【中小企業向け】福利厚生白書~最新動向からサービス比較、導入事例まで~
従業員満足度向上のカギとなる福利厚生について、中小企業はどのように拡充していくべきか?
昨今の動向や低コストで導入できる福利厚生サービスの比較、専門家の解説などで多角的に解説していきます。
目次
【2026年最新】データで分かる中小企業の福利厚生
中小企業の法定外福利厚生の実態とは?
近年、深刻な人手不足に直面する中小企業にとって、優秀な人材の獲得と定着は重要な経営課題となっています。
福利厚生には、健康保険や厚生年金保険など法律で義務付けられた「法定福利厚生」と、住宅手当や食事補助など企業が任意で提供する「法定外福利厚生」があり、特に法定外福利厚生の充実は他社との差別化において欠かせない要です。
帝国データバンクの調査では、福利厚生を充実させる予定の企業は大企業の57.9%に対して中小企業では45.8%、小規模企業では38.5%と格差が表れました。中小企業からは「売り上げの増加が見込めず導入する余裕がない」といった声が多く、資金面が最大のボトルネックとなっています。
中小企業が現在導入している法定外福利厚生は、「通勤手当」や「慶弔休暇」が8割を超える一方で「短時間勤務」や「在宅勤務」などの働き方改革関連は2~3割台と低い水準になっており、現代のニーズへの対応は遅れています。
しかし、日本総合研究所(以下、日本総研)の調査では回答企業の36.8%が法定基準を上回る子育て世帯支援制度を導入しており、回答企業全体の57.0%が「取り組みを強化していきたい」と意欲を示しています。帝国データバンクの調査では、今後もいずれかの福利厚生を取り入れたいという企業の割合も中小企業(49.4%)が大企業(47.6%)をわずかに上回っており、将来に向けた前向きな動きは着実に広がっています。
※参照:
帝国データバンク「福利厚生に関する企業の実態調査」(2025年10月23日)
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20251023-employeebenefits/
※参照:
[PDF]日本総合研究所「令和5年度中小企業実態調査事業調査報告書」第2章(2024年2月)
https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2023FY/000481.pdf
中小企業の法定外福利費はいくらが適切?

令和2年版厚生労働白書によると、従業員1人1カ月当たりの法定外福利費は1989年の2万3,527円から増加を続け、1996年には2万9,756円とピークに達しました。その後は緩やかな減少傾向となり、2017年には2万3,452円まで落ち込んでいます。

しかし、最新の動向では回復が顕著です。2026年3月に開催された第35回労働政策審議会で示された調査(帝国データバンクへ委託)では、1社当たりの法定外福利費総額が2021年に前年比マイナス8.8%と大きく落ち込んだものの、2022年以降は増加に転じています。特に2023年以降は4%台の高い伸び率が続いており、人手不足対策として企業が福利厚生への投資を強化していることがわかります。
従業員1人当たりの月額は大企業を含む全体平均であり、中小企業はこれを下回るケースがほとんどです。いきなり全体平均を目指すのではなく、まずは自社の現状を把握し、採用強化や離職防止など経営課題の解決に直結するメニューに絞って段階的に引き上げるアプローチが現実的といえるでしょう。
※参照:
厚生労働省「令和2年版厚生労働白書」図表1-3-31
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/19/backdata/01-01-03-31.html
※参照:
[PDF]厚生労働省「第35回労働政策審議会勤労者生活分科会 資料5」p.21(2026年3月/帝国データバンクによる委託調査)
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/001679734.pdf
福利厚生を拡充すると、中小企業のメリットは?
福利厚生を充実させた企業からは、採用活動の強化や社員の定着はもちろん、組織全体の活性化という効果も報告されています。
日本総研の調査によると、法定基準を上回る子育て世帯支援制度を導入した企業では「社内において子育てしやすい雰囲気が醸成される」(64.1%)、「妊娠・出産・育児等を理由に辞める社員が減った」(45.1%)という職場環境と定着率の改善が確認されました。採用面では「新卒や中途採用者の応募が増えた、内定辞退が減った」(7.8%)という直接的な効果も見られ、「会社と従業員の信頼関係が深まった」(10.5%)、「従業員のキャリアアップ、スキルアップにつながる時間を確保できた」(11.1%)といったエンゲージメントが向上したという効果も明らかになっています。
帝国データバンクの調査でも「求職者が福利厚生を重視する傾向がみられ、企業としては福利厚生の充実が求められている」「従業員の定着率を上げるため同業他社に引けを取らないレベルまで改善を図る」との企業の声が寄せられており、賃上げで大企業と競合することが難しい中小企業にとって、福利厚生は限られたコストで多面的な効果を得られる有効な経営戦略といえるでしょう。
中小企業の福利厚生、課題と対策は?
中小企業が福利厚生を拡充する際の課題は、「資金面」と「運用・ノウハウ面」の2つに分けられます。
最大の障壁は資金面で、帝国データバンクの調査では「売り上げの増加が見込めず、導入する余裕がない」、「大企業のようには充実させられない」といった声が目立ちます。
制度設計・運用面でも課題は少なくありません。「充実させたいとは考えているが、ノウハウや余裕がなく難しい」、「拠点間における格差や世代間の公平感に配慮しなければならず、従業員からの要望や不満も聞かれるため課題が多い状況である」といった声が寄せられ、制度設計の複雑さや社内体制の不足が導入を阻む要因となっています。また、既に制度を導入している企業からも「福利厚生制度を設けているが、社員に対して周知していくことが課題である」との声があり、導入後の運用体制の整備も重要な課題といえるでしょう。
これらの課題に対する現実的な対策が、福利厚生代行サービスの活用です。自社単独での整備が困難な中小企業にとって、限られた予算と人員で多様なメニューを提供できる福利厚生代行サービスは有効な選択肢となっています。
今後は人手不足の深刻化により、賃上げと福利厚生を組み合わせた総合的な人材戦略が主流となるでしょう。採用や定着率に課題を抱える中小企業にとっては、従業員アンケート等でニーズを把握し、自社の経営課題解決に直結する分野に絞った戦略的な福利厚生への投資が離職防止や採用力UPの鍵となります。
中小企業のための福利厚生改善ガイド
【独自比較】中小企業向けの福利厚生サービス、どれを選ぶ?
福利厚生サービスは大きく「特化型」と「総合型」に分類されます。特化型は食事や健康など特定の課題にピンポイントで対応し、総合型は幅広いメニューをワンストップで提供する仕組みです。
ここでは、中小企業に適した低コスト・少人数から導入可能な福利厚生サービスを比較し、一覧表にまとめました。
【中小企業向け福利厚生サービス比較表(従業員100名想定)】

総合型福利厚生サービス
グルメ・レジャー・育児・介護・自己啓発などの多岐にわたるメニューをワンストップで提供する総合型福利厚生サービスは、従業員の年齢層やライフステージが幅広い企業や「何から手をつければよいかわからない」と悩む企業に最適です。サービス内容が多様でありながら請求処理・問い合わせ先などが一本化される点もメリットでしょう。
代表例の「ベネフィット・ステーション」は、1人あたり月額1,100円程度の負担で離職防止・採用力強化・健康経営推進・節税効果など多面的な課題を同時に解決できる総合型サービスです。140万件以上の優待サービスをベースに、教育強化なら学習コンテンツ充実プラン・健康経営なら健康支援アプリ付帯プランなど1つの契約で複数の経営課題に対応できるため、特化型サービスを個別導入するよりも費用対効果と管理効率の両面で優れています。
また、世界最大級の動画配信サービスNetflixが見放題のプランも展開しており、導入企業の多くが従業員満足度の向上・福利厚生の利用率向上・採用PRの強化の効果を実感しています。
食事関連サービス
従業員の食費負担軽減と日々の健康サポートを両立する福利厚生である食事関連サービスは、社員食堂を設置するスペースや予算がない企業や物価高騰に対するインフレ手当を検討している企業に向いています。
最大のメリットは、「非課税枠」を活用できる点です。企業が従業員の食事代を半額以上負担し、かつ企業負担額が月額7,500円(税抜)以下であれば、給与として課税されず福利厚生費として計上することが可能。例えば上限である月7,500円の食事補助を全従業員に提供した場合、年間で1人あたり90,000円分の実質的な賃上げ効果を給与引き上げよりも低い税負担で実現できます。
全国25万店舗以上で利用できる「チケットレストラン」は、在宅・出社・現場など勤務形態を問わず公平に使える点が強み。一方、オフィスに惣菜を常備する「オフィスおかん」は、深夜勤務や残業が多い職場で「いつでも温かいものが食べられる環境」を整えたい企業に向いています。
総合型福利厚生サービスのベネフィット・ステーションでも「ベネワンスマート食事補助」を展開しており、全世界に数100万点あるVisa加盟店で利用可能。アプリで利用可能額を確認し、カードで決済するだけで簡単に利用できるため、92%という高い月次利用率を実現しています。
給与・支払い系サービス
給与の即払いや前払いシステムを提供する福利厚生は、アルバイト・パートスタッフが多く活躍し、慢性的な人手不足に悩む小売業・飲食業・物流業・介護業などで特に高いニーズが見込まれます。「日払い対応可能」という条件は求職者にとって大きな魅力となるため、採用力強化に直結します。
代表例の「Airワーク給与支払」は、従業員が働いた分の給与を好きなタイミングで受け取れる仕組みを提供。従業員数に応じて2つのプランが用意されており、100名規模の企業でも一律のサービス利用料で毎月の給与振込業務を効率化しつつ、従業員からの即払いニーズに応えられる点が魅力です。
娯楽系サービス
ギフトや旅行といった娯楽系サービスは、従業員のモチベーション向上やリフレッシュを目的として導入されています。周年記念や表彰制度を充実させたい企業や、出張が多く宿泊費の精算業務を効率化したい企業におすすめです。リモートワークの普及により社内コミュニケーションが希薄化している企業では、ギフトや旅行を通じた「感謝の可視化」によって組織の結束力を高める効果も期待できます。
デジタルカタログから好きな商品を選べる「yui365」は、従業員一人ひとりの好みに合わせたギフトを手軽に贈れる点が魅力。定額制の法人向け宿泊サービス「TsugiTsugi」を活用すれば全国の提携ホテルをお得に利用でき、出張費削減やワーケーション推進にもつながるでしょう。
住宅関連サービス
引越しや賃貸契約・住宅購入時の割引など、住まいに関するサポートを提供する福利厚生は、転勤が多い企業や地方からのUターン・Iターン採用を強化したい企業にとって強力な後押しとなります。
「HOMEBASE」は、導入費用・月額利用料ともに完全無料。企業側の金銭的・事務的な負担を増やすことなく従業員の引越し費用や仲介手数料を削減できるため、手軽に福利厚生のラインナップを拡充したい中小企業にとって導入しやすいカテゴリです。求人票に「住宅支援あり」と記載できれば、同業他社との差別化につながるでしょう。
資産形成サービス
従業員の将来に向けた資産づくりを支援する資産形成サービスは、2024年から新NISA制度が始まり投資・資産形成への関心が高まるなか、従業員の金銭的な不安を取り除いて長く安心して働ける環境を整えたい企業に向いています。
「Shines」をはじめとする資産形成サービスでは、専門家によるファイナンシャルアドバイスや金融教育コンテンツを提供。企業型確定拠出年金(DC)などの制度導入が難しい中小企業でも、1人あたり月額数十円といった低コストで従業員のマネーリテラシー向上と資産形成をサポートできます。将来のお金に対する漠然とした不安を解消することで、仕事への集中力向上にもつながるでしょう。
健康関連サービス
従業員の運動不足解消やメンタルヘルスの維持など、心身の健康をサポートする福利厚生は、健康経営優良法人の認定を目指す企業や従業員の高齢化に伴う医療費・休職リスクに備えたい企業に適しています。
従業員1人が長期休職になると代替要員の採用・育成だけで数百万円規模のコストが発生する場合もあるため、予防的な健康投資の費用対効果は決して小さくありません。RIZAPグループの「チョコザップ法人契約」は運動習慣の定着を後押しし、「HELPO」のようなオンラインヘルスケアサービスは24時間いつでも医療専門職に相談できる環境を整えます。健康経営優良法人認定を取得すれば求人票へのロゴマーク掲載が可能となり、採用活動での差別化にも直結するでしょう。
教育系サービス
中小企業では現場のOJT(実地研修)に依存しがちで、指導する先輩社員の負担増加や教育品質のばらつきが課題となるケースが少なくありません。従業員のスキルアップや資格取得を支援する教育系の福利厚生は、社内に専任の研修担当者が不在の企業やDX推進・管理職育成など新たなスキル習得が急務となっている企業に最適です。
「Schoo for Business」は、9,000本以上の学習動画を定額で視聴できるeラーニングプラットフォーム。新入社員向けのビジネスマナーから最新のITスキルまで、従業員が自分のペースで自律的に学べる環境を低コストで構築でき、内定者フォローや新入社員の早期戦力化にも活用できます。
中小企業のための福利厚生導入ステップ
できるだけコストを抑えつつ従業員満足度を上げる福利厚生を導入したい中小企業のために、検討段階から導入後のPDCAまでを6つのステップにまとめました。
1. 解決したい課題の洗い出しと優先順位づけ
2. 従業員のリアルなニーズ調査
3. 投資予算の設定とサービス比較
4. 運用体制の設計と経営層への説明
5. 契約・導入準備と効果的な周知
6. 継続的な効果検証と精度のブラッシュアップ
それぞれについて解説していきます。
ステップ1:解決したい課題の洗い出しと優先順位づけ
「なんとなく福利厚生を充実させたい」では適切なサービスを選べません。「ここ2年で離職率が上がっている」「求人への応募が集まらない」「従業員の健康面が心配」といった具体的な課題を言語化し、優先順位をつけましょう。
課題が整理できれば何を優先して解決したいかという目的が明確になり、どのような福利厚生を導入すべきかの方向性も定まります。
ステップ2:従業員のリアルなニーズ調査
人事担当者や経営陣の推測だけで制度を決めてしまうと、せっかく導入しても利用されない制度になりかねません。年齢層やライフステージによって求める支援は大きく異なるため、簡単なアンケートを実施して現場の声を把握しましょう。
「食事・健康・学習・レジャー」といった大枠での優先度を聞くだけでも、サービス選定の精度は格段に上がります。
ステップ3:投資予算の設定とサービス比較
まずは従業員1人あたり月額いくらまでなら負担できるか、現在の法定外福利費や人件費全体とのバランスを見ながら無理のない範囲で予算の上限を設定します。段階的に見直していくことを前提に、継続可能な範囲から始めることが重要です。
従業員の多様なニーズに応えるため、食事・健康・教育といった複数の特化型サービスを組み合わせたくなる場面も多いでしょう。ただし、その場合は人事担当者の見えないコストにも注意が必要です。サービスごとに契約・更新手続きや請求処理、利用状況の確認などが発生し、管理工数が想定以上に膨らむケースが少なくありません。基本的には総合型サービスを軸として、どうしてもカバーしきれない部分だけを特化型で補完する組み立て方が現実的です。
ステップ4:運用体制の設計と経営層への説明
利用対象者の範囲(正社員のみか、パート・アルバイトも含めるか)や申請フローなど、具体的な運用ルールを事前に整理します。就業規則の変更が必要な場合は労務担当者とも連携を。経営層への稟議では、単なるコストではなく「採用コスト削減」「離職による損失回避」といった投資対効果を数値で示すと効果的です。
ステップ5:契約・導入準備と効果的な周知
経営層の承認を得たらサービス提供会社と契約を締結し、従業員データの登録やシステム設定などの導入準備を行います。サービス提供会社が用意している導入サポート(マニュアル・説明資料・担当者向けの研修など)を積極的に活用しましょう。
契約・設定が完了したら、運用開始前後の周知と使い方の説明を進めます。特に運用開始から数カ月は説明会や社内ポータルでの案内、チラシ配布など複数の手段を組み合わせて「気づかなかった」という従業員が出ないよう丁寧に行いましょう。「福利厚生が充実した」という事実よりも、自分にどんなメリットがあるかをイメージできる伝え方が利用率を左右します。
ステップ6:継続的な効果検証と制度のブラッシュアップ
福利厚生は導入がゴールではありません。定期的に利用率や従業員満足度を確認し、必要に応じてメニューの見直しや周知方法の改善を行います。
思うように活用してもらえない場合は、周知方法の問題なのか内容がニーズと合っていないのかを分析し、状況に応じた改善策を講じていきましょう。継続的な見直しを重ねることで、従業員に活用してもらえる制度へと成長させることができます。
中小企業必見!福利厚生の成功事例
キッズモブ
子ども向け体操教室とプロテイン販売を手がける同社は、平均年齢23歳という若手中心の組織です。ファーストキャリアの社員が多く、仕事でつまずいた際の解決方法がわからず悩んでしまうケースが課題でした。
「仕事も私生活も合わせてライフ」という考えのもと、ベネフィット・ステーションのNetflix得々プランを導入。役職や勤続年数に関係なく全従業員がNetflixを利用でき、リフレッシュと多様なコンテンツによる知見拡大を後押ししています。従業員一人ひとりが自分に合ったサービスを選択できる環境が、若手社員のモチベーション向上と会社への信頼関係構築につながっています。
ユーソナー
企業データベース「LBC」を活用したマーケティング支援を行う同社は、「みんなが親孝行できる会社」というユニークなビジョンを掲げています。【健康・お金・時間】の3つの余裕を生むため、平日ランチ無料提供や通勤距離に応じた家賃補助など独自性の高い制度を多数展開してきました。
会社規模の拡大とともに従業員のニーズが多様化するなか、二親等まで利用できるベネフィット・ステーションを追加導入。「親孝行」というビジョンとの親和性が決め手となりました。導入後は社内イントラでおすすめメニューを紹介したり無料ビジネス書の感想を社内チャットで共有したりと、制度を活用してもらうための運用面での工夫も参考になる事例です。
ワールドコンストラクション
建設業の調査・設計・施工を幅広く手がける同社は平均年齢29歳と若手が多く、建設業未経験者の入社が75%を占めています。以前は別の福利厚生サービスを利用していましたが、利用率の伸び悩みと営業サポートへの不安が課題となり、ベネフィット・ステーションへの乗り換えを実施しました。
乗り換え後はポイント付与型プランの採用と、LINE WORKS(法人向けチャットツール)を活用した徹底的な周知活動が功を奏し、導入3カ月で社員の半数以上が利用するまでに改善。全国の現場で働く社員に対して映画・育児・介護・ガソリンなど地域差なく利用できるメニューを提供できる点も、多拠点展開する同社にとって大きなメリットとなっています。
石井鐵工所
創業125年のタンク・プラントメーカーである同社は、エンゲージメント向上を目指して福利厚生のさらなる充実に取り組んでいます。その一環として、維持・管理コストが課題となっていた自社保養施設を見直し、福利厚生代行サービスへの移行を検討。複数のサービスを比較した結果、事前の社内調査で明らかになった従業員のニーズに最もマッチしたベネフィット・ステーションを導入しました。
導入後は年1回のキャンペーンに加え、社内WEBサイトでの継続的な情報発信を実施。子育て世帯の育児・教育関連メニューや割引率が高い映画のクーポンが高く評価されています。宿泊関連メニューも好評で、代行サービスに移行してからは3カ月で移行前の利用人数を上回りました。従業員本人だけではなく家族や友人も含めて余暇を充実させることができており、こうした満足度の高さが個々のモチベーションアップや定着率の向上にもつながっています。
さらに同社では内定者に対してもベネフィット・ステーションのアカウントを発行し、入社前の研修の一環としてeラーニングでTOEIC対策を実施。従来の有料ツールからの代替によるコスト削減と、入社前から会社への帰属意識を向上させる施策としても活用しています。
【FAQ】中小企業の福利厚生で知っておきたいポイント【専門家がレクチャー】
福利厚生の制度設計や予算配分など、中小企業の担当者が抱きやすい悩みを専門家の視点から回答してもらいました。
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解説者 可児俊信(かに・としのぶ)氏 千葉商科大学会計大学院教授、株式会社労務研究所代表。 福利厚生分野の第一人者として数多くの著書を執筆し、ベネフィット・ワン公式YouTube「福利厚生を学ぶならここ!かにちゃんねる!」でも福利厚生の仕組みをわかりやすく解説している“福利厚生のプロ”。 |
Q1. 給与・待遇・福利厚生、どれにコストをかけるべき?
現金給与と福利厚生はそれぞれ役割があり、バランスが重要。どちらが大事というものではありませんが、給与は労働の対価ですので従業員から見ると「もらって当然」という意識になりがちですが、福利厚生は労働の成果とは切り離された「会社からの恩恵」として感じてもらえるため、会社への帰属意識やエンゲージメントに与える影響が大きいといえます。
例えば託児所の費用補助や自己啓発支援など、従業員それぞれが抱える課題を解決できるのも福利厚生のメリット。この点では、給与は福利厚生の代わりにはなりません。
日本経団連の調査によれば、企業が負担する人件費のうち法定外福利費が占める割合は現金給与総額の4%台にとどまっています。5%賃上げする予算を福利厚生に回せば、福利厚生の予算はおよそ倍になるのです。企業から見たコストは同じでも、従業員の満足度を高める余地は福利厚生のほうがはるかに大きいのですから、人件費を増やす余地があるなら給与よりも福利厚生費に投資すべきといえるでしょう。
※参照:
[PDF]一般社団法人日本経済団体連合会「第64回 福利厚生費調査結果報告」p.4(2020年12月)
https://www.keidanren.or.jp/policy/2020/129_honbun.pdf
Q2. 法定外福利費の捻出のコツは?
「新しい福利厚生を導入したいが予算は増やせない」という場合におすすめなのが、既存制度のスクラップ&ビルド。かつての福利厚生は「男性・世帯主・正社員」を前提として設定されていましたが、現在は女性も活躍し、独身者や高齢者、非正規社員など多様な従業員が働いています。時代や実態に合わなくなった制度を見直し、既存の制度に投入していた予算を新制度に転用するのです。
このときに検討したいのがカフェテリアプランです。廃止した制度をメニューのひとつとして残しておけば、利用していた従業員はポイントを使って引き続き利用することができます。会社としては予算を変えずに多様なニーズに対応でき、従業員にとっては新しいサービスが増えたうえ今までのサービスも使うことができるため前向きに受け入れてもらいやすくなります。
Q3.福利厚生は節税になる?
福利厚生の節税効果は、「連動して増えるコスト」という視点で考えると分かりやすいでしょう。現金給与を増やすと、所得税や住民税だけでなく会社と社員の社会保険料も増加します。さらに基本給が上がれば残業代の単価も上がりますし、退職金の算定に基本給を使っている会社は将来の負担も増えてしまいます。
一方で、福利厚生として還元すれば企業は給与アップに伴う連動コストを抑制でき、従業員は追加の税負担なくサービスの恩恵を受けられます。企業にとっては同じ支出でも、福利厚生への投資の方が企業・従業員双方にとってメリットが大きいのです。
Q4.福利厚生は採用にも有利って本当?
福利厚生は採用面でもプラスになります。今の求職者は給与だけでなく、「働きやすさ」や「会社がどれだけ社員を大切にしているか」をよく見ています。中小企業が給与面で大企業に追いつくのは簡単ではありませんが、総合型の福利厚生サービスを利用すれば、中小企業でも大企業並みの福利厚生を用意できます。
さらに重要なのは、人材の確保は新しい社員を採用するだけでなく定着率を高めることでも実現できるという点。福利厚生が充実して働きやすくなれば、社員の離職が減って定着していきます。そうすれば欠員補充の採用活動が少なくて済み、採用コストも削減できます。
つまり、福利厚生は採用に有利に働くだけでなく、採用活動そのものの負担を減らす効果もあるのです。今いる社員の満足度を高める方が、今後入社する社員のニーズを予想するよりも確実で効果的。福利厚生は単なるコストではなく、戦略的な「人への投資」と捉えましょう。


