5分で分かる「働き方改革」とは?取り組みの背景と目的を解説

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5分で分かる「働き方改革」とは?取り組みの背景と目的を解説

労働環境の改善は、企業だけでなくいまや国全体に関わる課題です。

安倍晋三首相は2016年9月、内閣官房に「働き方改革実現推進室」を設置し、働き方改革の取り組みを提唱しました。

社員の方だけでなく、経営者、企業の労務担当の方など「働き方改革によって会社がどう変わるのか?」と関心が高い方は多いと思います。

しかし、そもそも働き方改革とはなにか?今いち分からない方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、

  • 政府が掲げる働き方改革の目的と課題
  • 働き方改革の取り組み事例

を、分かりやすくまとめました。

取り組みの柱を理解すれば、そこまで難しいものではありません。ぜひ最後までご覧ください。

働き方改革とは:「一億総活躍社会」実現に向けた取り組み

働き方改革とは、一言でいえば「一億総活躍社会を実現するための改革」といえます。

一億総活躍社会とは、少子高齢化が進む中でも「50年後も人口1億人を維持し、職場・家庭・地域で誰しもが活躍できる社会」です。
一億総活躍社会とは
首相官邸HPからも引用しておきましょう。

働き方改革は、一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジ。多様な働き方を可能とするとともに、中間層の厚みを増しつつ、格差の固定化を回避し、成長と分配の好循環を実現するため、働く人の立場・視点で取り組んでいきます。

※引用:首相官邸HP「働き方改革の実現」

働き方改革の背景:労働力人口が想定以上に減少していること

今のタイミングで一億総活躍社会を目標に掲げた背景には「生産年齢人口が総人口を上回るペースで減少していること」が挙げられます。

労働力の主力となる生産年齢人口(15~64歳)が想定以上のペースで減少しているわけです。

総人口は2105年には4,500万人に減少の予測

まず内閣府が発表している、日本の将来人口推計をみてみましょう。
日本の将来推計人口
※引用:内閣府HP「人口・経済・地域社会の将来像」

現在の人口増加・減少率のままでは、2050年には総人口9,000万人前後、2105年には4,500万人まで減少するといわれています。

次に、実際の働き手となる「労働力人口」をみてみましょう。

労働力人口(生産年齢人口)は2060年にはピーク時の半分に

労働力人口は、第二次ベビーブームに生まれた団塊ジュニアが労働力として加わった24年前がピークでした。

平成7(1995)年には8,000万人を超えていましたが、それ以降は減少の一途をたどっています。
労働力人口推計
※引用:国立社会保障・人口問題研究所HP

国立社会保障・人口問題研究所が発表した出生中位推計の結果によれば、生産年齢人口は

  • 平成25(2013)年には8,000万人
  • 平成39(2027)年には7,000万人
  • 平成63(2051)年には5,000万人

を割り、平成72(2060)年には4,418万人となる見込みです。

このままでは、国全体の生産力低下・国力の低下は避けられないとして、内閣が本格的に「働き方改革」に乗り出したのです。

労働力不足解消の3つの対応策

上記に挙げた、労働力不足の解消には3つの対応策が考えられます。

  • 働き手を増やす(労働市場に参加していない女性や高齢者)
  • 出生率を上げて将来の働き手を増やす
  • 労働生産性を上げる

1つめは、今市場に参加していない層に働いてもらうこと、2つめは出生率を改善することなので分かりやすいと思います。

3つめの労働生産性について補足しておきます。

実は、日本の労働生産性は、OECD加盟国の中で22位/全35カ国となっています。主要7カ国の中で最下位です。

労働生産性については別の記事「労働生産性とは?混同しがちな定義と計算式をわかりやすく解説」でくわしくお話ししていますが、労働力が減少しても、国全体の生産を維持するためには労働生産性の向上が不可欠です。

ここまでの話をまとめると、

労働力不足を解消し、一億総活躍社会を作るために

  • 働き手を増やす
  • 出生率の上昇
  • 労働生産性の向上

に取り組むというのが「働き方改革」の概要です。

働き方改革の具体的な3つの課題

働き方改革の大目的・概要は上記お伝えしたとおりですが、これらを実現するためには3つの課題があります。

  • 長時間労働
  • 非正規と正社員の格差
  • 労働人口不足(高齢者の就労促進)

これらが、働き方改革の最重要事項といってもよいでしょう。

ここまで出てきた、働き方改革の背景と労働力不足のための対策がややこしくなってきた方がいるかもしれませんので、関係性を図にしておきます。
働き方改革の目的イメージ

では、それぞれの課題の詳しい内容を見てみましょう。

「働き方改革」で、どういった対策が検討・実施されているかもあわせてお伝えします。

課題(1)長時間労働の改善

日本の長時間労働については、2013年に国連から

  • 多くの労働者が長時間労働に従事している
  • 過労死や精神的なハラスメントによる自殺が職場で発生し続けていることを懸念する

といった内容の是正勧告がされていました。

国際的にみても日本の長時間労働は深刻で、働き盛りの30~40代の長時間労働の割合が特に多い状態です。

そして、残業や長時間労働だけでなく、転勤・配転の命令にも応じなければならない実情があります。

これを拒否すると、有期契約社員やパートとして働くことを余儀なくされることもあります。

次の項でお話しする非正規と正社員の格差も「非正規への選択肢を選びにくくする」という点で、長時間労働・正社員の負担増加にかかわっているわけです。

また長時間労働の問題は「出生率」にも影響していると考えられています。長時間労働を望まれる年齢と、出産・育児年齢が重なるためです。

女性がキャリアの中断や育児との両立の不安から出産に踏み切れなかったり、男性も育児・家事への協力がしにくいという現象につながります。

働き方改革における長時間労働の改善施策

安倍晋三首相は「モーレツ社員という考え方自体が否定される日本にしていきたい」という発言をしています。

戦後の高度経済成長期以来、働けば働くほど待遇があがっていく状況のなかで「睡眠時間が少ないことを自慢し、超多忙なことが生産的だ」といった価値観が生まれました。

しかし、終身雇用あっての「モーレツ社員」は今や時代に合わない思想です。

その前提のもと、働き方改革では以下のような取り組みを実施していくことになります。

  • 法改正による時間外労働の上限規制の導入
  • 勤務間インターバル制度導入に向けた環境整備
  • 健康で働きやすい職場環境の整備
時間外労働の法改正:36協定の見直しがポイントに

特にポイントになるのが「法改正による時間外労働の上限規制の導入」です。

日本では、フルタイム労働者の年間実労働時間は2,000時間前後で20年近く横ばいとなっています。

本来であれば、1日8時間/週40時間を上限とする労働時間のためには労使協定書「36協定」が必要です。

その延長時間にも上限基準があり、

  • 1か月45時間
  • 1年間360時間

までしか残業させてはいけない決まりです。

しかしこれには問題があり「特別条項」という条件を労使協定に加えることで、極論無制限に労働時間を延長できます。

労使合意があれば、どれだけ残業しても良い仕組みになってしまっていたのです。

この特別条項に関する法律を見直すのが働き方改革の取り組みのひとつです。残業時間の特例は

  • 1か月100時間
  • 2~6か月平均80時間

に制限されることになりました。同時に、労働基準監督署の立ち入り検査対象も増加させています。

また大企業を対象に、月50時間を超える時間外労働賃金の割増率を50%とする労働基準法の規定がすでに適用されています。

課題(2)非正規と正社員の格差是正

日本の非正規社員の待遇は、正社員の時給換算賃金の約6割にとどまります。欧州では8割ほどであることからも、非正規・正社員の格差は激しいといえます。

そして育児や介護の負担を抱える女性や高齢者が、正社員のようなある意味「制限なし」の働き方を選ぶのは限界があります。

結果的に非正規としての働き方を選ぶことになり、生産性を発揮する機会を損失しているのです。

非正規で働く方は労働者全体の約4割を占めます。この層の待遇・働き方を改善するのに、待ったなしの状況にきていることを政府も認めています。

働き方改革における非正規・正社員の格差解消の施策

働き方改革では「非正規社員の待遇改善」に向けて、以下の取り組みを挙げています。

  • 同一労働同一賃金の実効性を確保する法制度とガイドラインの整備
  • 非正規雇用労働者の正社員化などキャリアアップの推進

非正規社員の賃金を、正社員に対して6割という今の現状から、欧米並みの8割まで引き上げようと目標を掲げています。

最低賃金の引き上げも、これまでの取り組みを継続し、最低賃金1,000円を目指す意向です。

働き方改革の目玉「同一労働同一賃金」とは

労働によって、同じ付加価値をもたらす人には同じ賃金と支払うべき、という考え方が「同一労働同一賃金」です。

政府はこれを働き方改革の目玉として位置づけています。

福利厚生・教育なども含めた改革のため「同一労働・同一待遇」という表現もできるでしょう。

たとえば、非正規のベテラン社員の給与が、新卒正社員も格段に安いといった場合、是正されるべき方向で検討されています。

その目的は「将来的に非正規という枠組み自体をなくし、ライフステージにあわせた働き方を選べるようにする」ということです。

「同一労働同一賃金」に取り組む本当の理由

政府が「同一労働同一賃金」に取り組むのは経済的な理由があります。それは「デフレの解消」です。

政府は、物価上昇率2%を目標に掲げていました。しかし日本では、諸外国に比べて長い間賃金が上がっていません。

賃金が上がらず、節約志向が改善されない限りデフレからの脱却は難しくなっています。

消費を促進し、インフレに向かっていくためにも、労働力の4割を占める非正規層の待遇改善は必須ということです。

課題(3)高齢者の就労促進

今の日本では、高齢者の約7割が「65歳を超えても働きたい」と考えていることが国の調査で判明しています。

しかし、現状実際に働いている高齢者は2割ほどにとどまります。

ここで「生産年齢人口の減少」の際に掲載した図を再度載せますが、生産年齢人口の減少に反比例し、老年人口は上昇していく予測で、2060年には約3,500万人前後となります。

労働力人口推計
※引用:国立社会保障・人口問題研究所HP

「非正規の格差改善」によって出産・育児・介護による女性の働き方の制限をなくしていくことに加え、現在労働市場に入っていない高齢者の労働参画も重要です。

働き方改革における高齢者の就労促進施策

働き方改革では、主に以下の2つが大事な取り組みとなります。

  • 継続雇用延長・定年延長の支援
  • 高齢者のマッチング支援

「働きたい」と考えている高齢者に就労環境を整えていく必要があります。

65 歳以降の継続雇用延長や、 65 歳までの定年延長を行う企業等に対する支援が検討されています。

また、企業における再就職受入支援や高齢者の就労マッチング支援の強化なども含まれます。

まとめ

今回の記事では「働き方改革」の概要と具体的な取り組みについてお伝えしました。

再度、働き方改革の背景と主な取り組みを記載した図を掲載しておきましょう。
働き方改革の目的イメージ
働き方改革は大手企業だけでなく、全企業の大半を占める中小企業にもその取り組みが求められていきます。今回の記事が働き方改革を理解する手助けになれば幸いです。

コラム:働き方改革の具体的な取り組み事例を紹介

働き方改革の取り組み事例
ここまで、働き方改革の背景からメインの取り組みまでをお伝えしました。働き方改革がどのようなものか、ご理解いただけたかと思います。

しかし「自分たちにどんな影響があるのか?」「自社でどんな取り組みをするべきなのか」気になる方もいると思います。

最後にコラムとして、働き方改革に取り組んでいる民間企業の事例をトヨタ自動車を例に挙げてお伝えします。

働く方は、会社でこういった点が変わる可能性がある、というひとつの参考になるでしょう。

経営者の方などで、大手企業だからできること…と思う方もいるかもしれませんが、従業員数が少なくとも実践できることもあります。ぜひご覧ください。

トヨタ自動車の事例

トヨタ自動車の取り組み事例
※参照:http://www.toyota.co.jp/

トヨタ自動車は、働き方改革に対して先進的な取り組みを続けており、参考になる事例といえます。

まず、2015年に大きな人事制度改革を行い、工場従業員の賃金体系を見直しました。
賃金改定のポイントは2つです。

  • 若手社員の賃金引き上げ:子育て世代に手厚く賃金カーブを変更
  • 年功給から能力給の変更:若手以降は能力の発揮に応じて給与に差がつく

さらに、2017年現在、以下のような働き方改革の取り組みを推進しています。

幅広い働き方の実現に向けた在宅勤務の新設、女性の就労機会の促進が特徴的です。

在宅勤務制度の新設

裁量労働制勤務またはフレックスタイム勤務をベースとしている職種の社員(事務員、技術員)を対象に、テレワークとしてFTL制度(Free Time and Location)を開始しています。

週1回、2時間の在社を義務化していますが、勤務場所は原則自宅です。

年次有給休暇取得の促進

有給休暇の取得促進の施策として、3Days Vacation(年1回以上、3連休での有給休暇取得)を推奨しています。

仕事と育児の両立支援

在宅勤務制度の対象ではない職場には、育児を行う社員を対象に、常に6時半~15時の勤務シフトとする常1直勤務制度を導入しています。これは、こどもが小学校4年生を修了するまで継続されます。

また、同じくこどもが小学校4年を修了するまで、勤務時間を6時間または7時間とする勤務時間短縮制度等も導入しています。

女性の活躍推進と育児支援

女性活躍推進のための育児支援に向けては2002 年の早くから取り組んでいます。

0歳~小学校就学前までのこどもを対象にした事業内託児所を設置し、育児を行いつつ勤務する女性の支援を行っています。

交替制勤務の社員のシフトと残業時間に合わせ、早朝5:30から深夜2:30まで開園しています。

障がい者雇用機会の拡充

トヨタループス(特例子会社)で、障がいを持つ方の雇用を促進。

重度の身体障害者や精神障害者を対象に採用を行い、主に社内印刷、社内郵便物の受発信などの業務を行っています。

花王株式会社の事例:休暇取得を1時間単位で行える仕組みの導入

花王株式会社の取り組み事例
※参照:http://www.kao.com/jp/

花王では、「効果・効率的な仕事の仕方の実現」「社員の健康増進」という考え方のもと、生産性の高い働き方の実現に取り組んでいます。特徴的な事例をご紹介します。

花王では、5日間の有給休暇とこどもの看護休暇・家族の介護休暇を1時間単位で取得できるようにしました。

これは「都合で半日休暇を取得しても、数時間以内で用事が済むことが多い」との社員の声からきています。

これによって、育児や介護などの都合と勤務時間の効率的な両立が可能になりました。

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長時間労働の是正と共に検討すべき
福利厚生制度の拡充

働き方改革が進む中で、その取り組みの中心となっている長時間労働の是正。

すでに多くの企業が取り組みを行っている中で、セットとして注目されているのが、給与・福利厚生制度などの待遇面の向上です。残業削減は従業員のプライベートを確保し、仕事に対するモチベーションの向上に繋がっている一方で、残業代が減り、従業員の賃金低下が目立ってきています。

しかし、基本給を上げることは難しいので、残業代の代替策が求められます。

従業員満足度、生産性の向上、採用強化・離職防止に繋がる福利厚生制度の拡充を検討していくことが得策です。

業界トップの導入実績を誇るベネフィット・ステーションは、

・最短2週間で大手企業と同等の福利厚生を簡単に整備できる
・全国の企業、幅広い年代層や多様なニーズに応えるための100万を超える福利厚生優待サービス
・東証一部上場企業の約45.3%、公務団体の約46.6%が導入済み
・従業員が直接サービスを申込むため、導入後の事務作業は一切なし

と、従業員1人あたり380円から(コーヒー1杯と同じ値)で充実した福利厚生制度の拡充が実現できます。

企業は人なりという言葉があるように、従業員の会社に対する満足度を高めることは、企業の業績を向上させることに繋がります。

ぜひこの機会に、福利厚生制度の拡充を検討していきましょう。


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