福利厚生

採用力アップとは?採用強化施策と企業事例を紹介

従業員それぞれの能力を発揮して持続的な事業の成長を実現しようとしている従業員

少子高齢化を背景とした生産労働力人口の減少が著しい日本において、企業の採用力強化は重要な成長戦略の一つです。

しかし、「どうすれば採用力を上げられるのか」「有効な採用強化施策が思いつかない」といった悩みを抱える経営者や人事部門担当者は少なくありません。

そこでこの記事では、採用力アップが重要な理由に加え、採用力アップに成功している企業の特徴と、採用力アップに失敗している企業の特徴を解説します。また、採用力アップのための施策についてもあわせて紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

採用力アップ(採用力強化)とは

採用力アップ(採用力強化)とは、企業や社会の発展に欠かせない人材を採用する能力を高めることです。

一般社団法人日本採用力検定協会によると「採用力は、パースペクティブ(採用に対する視座)、マインド(採用に向き合う姿勢)、ナレッジ(採用を良くするための知見)、スキル(採用を良くするための技能)、アクション(採用における意思決定)の5要素で構成される」と定義しています。

つまり、採用戦略立案、専門的知識と豊富なノウハウ、多角的視点を持った施策立案、適切な判断と実行力が採用力であるといえます。これらの能力を強化していくことが、採用力アップにつながり、結果として採用競争力を高めることにもつながるでしょう。

採用難の時代において採用力アップには福利厚生が重要です。自社にとって最適な福利厚生の選び方をまとめています。ぜひご確認ください。

採用力アップの重要性

採用力をアップし、優秀な人材を確保できなければ、事業の安定と成長は望めません。近年、日本は少子化が進み、人手不足が深刻な売り手市場にあります。採用力の低い企業にとっては優秀な人材どころか、そもそも人材が確保できない状態に陥ってしまう可能性まで考えられます。

また、働き方などの多様化が進む中、従来と同じ採用方法では他社に優秀な人材を取られてしまいかねません。そのため、新しい採用手法を導入しながら、採用力をアップすることが重要です。

採用力アップのためには何が必要かを理解し、自社にあった適切な施策を行えば、どのような企業でも採用力のアップは可能です。

採用力アップに成功している企業の特徴        

採用力アップに成功している企業の特徴として、主に以下の6つが挙げられます。次項で詳しくみていきましょう。

・採用の目的・目標が明確である

・求める人材や採用ターゲットが明確である

・企業の魅力を発信できている

・最適な採用手法を用いている

・採用担当者や面接官が共通認識を持っている

・離職率が低く入社後も定着している

採用の目的・目標が明確である

採用力アップに成功している企業は、採用の目的と目標を明確にしています。最終的に到達したい目的を定め、そこに向けてどのような人材をいつまでに何人採用するのかなど、具体的な目標を定めることによって採用方針が明確になるからです。

また、採用の目標を決める際には、自社の課題や今後の展望を確認することが大切です。予測の精度を上げられれば、そのぶん必要な人材の要件や人数が設定しやすくなります。

加えて、採用の目的・目標を決める際は具体的な数字を設定しておくことも大切です。「3年間で4人採用する」「新卒2名と営業スキルを持った中途2名を採用する」など、数字を用いることで行動に移しやすくなるでしょう。       

求める人材や採用ターゲットが明確である

採用力アップに成功している企業は、自社が求める人材のスキルや人柄に至るまで、具体的な人材要件を設定しています。

人材要件の基準を明確にすることで、具体的な採用ターゲットを設定できるため、自社が求める人材に絞った訴求が可能です。採用ターゲットが明確になると、求職者が応募する段階で自分との相性を判断しやすく、採用後のミスマッチを減らす効果も期待できます。

また、採用力が高い企業は、現場の意見を取り入れた人材を採用ターゲットに設定しています。部署ごとに在籍している現場社員の協力を得ることで、より活躍できる採用ターゲットを設定できるでしょう。

企業の魅力を発信できている

求職者から「この企業で働きたい」と思える魅力を発信できている企業は、高い採用力を有しています。自社の魅力を発信する際は、雇用する側ではなく求職者の立場で考えることが大切です。

例えば、「働きやすい職場」「アットホームな雰囲気」といった文言では具体性に欠け、求職者にとって分かりにくいため、実際に携われる業務内容や給与・賞与、年間休日数や福利厚生などを記載、発信しましょう。

また、社員の人柄や実際に働く職場の雰囲気も求職者が関心を示す要素です。社員のインタビュー動画や働いている状況を発信するなど、求職者にリアルな情報を届けるような工夫も必要です。

最適な採用手法を用いている

採用には求人広告や転職サイト、人材紹介やSNS採用、リファラル採用など多種多様なアプローチ方法があり、自社に適したものを選択する必要があります。自社との相性を考慮しないまま、採用活動を行っても応募者は増えず、仮に採用できたとしてもミスマッチを起こす可能性が高くなるでしょう。

採用力アップに成功している企業は、それぞれの採用手法について理解したうえで、自社に適した採用活動を行っています。

採用手法を選ぶ際は自社の求める人物像の明確化が欠かせません。採用したい人材の人物像を明確にしたうえで、その人材に訴求効果の高い採用手法から優先順位をつけて採用活動を行いましょう。

さらに、採用トレンドも時代の移り変わりとともに変化するため、常に情報をアップデートしていくなど採用手法の見直しも大切です。

採用担当者や面接官が共通認識を持っている

採用担当者や面接官など、採用活動に関わる全ての担当者が同じ共通認識を持っていることも採用力アップに成功している企業の特徴です。

特に、応募者への評価基準がばらつきやすい面接では、評価者の認識の違いで採用者の要件が変わってしまうため、面接評価シートを用いて基準を統一しておくことが大切です。

面接評価シートに基づいた評価をすることで、面接官による評価のずれを抑えつつ一貫性のある評価ができるため、客観的で公平な判断につながります。また、共通認識を持った評価基準とすることで、面接後の選考過程もスムーズに進められ、採用業務の効率化も期待できます。

離職率が低く入社後も定着している

離職率が低く入社後も安定して勤務する人材が多い会社も採用力が高い企業の特徴です。自社の求める人材と採用者の要件が一致しているほど、自社の風土にマッチする可能性が高く、入社後も人材が定着しやすくなります。

採用力アップに成功し離職率が低くなった場合、入社後の人材も長く定着するため、持続的な成長が見込めます。また、成長する企業は、求職者からも魅力的な存在であるため、さらに優秀な人材が集まるという好循環を生み出すでしょう。

反対に満足できる人数を採用できたとしても、定着しなければ採用力が高いとはいえません。内定をゴールとせず、入社した人材が定着して長く働ける環境づくりも含めた採用力アップを目指しましょう。

採用力アップに失敗している企業の特徴        

続いて、採用力アップに失敗している企業の特徴を解説します。具体的には以下の4つです。

・採用ターゲットに求めるスキルや要件が高すぎる

・現場と採用担当者の連携ができていない

・採用活動のリソースが足りていない

・社員の流動性が高く定着率が低い

採用ターゲットに求めるスキルや要件が高すぎる

採用ターゲットに求める要求水準が高すぎると、求職者が応募をためらったり、要求を満たす応募者が現れないなど、応募者数が減ってしまう可能性があります。また、要件を厳しくしすぎることで書類選考の基準も高くなってしまい、なかなか人材を採用できない事態にも陥りかねません。

採用ターゲットを設定する際は、理想とする要件と最低限必要な条件の2つを用意し、応募状況に応じて内容を調整しましょう。

現場と採用担当者の連携ができていない        

現場と採用担当者の連携不足も採用力が乏しい企業の特徴です。業務内容や労働環境に精通している現場社員に必要な人材の要件を確認していなかった場合、採用後にミスマッチが起こる可能性が高まります。

実際の業務内容に精通しているのは現場の社員です。そのため、採用担当者は現場の社員と採用ターゲットとなる人材のすりあわせを行ったうえで、募集をかけることが大切です。

また、採用の情報が長期間更新されていない場合は、情報が正しいものであるかも現場社員に確認をしましょう。

採用活動のリソースが足りていない

採用手法が多様化している昨今では、採用活動のリソースが不足している企業の割合が増えています。特に、中小企業の採用担当者は採用活動と他の業務を兼務している場合が多く、リソース不足に陥っている可能性が高いと考えられます。

採用活動は求人票の作成や求職者対応、面接のスケジュール設定や内定後のフォローなど多岐にわたるものです。そのため、限られた人員ではリソース不足を起こしやすく、採用に支障をきたす可能性があります。

したがって、採用戦略を立案する前に、まずは目的を達成するための十分なリソースがあるかを確認することが大切です。もし、リソースが足りない場合は、採用業務の一部をアウトソーシングするなど、採用代行サービスの活用も検討しましょう。

社員の流動性が高く定着率が低い

採用後の定着率が低く離職が多い企業では、採用のミスマッチを起こしている可能性があります。

離職にはキャリアアップを目指した転職も含まれるため、一定の離職は仕方がないといえます。しかし、「会社の雰囲気になじめない」「業務内容が入社前に想定したものと違う」といった理由が離職理由の場合、それらの対策をしなければ今後も定着率のアップは望めません。

採用のミスマッチは、早期に原因を特定することが大切です。内定者への適切なフォローに加え、採用後の対応を振り返ってミスマッチの発生ポイントを見極めましょう。

企業の採用強化施策

採用強化施策を立案するうえでポイントとなるのが「企業力」「労働条件」「採用活動力」の3つです。

企業力とは、資本力と知名度に強みを持っていることを指します。企業力の高い企業は、求職者からの人気が高く優秀な人材を集めやすい一方、短期間で企業力を高めることが難しい側面もあります。

労働条件とは雇用形態や待遇、福利厚生など労働環境に付随する条件のことです。社員から評価される労働条件であれば、社員満足度が高まることによって離職率の低下も期待できるでしょう。

採用活動力とは求人広報や人材選考、内定者フォローなど採用実務全般に関わる能力を指します。採用課題の多くは、この採用活動力を高めることで改善が可能です。

ここでは、採用活動力を高める施策を中心とした企業の採用強化施策について解説します。

採用基準やターゲットの再考

そもそも応募してくる求職者が少ない、または書類審査を通過する求職者がいない場合は、採用基準や採用ターゲットを見直す必要があるでしょう。採用基準を高く設定しすぎてしまうと、優秀な人材は需要が高いため、自社によほどの優位性がない限り他社との争奪戦には勝てません。

採用基準の中で妥協したくない要件を見極め、それ以外の要件を見直すことで採用ターゲットの範囲が広がり、応募数や書類選考を通過する確率が高くなるでしょう。

ただし、応募者がいないからと安易に採用基準を変えてしまうと、その場しのぎの採用になってしまうおそれがあります。そのため、応募状況を踏まえたうえで慎重に判断することをおすすめします。

採用方法の見直し

採用ターゲットに対して適した採用方法を行わなければ、期待した効果は得られません。求人サイトや転職サイト、人材紹介や合同説明会のほかにSNSを取り入れたものなど、採用活動に用いられる手法にはさまざまなものがあります。

不特定でも多数に呼びかけたいのか、特定の個人に向けたアプローチをしたいのか、まずはかけられる予算はどれぐらいかを明確にしたうえで、狙った採用ターゲットに対して効果的に訴求できる採用手法かどうかを検討しましょう。

採用ターゲット層の年齢や所有するスキル、業種・業界によって最適な採用手法は異なるため、それぞれの特徴や強みを理解したうえでの採用手法の選択が大切です。

採用サイトの制作

取引先やお客様に向けたコーポレートサイトとは別に、求職者に向けて企業情報を発信する採用サイトを制作することでも採用活動力を高められます。

採用サイトを制作する際は自社の魅力を洗い出し、わりやすく伝わるよう整理し、他社との差別化を意識することが大切です。従業員のインタビュー動画や職場の雰囲気を感じ取れる動画を掲載すれば、求職者の理解度を高められ、採用後のミスマッチを防ぐ効果も期待できます。

採用サイトは、制作後も継続的に更新をすることが採用力の強化につながります。新たな魅力を発信したり、見やすいように工夫するなどの改良を重ねることが大切です。

労働環境や福利厚生の整備

近年、求職者のニーズは、労働環境や福利厚生の良さを求める傾向にあります。給与額や年間休日数などの待遇も重要な要素ですが、企業によってはなかなか変更が難しいこともあるでしょう。

そのようなときは、働き方の多様化や福利厚生といった施策で他社との差別化をはかる方法もあります。例えば、リモートワークやフレックスタイム制の導入、家賃補助や資格取得のサポートなどです。

新しい制度を導入する際は、社員や求職者目線で施策を立案しましょう。現場で働く社員や応募してきた求職者にどのような制度を導入してほしいか調査する方法もおすすめです。入社後も長く働けるような労働環境と福利厚生となるように配慮しましょう。

キャリアパスを明確化

キャリアパスとは、人材がキャリアを積み重ねていくために必要となる過程や道筋のことです。

キャリアパスを明確化できれば、自身のキャリアを考える求職者もこれからのステップや求めるスキルを可視化できるため、採用強化施策を考えるうえで重要な項目です。また、キャリアパスを明示することで、既存の社員が主体的目標を持って仕事に取り組むようにもなり、生産性の向上も期待できます。

さらに、応募者にキャリアパスを明示しておけば、応募者は入社後に自分がどのような過程をたどるのかを理解でき、入社後の働き方もイメージしやすくなるでしょう。その結果、内定辞退社を抑えられる可能性も高まります。

ただし、入社後は個人のキャリアパスに関する不安や不満を解消することが求められるため、内定後には社員一人一人への丁寧なフォローが大切です。

採用力アップに成功した企業事例

ここからは、採用力アップに成功した企業事例を紹介します。   

株式会社アカツキ

株式会社アカツキは、リファラル採用を中心とした採用強化施策に力を注いで採用力アップに成功しました。リファラル採用とは、自社の社員や取引先など信頼できる相手から自社に合った人材を紹介してもらう採用手法で、ミスマッチが起こりにくく定着率が高いことから近年注目されている採用手法です。

また、同社では経費補助金制度とインセンティブ制度を社内に周知をしつつ、新規採用者に対してもリファラル採用を周知するなど認知拡大に向けた施策を実施しています。採用進捗の定期的な管理と経営者自らが企業価値を発信した結果、中途採用者の3割強をリファラル採用が占めるようになったといいます。

株式会社ビズリーチ

株式会社ビズリーチは、代表自らがKPI(重要業績評価指標)設定を行い面接数をノルマ化し、数をこなすことで採用力強化をはかっています。

人材の質に妥協しないという代表の信念のもと、アポイントメント感覚で1,300人以上との面接を行い、スタートアップ時代の採用力の弱さをカバーしました。その結果、代表の熱意ある面接の成果が実を結び、徐々に採用者を増やすことに成功しています。

採用力アップの促進はベネフィット・ワンにお任せください

採用力アップのポイントは「企業力」「労働条件」「採用活動力」です。しかしながら、企業力を高めるためには長い期間がかかるうえ、採用活動力を高めるためのリソースが不足している場合もあるでしょう。

その際は、採用力アップにつながる労働条件の改善として、福利厚生の見直しを検討してみてはいかがでしょうか。

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