sansan株式会社
インターネット関連サービス 501-1000名- 課題
- ・従業員が500名を超え、社内での従業員同士のコミュニケーション量が減ってしまった。
- 行なった施策
- ・従業員同士の交流を目的としたオフィス「Sansan ONE」を開設。
・30以上の社内制度が存在。
・「Know Me(ノウミー)制度」。飲み会に行く3人に1人は、別の部署の人間を混ぜることで、1回につき3000円の補助を支給。
・「イエーイ」。在宅勤務制度。自宅で作業を行なった方が成果を上げられると上司が認めた場合、自宅で作業可能。
・「よいこ」。社内部活制度。
・「H2O(ホームトゥオフィス)」。本社から2駅以内に住むと、毎月3万円を支給。
・「MOM」。保育園や、保育園までのタクシー代を支給。
・社内メールを全て廃止し、社内SNSへの移行。
- 得られた結果
- ・「Know Me(ノウミー)制度」により、普段の業務で話さない人同士のコミュニケーションが活発になり、部下が上司を飲み会に誘いやすくなった。
・「H2O(ホームトゥオフィス)」により、通勤によりストレスや体力の消耗を解消。労働生産性向上に繋がっている。
・社内メールを全廃したことで、社内SNSに従業員からの相談や、知見のシェアが増えた。
- 社内に制度を浸透させるためのポイント
- ・制度の名称をキャッチーにすることで、新しい制度でも覚えてもらいやすくなる。
・Sansan社では、トライアンドエラーの社風が当たり前になっている。施策を実行してみてダメなら、すぐに止める。見直すための決断を素早くすることが重要。
近年働き方改革を背景に、企業における社内コミュニケーションの活性化は、新たな事業の創出や従業員満足度を向上させるためのカギとして、様々な取り組みが注目されています。
そのような中、2018年11月、東京・表参道に新支店「Sansan ONE」を開設した法人向けクラウド名刺管理サービスを提供するSansan株式会社。
バーカウンターやボルダリングなどの特徴を持つ同社のユニークなオフィスは、新しい出会いとアイデアを生み出す場として活用されています。
今回は、Sansan株式会社ブランドコミュニケーション部PRグループの長倉紀子(以下、長倉)氏に、「Sansan ONE」開設のねらいと同社制度の仕組みについてお話を聞きました。
目的は「社員同士のコミュニケーションの活性化」
―この「Sansan ONE」はどういったオフィスなのでしょうか。
長倉:こちらは2018年11月に開設した弊社の新しい支店になります。
半分がワークスペースで、もう半分がフリースペース兼ミーティングルームとなっています。ワークスペースにはDSOC のメンバーが常勤しております。
DSOCは名刺をデータ化する際の人工知能を用いた画像解析の研究、データ入力のオペレーションなどを統括している部門で、AI技術者や研究者、エンジニアなどが所属している研究機関的な位置付けになっています。
フリースペースの方は、Sansan社員であれば誰でも活用可能なスペースとなっています。非常に静かな場所なので、作業に集中したい時や気分転換をしたい時などにも活用されます。
―どのような目的で新しいオフィスが作られたのでしょうか。
長倉:大きな目的としては、社員同士のコミュニケーションを活性化するところにあります。
現在、約500名近くまで社員が増えてきていて、通常の業務だけでは接する機会が少なかったり、コミュニケーションの頻度が減ってしまいがちという状況が少なからずあります。こちらのスペースを活用して社員同士のコミュニケーションを深めてほしいと思っています。
日中はバリスタが常駐してコーヒーをはじめとしたソフトドリンク、午後18時以降はSansanオリジナルレシピのビールも出すバーとして解放しておりとても好評です。
課題は「社内コミュニケーションの促進」
―御社ではもともとどういった人事課題があったのでしょうか。
長倉:まず前提からお話させていただきますと、弊社は名刺を事業のメインとして、名刺=出会い、「出会いからイノベーションを生み出す」というミッションを掲げております。
私たちが行なっている事業というのは、組織を大きくしたり、利益を最優先にして上げるとか、上場を目指すといった事よりは、その掲げているミッションを達成するために集まった一つのプロジェクトチームのようなものであると考えています。
代表の寺田は「極端に言えば、明日ミッションが実現できるなら即、会社を解散しても良い」と言っているくらいなので、非常にミッションドリブンな組織となっています。
そのため社内の制度や制度設計などもミッション達成を後押しするために存在しています。この大きなミッションを実現するためには、圧倒的な事業成長が不可欠です。そのためには、1人1人が最大限のパフォーマンスを発揮することが一番の近道であると考えています。
パフォーマンスを向上させることを目的に、在宅勤務や近隣家賃補助など、30近くの社内制度を運用しています。その中でも、「社内コミュニケーション」を目的とした制度は比較的多いですね。日頃コミュニケーションが取れているかどうかは、円滑な業務の進行、つまりパフォーマンスに直結していると考えているからです。
―なるほど。だから、このスペースもコミュニケーション目的としているんですね。
長倉:そうですね。あまり関わりのなかった社員同士もここで出会って話して、「ONE IDEA」を生み出し、イノベーションを起こして欲しいという想いが込められていますね。
気軽に同僚や上司とコミュニケーションできる「Know Me」制度
―内装や出会う仕組みなどに関しては社内で検討されたのですか。
長倉:ここを作る際はプロジェクトチームを作って、外部のデザイナー、社内のブランドコミュニケーションチームやクリエイティブチームとも話し合いながら、決めていったという感じです。
実際にオープンしてからも、社内SNS上で改善のための要望を広く募ることができるようにし、日々改善していっています。
―先ほど話のあった社内制度ですが、コミュニケーション目的ではどのようなものあるのでしょうか。
長倉:例えば弊社には「Know Me(ノウミー)」という飲み会補助制度があります。
文字通りKnowは「知る」とMe「私」で、「私を知って欲しい」ということで、飲み会に行く3人のうち1人は別の部署の人間を混ぜなければいけないというものです。
要するに仲の良い人同士ばかりで行くのではなく、知らない人とも行ってお互いの理解を深め、実のある話をしようという意図があり、1回につき3000円補助が出ます。
狙いとしては、普段話さない人同士であってもお酒が入るとコミュニケーションが円滑になったり、部下が上司を誘いにくい場合であってもこの制度があれば自然と誘いやすくなるのではないかということがあります。
会社のオフィシャルな制度として利用を推進しているものなので、誘う方も誘われる方も抵抗なく受け入れられるというメリットもあります。
―気軽に部下が上司を飲み会に誘うきっかけがあるのはいいですね。
長倉:結構Sansanでは「Know Meしましょうよ」というのが合言葉というか、共通言語化していて、新しい人が入って来た際にも活用できています。
普通だったら社内とはいえ、それほど仲良くない人に対して、いきなり飲みに誘っても「何この人?」ってなりがちになると思うんです(笑)
でも「Know Meしましょうよ」の一言が会社の中で共通言語化されていると、誘われた方も「この人たちはKnow Meを通じて何かディスカッションしたいんだな、知りたいことがあるんだな」と分かるので、「何目的ですか?」ではなく、「行きましょう」となる。
それは相手が例えばCXOや部長クラス、極端に言えば代表の寺田でも誘うことができる雰囲気が社内にはあります。
社内に制度を浸透させるには、名前のキャッチーさも大切
―社内コミュニケーションを円滑にするためには、どういったことが大切だと思いますか。
長倉:社内に浸透させる際のポイントとしては、名前をキャッチーにすると覚えてもらいやすくなると思います。弊社には「Know Me」の他に、「イエーイ」という制度があります。
「イエーイ」は先ほど少し触れた在宅勤務制度で、自宅で業務を行なった方が成果を上げられると上長が認めた場合に、自宅で仕事ができるというものです。
一般的に、在宅勤務の申請は何かと煩雑かもしれませんが、弊社では「明日はイエーイします」で上長にもメンバーにもみな通じるので、とても楽ですね。
そういった社内制度の名前はだいたいダジャレになっています(笑)
―30近く社内制度があるとのことですが、他にはどのようなものがありますか。
長倉:コミュニケーションを軸にしたものや、生産性向上を軸にしたものなど、様々な種類の制度があります。
コミュニケーション軸で代表的なものですと、先ほどご紹介した「Know Me」だけでなく、ラーメンやヨガなど好きなもの同士でコミュニケーションを部活的な「よいこ」という制度があります。
また生産性向上軸ですと、エンジニアやクリエイター職の社員は最新のガジェット機器を購入できる制度や、H2O(ホームトゥオフィス)といって渋谷ないし表参道駅から2駅以内に住むと家賃を3万円まで補助するという制度もあります。
やはり通勤時間による消耗がパフォーマンスに与える影響というのは大きいので、そういった制度を作りました。
最近では優秀な女性社員に早期に仕事復帰してもらうために、保育園料や保育園までのタクシー代を補助する「MOM」といった制度などもあります。
トライアンドエラーが当たり前な社風で良い制度を生み出す
―かなり充実した制度がそろっていますね。そういった制度は人事の方が中心となって決めているのでしょうか。
長倉:そうですね。「エンプロイーサクセスチーム」というチームが人事の中におりまして、社内制度の設計や運用を担当しています。
制度に限ったことではないですが弊社の場合、作って終わりではなく、やってみてダメだったらすぐに見直すための決断がとても速いという特徴があります。
必要なら増やすし、いらなかったらすぐに辞めるという、トライアンドエラーが当たり前といった社風がありますね。
―社員からの要望はどのように汲み取っているのでしょうか。
長倉:社内コミュニケーションには社内SNSを使っていて、メールは全て廃止をしました。
社内SNSの中に要望をポストするグループを作って、そこに社員が、オフィスに対する質問や日々気づいたことをどんどん書き込んでいくといった仕組みにしています。
例えば「今日寒いです」とか「照明がちょっと暗い」といった些細なことでも意見することが出来ますし、そういったコメントを全員が見られるようになっています。
オフィスの改善要望に限らず、仕事上のプロジェクトでも基本的には社内SNSでオープンにして進行するのですが、ある議題について話し合っていると、別の関係なかった人がそこで知見をシェアしてくれるきっかけにもなっているので、非常にフラットなコミュニケーションが実現できていると思います。
みんなで集まって1つのアイデアを生み出していって欲しい
―今後の目標について教えてください。
長倉:こちらのSansanONEに関しては去年出来たばかりで、レイアウトを変えたりメニューをいつも見直したりと、トライアンドエラーを繰り返している未完成の状態です。
本来の「みんなで集まって1つのアイデアを生み出して欲しい」という目的が、1日でも早く実現できるように改善をしていき、すべての社員が活用してもらえるような良い拠点にしていきたいという思いがあります。
会社としては「出会いからイノベーションを生み出す」というミッションに変えたのが昨年の12月なのですが、その前は「ビジネスの出会い=「名刺」を資産に変え、働き方を革新する」というミッションでした。
創業当時からそれを推し進めていたので、これを変えたというのはかなり大きなインパクトがありました。
というのも、クラウド上で名刺データを管理し活用するという、今までになかった市場自体を私たちが何もないところから作り上げてきました。現在約6000件の契約をいただいていて、単なる名刺管理ではなく、社内の業務を横断するためのビジネスプラットフォームとして取り組んでくださるお客様も増えています。
私たちは、創業以来一貫して「出会い」というものに向き合ってきましたが、さらに高い視座で「出会い」と向き合うためミッションを刷新しました。今後も、社員全員でビジネスシーンにインパクトを与え、ミッションを実現するための努力を続けていきたいです。
取材・文:花岡 郁
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