【非課税で手取りを上げる】カフェテリアプランと税金の話
この動画でわかること
- カフェテリアプランの税制は2段階の要件がある
- 福利厚生としての要件を満たせば個々のメニューの課税非課税を判定できる
- 医療費、介助補助、従業員本人の疾病予防、昼食費用などは非課税
カフェテリアプランの税制と非課税要件を徹底解説!会社の導入ポイントと注意点
カフェテリアプラン導入にあたって知っておきたい税制の基礎知識
柔軟な福利厚生制度として多くの企業で普及が進む「カフェテリアプラン」。しかし、導入時に最も頭を悩ませるのが税制です。
「せっかく良い制度を作っても、課税されて従業員に不利になってしまう」―そんな声も少なくありません。
そこで本記事では、カフェテリアプランの課税・非課税の判定フローや、代表的な非課税メニューについて業界最新事例を交えて分かりやすく解説します。
- カフェテリアプランの税制は「2段階の判定」がポイント
- 非課税のためには“公平性”“現金支給NG”など厳格な要件がある
- 医療費補助・介護費用補助・食事補助など限定されたメニューのみ非課税
カフェテリアプランとは?その歴史と税制課題
新しい福利厚生制度なのに税務事例は少ない?
カフェテリアプランは1995年に導入が始まった新しい福利厚生制度です。制度としては急速に普及していますが、税制に関する公的な事例・判定は非常に少ないのが現状。国税庁の公式見解も多くはありません。
- 福利厚生の“公平性”“経済的利益が偏らない”ことが前提
- 現金交換や給与との直結はNG—福利厚生制度として認められない
- 具体的な税制事例は少ないため、最新情報の確認が必須
税制判定が複雑なため、制度設計時の注意が求められます。
カフェテリアプランの課税・非課税要件を2段階で判定!その仕組みを解説
第1段階:制度自体が福利厚生として認められるか?
まずカフェテリアプラン全体が福利厚生として認められる必要があります。
主なポイントは“公平性”と“現金支給の禁止”です。
- ポイント付与は従業員の職務上の地位・報酬額に応じて差をつけてはいけない
- 一律付与もしくは金属年数・扶養家族数等で加算ならOK
- 使い残したポイントを現金で支給・手当に組み込むのはNG
公平ではない制度や現金化可能な制度は、給与と見なされ課税対象となります。
第2段階:各メニューの非課税判定
カフェテリアプランの各メニューごとに「非課税」か「給与扱いか」が分かれます。
- 医療費補助(本人・家族の医療費で所得税法の医療費控除範囲なら非課税)
- 介護費用補助(介護保険の自己負担、介護サービス利用料等も非課税)
- 昼食費補助(所得税基本通達の範囲=経済的利益がない場合は非課税)
この他にも「永年勤続表彰加算ポイント(要件による)」「従業員本人の疾病予防(人間ドック・予防接種)」は非課税となることがあります。
主なカフェテリアプラン非課税メニューの内容と注意点
医療費補助メニュー―幅広く使えてメリット大
医療費補助はカフェテリアプランでも人気の高いメニューです。
対象は「所得税法の医療費控除範囲」なので、自己負担分の通院費や検査代、ドラッグストアの風邪薬なども含まれます。家族(生計同一)も対象です。
- 医療費控除対象なら病院だけでなく薬局・公共交通機関の通院費もOK
- 妊娠・出産関連の検査・通院費も対象となる
- 家族の医療費も申請可能(生計同一条件)
介護費用補助―介護保険利用時の自己負担等が対象
介護費用補助は、要介護状態の場合や介護サービスの利用料等が対象です。介護保険が適用されないサービスも対象となる場合があります。
- 病気・要介護状態の本人、家族のサービス利用料に申請可
- 介護保険の自己負担額も対象
- 家族分も含めて幅広く適用できる制度設計が可能
昼食費補助―一定額までなら非課税に
昼食補助メニューも非課税となる条件があります。毎日の昼食代のうち、会社が一定額まで補助した場合は「経済的利益が生じない」と見なされ非課税です。
- 所得税基本通達第36条の38の2で認められた補助なら非課税
- 補助上限など詳細は通達で確認して設計
- 食事補助は社員満足度が非常に高い人気メニュー
「課税」となるメニューも要注意!リフレッシュ系・自社製品購入・旅行等は給与扱い
課税対象となる主なカフェテリアメニュー
下記のような“リフレッシュメニュー”や自社製品の購入補助などは税務上、給与所得と判定されることが一般的です。
- 旅行、レジャー用品、映画チケット、スポーツ観戦チケット
- 自社製品購入補助
- 家族の人間ドック費用(本人は非課税だが家族は課税)
また、ポイントを現金化したり、在宅勤務手当を現金で支給する場合も課税となるので注意しましょう。
まとめ~カフェテリアプランの税制は「非課税メニュー設計+公平性」がカギ
企業がカフェテリアプランを導入する際は、制度自体の公平性確保と、各メニューの非課税判定を正確に行うことが重要です。
課税メニューの拡大を避けて社員満足度と節税効果を最大化しましょう。
- 公平性・現金支給NGなど制度設計に注意すること
- 医療費・介護・昼食補助等の非課税メニュー活用が鉄則
- 課税となるリフレッシュ系・購入補助メニュー等は説明を徹底
制度設計や税制判断に迷う場合は、最新の事例や専門誌「旬刊福利厚生(労務研究所)」、国税庁の公式通達を必ず確認し、専門家のアドバイスも活用しましょう。
千葉商科大学会計大学院会計ファイナンス研究科 教授(専攻:社会保険、企業年金、企業福祉) 可児俊信
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