【事実婚・同性婚】同性パートナーを「配偶者」として福利厚生を認めるのは1割以下
この動画でわかること
- 内縁や同性パートナーが配偶者であるかどうかは会社が決める
- 福利厚生において事実婚は配偶者として扱うことが妥当である
- 同性パートナーは自治体の発行する証明書を利用することが代表的である
事実婚・同性婚と福利厚生―LGBTQに配慮した制度設計が“企業価値”を高める理由
事実婚・同性婚の福利厚生はどうなっている?最新の企業対応ポイントを解説
近年、“多様な家族観”やLGBTQ施策への注目度が高まり、事実婚や同性婚パートナーの福利厚生の在り方は、企業選択において重要な基準の一つです。法律婚以外の家族形態への対応は、従業員満足と企業イメージに大きな影響を与えます。
この記事では、事実婚・同性婚の福利厚生や社会保険上の扱い、証明方法・実運用例まで詳しく解説します。
- 社会保険は事実婚(内縁関係)なら被扶養者として認められるケースも
- 同性婚は自治体のパートナーシップ証明書などで対応拡大中
- 会社独自の福利厚生制度は柔軟な設計が可能―社員満足度・人材確保に寄与
“事実婚”と“同性婚”はどう違う?法定福利厚生と企業独自制度の最前線
社会保険上の扱い―“内縁関係”・事実婚は認められる?
社会保険(健康保険・年金など)は、法律婚以外に“内縁(事実婚)”も被扶養者として認める場合があります。具体的には、厚生労働省の通知で「婚姻届出がなくとも、事実上婚姻関係と同様の事情にあるもの」が対象となっています。
- 住民票等による同居の確認が基本(異なる場合は理由書・証明書も活用)
- 家族を証明するため、結婚式の実施、公正証書契約、同居理由書などが利用できる
- 会社との信頼関係と、本人からの申告が適切な運用の前提となる
事実婚の社員は、慶弔給付・社宅・家族寮入居など、一般の家族と同様の福利厚生が受けられる企業が増えています。
同性パートナーの福利厚生はどう?自治体証明書の活用が拡大
同性婚については、現在日本では法律上の婚姻関係としては認められていません。しかし、多様な家族観を重視する企業や自治体で「パートナーシップ証明書」や「宣誓書受領書」など、証明書を発行する流れが広がっています。
- パートナーシップ証明書があれば、福利厚生の家族として認める企業が増加傾向
- 証明書がない場合も、住民票の同一住所や、同居理由書・契約公正証書などで家族と認定できる場合あり
- 福利厚生アウトソーサー利用なら、2親等・3親等まで柔軟に制度設計可能な例も多数
ただし、パートナー関係が解消された場合の対応(自己申告・離婚届相当)が曖昧になりやすいため、会社としても慎重な運用と事実確認、研修や社内風土醸成が求められます。
実際の福利厚生制度ではどこまで認められる?~慶弔給付・社宅・各種手当の最新事情
会社独自制度は“自由設計”が可能―多様な家族への対応例
福利厚生において会社独自の制度設計は極めて柔軟です。社宅入居、家族手当、慶弔見舞金など、多くの企業が事実婚や同性パートナーも対象に含める取り組みを進めています。
- 慶弔給付―結婚祝い・出産祝い・子の入学祝い・家族の死亡弔慰金なども事実婚パートナーまで拡大
- 社宅・家族寮―入居要件の緩和・内縁パートナーの認定が進む
- 育児休業・介護休業―事実婚パートナーや同性パートナーも対象にする企業事例あり
福利厚生アウトソーサーサービスでは、2親等・3親等まで利用可能なプランも広がっています。対象範囲や運用例は自社制度・サービスの規約を確認しましょう。
企業が事実婚・同性婚を認めるメリットと課題
事実婚や同性婚など多様な家族を支援することは、企業の従業員満足度向上や人材採用競争力強化に直結します。
一方、手当の支給や社宅対応で会社のコスト増が避けられないため、バランスを取りつつ制度設計が求められます。
- 従業員満足度・エンゲージメント向上=人材定着・採用強化
- 制度拡充で差別・ハラスメント防止効果も
- パートナー解消時の申告や対応方法は曖昧になりやすい=信頼関係が前提
導入の際には、研修や社内風土づくり・ガイドライン明確化などが不可欠。自治体や同業他社の事例も参考にしましょう。
まとめ~“多様性時代”の福利厚生は、事実婚・同性婚への配慮で企業価値が上がる
事実婚や同性婚の社員に福利厚生を認めることは、多様化し続ける社会において企業のイメージ・人材確保力を大きく左右します。法制度や自治体対応が日々進化する中、会社独自の柔軟な運用がこれからのスタンダードです。
- 社会保険は事実婚を原則被扶養者に認定、同性婚も自治体証明書活用が拡大
- 福利厚生は自社制度で幅広く設計可能―慶弔給付・社宅等も多様性に対応
- 運用にはガイドライン設定・風土醸成・信頼関係構築が不可欠
導入に迷う場合は、人事部や社外専門家に相談しつつ、他社事例・自治体対応情報を活用しましょう。多様な家族をサポートする企業姿勢が、これからの人材採用・企業価値向上のキーポイントです。
千葉商科大学会計大学院会計ファイナンス研究科 教授(専攻:社会保険、企業年金、企業福祉) 可児俊信
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