福利厚生
働き方改革

【同一労働同一賃金】押さえておきたい不合理な待遇差となるたった1つのポイント

この動画でわかること

  • 働き方が異なれば待遇差があっても問題ない
  • 待遇差が問題となるケース、ならないケースとは
  • 非正規社員への福利厚生導入事例の紹介

【正社員と非正規社員の福利厚生格差】本当に“差”は許される?合理的な待遇差と実例で徹底解説

待遇差はどこまで許される?合理的な格差と不合理な格差のわかりやすい基準

「正社員と非正規社員で福利厚生や諸手当に差があるのはおかしいのでは?」「会社に説明されても納得できない…」
近年、同一労働同一賃金や働き方改革の流れから、待遇の公平性が社会全体で問われるようになりました。本記事では、判例に基づく“合理的な格差”と“不合理な格差”の判断基準、そして実際の会社で行われている福利厚生導入事例について、わかりやすく解説します。

最高裁も示した「待遇差」のルール〜その格差は本当に合理的?

どんな格差が“不合理”になる?実例で見る最高裁の判断ポイント

待遇差が許されるかの判断は、手当や福利厚生が「どんな目的で設けられているか」が重要です。例えば住宅手当は、正社員だけが転勤を伴う場合など“理由”が明確なら正社員だけに支給することも認められています。

  • 住宅手当は「転勤に伴う住宅費用負担の軽減」という目的が説明できれば格差は合理的
  • 正社員だけに“毎日出勤したことへの皆勤手当”を支給するのは不合理(非正規社員も出勤しているため)
  • 手当や福利厚生そのものが「必要な社員」に等しく支給される状況が大前提

待遇差の本質は、「合理的な理由」や「制度導入の目的」で説明できるかにかかっています(※最高裁判例より)。

ケースバイケースで変わる合理性~企業実態に合わせて判断される

「正社員だけに住宅手当が支給されるのは、会社が全国展開で転勤が前提の時はOK」。
反対に「エリア限定で転勤のない社員がほとんどの場合、格差は不合理」と判断されることも。
つまり、“同じ手当”でも会社の状況や運用方法次第で合否が分かれます。

  • 全国転勤の有無や会社規模によって住宅手当の合理性も変化
  • 制度の目的が全社員に共通しない場合、格差をなくす事例も増加傾向
  • 「なぜその手当か」「対象は誰か」を明文化・説明する姿勢が重要

正社員だけ福利厚生は“おかしい”?時代は「非正規も対象」にシフト中

非正規社員にも福利厚生導入が拡大~大手アパレルの最新事例

大企業を中心に正社員・パート・契約社員などの雇用形態を超え、同じ業務を担う人には同等レベルの福利厚生を提供する動きが広がっています。
たとえば株式会社しまむらでは全国約18000人のパート社員も福利厚生パッケージが適用され、働き方改革のお手本となっています。

  • 福利厚生パッケージなら多様な年齢層・勤務地に公平なサービスが提供可能
  • 非正規も“社員の一員”として納得・安心できる職場環境ができる
  • 公平な制度設計は業務効率や企業の人気度UPにも貢献

福利厚生の外注サービスやパッケージ導入で、全国どこでも誰でも平等なサービスを受けられる事例が増えています。

柔軟な設計が正解!働き方・職種・貢献度に応じた運用例

とはいえ、すべての福利厚生が“全員一律”とは限りません。
カフェテリアプランやポイント制などは勤務形態・契約内容に応じて差をつける設計も増えています。

  • カフェテリアプランのポイント数は契約社員・正社員で分ける柔軟な事例も多い
  • 社員食堂や休憩室は“全社員共通”で利用できるべき福利厚生
  • 学生アルバイトなど家庭で福利厚生が足りている場合、制度対象外という事例も

「会社に合ったバランス」と「納得感ある根拠ある差」が現代人事のポイントです。

まとめ〜「納得のいく格差」で全員が働きやすい職場に

福利厚生・手当の待遇差は“格差”と“一律”の対立ではありません。
会社の運用実態や仕事の実態、福利厚生ごとに合理的な説明ができるかが重要です。

  • 「目的と運用」に合理的根拠があれば待遇差は認められる(例:住宅手当・転勤)
  • 業務・貢献で差をつけるなら説明を明文化、全社員の納得感がカギ
  • 時代の要請で非正規対象の福利厚生も拡大、企業は柔軟な設計と運用を目指そう

法的な視点と、現場の納得感を両立するバランスの取れた制度設計が、今後の職場づくりのカギです。

可児さんサムネイル
【スピーカー】
千葉商科大学会計大学院会計ファイナンス研究科 教授(専攻:社会保険、企業年金、企業福祉) 可児俊信

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<著書>
・「福利厚生アウトソーシングの理論と実務」(労務研究所)
・「共済会の実践的グランドデザイン」(労務研究所)
・「新しい!日本の福利厚生」(労務研究所)
・「実践!福利厚生改革」(日本法令) 他