福利厚生
ワークライフバランス

【成果主義vs福利厚生】福利厚生は成果と直結しないので不要じゃないですか?についてお答えします

この動画でわかること

  • 成果で差がつかない福利厚生と成果主義は相いれないのか
  • 福利厚生は成果主義の前提となる公平な競争条件を作る
  • 福利厚生は成果主義に対するセーフティネットとして社員の生活を支える

【成果主義時代の福利厚生】“現金でくれ”論争の本質と公平な競争を支える制度設計

成果主義時代の疑問:「福利厚生は不要?」に答える理由とは

企業で成果主義が浸透する中、「福利厚生なんかより現金でくれ」「成果で報酬に差が出るなら福利厚生は無意味じゃないか?」という声が聞かれることがあります。しかし本当に福利厚生は不要なのでしょうか?
この問いは、給与と福利厚生の本質的な違い、そして“公正な競争”をいかに実現するかに深く関わっています。

  • 成果主義導入の背景には報酬のメリハリ化・企業体質の強化がある
  • 属人手当(家族手当、住宅手当など属性支給型)は廃止・縮小傾向
  • 福利厚生は給与と違い、社員全員の公平な環境づくりに貢献する

成果主義と福利厚生の関係性は、今や人事戦略の中でも“最重要テーマ”となっているのです。

成果主義の誕生と属人手当の見直し〜日本企業の報酬設計はどう変わった?

「成果主義は福利厚生と矛盾?」という誤解を解消しよう

成果主義は富士通が1993年に日本で初導入したと言われ、その後バブル崩壊以降、急速に普及しました。

  • 成果主義導入により、給与は「実績・能力」に連動し差がつくように
  • 家族手当や住宅手当など、属人手当(属性支給型)は縮小・廃止の流れ
  • その原資で成果報酬・若手社員への報酬強化・福利厚生の充実が進み、メリハリを強化

報酬の“成果連動性”を高めつつ、広く平等な機会提供に資する制度づくりへシフトする企業が増えています。

現代の人事制度が重視する“公平な競争”とは何か

単純な“成果だけ”評価ではなく、「公平な競争条件」の整備こそが、成果主義では最も重要です。

  • 育児・介護と仕事両立が必要な社員への福利厚生支援で環境格差を是正
  • フレックス・在宅勤務導入で、“個々の事情”を越えて成果創出へ
  • 病気療養中の社員も公平に働けるようなサポート体制の充実

つまり「成果主義の前提は公平」であり、福利厚生はその公平な土俵づくりに不可欠なのです。

成果主義にこそ必要な福利厚生の“セーフティネット”役割

安心感を支える福利厚生があるから挑戦できる環境

成果主義の採用は、給与変動の幅が広く、先行き予測が難しくなる傾向にあります。

  • 給与が実績次第で大きく上下するため、社員が将来の生活設計に不安を持つ
  • 福利厚生による生活保障(保険、資産形成サポートなど)が不安解消の支え
  • 安心感があることで、社員は思い切った挑戦や長期的スキルアップに集中できる

競争激化・変化が早い時代を「皆で乗り越える」ためにも、ベーシックな支援制度が欠かせません。

人手不足時代~競争だけでなく、納得と安心を重視

在庫主義や成果主義が浸透しても、人材の囲い込みが重要だからこそ、福利厚生の魅力はより高まっています。

  • 公平性を担保する制度がなければ、競争から脱落する社員が増え、定着率が下がる
  • 競争で待遇に差をつけつつ、全員が納得の安心感を得られる環境づくりがブランド力の要
  • 企業全体で“納得できる公平な競争条件”を設計するのが、福利厚生の最大の役割

まとめ〜成果主義だからこそ福利厚生が必須!納得感と安心感を両立する人事戦略

「成果主義に福利厚生は不要?」という疑問に対する答えはノー。
むしろ、成果主義を活かすためには、福利厚生が「公平な競争環境」と「セーフティネット」を担うからこそ必須です。

  • 給与・報酬は成果に連動し、メリハリを持たせる制度が定着
  • 福利厚生は育児、介護、病気、経済面など公平な条件を整える基盤
  • 人材定着と納得感・安心感の両立こそ、現代企業が目指す人事・福利厚生戦略の核心

「成果主義×福利厚生」の最適バランスは、組織の成長と社員一人ひとりの働きやすさ・挑戦を支えるカギとなります。

可児さんサムネイル
【スピーカー】
千葉商科大学会計大学院会計ファイナンス研究科 教授(専攻:社会保険、企業年金、企業福祉) 可児俊信

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<著書>
・「福利厚生アウトソーシングの理論と実務」(労務研究所)
・「共済会の実践的グランドデザイン」(労務研究所)
・「新しい!日本の福利厚生」(労務研究所)
・「実践!福利厚生改革」(日本法令) 他