【消えた企業年金】廃止されている本当の理由
この動画でわかること
- iDeCoは企業年金と福利厚生の両方の役割がある
- 企業年金のはじまりと背景とは?
- iDeCoには企業を救うこと・国民の老後を救うことの2つの目的がある
iDeCoは企業年金?福利厚生?―確定拠出年金の本当の役割と企業が取り組むべき理由を徹底解説!
iDeCoと企業年金・福利厚生の関係を理解する―社員の老後不安と日本社会の2つの課題解決策
近年、多くの企業が福利厚生の一環として「iDeCo(個人型確定拠出年金)」に注目しています。一方で、iDeCoは本当に企業年金なのか、それとも福利厚生なのかという質問は福利厚生担当者や人事担当者の間でも強い関心を集めています。
本記事では、確定拠出年金制度の本質と背景を丁寧に解説し、iDeCo活用による企業の戦略的な福利厚生・老後資金づくり支援について具体例を交えてわかりやすくご案内します。
- iDeCoは「企業年金」と「福利厚生」の両側面を持つ特別な年金制度
- 企業型確定拠出年金(DC)とiDeCoの違い・共通点も整理
- 老後不安への備え・税制優遇・貯蓄習慣の定着がキーワード
iDeCoは福利厚生になる?仕組みと活用のポイント
福利厚生担当者が苦手な税金・年金のハードルと「iDeCo」の存在意義
福利厚生を担当する人事部門が“苦手意識”を持ちがちなのは「税金」「社会保険」「企業年金」など法制度が複雑で理解しづらいため。iDeCoはこの中でも「確定拠出年金(Defined Contribution:DC)」という新しい形の年金制度に位置付けられます。
- iDeCoは社員が給与天引きで掛金を拠出し、自ら資産運用する年金制度
- 法律上は「確定拠出年金法」に基づく“年金”だが、実質的には福利厚生的側面が強い
- 税制優遇・老後資金づくりを会社として支援できる“資産形成支援型福利厚生”といえる
iDeCoや企業型確定拠出年金の内容把握は福利厚生担当者の必須スキルになりつつあります。
企業年金の変遷~なぜ確定拠出年金(DC)が注目されるのか?
20世紀型から21世紀型へ―経済環境と長寿社会がもたらした制度転換
バブル崩壊後、日本の企業は景気低迷と株式市場の低迷で、伝統的な「確定給付企業年金」の運用難に直面しました。
運用損によって将来、社員への年金や退職金の支払いが困難になる企業が増え、“社員責任”型の年金、すなわち「確定拠出年金」への移行が加速しました。
- 確定拠出年金(DC)は、拠出した掛金を社員自ら積立・運用
- 企業は掛金負担や運用リスクから解放、社員も自己責任で資産形成
- 退職金規程から“企業資産”ではなく“個人資産”として管理・積立
この変革は世界的な流れで、日本だけでなくアメリカや欧州でも広がっています。
iDeCoと企業型DCの違い・共通点―「福利厚生」としての価値は?
iDeCoは“企業年金”であり、福利厚生制度でもある理由
「iDeCo=個人型」、「企業型DC=会社中心」という違いはありますが、元々は同じ「確定拠出年金」制度なので、多くの部分が共通しています。特にiDeCoは、“老後資金づくり”を支援するという意味で福利厚生の範疇に入ります。
- 会社が主に掛金を負担する場合は「企業年金」色が強い
- 社員が掛金の主体となれば「福利厚生支援」の側面が強まる
- 企業によってはマッチング拠出(会社も一部負担)で両者の中間型も導入可能
共通する制度特徴としては、どちらも60歳まで引き出せず、退職・老後のための積立となることです。
確定拠出年金=自助努力型資産形成+税制支援
確定拠出年金は「運用成果によって将来の受取額が変わる」ため、社員個々の資産形成力がダイレクトに反映される設計になっています。iDeCoは自己責任型=“自助努力“支援型の福利厚生と言えるでしょう。
- 節税効果(所得税・住民税控除)で、資産形成・老後生活支援のインセンティブを提供
- 公的年金の補完役として企業が福利厚生メニューの1つに位置付ける動きが拡大
- 若年層ほど「自分で備えたい」というニーズが強いのも特徴
iDeCo・企業型DCに2つの役割―「企業防衛」と「国民の老後対策」
確定拠出年金制度が導入された日本社会の背景と真の目的
iDeCo(DC型年金)は、単なる福利厚生に留まらず、その導入背景には日本社会全体の課題解決という“裏側”も存在します。
- 企業型DCは「不景気・資産運用失敗による給付不能リスク」から企業を守るために生まれた
- iDeCoは高齢化・長寿化が進む社会で「国民一人ひとりの自助による老後資金形成支援」が本来の目的
- どちらも「資産運用責任の移転」が本質的な特徴
iDeCo活用がもたらす企業・社員双方へのメリット
人材獲得・エンゲージメント向上、法令順守の観点からも導入拡大が必須
今後、iDeCo(個人型DC)や企業型確定拠出年金を福利厚生の柱に据える企業はますます増加します。
- 人材獲得競争下で“資産形成・老後不安”への支援を提供できる企業が求められる
- iDeCo・DC拡充は企業イメージや採用広報にも好影響
- 税制優遇・多様なライフプラン設計支援で社員の満足度もアップ
マッチング拠出(会社と社員が共に掛金を出せる仕組み)や従業員説明会などの啓発活動も、企業価値向上の切り札です。
まとめ~iDeCoを福利厚生と捉え、戦略的に活用しよう
iDeCoや確定拠出年金制度は、福利厚生・企業年金という2つの顔を持ち、企業・社員双方にとって重要な資産形成の手段です。
- iDeCoは未来の老後資金づくりを支える“福利厚生”として拡大している
- 企業年金の限界を超え、確定拠出型制度が主流化
- 人材獲得・法令順守・社員満足度向上の観点から企業導入は必須の時代へ
自社で制度導入・拡充・情報発信を強化し、社員の安心した将来設計をサポートしましょう。
千葉商科大学会計大学院会計ファイナンス研究科 教授(専攻:社会保険、企業年金、企業福祉) 可児俊信
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