福利厚生
働き方改革

【労働条件の不利益変更とは】福利厚生の変更は法律違反になる可能性があります!

この動画でわかること

  • 不利益変更とは、労働条件を社員に不利な内容に変更すること
  • 福利厚生の変更も不利益変更となる場合がある
  • 4つの要件を満たせば社員の合意なしに労働条件を変更できる

【厳選解説】福利厚生の“不利益変更”はどこまで許される?社員代表や労働組合との合意形成とポイント

知っておきたい「不利益変更」――福利厚生制度見直しの壁とその解決法

今や企業の福利厚生制度は、多様なニーズに合わせた“カフェテリアプラン”やポイント制などに進化中。その一方で、古くから続く宿泊補助などを削る場合、“不利益変更”として社員の反発や法的トラブルになることも。実際、合意のない変更は原則として認められず、正しい手順や落としどころが不可欠です。

  • 福利厚生制度の変更・廃止は「不利益変更」となり得る
  • 労働契約法により、合意なしの変更は原則禁止
  • ただし、合理的な理由や十分な説明で変更が可能なケースも存在

現代の多様化した就業環境だからこそ、制度見直しの際は“納得と公平”がキーワードになります。

不利益変更って何?福利厚生変更の法的リスクと基礎知識

まずは用語解説-「不利益変更」とは何か?

不利益変更とは、会社が労働条件を社員にとって不利な内容へ変更すること。福利厚生の廃止や縮小も「労働条件の一部」として取り扱われ、原則として合意無しで行えば違法となる場合があります。

  • 制度の変更のみならず「福利厚生の廃止」も不利益変更の典型
  • 予算を新制度へ回す場合も、既存制度削減なら不利益に該当
  • スクラップアンドビルド(廃止→新設)は合意・納得がない場合トラブルに

法令に対する正確な理解と、合理的な説明が必須です。

宿泊補助制度の見直し事例―よくある“公平性”と利用率の問題

例えば、年間3万円まで使える宿泊補助金。社員によって利用率が偏ると「公平性がない」「一部社員のための予算」と不満も…
カフェテリアプランへの原資振替は、全員が“好きな用途”でポイントを使える公平な設計に近づきます。

  • 一部のヘビーユーザーが限度額まで使い、ほとんどの社員は未利用
  • 制度を変更して原資を分ければ、より多様なニーズに対応できる
  • ただし変更に伴い「不利益」となる部分(ポイント減額など)は慎重に配慮

見直しの主旨と社員メリットをきちんと伝えることが大切です。

変更できる“抜け道”はある?合理的変更のための4つの要件

不利益変更を実施する際の「条件」とは?労働契約法の視点

合意無しに不利益変更をする場合にも、法令上認められるためには厳格な条件があります。代表的な4つのポイントがこちら。

  • 労働者が受ける不利益の程度-金額や内容など“影響度”を総合的に判断
  • 労働条件を変更する必要性-制度利用の偏りや時代の変化など合理的理由
  • 変更後の制度の“相当性”-新制度の内容が公平かつ妥当か
  • 労働組合や従業員代表との交渉状況-説明の丁寧さ、配慮や妥協案などの提案

例えば、補助金額が3万円→2万円になる場合、年間1万円の差が「大きいか」「代替策が質的に同等か」なども比較対象です。

制度変更時の落としどころと“信頼関係”の構築~社員代表・労組との対応

実際の現場では、労働組合があれば交渉、なければ従業員代表への説明・納得が重視されます。

  • 合意形成には既得権の一部維持・経過措置などを提案すると納得度アップ
  • “変更の理由・公平性”を箇条書きや資料で分かりやすく説明
  • 一方的な変更は信頼喪失につながるため、社員目線での配慮が不可欠

制度変更は「社員のため」の合理性と透明性が最も重要です。

知っトク豆知識!カフェテリアプラン導入と“公平な福利厚生”の実現方法

カフェテリアプランとは?最新福利厚生の変革事例

旅行だけでなく、育児・介護・健康関連まで――多様な選択肢を持てるカフェテリアプランは、利用率や満足度向上に大きな効果があります。

  • ポイント制・原資振替で全社員の公平な受給設計が可能
  • 多様なライフイベント対応で「働き方改革」にもマッチ
  • 導入前には社員のアンケート・ニーズヒアリングも必須

変化に柔軟な福利厚生は、人材の定着や採用競争力にも直結します。

まとめ~福利厚生の不利益変更は「納得」と「公平性」が成功の鍵

福利厚生の見直しやスクラップアンドビルドは、今後もトレンドになっていきます。
法的リスクや社員の納得度、公平性をしっかり意識して運用すれば、
“時代に合った制度設計”が可能です。

  • 不利益変更は原則禁止、ただし合理性・説明・合意形成で可能となる
  • 多様なライフスタイルを尊重した新しい制度設計が今後の主流
  • 社員との信頼関係維持に注力し、変更理由・経過措置・メリットを積極的に伝える

公平な福利厚生と納得の合意形成で、社内の信頼と採用力・定着率向上へとつなげましょう!

可児さんサムネイル
【スピーカー】
千葉商科大学会計大学院会計ファイナンス研究科 教授(専攻:社会保険、企業年金、企業福祉) 可児俊信

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<著書>
・「福利厚生アウトソーシングの理論と実務」(労務研究所)
・「共済会の実践的グランドデザイン」(労務研究所)
・「新しい!日本の福利厚生」(労務研究所)
・「実践!福利厚生改革」(日本法令) 他