ベルシステム24の働き方
ーーまずはベルシステム24の社員構成や働き方について教えてください。
成田:弊社は主にコンタクトセンター業務の代行・構築支援をしております。
北海道から沖縄まで日本全国に支店を持ち、正社員は約1,000名、コンタクトセンターの中心となる非正社員のアルバイトスタッフ(以下、コミュニケーター)が総勢2万6000~3万名おります。
コミュニケーターの平均年齢は30代後半、男女比は3:7です。
ーーコンタクトセンターと聞いてイメージする「若い女性がたくさん働いている」姿とはかなり違いますね。
太刀掛:そうですね、開設当初は女性95%以上の職場でしたし、比較的長く働いているコミュニケーターが多かったと思います。
中には開設当初(35年前)から働いている人もいます。
ーー勤続35年はすごいですね。それだけ働きやすいということでしょうか。
太刀掛:勤続年数もそうですが、親子で働いているケースもあります。
弊社には友人紹介制度があり、それがうまく機能しています。
紹介からの入社は継続率が非常に高いです。
また、この制度を設けるにあたって、求職者に選んでもらえるだけでなく、実際に働いているコミュニケーターがおすすめしたくなるような職場環境づくりまで踏み込んでおり、それができているセンターも増えてきています。
ーーコミュニケーターは具体的にどんな働き方をしているのでしょうか?
太刀掛:基本的にはシフト勤務制ですが、フルタイム型・ハーフ型など定型化した勤務体型を設けていません。
難しい場合もありますが、できる限り働き方の要望に応えたいと思っており、このようなスタイルにしています。
正直にいえば週5日可・土日可という人が理想ではありますが、現実にはそのような人は以前と比べて減ってきています。
そのため、イレギュラーな例ではありますが、週1日だけ、週に4時間だけという勤務形態も受け入れています。
ーーそういった勤務形態の方が増えているのは、何か要因があるのでしょうか?
成田:最近ですと、週休3日制などの働き方改革が世間で侵透してきていることもありますし、働く側の選択肢が増えてきたことが大きいと思います。
それに、女性活躍推進法の影響により、退職せずに育児休暇を取得する女性社員も多くなりました。
過去にコンタクトセンター業務を経験していた人が、結婚・出産から復職するケースでは既に業務の知識があるので、先ほどのような週1時間だけ、4時間だけ、といった勤務でも成り立っています。
ーーライフスタイルに合わせた働き方ができるというのは、働く立場からすると非常に良い環境ですよね。
太刀掛:かつては企業が雇用する人を選んでいた状況でしたが、これからは求職者に選んでもらえる企業に変わらなければいけない状況になってきていると思います。
今現在はおかげさまで採用は充足していますが、将来的に起こるといわれている採用難に先駆けて動こうとしてます。
これは、明確にいつから改革を始めたのかということではなく、時流に合わせて徐々に変わってきた考え方です。
ベネフィット・ステーション導入前の福利厚生
ーーベネフィット・ステーション導入前は、どういった福利厚生を提供していたのでしょうか?
成田:キッザニアとの提携による社員割引き、また親会社である伊藤忠商事が扱う商品の割引きの2つでした。
また、今は沖縄のみになりますが、2017年の春から企業内保育所「ベルキッズとよさき保育園」をオープンしました。
企業内保育所を立ち上げるには入居するテナントの許可や地域特性、通勤形態を含めて検討事項が多いものの、自社ビル所有・車通勤・子供の多さなどの点で沖縄がその第一弾に選ばれ、運用をスタートした。
ーー保育所を設立するきっかけは働く人の声を反映したのでしょうか?
太刀掛:そうです。ただし、就労者の声をなんらかの仕組みで聞き取る制度があるのではなく、日常的なコミュニケーションの中でニーズ収集を行っています。
働き続けてもらいたいという信念がありますので、常にコミュニケーターの声を拾えるように心がけています。
例えば社長が問題の未然発見という趣旨で定期的に拠点の巡回を行ったり、現場の従業員と意見交換・集約会を行っています。
ーー社長自らが動くのですね。現実的な面も含めて、なかなか真似できる企業が少ないように感じます。
成田:そうなんですね。弊社では昔から社長がふらっと来た、ということが結構ありまして、コミュニケーターでも話したことがある人は多いです。
もちろん正社員でも「新入社員の時以来10年ぶりに社長と話した!」みたいな距離はありません。
ーーその一方で社長に直接意見を述べるにあたり、委縮してしまったりしませんか?
太刀掛:やはりそういった可能性もあると思っています。
経営層も含めて、現場の生の声を聞いて解決したいと考えていますが、その場で上がってきた声は、あくまで顕在化した一部のニーズであって、それが全てだとは考えていません。
正確にニーズを把握するために「こういう意見もあったけれど、実際のところどうなの?」という話を持ち帰り、後日また人事メンバーが現場に話を聞きに行ったりします。
ベネフィット・ステーションの導入の本質は社員満足度向上、そして業績の向上
ーー次にベネフィット・ステーションの非正社員への導入について伺います。導入2年目から利用対象範囲を勤続3ヶ月以上の非正社員に拡大をしたきっかけを教えてください。
太刀掛:はじめに正社員を対象に導入したとき、利用率が想定よりも高かったんです。
その結果を見て、当時課題になっていた非正社員の福利厚生の充足の解決策になるのではないかと考え、検討を始めました。
最終的に導入を決定した理由は、ベネフィット・ステーションの全社的な導入によって離職率の低減と従業員満足度アップ、そしてその先にある業績向上が見込めると思ったからです。
定量化・可視化こそ難しいものの、満足度が高い状態や帰属意識が高い状態で働いていると、お客様にもより思いやりをもった対応ができると考えています。
福利厚生で社員満足度が上がる、より良い電話応対ができる、クライアントの評価が上がる、追加発注がくる、という好循環は起こると思うのです。
ーーベネフィット・ステーションの導入で役立っている部分はありますか?
太刀掛:最も期待しているのは、弊社で働きたい意欲はあるものの、例えばパソコンのタイピングなど、実務的な能力の問題で受け入れられなかった方の採用・育成を行えるようになることです。
今までは教育のための人的・資金的なコストがネックとなり、受け入れが難しかったのですが、ベネフィット・ステーションにはイーラーニングが充実しています。
機器や通信環境を整え、入社後すぐに利用可能とすることで、そういった方が個人で学習できるのではと考えています。
2017年9月からまずは入社3ヶ月以上の従業員に試験的に適用としましたが、いずれは全国で入社後すぐ使えるようにする狙いです。
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ーーその他にもありますか?
太刀掛:採用面接の際に、ベネフィット・ワンに加入していることをアピールポイントとしても活用しています。
もちろん、単にパンフレットを配ってうちではこれが使えます、ということではなく、面接官が「私も先月こちらに行ってきまして…」と話すことで効果的にアピールできると思っています。
働き方改革について
ーーまず働き方改革についてどのようにとらえてらっしゃいますか?
太刀掛:こうするべき、こうあるべきといったトップダウンのセオリーありきではなく、現場で働く人たちの価値観ありきで制度をつくっていくものだと考えています。
弊社で働いているコミュニケーター多くが「自由度」や「融通」を重視しているので、今のライフスタイルを維持したいと考えている人に「正社員にしてあげますよ」といっても魅力的ではありません。
働く人たちの価値観に合わせてやりがいを感じられる、働き続けられるような制度を実現していくのが真の働き方改革になると思います。
ーー非正社員の無期雇用や、今回の福利厚生を全社適用するなどの、制度的な働き方改革については人事主導で進めているのではと思います。現場の価値観と乖離が起きないように気をつけたことはありますか?
太刀掛:先ほども話した通り、やはり現場の声を正しく聞くことに尽きると思います。
プロジェクトを進める上で現場に意見を求めることはどの企業でもあると思いますが、そこで誰を選ぶのかが非常に重要です。
弊社もかつてはそうだったのですが、現場を代表できるだろうという理由で部門長を選びがちです。
しかし、実際に部門長が現場担当だったは過去の話であり、その意見が本当に現場目線かどうかは分かりません。
もちろん部門長の意見は聞きますが、それに加えて現場の社員にも話を聞くと、往々にして意見の乖離があるんです。
ーーなるほど。例えば社内アンケートなど統計的な数字情報ではなく、あくまで生の声を制度に反映させているのですね。
太刀掛:働き方改革がまさにそうですが、現場ありきの姿勢を貫くことによって、従業員にとって本当は何が重要なのかをきちんと把握した上で決断できるようになってきました。
ーー今年7月のプレスリリースにおいて「今後も働き方改革に対して取り組んでいく」という記載がありましたが、どういったことに取り組まれる予定でしょうか?
太刀掛:まだ具体的なことは決まってないですが、一番はキャリアパスの選択肢を増やしたいと考えています。
今現在は非正社員からのキャリアは管理者という1本道でしかないのですが、例えばずっとコミュニケーターをやりたい人はそれを極める道でもいいよ、といえるようなことです。
短期的な働き方だけでなく、本人の価値観を尊重した長期的なキャリアの可能性を拡げることを検討しています。
まとめ
同社が福利厚生を拡大した狙いは離職率低減・従業員満足度の向上にはとどまらず、業績向上も視野に入れている。
また、非正規雇用の従業員に対する制度設計・働き方改革においては、所属や職階の垣根を越えたコミュニケーションによって、現場で働く人たちの価値観を正しく把握することが重要であることがわかりました。
福利厚生サービス ベネフィット・ステーション を問い合わせる。