、同じように働いていても誰かがうつ病やメンタル障害に。
これまでは「本人に原因がある」と個人責任が強調されがちでしたが、
現在は「職場環境も大きな要因」として“労災”として認定される事例が社会に広まりました。
- 厚生労働省パンフレットで「職場の出来事リスト」等、客観的基準を明文化
- “職場が要因”で発症した場合は、申請により労災認定されるシステム
- ハラスメント・無理なノルマ・長時間残業など現代的労災要因も網羅
「自殺」も深刻な労災要因となっており、職場環境の改善が企業の社会的責任になっています。
「過労死」「脳・心臓疾患」も過去の常識を覆す補償へ進化
過労死や脳・心臓疾患も、時代とともに「労災」として広く認定されるようになりました。
- 長時間労働(月80時間超の残業)、連続勤務、交替制勤務等が主な因果要因
- パワハラや「大きな失敗」、業務上の異常出来事も審査基準に明記
- 厚労省が“客観的基準”としてまとめた冊子が普及し、労災認定が拡大
一時期「カローシ」と世界共通語となった日本型過労死も、今後は組織・制度による予防が進むことが期待されます。
メンタル疾患・過労死労災―3つの要因で整理しよう
労災認定は「職場要因」「職場外要因」「個人的要因」の総合評価
メンタル疾患等の労災認定手続きは、現代的な客観評価法が導入されています。
厚生労働省は以下の3領域で発症要因を整理しています。
- 職場が要因(ハラスメント・過大なノルマ・事故体験 など)
- 職場外が要因(家庭不和、経済的問題 など)
- 本人の個人的要因(病歴、性格など)
このうち、職場要因を客観的に認定できる「出来事」が列記されており、
状況に応じて総合的に判断する仕組みとなっています。
メンタル疾患・過労死は、もはや「他人事」ではありません。
まとめ~労災保険は“心の健康リスク”にも備える時代!今こそ知って、守りを強化しよう
労災=危険な現場というイメージだけでは、現代型労働リスクには対応しきれません。
今やオフィスワークや一般職もメンタル疾患・過労死などの新しい労災の時代。
企業・個人ともにリスクを正しく知り、備えと対策を充実させましょう。
- 物理的事故の労災は減少、大きなリスクは精神的健康問題へシフト
- 労災保険は、職場環境・働き方の変化を受けて“柔軟な補償”へ進化中
- メンタル疾患も過労死も「職場要因」が客観的に認定される仕組みに
安全&健康に働くため、最新の労災保険制度と認定基準を積極的にチェックしましょう。
千葉商科大学会計大学院会計ファイナンス研究科 教授(専攻:社会保険、企業年金、企業福祉) 可児俊信
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