「建設業の人手不足」の理由と打破するための3つの改善ポイントを解説

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「建設業の人手不足」の理由と打破するための3つの改善ポイントを解説

「労働人口の減少」は、国全体でも無視できない問題です。

その中でも「建設業界の人手不足」は非常に深刻で、

  • 工事現場で稼動する職人
  • 職人をマネジメントする技術者

どちらも足りていません。

人手不足によって職人の労務費は上昇し続け、建設コストの増加につながっています。

その結果、コスト圧迫によって開発計画が頓挫する事例も見られます。

  • どうして人が足りなくなっていくのか?
  • その環境下でも、優秀な人材を確保し生き残るにはどうするべきか?

これらが気になる建設業界の方は少なくないでしょう。

今回は「建設業の人材不足」の理由を分かりやすく説明するとともに「人材確保のための実践ポイント」を分析します。

※業界の方に向けたため、建設業界の専門用語も使用しています。 参考書籍:建築専門誌「日経アーキテクチュア」・土木専門誌「日経コンストラクション」

深刻な人手不足の理由は2つ

深刻な人手不足の理由は2つ 人手不足の理由は「建設業に在職する人が減っているから」ということは間違いありません。

より具体的にまとめると、主な理由は

  • 若年層の建設業在職者が顕著に減っている
  • リーマンショック後の建設需要激減で離れた職人が戻ってこない

という2点です。

建設業に従事する人はどのくらい減少しているか

実際、建設業の人手不足はどの程度深刻なものなのでしょうか。

これは総務省の労働力調査を元に「全産業の従事者数と建設業の従事者数推移」を比較したものです。 「全産業の従事者数と建設業の従事者数推移」 ※比較しやすくするため、全産業の従事者数には×10%
※引用:プレジデントオンライン「 若者離れ、人手不足に悩む建設業界の将来性」

こちらを見ると、2000年あたりを境に建設業の従事者数は減少の一途であることが分かります。

2017年現在、

  • 東日本大震災からの復興事業
  • アベノミクスによる公共事業の増加
  • 2020年の東京五輪

という特需によって、不況に見舞われていた建設業界は活気を取り戻しつつあります。

しかしその一方、ビルやマンションなどを建設する際に作業する職人が全く足りていません。

建設会社では、既に職人不足によって受注に支障をきたすようになっています。

また人手不足が労務費の高騰につながり、工事にブレーキをかけるという悪循環に陥っています。

では次に、この人手不足の理由を紐解いていきましょう。

人手不足の理由(1)若年層の建設業在職者が減少している

まずひとつは若年層の建設業在職者の減少です。

  • 若手の職人が業界を離れる
  • 若手が入ってこない

という状態が続いているわけです。

1980年から2010年まで、建設業界の在職者・入職者を年齢別に調査した結果が以下です。 建設業界の在職者・入職者を年齢別に調査した結果 ※引用:建設経済研究所「建設業就業者数の将来推計」

20~24歳の若手の在職率が著しく低下しているとともに、15~19歳の入職者も減少傾向です。

直近ではピーク時の3分の1以下となっています。 さらに建設業と全産業で

  • 55歳以上
  • 29歳以下

の従事者数を比較したグラフがこちらです。 建設業と全産業の年齢別従事者数 ※引用:建設経済研究所「建設業就業者数の将来推計」 全産業と比較してみても、建設業は55歳以上の年配者と若手の間に圧倒的に開きがあることが分かります。

高齢化が進む一方で、若手が増えていかないわけです。
これは

  • 建設業界に3Kのイメージがついている
  • 他産業に比べて、基本的な福利厚生の徹底がされていない

といったことと無関係ではないでしょう。

人手不足の理由(2)リーマンショック以降「職人離れ」が激化

ゆるやかに起こりつつあった人手不足に一層の拍車をかけたのが「リーマンショック」です。

リーマンショックによって、国内の建設需要は激減しました。

これは「職人の仕事が激減すること」を意味します。

仕事のなくなった職人たちの多くは、他産業への転職か、退職という道を選びました。

その後、景気回復とともに建設需要も回復してきた一方で、職人の数は減り続けていたのです。

一度建設業界を離れた職人は、そう簡単に戻ってこないからです。

元請けの建設会社の多くは「人手が足りない時は辞めた職人を連れてくれば良い」と考えていたものの、実際声をかけてみると断られるケースが多数あったそうです。

結果、景気が回復し工事量が増加した一方で職人が戻ってこないため、需要に対して労働力が確保できない「人手不足」の状態が続くようになりました。

厳しい業界を生き残る!人手不足解消のための3つの実践ポイント 

以上が建設業界が深刻な人手不足に陥った理由ですが、嘆いてばかりもいられません。

建設業界は一丸となってこれらの課題に取り組んでいますが、自社でもできる改善の取り組みは必須です。

そこで後半は、モデルケースも参考にしつつ、人手不足を解決するための実践ポイントを解説しましょう。 ポイントは以下の3つです。

  • 雇用促進
  • 待遇改善
  • 省工数化

(1)雇用促進

雇用促進 人手不足の解消のためには、若年層でどんどん下がっている入職者数の歯止めが急務です。

建設会社各社は「雇用促進」に取り組んでいますが、ここでは効果的と思われる試みをご紹介します。 対策としては

  • 若年層に建設業に触れる機会を増やす
  • 3Kのイメージを払拭し、理解を深める

ことが挙げられます。

たとえば静岡県にある富士教育訓練センターでは、各県の建設業界や工業高校と連携し、生徒に「技能体験研修」を実施しています。

厚生労働省の助成制度を活用し、工業高校の生徒を教育訓練センターに派遣しています。

参加人数も徐々に増えていき、2012年度には300人近くの生徒が参加しました。

また愛知県建設業協会では、2009年から高校生とともに保護者の見学会も実施しています。

「きつい・汚い・危険」といった3Kイメージを払拭し、建設業への理解を深めてもらうためです。

その結果、参加保護者のアンケートで「建設業に子供を就職させたい」という回答が2012年には約8割を占めたそうです。

また現代の雇用促進には、従業員の待遇改善が欠かせません。 その点で次の章とも密接な関わりがあります。 ぜひこのまま読み進めてください。

(2)待遇改善:賃金と法定・法定外含む福利厚生がカギ

待遇改善 人手不足を解消するためには「新しく雇用する」だけでなく、人材の流出を防ぐことが重要です。

  • 長時間労働
  • 低い給与水準
  • 福利厚生の不足

といった待遇の改善が必須と言ってよいでしょう。

実際、慢性的な人手不足を受けて、多くの建設事業者が待遇改善に着手しています。

「職人をめぐる一番の問題は賃金の低下だ。元請け会社から安い金額でしか請け負えないので、どうしても賃金が安くなる。」

これは、2011年に日本建設業連合会の才賀清二郎会長が発言した内容です。

元請けの総合建設会社側でも、待遇の改善は急務と捉えています。

日本建設業連合会では「優良技能者手当て」を設定し、優良技能者の年収を600万円にする目標に取り組んでいます。 優良技能者は

  • 経験年数
  • 登録基幹技能者資格
  • 拠点からの推薦

によって選ばれます。

東急建設でも似た取り組みを行っており、

  • 5年以上の経験
  • 指揮能力が優れている

これらを満たす職長を「マイスター」として認定し、手取りで年間10万円を支給しています。

賃金面での待遇改善の他に、ポイントは2つあります。

  • 社会保険等の法定福利厚生の導入
  • 安心して働ける法定外福利厚生の拡充

ポイント(1)社会保険等の法定福利厚生の導入

職人の待遇改善に取り組む各社が重視しているのは「社会保険への加入」です。

これには

  • 社会保険に加入していない事業者には人が集まらない
  • 社会保険未加入では国土交通省直轄の工事を受注できない

といった2つの背景があります。

後者について補足すると、国の直轄工事の元請け・一次下請けは「社会保険加入企業に限定する」という方針が打ち出されているからです。

また17年度からは、社会保険に未加入の技能労働者は国の公共事業に入場できない方針となっています。

この流れは、地方自治体の公共事業にも広がっています。

ポイント(2)法定外福利厚生・福利厚生サービスの導入がもたらす効果

法定福利厚生の導入は、国の方針に乗り遅れないための最低限の対策と言っても良いでしょう。

企業として若い戦力を確保していくためには

  • 若い職人が安心して働ける仕組み
  • 3Kを払拭し、快適な生活をサポートする

といったことが必要だと筆者は考えています。

鉄筋工事会社の大黒組は、高校を卒業する職人のために3階建ての社員寮を東京に建設しました。

今後、千葉・神奈川・埼玉にも同様の寮を建設する予定ということです。

同社いわく、狙いは「若い職人を積極的に育成するため」としています。

社会保険加入から始まる福利厚生の待遇改善は、寮などの設備にとどまらず「若年層の生活と仕事の質を高める」方向へとシフトしていくことが考えられます。

自社で福利厚生を運営するコストを削減し、幅広い福利厚生を導入する手段に「福利厚生アウトソーシングサービス」があります。

筆者おすすめの福利厚生サービスを「企業担当者必見!「福利厚生サービス」のおすすめ5選を解説」でご紹介していますので、興味のある方はぜひご覧ください。

(3)省工数化:労務費を抑制し、職人の待遇改善につなげる

省工数化 最後は「省工数化」です。 工期を短縮する・職人がかける手間を短縮することで労務費を抑制し、職人の待遇改善につなげることができます。

下記で、主要な建設会社が導入している「省工数化のための工法」をご紹介しましょう。

かなり専門用語が飛び交いますが、現場を知っている人であれば、参考になることが多いと思います。

オススメの省工数化工法3選

労務費の高騰・賃金の低下を抑制するためには「手間のかからない省力化工法」を利用することが効果的です。

労務費を削減することで職人の待遇が改善され、人材の定着が期待できます。

主な建設会社で導入されている、オススメの工法をご紹介しましょう。

プレキャスト・コンクリート工法

梁や柱のようなコンクリート部材を事前に工場で製作し、現場で組み立てる工法です。

現在では、多くの建設会社が梁や柱にとどまらない「二次部材」にもプレキャスト工法を導入していることが分かっています。

鉄筋先組み工法

鉄筋先組み工法とは、現場作業スペースで梁・柱などの鉄筋部材を先に組んでおくことで、工期短縮が期待できる工法です。

群馬県の「西崎鉄筋工業」では、この工法の導入で、工期が約3分の1に削減できたといいます。

また現場ではなく、工場で鉄筋部材を組み立てた後、折りたたんで現場に搬入する方法も見られます。

鉄筋ジャバラユニット工法といって、鉄筋の結束方法を工夫することで一度組んだ鉄骨を折りたたむことができます。

基礎に「ラス型枠」「鋼製型枠」を使用する

基礎部分は完成後も人目に触れないため、ラス(金属網)や鋼板を型枠として使用した上で、取り外さずにコンクリートと一体化させることが可能です。

これにより型枠解体の手間をはぶき、工数を削減する方法です。 また、従来の工法で使用する型枠は平方メートルあたり10キロほどですが、ラス型枠・鋼製型枠は同じ寸法で数キロ程度まで収まります。

  • 軽くて運搬しやすい
  • 解体が不要

であることから、労務費が約50%削減できた事例も見られます。

まとめ

今回の記事では、

  • 建設業界が深刻な人手不足に陥っている理由
  • 上記を解決し、人手不足を解消するための3つの取り組み

を解説しました。

人手不足は労務費の高騰だけでなく、流動的な配属や少人数での工事による「建設品質」の低下にもつながっています。

自社だけでなく建設業界活性化のためにも、今回の内容をぜひ参考にしていただきたいと思います。

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