福利厚生
健康経営

【富岡製糸場の福利厚生】福利厚生が従業員を雇う上で必要な理由

この動画でわかること

  • 社員食堂も福利厚生施設として不可欠だった
  • 不可欠な福利厚生事例:寄宿舎・社員食堂・診療所
  • 社員が働いたり生活に必要なものを福利厚生として用意した

福利厚生の歴史と変遷を探る:富岡製糸場から現代へ

はじめに:福利厚生の重要性とは?

福利厚生は、社員の生活の充実や働きやすさを支えるため、多くの企業で導入されています。社員食堂や社宅・診療所、教育機関など、様々な形で社員の健康や生活をサポートする制度です。この記事では、富岡製糸場における福利厚生の起源から現代に至るまでの変遷を、分かりやすく解説します。

富岡製糸場の福利厚生が現代に与えた影響


1872年創業の富岡製糸場は、日本の近代産業の象徴といわれる工場です。ここでは、工女(女性作業員)を全国から集めるため、社員寮や食堂、診療所、教育機関など、当時としては画期的な福利厚生が用意されていました。

  • 寄宿舎:全国各地から工女を集めるための住居を提供
  • 社員食堂:朝食・昼食・夕食の3食を提供し、健康をサポート
  • 診療所:ケガや病気に備えて、医療の提供と安全管理
  • 教育機関:先進技術の普及と自己啓発のための学習環境

食堂・社員食堂が福利厚生に果たす役割

食事を通じた健康維持は、仕事の効率や満足度に直結します。富岡製糸場では、外食産業が未発達だった時代に、すべての食事を会社が用意することで社員の生活を支えました。社員食堂は、単なる食事の場ではなく、職場内のコミュニケーションやリフレッシュの場としても機能しています。

  • 食事を通じた社員の健康維持
  • コミュニケーションの場としての役割
  • 福利厚生制度により社員の定着や満足度向上に貢献

診療所・病院の福利厚生制度とは

富岡製糸場では、診療所を設置することで、工女が安心して働ける環境を整えていました。現代でも大企業を中心に、本社や支店に診療所を備えるケースは少なくありません。社員が外部の病院を探す手間を減らし、健康管理の効率化と安心感を提供できる制度です。

  • 健康診断やケガ・病気への迅速な対応
  • 社員の働く安心感の向上
  • 長期的な人材定着につながる

教育機関としての福利厚生の意義

富岡製糸場で働く工女たちは、仕事終わりに勉強や裁縫の教室にも通っていました。教育機会の提供は、社員の自己成長意識や働きがいを高め、ひいては会社の発展につながる重要な福利厚生です。現代企業でも、資格取得支援や語学講座、外部セミナー参加費補助など、さまざまな形で教育を福利厚生として導入しています。

  • 技術やスキル向上のチャンスを提供
  • 自己実現や生涯学習の支援
  • 企業価値や人材競争力の向上

工女の働き方と人事制度の進化

富岡製糸場は、等級別の給料制度や成果主義の導入など、当時としては非常に先進的な人事システムを運用していました。工女の技能や成果に応じた報酬体系は、現代の合理的な人事評価制度のルーツとなっています。

  • 実力や成果に応じた報酬設定
  • 公平公正な人事評価
  • 社員のモチベーション向上

まとめ:福利厚生の本質とこれから

福利厚生は、時代とともに変化しつつも、社員が安心して働き、自分自身を成長させるための土台です。富岡製糸場のように、「人材を集め守り育てる」ために始まった福利厚生は、現代も新たな役割を持ちながら発展を続けています。企業が持続的に成長するためにも、社員一人ひとりに寄り添った福利厚生制度のあり方を、今後も考え続けることが重要です。

可児さんサムネイル
【スピーカー】
千葉商科大学会計大学院会計ファイナンス研究科 教授(専攻;社会保険、企業年金、企業福祉) 可児俊信

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<著書>
・「福利厚生アウトソーシングの理論と実務」(労務研究所)
・「共済会の実践的グランドデザイン」(労務研究所)
・「新しい!日本の福利厚生」(労務研究所)
・「実践!福利厚生改革」(日本法令) 他